特集 2014年9月9日

ガーパイクで棒棒鶏を作ると美味い

美味いのよ。
美味いのよ。
以前、横浜の川でアリゲーターガーという北米原産の魚を釣り、丸焼きにして当サイトで食味をレポートした

素材の味自体は悪くはなかったが、出来上がった丸焼きは絶賛できるほどおいしいものでもなかった。あれから1年。素材を活かせなかった申し訳なさから、僕はあの魚をよりおいしく食べられる料理を考えてきた。その答えがバンバンジー、いやバンバンガーである。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

前の記事:エビ(の尻尾だけ)フライ

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今回は原産地で捕まえよう

一年前に作ったガーパイク(アリゲーターガー)の丸焼き
一年前に作ったガーパイク(アリゲーターガー)の丸焼き
アリゲーターガーはガーパイク、あるいはガーと呼ばれる魚の一種である。大昔から姿を変えていないいわゆる「古代魚」で、確かにどこか恐竜じみた雰囲気の漂う容姿をしている。観賞魚としても人気だ。

味や肉質は七面鳥や鶏の胸肉にそっくりでとても魚とは思えず、最初に口にした際は大いに驚かされたものである。だが同時に、ちょっとパサパサしすぎていて、淡白な味付けの丸焼きでは一度にたくさん食べるのが辛いとも感じた。
まったく脂が乗ってないのだ。
まったく脂が乗ってないのだ。
そりゃそうだ。ただ焼いただけの鶏胸肉なんてすぐ飽きるだろう。

では、鶏胸肉にふさわしい調理を施してやればあのガー肉も今度こそおいしく食べられるのではないか。今度こそ正当な評価を下せるのではないか。

そんなこんなで棒棒鶏のタレを持ってガーパイクたちの故郷、アメリカへと飛ぶことになった。
現地ではタレを自作している余裕は無いであろうと判断。日本から出来合いのものを持ち込んだ。
現地ではタレを自作している余裕は無いであろうと判断。日本から出来合いのものを持ち込んだ。
実を言うと、何もこの企画のためだけに渡米したわけではない。魚好きの友人らとアメリカはオクラホマ州とテキサス州へ釣り旅行に行くことになったので、温めていたこのネタを便乗でやってみようということになったのだ。
ガーの棲む川
ガーの棲む川
魚釣りをメインに据えた、というかそれ以外はほぼ眼中にない旅行なので、基本的に水辺にしか寄り付かない。他水域への長距離移動時に釣具店やウォルマートには立ち寄るくらいで、観光地は一切スルーだ。
まず、釣具店で州ごとのフィッシングライセンス(遊漁許可証)を購入。
まず、釣具店で州ごとのフィッシングライセンス(遊漁許可証)を購入。
アメリカのお菓子は着色料が凄いと聞いていたが、釣り餌用の小魚もケミカルグリーンだった。
アメリカのお菓子は着色料が凄いと聞いていたが、釣り餌用の小魚もケミカルグリーンだった。

意外!日本でも見られる魚が多い

ところで、いざ水辺に立って釣りを始めると、意外なことに気づく。海外だというのに、見慣れた魚がけっこう多いのだ。
皆さんご存知ブラックバス(オオクチバス)に…
皆さんご存知ブラックバス(オオクチバス)に…
これまた御馴染みブルーギル。
これまた御馴染みブルーギル。
日本では外来魚として嫌われがちなブルーギルも、本国アメリカでは巨大なぬいぐるみが販売されるほど親しまれている。
日本では外来魚として嫌われがちなブルーギルも、本国アメリカでは巨大なぬいぐるみが販売されるほど親しまれている。
関東で大繁殖しているチャネルキャットフィッシュの本場でもある(写真はひょっとするとブルーキャットフィッシュの幼魚かも…)。
関東で大繁殖しているチャネルキャットフィッシュの本場でもある(写真はひょっとするとブルーキャットフィッシュの幼魚かも…)。
アリゲーターガーだけではない。ブラックバスにブルーギル、チャネルキャットフィッシュ…。アメリカは日本に住み着いてメディアを騒がせている多くの外来魚たちの故郷だったのだ。

さらに、見覚えのある顔は魚類以外にも。
ミドリガメことミシシッピアカミミガメ
ミドリガメことミシシッピアカミミガメ
友人はカミツキガメも捕獲していた
友人はカミツキガメも捕獲していた
日本でも繁殖しているミシシッピアカミミガメやカミツキガメの姿も見られた。日本の川で見かけると「うわぁ~…。」と思ってしまいがちな彼らだが、本来の生息地で出会うとなかなか嬉しいものである。
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その他の魚も豊富

もちろん、日本ではなかなかお目にかかれない魚だってたくさんいる。

たとえば、このヘラチョウザメなんて抜群にかっこいいだろう。ちなみに、今回の旅における最大の目標はこの魚を捕まえて食べることだったのだが、いざ手にしてみると可愛らしすぎ&かっこよすぎて殺すことができなかった。まあ、どのみち大きすぎて食べきれんだろうしということでリリース。
ヘラチョウザメ。現地名はパドルフィッシュもしくはスプーンビル。友人が釣ったこの個体は昔岩にでもぶつけたようで鼻先が折れ曲がっていた。
ヘラチョウザメ。現地名はパドルフィッシュもしくはスプーンビル。友人が釣ったこの個体は昔岩にでもぶつけたようで鼻先が折れ曲がっていた。
ところで、アメリカ人には日本の常識が通じないことはままあるが、同じことが川魚についても言える。

イシモチの仲間など、日本なら迷わず海産魚に振り分けられるような魚たちが淡水域にいたりするのだ。
純淡水域でイシモチや
純淡水域でイシモチや
ニシン的な魚が釣れてしまう違和感
ニシン的な魚が釣れてしまう違和感
いやー、楽しい。次から次に面白い魚が飛び出してくるので、まったく退屈しない。

ではそろそろ本題の魚を釣りましょうか。ガーを。棒棒鶏の材料を。

お手頃サイズのガーを求めて

ある川のほとりを散策していると、奇妙な物体が目に飛び込んできた。なんか恐竜図鑑で見た魚竜の化石みたいな…。

あっ、これガーだ。ガーパイクの死骸だ。
ガーの亡骸。死んで、乾ききって、バラバラになってもなお雰囲気がある魚ってそうそういないよね。
ガーの亡骸。死んで、乾ききって、バラバラになってもなお雰囲気がある魚ってそうそういないよね。
おお、さすがアメリカ。その辺の川にガーがいるんだな。…最近は日本でもその辺の川にいたりするけど。

ターゲットの存在を確信し、さっそく意気込んで釣りはじめるわけだが…。
本場のアリゲーターガーは食べるにはデカすぎるのよね…。
本場のアリゲーターガーは食べるにはデカすぎるのよね…。
手頃なサイズのガーを選んで確保するのが意外と難しかった。

実はガーという魚にはいくつかの種類があって、今回僕らが訪れた地域にはそのうち3種が生息していた。全長2メートルを超える巨大種のアリゲーターガーと、細身だが、それでも1メートルを大きく超えるロングノーズガー。そして、それらよりもうんと小さなスポッテッドガーである。

少人数で食べるには、この中だとより小型のスポッテッドガーが望ましい。
ロングノーズガー。これも食べきるにはちょっと大きいな…。
ロングノーズガー。これも食べきるにはちょっと大きいな…。
…なんて選り好みしていたら、そのスポッテッドガーを釣るまでに3日を費やしてしまった。ガーの類は個体数こそけっこう多い魚なのだが、口周りの骨格が異常に硬く、せっかくエサを咥えてくれても、なかなか釣り針に掛からないのだ。
ようやく食べ頃サイズのスポッテッドガーが!これでも成魚。
ようやく食べ頃サイズのスポッテッドガーが!これでも成魚。
山岳ゲリラみたいになってる。
山岳ゲリラみたいになってる。
スポッテッドガーはガーパイク類の中でも一際模様が綺麗な種。愛好家も多い。
スポッテッドガーはガーパイク類の中でも一際模様が綺麗な種。愛好家も多い。
鋭い歯が光る、精悍な顔立ち。
鋭い歯が光る、精悍な顔立ち。
さて、なんとかメインの食材は確保できた。あとはキュウリでもあれば文句なしだろう。というわけで、一路ウォルマートを目指す。

移動中には悲しい出会いも

道路もでかいし、車もでかい。その上、左ハンドルに右側通行。自動車運転恐怖症気味の僕には無理だな。
道路もでかいし、車もでかい。その上、左ハンドルに右側通行。自動車運転恐怖症気味の僕には無理だな。
余談だが、僕は国際免許を持っていないので(というか国内でももう長いこと運転していないペーパードライバーなので)現地でのレンタカーの運転は友人らに任せっきりだった。

気楽な身分だが、徐々に申し訳なさから胃が痛くなっていく。

乗車中の僕の仕事と言えば、路上に転がっている野生動物の死骸を見つけては道の脇にどけることくらいであった。
アルマジロのD.O.R(Dead On the Road)を発見。元気に道路を横断しようとしているものも何頭か見かけた。
アルマジロのD.O.R(Dead On the Road)を発見。元気に道路を横断しようとしているものも何頭か見かけた。
しかし、悲しいことにこの路上死体が予想以上に多いのだ。ちょっと郊外を走っていると、小一時間で何頭も見かけるほどである。

特に多いのがアライグマで、次いでアルマジロ。珍しいところではスカンクなども轢かれていた。自然の豊かさとモータリゼーションがぶつかった結果か。
スカンクもお亡くなりに…。生きている時に会いとうございました…。
スカンクもお亡くなりに…。生きている時に会いとうございました…。
「スカンクの轢死体は臭すぎて近寄れない。目にまで染みる。」と噂に聞いていたが、それほどでもなかった。まだ損傷が小さかったためだろうか。
「スカンクの轢死体は臭すぎて近寄れない。目にまで染みる。」と噂に聞いていたが、それほどでもなかった。まだ損傷が小さかったためだろうか。
最近では日本でも野生化しているアライグマくんも…。ちなみに次の日、キャンプ場で元気な個体に遭遇。ポテトチップスと食パンを盗まれた。
最近では日本でも野生化しているアライグマくんも…。ちなみに次の日、キャンプ場で元気な個体に遭遇。ポテトチップスと食パンを盗まれた。
ちなみに、わざわざ道の脇に移動するのは、その死体を食べに路上へやって来た他の野生動物が二次的な被害に遭うのを防ぐため。
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キュウリとノコギリを購入

なぜウォルマートをチョイスするかというと、単純に何でも売っていて便利だからである。

食べ物や日用雑貨のほか、アウトドア用品や釣り具、フィッシングライセンスもここでまとめて購入できる。実際、滞在期間は一週間ほどだったが、ほとんどの買い物をウォルマートで済ませていた。
何でもあるぜ、ウォルマート。
何でもあるぜ、ウォルマート。
日本に帰ったら「アメリカにいる間はウォルマートばっか行ってたわ~。便利だったわ~。なんで日本には無いのかな~ウォルマート~」とアメリカかぶれな言動で周囲をイラつかせてやろうなどと思っていた。
まずは野菜売り場へ。
まずは野菜売り場へ。
さて、まずはキュウリを探すが、アメリカンピープルの間では野菜の摂取量不足がシリアスなプロブレムになっていると聞く。ひょっとすると野菜の品ぞろえが極端に少ないのではと心配になってしまう。

だが、それは杞憂だった。日本ほどではないかもしれないが、野菜も果物も売り場はなかなか充実していた。

むしろ、鮮魚売り場の貧相さに驚く。というか鮮魚売り場なんて無い。魚は冷凍食品コーナーにフィッシュフライなんかがちらほらある程度だ。生魚が売られているところは一度も見かけなかった。

キャットフィッシュがゴロゴロ並んでいるような売り場を期待していたのだが…残念!
キュウリあった!
キュウリあった!
でかいけど、味は良い。
でかいけど、味は良い。
とりあえず、無事にキュウリ(やたらでかい)は購入できた。肉、キュウリ、タレ。これで材料は揃った。シンプル料理万歳。

だがちょっと待った。もう一つ必要なものがある。
工具売り場で探し求めるは…
工具売り場で探し求めるは…
ノコギリ!
ノコギリ!
以前、アリゲーターガーを捌いた際に、普通の包丁ではこの魚の鱗と皮にはなかなか歯が立たないことを知った。なので、今回は下ごしらえ用にノコギリを購入しておくのだ。
話には聞いていたが、本当に銃やその弾丸がごく普通に売られている。特に今回訪問したオクラホマやテキサスは狩猟が盛んなので品揃えも豊富だったようだ。
話には聞いていたが、本当に銃やその弾丸がごく普通に売られている。特に今回訪問したオクラホマやテキサスは狩猟が盛んなので品揃えも豊富だったようだ。

調理も昆虫採集もモーテルで

材料も道具も揃ったところで、いよいよ調理である。

旅程の大半はキャンプ生活だったのだが、この日は都合上、たまたまモーテル宿泊だった。こういう簡単かつ野趣あふれる料理こそキャンプで作るべきだったのだろうが、まあしょうがない。
調理はモーテルで。宿に着くと靴を脱がずにはおれない辺り、つくづく日本人だ。
調理はモーテルで。宿に着くと靴を脱がずにはおれない辺り、つくづく日本人だ。
だが、このモーテルとかいう宿泊施設もなかなか捨てたものではない。十分すぎるほど快適だし、郊外に位置していることが多い上にやたら明るい照明を焚いているので、夜になると灯りめがけて虫がたくさん飛んでくるのだ!
朝起きると洗濯物にとまっていたCalosoma scrutatorというカタビロオサムシの一種。翅は緑、脚や胸部は紫色に輝く。綺麗すぎる。
朝起きると洗濯物にとまっていたCalosoma scrutatorというカタビロオサムシの一種。翅は緑、脚や胸部は紫色に輝く。綺麗すぎる。
…そう書くとマイナス要素としか取れないかもしれないが、飛んでくる虫は今まで見たこともない種類ばかり。

しかも、その中にはびっくりするほど綺麗な種類も混じるんだぞ。こっちから何のアクションも起こさんと、寝とるだけで写真のオサムシやガみたいな虫たちが向こうから会いに来てくれるんだぞ。どうだ、楽しそうだろうが。
ホテルの外壁にいたヒトリガの一種。そんじょそこらの蝶よりずっと綺麗だしかわいい。
ホテルの外壁にいたヒトリガの一種。そんじょそこらの蝶よりずっと綺麗だしかわいい。
虫が好きな人や、自然観察が趣味という方は結構楽しめると思うので、アメリカを長期旅行する場合は田舎のモーテルをチェックしてみよう。逆に、虫が苦手な人は気を付けよう。
虫と言えば、タランチュラも発見。そーっと手に乗せて観察していたら、向こうもそーっと牙を突き立ててきたので慌てて振り払った。
虫と言えば、タランチュラも発見。そーっと手に乗せて観察していたら、向こうもそーっと牙を突き立ててきたので慌てて振り払った。
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せっかく買ったノコギリが毛ほども役に立たない

さあ、また話が脱線してしまった。メインはガーだ。ガーパイクだ。棒棒鶏だ。
精一杯おいしく料理させてもらいます。素材の味は活かしつつ。
精一杯おいしく料理させてもらいます。素材の味は活かしつつ。
とりあえずバーベキュー用に解放されている中庭へ持ち出し、下処理を済ませる。下処理と言っても、頭と内臓を取り除くだけだが。
とりあえず頭落とすよー。
とりあえず頭落とすよー。
ガーの鱗は「ガノイン鱗」という特殊なものである。普通の魚の鱗と違って、石畳みたいに硬いわ密着してるわで、正攻法ではとても剥がせない。そんなわけで鱗ごと皮を切らなければならないのだが、ここでさきほどのノコギリが役に立つのだ。
おろしたてのノコギリが役に立…
おろしたてのノコギリが役に立…
…たない!
…たない!
…思い切り力を込めてノコギリをひくが、ガーの体表には一向に決定打を与えられない。想定以上に硬すぎる。

それでも懲りずに続けていると、ノコギリの刃が歪んでしまった。これはガーの鱗が硬いだけでなく、ノコギリが粗悪品だったのも一因っぽいな。
友人らの協力もあってなんとか打破。
友人らの協力もあってなんとか打破。
結局、友人の十徳ナイフに付属していた小さなノコギリの方が遥かに頑丈で切れ味も良いことが判明。なんとか頭を落とすことに成功した。

完全に無駄な買い物だったな…。

ガーの卵には毒がある

続いて内臓を除くために腹を切り開く。まあ実際は切るというより無理やり引き裂く感じ。
続いて内臓を除くために腹を切り開く。まあ実際は切るというより無理やり引き裂く感じ。
腹を開く際は、鱗同士の継ぎ目を断ち切るようにぶちぶちザクザクと少しずつ割いてやる。

かなり力も要るし、とても魚を捌いている気がしない。

だが、ここまで来ればあとは内臓を外して下処理完了。と思って覗き込んだ腹の中には衝撃的な光景が。
内臓を取り囲むように卵(有毒)が。
内臓を取り囲むように卵(有毒)が。
卵がたっぷり入っている。「ありゃー、ガーに悪いことしたなぁ」と良心が咎める…よりも一手先に、本能が「絶対やべえよ何コレ…」とガンガン警鐘を鳴らし始める。卵の色が妙にケミカルチックな水色なのである。BB弾かよ。

しかも、それが内臓を丸々全部ぐるりと取り囲むように収まっているのだ。毒々しいなんてもんじゃない。

実際、ガーパイクの卵には毒があり、人間が食べると重い中毒を起こす。

アメリカへ留学した際に今回の僕らと同じく子持ちのスポッテッドガーを釣り、何を思ったかその卵を食べてしまった友人(日本人)の談によると「毒があると知らずにほんの二口味見したところ、数時間後に突然寒気を覚え、それに続いて強い吐き気と下痢に見舞われた。歯ごたえはバサバサしていて味はあまり無く、マズかった。」そうだ。

彼も相当苦しんだそうだし、場合によっては命に関わる恐れもあるかもしれない。どうか、この記事を読んでいる皆さんはガーパイクを食べる際は卵には決して手をつけないよう気を付けてほしい。マズいらしいし。
モーテル泊りの利を活かし、電子レンジを使う。
モーテル泊りの利を活かし、電子レンジを使う。
内臓と卵を綺麗に洗い落としたら、続いてガーを蒸してやる。今回は手間と時間を省くために電子レンジを使用した。ちなみに、ラップは無かったのでウォルマートのナイロン袋で代用。
加熱すると、皮を剥がしやすくなる。
加熱すると、皮を剥がしやすくなる。
なお、レンジには皮と鱗をつけたまま放り込んだ。

アリゲーターガーでの経験から、ガーパイク類の異様に硬い皮は生の状態では手も足も出ないが、火を通すとぐっと剥がしやすくなることが分かっていたからだ。

結果、丸焼きにした場合ほどではないものの、やはりレンジでチンしただけでもかなりスムーズに剥がせるようになった。
あとはほぐした身と刻んだキュウリ、そしてソースをからめるだけ。
あとはほぐした身と刻んだキュウリ、そしてソースをからめるだけ。
身は皮から剥がしたら適当な細かさにほぐしてやり、千切りにした巨大キュウリ、そしてわざわざ日本から空輸してきた棒棒鶏のタレとからめる。

たったこれだけで…
日本から調味料を持ち込み、材料はアメリカで確保。でもできたのは棒棒鶏!鶏肉使ってないけど!
日本から調味料を持ち込み、材料はアメリカで確保。でもできたのは棒棒鶏!鶏肉使ってないけど!
スポッテッドガーの棒棒鶏、しつこいようだがバンバンガーの完成だ!

見た目は質素な感じだが、悪くはなさそうだぞ。さっそく試食してみよう。
んっ?すごく美味いけど…。あれっ?
んっ?すごく美味いけど…。あれっ?
うん、おいしい。それは間違いない。だけど想像してたのと何か違うような…。

…せっかくなので、ここはひとつ友人にも試食してもらい、意見を聞こう。
「美味いですけど…これ魚肉とも鶏肉ともちょっと違いますね。」
「美味いですけど…これ魚肉とも鶏肉ともちょっと違いますね。」
「確かに普通の魚肉じゃない。でも鶏肉ともちょっと違うような…。」と友人。

そう。そうなのだ。以前食べたアリゲーターガーのようにもっとこう鶏肉感バリバリで、「完全に棒棒鶏だよコレ!全然区別つかない!」みたいな展開を予想していたのだが、このスポッテッドガーはそこまでトリニクトリニクしているわけでもないのだ。

確かに魚肉よりはやはり鶏に近い印象なのだが、食感は歯ごたえこそ強いがプリプリとそれなりにみずみずしく、鶏胸肉のようにパサついてはいない。味も鶏肉寄りだが、魚らしい風味も残している。魚類と鳥類のどちらとも認識しがたい不思議な肉であった。
種類によって味が違うとなると、このロングノーズガーも気になるな…。待っとれ…。
種類によって味が違うとなると、このロングノーズガーも気になるな…。待っとれ…。

そもそもこのメニューを思いつくきっかけとなったアリゲーターガーの丸焼きと今回のスポッテッドガーの棒棒鶏との味・食感の違いは、一体何に起因するものなのだろうか。

直火焼きと電子レンジとでかなり加熱方法が異なってはいたものの、それが素材の味をここまで根本的に変えるとは考えにくい。

…おそらく、同じマグロ属の魚でもクロマグロとビンナガマグロでははっきり味が違うように、ガーパイク類も種によって食味に個性があるということなのだろう。

考えてみれば、姿形こそ似てはいるが、食べているものも棲んでいる環境も生活のパターンも種によってそれぞれ少しずつ違うのだから、そういった要素が肉質に顕れるのは当然のことなのかもしれない。勉強になるなあ。

というわけで予想とはちょっとだけ違う結果になったガーパイクの棒棒鶏だが、個性的で不思議なおいしさがあったので、これはこれでよしとしよう。アメリカ出張ガー料理、大成功!

お知らせ

本記事でも何度か触れたアリゲーターガーの丸焼きなど、これまで僕がデイリーポータルZに寄稿した外来魚(貝類やカメ含む)の捕獲・試食記事をまとめた本が間もなく発売されます。

外来魚のレシピ 捕って、さばいて、食ってみた』(地人書館)
この度アメリカで再会を果たしたブラックバスやブルーギル、チャネルキャットフィッシュにカミツキガメも、全部とっくにおいしく頂いております。

記事のまとめ以外にも、本書でしか読めない新規書下ろしである『アフリカマイマイ』および『ウォーキングキャットフィッシュ』の二本が収録されています。
今回の記事をご覧になって、「こういうの嫌いじゃないよ」と思われた方はどうぞお手に取られてみてください。

よろしくお願いいたします。
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