特集 2014年8月13日

Googleサジェスト紀行

初めてのスパイスカレー紀行でも良い。
初めてのスパイスカレー紀行でも良い。
Googleで検索しようと、文字を入力すると一文字入力した時点で複数の検索候補が表示される。この機能をサジェストというそうだ。

サジェストされるのは検索される頻度が高い語句などらしい。と、いうことは「地名+あ」とか、「地名+さ」とか適当な語句を入力したらその場所でたくさん検索されている人気スポットや名物などが分かるのではないか。

サジェストって日本語で「提案」っていう意味があるらしい。Googleさんの提案に乗って遊びに行ってみた。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

前の記事:動く歩道を歩く歩道

> 個人サイト owariyoshiaki.com

サジェストで町の性格が分かる

何気なく出てくるのを見ていたサジェストだけれど、意識してみてみると候補の出方に一定の傾向が見えてくる。
サジェスト候補って、欲望反映している感じがすごい。
サジェスト候補って、欲望反映している感じがすごい。
東京のほうが心なしかオシャレ。
東京のほうが心なしかオシャレ。
東西違っても繁華街のサジェスト候補は大体、映画。あと、ランチとラーメンは鉄板。大体どこの地名でもサジェストされる。
海老は出ないんだな。
海老は出ないんだな。
観光、ホテル、グルメ辺りが観光地単語か。
観光、ホテル、グルメ辺りが観光地単語か。
観光地は地名の後にダイレクトに「観光」って出てくる。検索する前から大体のことが分かる。Googleサジェストは検索いらずだ。

地名だけで雰囲気を掴んで、個別で狙いをつける

さてサジェストを使って実際にどこに行こう。

色々試していると、ある程度地域を絞った地名のほうが意外な検索候補が出てきやすそう。家の近所で意外な穴場が見つかるかもしれない。

ということで大阪の谷町でやってみることにした。
カレー。谷町は、カレー。
カレー。谷町は、カレー。
まずは谷町全体としての雰囲気を掴むために地名だけでサジェストを見る。カレー。町の個性と呼べるサジェスト候補一番目がカレー。印象とは違い、谷町はカレーの街か。
!
全体の雰囲気を掴んだ後は個別に検索して狙いをつける。「谷町 あ」「谷町 い」など五十音を順番に入れていって気になる単語で検索をかける。

「谷町 あ」のカレー屋さん

まずはカレーを食べに行きたい。と、サジェストを見ていたら「谷町 あ」で出てきたアララギというお店がカレー屋さんのよう。「あ」から始まるのもとても良いので、Googleの提案に乗ってみた。
昔ながらの駄菓子屋さんみたいな見た目
昔ながらの駄菓子屋さんみたいな見た目
Googleさん提案のカレー屋さんはレトロな店構えで懐かしい感じのする長屋。なかなかおしゃれなお店を知ってるじゃないか、Googleさん。
おばあちゃんちに集まったときみたい!
おばあちゃんちに集まったときみたい!
ドアを開けた瞬間にスパイスの香りがぶわっと通り抜ける。そして内装!間取りは変えてあるが長屋の雰囲気をうまく活かしていて懐かしい。

奥の畳でちゃぶ台を囲む光景なんてまるでおばあちゃんちに来たみたいでほっこりする。
付けあわせがうれしいセット
付けあわせがうれしいセット
カレーの種類をあまり知らないのでメニューの一番上に書いてあったものをオーダー。良く分からないけれど、すごくおいしそうなのがきた。

一口食べると爽やかな香りが広がってポコポコした豆としっかりしたひき肉の食感が面白い。ナッツがカリカリしたり、青唐辛子がシャキシャキしたり一口ごとに変わる表情。

付け合せに手を伸ばすとまた広がる世界。箸休めとしての付けあわせじゃない、ピクルスを食べてからカレーを食べると酸味で輪郭がキリッとする。バナナチップスが甘くてカレーを丸くする。

カレーと付け合せじゃなく全てで一つのカレーとして完成している様に感じる一皿。とてもおいしゅうございました。

Googleサジェストお参り

お腹も膨れて、次は何をしようかと検索。「谷町 ゆ」で検索すると、「谷町 融通さん」と出た。融通さんとはなんですか。
!
融通さん、なんであろうかと検索してみるとお寺。谷町はお寺が多いのにサジェストされたのは融通さんのみ。なにやら有名なお寺だそうです。
そびえ立つラブホテル
そびえ立つラブホテル
お寺の人によると、融通さんは強い仏様なので何でも融通してくれるから融通さんって呼ばれていて人気があるらしい。ということで私もお仕事をいっぱい融通していただけるようにお願いしておきました。
さの検索候補が混沌としている。
さの検索候補が混沌としている。
次は最中屋さんに向かう。「谷町 さ」で検索すると「谷町 最中」がサジェストされる。Googleさんは「さいちゅう」って判断しているようだが、もなかだ、もなか。
あっ、休み。
あっ、休み。
最中屋さんを探して、地図で表示されるあたりを何回も行ったり来たりしたけれども見つからない。おかしいなと思ってよく見てみたらば、お休み。残念ながら仕方ない。

サジェストを支配するパン屋

「谷町 く」で検索すると「谷町 クリームパン」、「谷町 し」で「谷町 食パン」、「谷町 い」で「谷町 イエナ」「谷町 iena」と、複数回登場するパン屋さん、イエナ。これは行っておきたい。
あっ、定休日
あっ、定休日
あっ、もう嫌だ。帰る。
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底が抜けそうになるクリームパン

さっきのページの後、本当に帰った。駄目なんだ、期待してた店が閉まってると失恋したときみたいな気分になる。これは慣れない。
開いてる!うれしい!
開いてる!うれしい!
別の日に出直してみたら、今度は開いている。それだけでうれしい。谷町のパン最高だ。
やっぱりクリームパンがお勧めか。
やっぱりクリームパンがお勧めか。
看板を見るとやはりクリームパンがお勧めのようだ。が、下に気になる文字「ヘラでやさしく取ってください?」クリームパンだろう、ヘラでとらなくても。
ほんとにヘラ置いてる。
ほんとにヘラ置いてる。
店に入ってみると焼きたてのパンの匂いがすごくいい。そう広くない店内にいろんな種類のパンが並べられていて目移りする。そんな中、一際広いスペースが与えられたのがクリームパン。そしてヘラ。

そんな大層な。と思いながらヘラでクリームパンを取る。ヘラで取った事ないけど、たぶん普通の感覚だったと思う。サジェストを支配するクリームパンはどんなものかと早速公園で食べてみる。
クリームで底が抜けそう!
クリームで底が抜けそう!
食べようと持ち上げると、ズシッと引っ張られるような重みを感じる。何だと思ったらクリームパンの底が抜けそうなほどパンが膨らんでいる。なにこれ。
クリームのずっしりさ
クリームのずっしりさ
割ってみると本当にぴっちりと隙間無くクリーム。履くサイズ間違えたズボンみたいにムッチムチ。詰まっている感が半端無い。

食べると、一口で入ってくるクリームの量にびっくりする。また、パンの底が抜けそうになるほど薄いことによって口当たりがよく、クリームの滑らかさが強調される。

これは確かにヘラで取る必要があるし、ヘラで取らなければならなくする必要のあるクリームパンだ。美味い。

トマトの最中

開いていたらすぐに分かった。
開いていたらすぐに分かった。
続いてお休みだった最中屋さんへ。こっちも開いている。うれしい。最中屋さんではあるが、和菓子って感じの店構えでない。
イチジク…?ごぼう…?
イチジク…?ごぼう…?
並べられている商品も良く見る最中のそれではない。イチジク、は、まだいい。ごぼう?さらに、トマト?
これがトマトの最中です。
これがトマトの最中です。
珍しさを求めて、トマトの最中を頼んでみた。頼んでから餡を乗っけてくれるので最中がカリッカリ、香ばしくって噛むとしゅわっと溶けていく。これが最中屋の最中か。

餡はなんと甘酸っぱい。始めはやさしく甘いけれどスッキリとした酸味が来て後口が軽い。最中のイメージが変わる最中屋さんだった。

昔ながらの街並みが面白い

シンプルでかわいいお店
シンプルでかわいいお店
「谷町 ち」でサジェストされる「谷町 チャルカ」というお店にも行ってきた。何か聞いたことあるなと思っていたのだが、以前当サイトでも企画展を取り上げていたお店だった。

ヨーロッパのアンティーク雑貨や服飾用品などが合って可愛らしい物がいっぱいでキュンキュンした。。
ジブリっぽい見た目。これが惣
ジブリっぽい見た目。これが惣
「谷町 も」でサジェストされる「谷町 萌 練 惣」、ほうれんそう?なんだろうと思ったら、町屋やお屋敷などを改装して商業施設にしているプロジェクト的なものらしい。
萌。台風のためお休みだった。
萌。台風のためお休みだった。
それぞれに改装方法や利用目的にコンセプトがあるようだけど、どれも昔ながらの雰囲気を活かしておしゃれなお店が集まっていた。
練の中の様子。かばん屋さんとか惣菜カフェやら、チョコレート屋さんやらがある。
練の中の様子。かばん屋さんとか惣菜カフェやら、チョコレート屋さんやらがある。
これらの施設が牽引してるのかどうなのかは分からないが大きな通りから一本入った戸所に民家や長屋を改装したようなおしゃれなお店がたくさんある。
民家を改装したようなカフェ。
民家を改装したようなカフェ。
そのどれもがおしゃれすぎて肩肘張ったようなものではなくおばあちゃんちのホッとする感じ。谷町の下町感がそうさせているのかとてもいい雰囲気だ。

Googleさんのサジェストに乗って見て回っているけれど、その途中にも色々な発見があるもんだ。
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昼はカレーだったから夜もカレーだな

色々見て回ってそろそろ晩御飯のお時間。サジェストでは飲食店がたくさん出るのでGoogleのオススメがより取り見取り。南にしようと考えて、カレー。「谷町 に」でサジェストされるニドミ。
カレーバーとは
カレーバーとは
この間、カレーを食べたが、それで更にカレーが食べたくなった。欧風カレー以外のカレーをあまり食べる機会無かったけれど、興味がわいた。
カ、カクテルカレー!?(この辺から暗さで写真の色味がオカシイです。すみません)
カ、カクテルカレー!?(この辺から暗さで写真の色味がオカシイです。すみません)
カレーバーとは何か。と思っていたらメニューの一番上にカクテルカレーとの記載。なんと、スパイスなどを調合してバーテンダーの様に好みを一杯を作り出してくれるらしい。

自分の希望が反映された世界に一杯だけのカレー。すごい、これは注文、しない。無理だ。
ポテトサラダ。心霊写真とかではないです。
ポテトサラダ。心霊写真とかではないです。
だって、そんなにスパイスカレー食べたこと無いのに自分の好みも何もわかんないよ。

ジャワカレー辛口とディナーカレー中辛を半分ずつ、隠し味にウスターソースと蜂蜜。ジャガイモは入れない。もし入れるなら別で蒸かしてから乗せる。ってのが好きです。って言ったら、「そういうのじゃありません」って言われるんでしょ?

無理だ。もうちょっと場数を踏んでからにさせて欲しい。
というわけで、なんかあったメニューから選んだ。
というわけで、なんかあったメニューから選んだ。
商品名は忘れたがご飯大盛にしたカレー。辛さはあまり無くスパイスの複雑な香りでご飯が進む。食べ進めるとじんわりと汗がにじむ。

カレーを食べて汗をかくのは辛いからだと思っていたが、スパイスの代謝促進作用のせいか。今まで辛い事をスパイシーと言っていたりしたが、辛さとスパイシーさは別なんだと初めて知った。

シークレットバーがGoogleによって白日の下に

晩御飯までおいしく頂いて、後はお風呂に入って寝るだけなのだがあと一ヶ所行きたい所がある。
ここには人の家しかないだろう。
ここには人の家しかないだろう。
お化け屋敷かよ
お化け屋敷かよ
先ほどまでのある程度お店もある地域とは違い、完全に住宅街。こんなところに何かあるのかという感じだけれども確かにここだ。
異世界への扉
異世界への扉
住宅街には全く似つかわしくない扉。見た目通りにずっしり重い。開くと中からは夏だというのに冷たい空気が流れ出してくる…一体どういうことなんだ(エアコン)。
ドアを開けた中の光景。
ドアを開けた中の光景。
使い込まれた鉄の質感に過剰なほどに打ち込まれたビス。縦横無尽に走るパイプと本当に複数のバルブ。中はドアから感じた方向性を更に煮詰めた様な世界観。
潜水艦、潜水艦バーと気になるサジェスト候補。
潜水艦、潜水艦バーと気になるサジェスト候補。
何だここはというと、潜水艦をモチーフにしたバー。

住宅街にひっそりと存在する知る人ぞ知るシークレットバーだが、サジェストによってインターネット上では白日のもとにさらされている。

大阪市営地下鉄谷町線よりも人目に付くような状況だ。

バーとしてちゃんと良い

作りこまれ方が半端ない
作りこまれ方が半端ない
サジェストによって興味本位でやってきたが、予想以上のクオリティに圧倒される。作りこまれた店内にBGMは無く、冷蔵庫のモーター音と空調の風の音だけが規則正しく鳴り続ける。
あっ、そんな所にグラス入ってるんだ。
あっ、そんな所にグラス入ってるんだ。
こんな異様な店内なのに、時間がゆったりと流れるかのような雰囲気のせいか妙に落ち着く。そして落ち着いてくると、見た目だけでなく色々と仕組まれたギミックに気づいてまた驚く。
冷蔵庫からしてこの見た目よ。
冷蔵庫からしてこの見た目よ。
そして何より酒が美味い。写真からはイロモノにしか見えずそう思いながら行ったけれど、薄く吹き上げられた飲み口のいいグラスにきちんと削られた氷で提供されるキリッと冷えたジントニックは本物の味がした。

内装は面白くてもバーとしての背骨はしっかりとしているからこその満足感。しかしながら、下世話だけれどやっぱり内装がどのくらいお金かかったのか気になりながら帰ってきた。

Googleさんからの提案(サジェスト)だけで行動した谷町紀行。普段ならば入ることのない所、知ることの出来ない様な所に行くことが出来て楽しかった。

自分が知りたいものを見つける通常の検索と違って、自分は知らないけれどみんなの中では人気といったような視野が広がるような、知らない人と話したかのような不思議な感じ。

検索後のページの表示位置をみんなこぞって上にしようと頑張っているけれどもそれ以上にサジェストってSEO対策になるのではないか、また、SEO対策に影響されない、本当に人気の情報を手に入れやすいんじゃないかと思ったりなどした遊びだった。
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