行列といえば、ゲームやおもちゃ
行列といえば、まず思い出されるのは『ドラクエ3』の発売です。
そして、ドラクエ3で思い出すのが、我が家で一番流行りものに飛びつくタイプの兄がドラクエを欲しがったのですが、ソフトの色が同じ黒だったためか、間違って『ファザナドゥ』という全然違うゲームを買ってしまったことです。
ファザナドゥの敵がこんな感じで『ドワーフ』だったので、ロードオブザリングには混乱した。
現代の行列といえば『妖怪ウォッチ』のおもちゃ、『妖怪メダル』でしょうか。
人気すぎて品薄のため、販売するお店には子供や親、場合によっては祖父母をも巻き込んだ行列ができるのだとか。
プロレスラーの天山広吉選手の妖怪メダルを集める姿がテレビで紹介されているのを見て以来、必死になって手に入れる姿が楽しそうでうらやましくなり、私もそんな経験がしてみたいと行列に憧れを持つようになりました。
行列といえば、パンケーキ
ただ、妖怪メダルはいつどこで販売しているのかよく分からない上、本当に欲しがっている子供たちに申し訳ない気持ちもあります。
そこで、私が並んでも特に害の無い行列を探してみたところ、ありました。
原宿・表参道あたりで見かける、どこから発生しているのかよく分からない長蛇の列。あれです。
ああいう行列を見かけたら十中八九、発生源はパンケーキ屋さんです。
行列に気後れしていましたが、甘いもの好きとしては一度食べてみたいと思っていたのです。
あの行列に並んでパンケーキを食べたなら、私も天山選手のような充実感を味わうことができるのかもしれない。
ただ、パンケーキをあまり食べたことがないので(ホットケーキとは違うんですよね?)、パンケーキ戦線に勝負を挑む前に予習しておこうとコンビニで買ってみました。
ローソンの『5枚重ねのパンケーキ(リコッタ入りクリーム)』。
名前だけでも美味しそう。
本当に5枚重ねです。
明確な分類がどうなっているのかは分かりませんが、厚みがあってふんわりしているのがホットケーキで、薄めでもちもちとした弾力があるのがパンケーキといったところでしょうか。
あと、ホットケーキは『昔ながらの素朴なおやつ』というイメージですが、パンケーキは『洗練されたおしゃれなスイーツ』という感じです。
こんなおしゃれなおやつからアサイーボウルみたいな健康志向のものまで網羅して、ハワイの人、食に対する意識が高すぎますよね。
行列に並んでみよう
これで、パンケーキがどういうものかは大体理解しました。
あとは、行列に並んでパンケーキを食べるだけです。
さっそく表参道に行き、並んでみることにしました。
地下に入口があって、階段に行列が出来ている。
この後ろに並ぼうとすると、看板を持った誘導係の人に
「申し訳ありません、最後尾はこちらではございません。あちら、道路沿いの列にお並びください」
と言われました。
その目線の先には
さらに列。
あー、ハイハイ。そういうことね。
まぁこれくらいの人数なら想定の範囲内ですよね。
「これで何時間くらい待ちますか?」
と聞いてみると、
「2時間前後になります」
え、そんなに?!と思ったら、どうやら、外から見える2本以外にもう1本行列があるようなのです。
図にするほどでもない解説図。
お店の入口前にできた列(1)、建物自体の入口前にある階段にできた列(2)、そして最初に並ぶ道路沿いの列(3)の三段構成になっており、それぞれの列の待ち時間を1時間と計算しているようです。
これから(3)に並ぶ私の前には、(1)(2)がまるまる一列ずつ待ち構えているので2時間くらい待つということらしいです。
(3)の列の先頭にある案内板。「2時間待ち」とあります。
それくらいの待ち時間は予定通りでしたが、この三段構成のうちで一番つらいのは最初の(3)の列ではないかと思います。
(1)や(2)はお店の敷地内だし屋根もあるのでいいですが、(3)の場合雨が降っていたり、逆に天気が良すぎて暑い日など途中で心が折れてしまう人も出てくるのではないかと思います。
あと、近くにあるシェーキーズからフライドポテトの美味しそうな匂いが流れてくるため、お腹が減りすぎている人だと「もうあっちでいいや」と脱落してしまうかもしれません。
美味しそうな匂いを放つシェーキーズ。
私は日頃屋外で活動することがないので、外の空気を感じながら街を眺めるのは楽しかったです。
ほんのりと銀杏のにおいが漂ってきて、秋の到来を感じました。
そういえば、私の前に並んでいた小さな女の子が「銀杏くさいよー!帰ろうよママ!」と言っていたので、銀杏が苦手な人も要注意です。
第二・第三関門はあっという間
30分ほどで、行列(2)へと誘導されました。
ここまで来ると、並ぶのもさして苦ではなくなります。
屋根の下になり陽射しや雨が防げるし、何よりガラスの向こうに店内の様子が見えるのでテンションが上がるからです。
ガラスの向こうに夢のような世界が見える。
ガラスの向こうの世界を見ながら、「あの人が食べてるの美味しそう」とか「あっちの人が食べてるのも気になるね!」といった会話がそこかしこから聞こえてきてきます。
そんな中、私の前で銀杏のくささを訴えていた女の子のいる親子連れは、列を移動して数分で列を離脱してしまいました。
34分37秒。ここまで頑張ったのに離脱するのはもったいない。
小さなお子さんがいる場合、他にたくさんお店がある中で我慢して待たせるのも大変なので、何か飽きさせないようにおもちゃなどを用意しておく方がよさそうです。
階段の一段目にある案内板。「1時間待ち」の文字。
並んでいる時は何を食べようかワクワクしていたので気にしませんでしたが、お店の真横まで来ていて、他の人が美味しそうパンケーキやワッフルを食べるところを見せつけられているのに「あと1時間待って」って、結構な嫌がらせですね。
ここは20分ほど待つと、扉の中へと誘導されました。
先頭集団はメニューを吟味し始めています。
ここまで来れば店内に入ったも同然です。
列の長さとしては多分ここが一番長かったのですが、この期に及んで諦めて帰るという選択肢はないので、ひたすら待つだけです。
待ち時間用に本を持ってきましたが、あまり役に立ちませんでした。
待ち時間を有効に使うために本を持ってきましたが、これからやって来る重要な決断を思うと落ち着いて読書をするような心境ではなく、全然読み進めることが出来ませんでした。
重要な決断とはもちろん、どのメニューを選んで食べるべきかということです。
パンケーキは外せない。
エッグベネディクトは品切れでした。
メニューを熟考しているうちに、店内に案内されました。
列を移動してから3~40分、並び始めてからのトータルで1時間26分かかりました。
およそ1時間半。
東京都の最低賃金が時給888円(2014年10月現在)なので1,332円分働ける、とか、内容の薄い新書くらいだったら集中して読めば1冊読み終わっている、とか、時間の使い方についてはいろいろな意見があるでしょう。
ですが、何を食べようかとワクワクしたり、限定メニューが無くなっていないかとハラハラしたり、私にとってはとても楽しい時間でした。
甘いもの好きの方なら、絶対並んでみる価値はあります。
行列の末に入ったお店は楽園だった
私が入ったお店は『カフェ・カイラ』というパンケーキ界の有名店らしいのですが、何というか、すごかったです。
悩んだ末に選んだ、オリジナルパンケーキとイタリアンオムレツ。
有名店だけあって、パンケーキは本当に美味しかったです。
てんこもりのフルーツやクリーム、シロップと一緒にパンケーキを食べていると「きっと天国ではこういうものを食べているんだろうな」という妄想が広がるほどの幸せが広がりますが、生地自体に甘みがあるので、何も付けずに食べても素朴な味わいが楽しめます。
大口で頬張ってもなかなか減らなかったパンケーキ。
オムレツは中に野菜とチーズがたっぷり入っていて、ボリューム感があります。サラダとパンも付いていて、妹とアラサー二人で分けるにはこの一皿だけでも十分な量がありました。
付け合わせのハーブローストポテトには、『焼いたジャガイモ』以上の何かを感じました。これがハーブの力か。
オムレツの付け合わせのポテトがすごく美味しかった。
そして、料理が美味しくてボリュームたっぷりなのもすごいんですけど、お店の雰囲気がすごくいいんです。
落ち着いた空間なので大食いメニューみたいなボリュームの料理も慌てずにゆっくりと食べることができますし、店員さんが店内の様子を常に気にしてくれて、とても快適に過ごせます。
もう食べ終わったからお皿ちょっと邪魔だな…と思うと同時に、
「こちらお下げしてよろしいですか?」
コップのお水が少なくなったら、こちらが何も言わなくても
「お水のお代わりはいかがですか?」
とやって来てくれます。
食べ物は美味しいし店員さんは何も言わなくても察してくれるし、ここは楽園か?極楽浄土か?!と思うほどでした。
お会計の時に、
「本日はおくつろぎいただけましたか?」
と聞かれて、
「あ、はい!おかげ様で!」
と答えてしまったのですが、それくらいの満足感がありました。
行列だから、並ぶからといって避けていては得られなかった経験だと思います。
次は、妖怪メダルかな。
大変満足しています
2時間って言われていたわりに1時間半で済んだし、料理も美味しくて店員さんも気を遣ってくれるし、最後の「おくつろぎいただけましたか?」も何か気が利いていて素敵!いいお店!と思っていたのですが、デイリーのネタ相談会でその話をしたら
「そんなこと言いながらお金を払わせているのがひどい」
「1時間半で済むところを2時間と言うのも、飴と鞭みたいな感じじゃないか」
といった指摘を受け、素敵なパンケーキ屋さんが途端にDV夫みたいな雰囲気になりました。
でも、本当にいいお店なので、並んで食べる価値は絶対にあります。
「行列だから」と諦めていることがあったら、是非一度挑戦してみてください。きっと素晴らしい経験が待っているはずです。
ポップコーン屋さんでは「30分待ち」と言われたけど10分くらいで買えました。これも美味しかった!