自由すぎる、ファミリーマート宮田新作店
今やどこにでもあるコンビニエンスストア。およそ品揃えはどこの店舗も大差はなく、自由という言葉があてはまるということは、既存のコンビニ概念を払拭するものなのか。
川崎市高津区新作にあるファミリーマート宮田新作店へ到着したが、外観は従来のファミリーマートといった風情。
特に自由な雰囲気は感じない
店内に吊り下げられている玩具のようなもの
店内に入った途端、従来のコンビニでは考えられない光景が広がった。
無数の玩具・オモチャ・おもちゃ
無数の玩具・駄菓子・オモチャ・おもちゃ
雑誌コーナーの背面には、一面に昔なつかしい玩具から駄菓子の数々。
食品類と生活用品が並ぶ両サイドの天井からは、相当な品数の玩具が吊り下げられている。
スタンダードなコンビニの概念とは違う、一種独特な光景。自由感は満載。キテレツな店内。兎にも角にも、店長さんに話を伺うことに。
冷蔵コーナーの上にはフィギュアや人形がディスプレイ
レジの方に取材の旨を伝えると店長が現れ、店の奥へと案内された。
自由なコンビニを作った店長に直撃
店の奥へ入ると、とてもにこやかに挨拶をくれた店長。「横浜からはるばるありがとうございますね~。来てくれて嬉しいな~」と屈託のない笑顔をくれた。
自由なファミリーマートの店長 宮田守さん
まずは、なぜこういった店作りをしたのか聞いた。宮田さんは開口一番、「ベーゴマを販売したくて私は11年前にファミリーマートを始めたんですよ」と仰った。ベーゴマを販売したくてコンビニという珍しい味つけの選択。発想からして自由。
その経緯はというと、ファミリーマートを始める11年前まで、宮田さんはベーゴマの製造会社に勤めていた。しかし、不況のあおりでベーゴマの製造は海外のコストが安い製造会社に流れ、発注が5分の1にまで落ち込んだ。
ベーゴマに対する愛情と、生活の基盤を作り直す一心で、ベーゴマを販売・製造する新しい店を作ろうと決心し、自店仕入れが出来るファミリーマートを選び、現在の店構えになったという。
ベーゴマに特別な思い入れがある宮田さん
宮田さん所有のカスタムベーゴマ
自店仕入れというのは、店長が自ら選んだ商品を自ら仕入れるという形式。同じファミリーマートでも店舗によっては認められないケースもあるそうだ。
その自店仕入れにより、ベーゴマ屋を販売する為11年前に始めたファミリーマートも、今ではベーゴマ売上高が、コンビニなのにおもちゃ屋を含め全国1位になったというからすごい。
子ども達の為に新技発明
ベーゴマのいい巻き方があると言う
店の近所にある学童保育の方々から、子ども達にベーゴマを指導してほしいという依頼があった時、握力のない小さな子ども達でもベーゴマが巻けるという新しい巻き方を発明したという宮田さん。
その名も“みやた巻きスペシャル”。地元FM川崎でも紹介されたというその巻き方で、多くの子供達がベーゴマを巻けるようになったという。
これが“みやた巻きスペシャル”。詳しくは『
ベーゴマ本舗』まで
店内でベーゴマ実演
「じゃあちょっとやってみましょうか」と言った宮田さん。なんと店内にベーゴマ台を置き、おもむろにベーゴマを巻き始める。
ファミリーマート宮田新作店は営業中
ファミリーマート宮田新作店は自由に営業中
披露していただいた技は、攻撃型のやまあらし・角づけと、防御型である防御ベーの3種。
さすがの腕前だった。
取り扱うベーゴマは30種類にも及ぶ
宮田さんは、おもちゃ屋さんにゲームがあふれ、子ども達が家でゲームばかりしている状況を変えたいという。
子どもは外へ出て、2次元ではなく実際の道具で手と頭を使い、人と触れ合って遊ぶべきだという信念を持っている。
それもあり、現在では毎週日曜と祝日に店の前でベーゴマ大会を開いている。
ベーゴマ大会に参加する地元の子ども達
最後に、宮田さんがここを始めた時に自ら制作したという、店のシンボルとなっているトーテム・ポールを紹介してもらった。
“家族”をイメージして4ヶ月かけて制作した全長4mのトーテム・ポール
「家族連れでも子ども達だけでも、いつでも遊びに来てください」宮田さん談
まとめ
地元の学童保育が主催する、子ども達へのベーゴマ普及に努める団体「かわさきベーゴマクラブ」の指導員でもある宮田さん。ベーゴマに興味を持ったり、わからないことがあればなんでも聞いてくれて大丈夫だそうです。
川崎市高津区にある自由すぎるファミリーマートは、貴重な子ども達の遊び場であり、古き良き文化を持ち合わせたコンビニでもある、希有な存在であった。ご興味を持った方は、大人でも、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
-終わり-