特集 2014年10月13日

おじい的趣味が一極集中している河川敷がある

おじいさん的な休日の過ごし方を堪能しました
おじいさん的な休日の過ごし方を堪能しました
ある日、地図を眺めていたら、古墳が一点に集中しているエリアに目が留まった。古墳だけじゃなく、坂やゴルフ場もあり、周囲は野鳥の棲息地だった。

古墳、野鳥、坂、ゴルフ…、ぜんぶ中高年が好きなものだ。もはやここは、おじいさんにとっての夢の国なのではないか?

現地に足を運び、おじいさん的な趣味を堪能してきた。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

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> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

河川敷はおじいさんの楽園

その楽園は、東急東横線多摩川駅周辺の一帯にあった。多摩川の河川敷に広大な緑地が広がるエリアで、ここに中高年の好きなものが一極集中しているのである。

今回は身も心もおじいさんになって、その魅力をお届けしたい。

魅力その1・古墳

まず駅を降りて目の前に広がるのは古墳。個人的にはこれまでそれほど注目してこなかったジャンルだが、僕もそろそろ30代半ば。古墳的な趣味のひとつもあっていい年の頃だ。古墳に興奮して土器にドキドキする、将来はそんなおじいさんにわたしはなりたい。
東急東横線・多摩川駅に降り立つ
東急東横線・多摩川駅に降り立つ
なお、ジーパラ内には売店などはないため、買いだしは駅前のローソンで
なお、ジーパラ内には売店などはないため、買いだしは駅前のローソンで
駅のコンビニでビールを買い、さっそく古墳を目指す。
蚊対策は万全に
蚊対策は万全に
おじいさんへの入口
おじいさんへの入口
古墳がある公園に足を踏み入れると、園内のあずまやで酒盛りをしているおじさんたちがいた。テーブルいっぱいにつまみを並べて宴会している。いいな、仲良しで。

人生の勝ち組とは、お金持ちになることでも、美人と結婚することでもなく、晩年にこんな友達(公園で宴会につきあってくれる友達)を持つということなのかもしれない。
勝ち組の光景
勝ち組の光景

古墳発見

さて、さっきから古墳を目指して歩いているのだが、なかなかそれらしきものが現れない。
改めて地図を確認してみると、さっきから真横にうっそうと茂っている森一帯ぜんぶ古墳だった。
写真の右側が全部古墳
写真の右側が全部古墳
その名も亀甲山古墳
その名も亀甲山古墳

亀の甲羅の古墳

亀の甲羅のような形をしている「亀甲山古墳」は全長107メートル、高さ10メートル。4世紀後半から5世紀後半のものとみられ、当時この地方で勢力を誇っていた首長の墓と考えられている。発掘調査などは特に行われておらず、立ち入り禁止の柵の中にうっそうと茂る木々が古墳全体を覆い尽くしてしまっているが、それがかえってミステリアスな雰囲気を醸し出している。

古墳から放たれる古代のロマンを感じつつも、一方でどこか「亀甲」という言葉に気持ちがゾワゾワしている自分もいる。いかん、もっと純粋な気持ちで古墳を愉しまなければ、
降り注ぐ亀甲パワー
降り注ぐ亀甲パワー
残念ながら中は立ち入り禁止なので、古墳の全様をうかがい知ることはできない
残念ながら中は立ち入り禁止なので、古墳の全様をうかがい知ることはできない
亀甲山古墳のすぐ近くには無料の古墳展示室もある。のぞいてみると、中に古墳のオブジェがあったり、土器や埴輪の展示があったり中々充実した内容だ。ここで古墳の予備知識をつけてからめぐると、より深く愉しめるだろう。
無料がうれしい
無料がうれしい
古墳の造り方も教えてくれる。だからといって「よし! 今度つくってみよう」とはならないけど
古墳の造り方も教えてくれる。だからといって「よし! 今度つくってみよう」とはならないけど
なんでもここいら一帯には50基もの古墳が点在していて、なかでも最古のものとされているのがこの公園内にある宝莱山古墳。4世紀に建造されたもので、以後7世紀にかけて数多くの古墳が造られたそうな。古代の東京人にとって、ここに古墳を構えることがステータスだったのかもしれない。
亀甲山古墳以外にもたくさんの古墳が点在している
亀甲山古墳以外にもたくさんの古墳が点在している
ちなみに公園の北半分は小さな古墳が7基連なる、一大古墳エリアとなっている。
右を見ても左を見ても古墳。なんとも古墳過剰なエリアだ。
亀甲山古墳とは違い簡単な柵に囲われただけのカジュアルな古墳
亀甲山古墳とは違い簡単な柵に囲われただけのカジュアルな古墳
振り返ればまた古墳
振り返ればまた古墳
古墳に囲まれながらの昼ビールもなかなかいいものだ。古代人に乾杯
古墳に囲まれながらの昼ビールもなかなかいいものだ。古代人に乾杯
なお、英語だと古墳は「Kofun」になるらしい
なお、英語だと古墳は「Kofun」になるらしい
園内は7基の古墳を取り囲むように遊歩道が整備されていて、古墳を愛でながら散策することができるようになっている。愛でるという楽しみ方が果たして正解なのか分からないが、美しい花と同じように古墳を愛でるということが、じじい力というものなのだと思う。
古墳の周囲に整備された遊歩道
古墳の周囲に整備された遊歩道
手作り感あふれるプレートもいい
手作り感あふれるプレートもいい
手を伸ばせば届きそうなほど近くで古墳を観賞できる
手を伸ばせば届きそうなほど近くで古墳を観賞できる
この古墳ひとつひとつに時の首長が眠っているのかと思うと、なんだか畏怖の念を覚える。ここには、教科書に載っているような形状的にわかりやすくそそられる古墳はないけれど、こんもりとした丘から放たれる豪族パワーにどきどきする。古墳の魅力がなんとなく分かってきたぞ。
古代人の墓場の周囲を生命力みなぎる木々が取り囲むパワースポット
古代人の墓場の周囲を生命力みなぎる木々が取り囲むパワースポット
ふりそそぐ豪族パワーを浴びる
ふりそそぐ豪族パワーを浴びる
眺めていると古墳のこんもりした形状が可愛いらしく思えてくる
眺めていると古墳のこんもりした形状が可愛いらしく思えてくる
古墳のすぐ裏にある建物。玄関開けたら1分で古墳。うらやましい
古墳のすぐ裏にある建物。玄関開けたら1分で古墳。うらやましい
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