特集 2014年11月6日

お皿にしずみ飯

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ある日、ケーキがお皿の下に沈んだ。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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はい、何がしたいのか説明しまーす!

いきなり写真を連発してしまったが、掲載した写真はすべて、食べ物をスパッと切ってその断面を下にしてお皿に置くことにより、

お皿の下に食べ物が沈んでいるみたいにみんなに見えてもらいたいものだなあ…と思って撮った写真

である。

うんうん、食べ物の下半分がお皿の下に沈んでるみたい! と大いに心の目を開いてくださった方、ありがとうございます。

しかしやはりこれでは「何のこっちゃ」という方も多いかと思う。今回見えたい景色は、つまりこういうことだ。
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GIFアニメにすしてぐっとわかりやすくなったかと思う。

見えるようになると、人生が楽しい!

そういうことなら写真じゃなくても上のようなGIFアニメをもっと精度を上げて一生懸命作ればいいじゃないか! となるかもしれないのだが、あくまでもGIFアニメは心の目を開くための補助線として作っただけだ。

説明しづらいのだが、写真1枚で、ひいては写真ではなく日々の食生活のうえで現実に「見える」ようになるとすごく楽しいと思うのだ。
「沈んでる!」って見えると、すごくちょっとしたことなのになんだか楽しくないですか
「沈んでる!」って見えると、すごくちょっとしたことなのになんだか楽しくないですか

きっかけはダイエットメンチカツ

そもそものきっかけは、ダイエットだった。
近所のお肉屋の評判のメンチカツです
近所のお肉屋の評判のメンチカツです
スライスして
スライスして
食べ物を、横にスライスして皿に盛り付ける。

すると、真上から見たときはスライスしていない状態と変わらずに、食べる量を半分に抑えられる=ダイエットになるのでは! と考えた。
真上から見ると1個分だけど、横から見ると半分! ダイエット!
真上から見ると1個分だけど、横から見ると半分! ダイエット!
確かに「真上から見ると1個分!」というのはもくろみどおりだった。

だが、「横から見ると半分!」の部分でハっとした。

「横から見ると、半分……っていうより、なんか下半分が沈んでるみたいに見えないか?!」と気づいたのだ。

ダイエット法としてうまくいったらみなさまに情報共有しようと思っていたのだが、この沈み具合をむしろ共有しよう! と思い立ったのだった。
ダイエットってよりも、なんか半分沈んでるみたいじゃん!
ダイエットってよりも、なんか半分沈んでるみたいじゃん!

食パンが手軽です

さきほど述べたとおり、この「お皿にしずみ飯」(と名づけました)はGIFアニメなどで作りこむのではなくぜひリアルでやってみて実際に半笑いになってほしいと思っている。

そこでいろいろとやってみて、一番簡単なのは半分に切った食パンだということが分かった。
このように通常倒してあるのを
このように通常倒してあるのを
立てる
立てる
ここまで読み進めてくださっている方はそこそこしずんでいるように見ることができているのではなか。
しずんどる!
しずんどる!
食パンは一瞬でお皿に沈められる超手軽な食材であることが今回の大発見であった。
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もしご自宅で試す機会があったらぜひその様子を2,3歩引いて見てみてもらいたい。

いつもの住空間の中にしずむ食パンがある。

なんか変。手軽な非日常が見えてきたら大成功だ!

コツは3つ

さて、もう完全にみなさまこちら側(お皿にしずむ飯が見える側)にきたと思って話を進めるが、お皿にしずんでいるように見せるのにはどうも3つほどコツがあるらしいことがわかった。

ひとつは、

沈める食べ物がおなじみの形状の食べ物であること

だ。
これはから揚げ。あんまり沈んでいるように見えない。 形状があたまのなかであいまいな食べ物はそれが半分であることに気づきづらいようだ
これはから揚げ。あんまり沈んでいるように見えない。 形状があたまのなかであいまいな食べ物はそれが半分であることに気づきづらいようだ
こちら、ドーナツのように形状に身に覚えがあると半分沈んでいるように見えやすい。すでにお皿に反射して逆さ富士っぽくなってる
こちら、ドーナツのように形状に身に覚えがあると半分沈んでいるように見えやすい。すでにお皿に反射して逆さ富士っぽくなってる
形状が脳内で確固としていればいるほど、どうも頭の中でその半分がお皿の中にあるものとして補完するのか、しずんでいるように見えやすいようだ。

もうひとつは、

通常置かない置きかたで置くこと。

通常その食材を置くであろう方向に置いてしまうと、半分であるという違和感が意外に生まれにくいようなのだ。
前出の写真だが、これだと「もともとこういう形のおにぎり」に見えてしまってその下に続きがあると錯覚しづらい
前出の写真だが、これだと「もともとこういう形のおにぎり」に見えてしまってその下に続きがあると錯覚しづらい
こちらは結構沈んでいるようにも見えるが、「こういう形のかまぼこなのか」と一瞬でも思ってしまうと、もうだめだ
こちらは結構沈んでいるようにも見えるが、「こういう形のかまぼこなのか」と一瞬でも思ってしまうと、もうだめだ
先ほどの食パンがそうであったように、普段置かない置きかたをすると沈んでいるように見えやすいようだ。

これは実は撮影していてかなり後になってようやく気づいた。
シュークリーム。横よりも縦に置くと沈む
シュークリーム。横よりも縦に置くと沈む
横に置いてもそこそこ沈んだみかんだが、縦に置くとより沈む
横に置いてもそこそこ沈んだみかんだが、縦に置くとより沈む
おにぎりは沈む、というか「刺さる」という感じになった
おにぎりは沈む、というか「刺さる」という感じになった
そしてもうひとつが、これは日常なにかのついでにささっとお皿に沈める場合は気にしなくてもいいとは思うが、

包丁をよく研ぐ

ことだ。

この「お皿にしずみ飯」は断面がスパッと切られている状態が非日常を呼ぶ重要な要素である。
近所にある研ぎで評判のお店で研いでもらった
近所にある研ぎで評判のお店で研いでもらった
そもそもおにぎりなどはスパッとは切りづらい。研いである包丁だと安心である。
研ぎたての包丁だからこそうまく横半分にできた寿司
研ぎたての包丁だからこそうまく横半分にできた寿司

一人ごはんにどうでしょう

大勢でやって盛り上がるにはちょっとテンションが足りない地味な取り組みである。

だが、なんとなく楽しい、変な感じは伝わったのではないか。

おすすめしたいのは、一人ご飯のときだ。さみしい一人の食卓にちょっとした「どや」や「半笑い」を呼ぶのではないかと思っております。
最後まで沈んでいるように見えなかったみなさま、ここまでのお付き合いありがとうございました! せめて沈むあんぱんと…
最後まで沈んでいるように見えなかったみなさま、ここまでのお付き合いありがとうございました! せめて沈むあんぱんと…
ケーキをどうぞ!
ケーキをどうぞ!

食べるときまた楽しい

「スタッフがおいしくいただきました」という言葉があって、すでにちょっとシニカルにも使われ始めているが、お皿に沈み飯のいいところは沈みぶりを楽しんだあといつも以上に本当においしくいただけるところだと思っている。

いつもとちょっと違う切り方をしている食べ物はなんだかおいしい気がするし、新しい食感も楽しめる。

さあ、みんな一人静かにお皿に沈めよう!
スライスおにぎりが食べやすかった
スライスおにぎりが食べやすかった
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