かっこよくなりたいという迷路
かっこいいものは、なにかにつけて光る。家電の電源ボタンも押すと光るのをよく見かけるし、ただ光るだけなのに、うっかり「かっこいい!」と思ってしまう。
光ることへの憧れを具現化したい
「光る!かっこいい!」そこまではいいだろう。続けて「だから自分も光りたい!」と思ってしまったのが今回の企画だ。
光らせるならやっぱり目だろう。鉄腕アトムだって目が光る。空を飛ぶとか10万馬力は無理だけど、目が光るのはなんとなく親しみが湧くすごさだ。
光らせるならやっぱり目だろう。鉄腕アトムだって目が光る。空を飛ぶとか10万馬力は無理だけど、目が光るのはなんとなく親しみが湧くすごさだ。
魂を抜かれた自分
100円とは思えないかっこよさ
とは言え、自分の本物の目を光らせるのはどうしたらいいのかわからない。ここは自らの分身を作って光らせるという、現実的な路線を選びたい。
用意したのは、自分の顔写真を段ボールに貼ったものと、100円均一で買ってきたミニLEDライト。
用意したのは、自分の顔写真を段ボールに貼ったものと、100円均一で買ってきたミニLEDライト。
つぶらな瞳ってこういうことか
今回の工作の内なるテーマは「作り手にやさしいテクノロジー」。難しい技術は初めから放棄し、望んでいる状態に最短距離で近づきたい。
だから、くり抜いた瞳にライトをはめ込んで完成である。
だから、くり抜いた瞳にライトをはめ込んで完成である。
何かが起きる予感
ライトを入れただけで、なぜだか怪しい雰囲気が漂いはじめる。たったこれだけで滲んでくるサイボーグテイスト。どちらかというと悪い方のサイボーグだ。
クリスタルな瞳に吸い込まれそう
なんとなく箱にくっつけてみたところ、その唐突さと瞳の透明感が拮抗して、ますます意味がわからなくなってきた。自分でしたことなのに、眼前にある事実を解釈できない。
かっこよくなりたいという当初の目的を見失わないうちに、ライトのスイッチをひねろう。
かっこよくなりたいという当初の目的を見失わないうちに、ライトのスイッチをひねろう。
スイッチオン!
はい、光りました。約束通りに目が光りました。
念のためアニメーションでもご覧ください。
念のためアニメーションでもご覧ください。
僕はかっこよくなれたのだろうか
宇宙からのメッセージでも送られてきそうな感じもするが、そうしたメッセージ性は一切ない。かっこよくなりたいという気持ちを実現しているだけだ。
物事というのは様々な角度から見ることが大切なので、向きを変えて見てみよう。
物事というのは様々な角度から見ることが大切なので、向きを変えて見てみよう。
…………
ピカー!
正面から向き合うと、光の環の広がりが美しい。そして、光だけ見ていれば美しいのに、箱にくっつけた顔という全体像を含めると、美しくなくなるのが悲しい。
どういう念なのかはともかく、念のためアニメーションでもご覧下さい。
どういう念なのかはともかく、念のためアニメーションでもご覧下さい。
よし、かっこいい
いつもより余計に回しておきたい
かっこよくなることには成功したので、次は楽しさの要素を取り入れたい。目を回そう。
メリーゴーランドや観覧車が意味不明なまま楽しいように、回るというのは人類の原始的な部分を刺激する楽しさだと思う。
メリーゴーランドや観覧車が意味不明なまま楽しいように、回るというのは人類の原始的な部分を刺激する楽しさだと思う。
100均はローテク工作の聖地
ザッツ・雑
人類レベルに話を広げたところで、実際やるのは低レベルの工作だ。ゼンマイ式のおもちゃ扇風機を切り裂き、動力として必要な部分だけを確保。あとは目を貼り付ければ根幹の部分は完成。
これでも一応、微調整に苦労した
実装には、人類史上最も重要な発明の1つであるガムテープを採用。作り手にやさしいテクノロジーの精神は、こうしたところにも生かされている。
優しい目をしている
何かが起きそうな緊張感を孕みつつも、目が光るときと比べて、人間らしい温かさが漂っている。あとは扇風機のスイッチを入れたら、回ることの楽しさが涼やかに届いてくるはずだ。
よし、楽しい!
あとは飛び出せば無敵
目が光って回ればもう十分だが、より完璧に近づくために飛び出させたい。
数年前から3D映画が人気を集めているように、飛び出すことは問答無用ですごいと言っていいだろう。飛び出して見える、だからなんだ、かっこいいじゃないか。
数年前から3D映画が人気を集めているように、飛び出すことは問答無用ですごいと言っていいだろう。飛び出して見える、だからなんだ、かっこいいじゃないか。
よーし、飛び出すぞ
素材となる写真も、飛び出そうとする勢いのある表情を意識して撮影した。
頼りにしてるぞ、ガムテープ
今回も、先の工作でしっかりと装置を固定した実績のあるガムテープテクノロジーを採用。手でちぎるとき、ビリッ!と静寂を破る音を放つのが頼もしい。
ビヨーン
カタツムリを彷彿とさせる
制作中のテストプレイでもなかなかの手応え。あとは実装だが、扇風機のときと違って微調整の必要もなく、顔設置箱にくっつけるだけでよいという手軽さが嬉しい。
なんだろうね
想定していた3Dのすごさとはまた違った雰囲気。3D映画は平面的なスクリーンに投影したものに過ぎないわけであって、これが実際の3次元の凄味なのだ。
頭の中で「マンボNo.5」を流して下さい
夜中に出会いたくない自分
目が光って回って飛び出す。小学生の自由工作以下の技術で実現できた。
家族に見せて感想を聞いたら、言葉に詰まって何も言ってくれなかった。心の中で、かっこよさと楽しさとすごさが入り混じっていて、言葉にできなかったのだと思う。
家族に見せて感想を聞いたら、言葉に詰まって何も言ってくれなかった。心の中で、かっこよさと楽しさとすごさが入り混じっていて、言葉にできなかったのだと思う。