特集 2014年11月21日

沖縄の麩で日本一長い麩菓子を作りたい

沖縄といえば麩。でもほとんどチャンプルーにしか使われない。
沖縄といえば麩。でもほとんどチャンプルーにしか使われない。
麩と黒糖でできたお菓子、麩菓子。沖縄にはどちらもあるのに県内では麩菓子の製造は行われていないらしい。ならば沖縄の麩を使って麩菓子をつくろうじゃないか。
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麩菓子
麩菓子
駄菓子を代表するひとつである、麩菓子。
甘い黒糖がかかった麩がサクサクと軽い食感で両端の黒糖が厚塗りされている部分は、最初に食べるか最後に食べるかで悩む人も多いのではないでしょうか。
麩菓子の端は取り合いの喧嘩になる美味しさ
麩菓子の端は取り合いの喧嘩になる美味しさ
本体はかなりスカスカで軽い
本体はかなりスカスカで軽い
そんな麩菓子ですが、沖縄にはくるま麩と黒糖が県産品としてあるのに、沖縄県内で麩菓子が作られていないようなのです。
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これはなぜなのでしょうか。沖縄の麩を使って麩菓子を作ることはできないのでしょうか?

麩を製造している麩久寿(ふくじゅ)へ行ってきた

真相を探るため、糸満市にある麩の製造会社、株式会社 麩久寿に行ってお話を伺ってきました。DEEokinawaでは以前【大人の社会科見学】麩久寿 ~伝統の味を守り続けて~という記事で工場を見学させて頂いた事があります。
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―― 沖縄には麩菓子が無いようですけどなぜなんでしょうか?

いやいや、ありますよ。
今年の9月に美ら海水族館限定で販売開始した「美らすく(ちゅらすく)」というものがあります。
美らすく 6枚入りで600円
美らすく 6枚入りで600円
沖縄ソルト、きび糖、パイナップルの3つの味
沖縄ソルト、きび糖、パイナップルの3つの味
くるま麩を使ったパリパリした食感のラスクです。美らすく用に配合を変え、通常のラインを止めて焼きげたくるま麩です。

―― となると、それって麩菓子というより麩を使ったラスクですよね?

そうなるねー。

―― 昔懐かしい麩に黒糖がかかった駄菓子の麩菓子は無いんですか?

日本本土にはあるみたいだけど、沖縄では作られていないんじゃないかな。
あっちの麩は、沖縄のくるま麩とはちょっと違うから。

内地の麩は、グルテンをプレスして蒸し焼きにする製法。
お味噌汁に入れたりとそのまま使うことが多い。粉が多くグルテンが少ないから、水分を吸ってしまうとニュルッとしてきて食感がほとんど無くなってしまう。ただ、焼き上げた時にさっくりとした食感になるので、麩菓子の材料としても適しているんじゃないかな。

沖縄の麩は、水で戻してもモッチリしっかりした歯応えを残すことが大事だからグルテン比率が高め。麩菓子にしても噛んだ時にポキっサクッととなるような食感にはなりにくいはず。
焼きあがった長い1本の麩を商品の長さに切っていく
焼きあがった長い1本の麩を商品の長さに切っていく
麩の壁ができる
麩の壁ができる
――沖縄のくるま麩で麩菓子は作れないんですか?

作れないことはないけど、あまり美味しくないんじゃないかな。

―― 日本一長い麩菓子というのが埼玉県で売られているらしいのですが、長さが95cmなんだそうです。これを超えたいのでくるま麩をください。

またそんなことを! もし成功しても絶対商品化はしないからね~!


......ということで長いくるま麩をいただきました。
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いきなりですが、ここから本題の「沖縄の麩で日本一長い麩菓子を作りたい」が始まります。

これだけ長いです

まずは頂いた麩、その長さをご堪能下さい。
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長い。
テーブルからもはみだす長さ
テーブルからもはみだす長さ
長さは約150cm
長さは約150cm
これで麩菓子を作れば日本一間違いなし。早速作ってみたいと思います。

黒蜜を塗る

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麩菓子といえば黒糖がコーティングされています。
黒糖と水を火にかけて混ぜ合わせます
黒糖と水を火にかけて混ぜ合わせます
割合は適当です。少し冷まして塗っていきます
割合は適当です。少し冷まして塗っていきます
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くるま麩に黒蜜を塗っていきます。
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水分を吸って柔らかくなるかと思いましたが、まったく吸いません。
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部屋を閉め切り、除湿機と扇風機で乾燥させます。ダブルの効果に期待しましょう。

焼いて乾燥

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麩菓子は、黒蜜を塗った麩をオーブンで焼きあげるそうですが、うちには150cmの長さのオーブンはありません。

なのでガスコンロで直火焼きします。黒糖を焦がさないように回しながら焼き上げます。フツフツと泡が立つのが目安。
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焼き上げた麩を冷まします。ついでに一晩乾燥させます。

部屋が黒糖の匂い
部屋が黒糖の匂い
いい感じで乾燥したみたいので食べてみましょう。

くるま麩菓子は美味しいのか

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ご覧の通りとても食べにくいです。
黒蜜を塗っていない麩だと折れてしまいますが、程よく水分が染み込んで弾力が出ているようです。

食べた感じはパリッサクッとした食感。もっとモソモソするかと思いきや、口の中の水分が奪われることもありません。くるま麩をそのまま食べると、口の中の水分が麩にもっていかれてモソモソするので、これは意外。
黒蜜のコーティング不足から薄味ながらも甘味は感じられます。これは好みなので濃ければいいというものでもなさそうです。

長さ150cmある日本一長い麩菓子ができました。今までは長さ95cmが日本一長い麩菓子だったそうですが更新したのではないでしょうか。また、普通の麩菓子より食べ応えがある、くるま麩菓子となりました。

麩久寿さんは、成功しても絶対に商品化はしないと言ってましたが、意外とアリかと思いますよ!

麩菓子は沖縄名物になるんじゃないか

というわけで日本一長い麩菓子はいかがだったでしょうか。

作って1週間が経ちました。さすがにそのまま麩菓子で食べ切るにはキツイので、毎日1食フーチャンプルーを作って食べていますが、まだ半分くらいは残っています。

塗った黒蜜は、くるま麸を水で戻すときに洗えば落ちます。沖縄の麸は水で戻すことを前提に作られているので、こういうときは助かります。
ただ完全には落としきれていないので、隠し味程度の黒糖が残っていますが意外と美味しいです。
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