板を作るぞ
ネットに載せる写真が影になるのなら、最初からそこに影のような板があればいいのだ。そうすれば ”そこにいたんだけど、ネットに載せるので影にした” ように見えるだろう。
手順は
1. 板を切り抜く
2. グレーに塗る
3. 一緒に写真に撮る
書いてみたらインスタント焼きそばよりも少ない手順である。
板を切り抜くにしても本物のタレントの影を使うのはよくないので、自分でポーズをとった。
ぼんやりしてたら日が暮れてしまったので高架下で撮った
ポーズは木村拓哉さんを意識している。木村拓哉さんを意識している。勇気を持って2回書いてみた。そして息どころか血もとまるぐらいの勢いで腹を引っ込めている。
トレースする
縦に伸ばす
全体を縦にのばすと頭も長くなってしまうので足のあたりを重点的に伸ばした。なりたい自分になれる時代。
材料となる板に影をプロジェクターで投影する
板はプラダンを使用した。前の週に作ったセレブキャタピラーの余りである。カッターで簡単(でもないけど)に切れて、細かい部分も崩れない。外ハネの後ろ毛も再現可能である。
投影した影にあわせてマジックでなぞる
投影すると線がぼんやりしてしまうので適当になぞる。どうせ自分だ。
マジックにそってカッターで切り抜く
生まれたばかりの自分の影と
板の横で同じポーズをとってみたのだが、フォトショップでの修正がとても有効だったことがわかる。おれも影だけだったら結構イケてるんじゃないのーとか思ったことをお詫びしたい。
同じ要領で3体作った
左がアンニュイ、右がはっちゃけてるキャラクターという想定である。ちなみに元写真はこれだ。
こんな青春なかった
右のポーズが難しかった。こんなポーズ、日常ではとらないだろう。素人がこんな感じかなーと思ってまねするとこうなるのだ。
へにょへにょ
関節がいちいち伸びてない。歳とともに重ねた遠慮がじゃまをしている。こんな照れを克服してできた3枚の板をもう一度見てみよう。
かっこつけて混ざってみる(でも全部おれ)
まだ白いせいかジャニーズのタレントという感じは一切しない。古いショッピングセンターの壁の模様みたいである。具体的にどこかは思い出せないがこんな模様を見た気がする。1970年代に作られていまは空きテナントと100円ショップが目立つ、そんなビルだ。
ボーリング場だったかもしれない。
こんなところで郷愁に浸っている場合ではない。塗ってタレントっぽくしよう。
塗るぞ
まずはアクリル絵の具で塗った。プラダンには向いてない塗料だが、別にずっと使うものでもないのでとりあえず色がつけばいいのでペタペタと塗る。
なんだかすごい塗りムラ
なるほど、これは乾けばムラが消えるタイプの塗料かもしれない。
消えなかった
こういう楽観的な観測が叶った憶えがない。ああなったらやだなーと思うとたいていその通りになるから人生ウケる。
引いてみればなんとかなるだろう
木村さんの村は色ムラのムラということで気持ちに折り合いがついた。しかし残りの2枚はスプレーで塗ることにした。
会議室をシンナー臭くしたことをここで告白します
外に出て塗るのが面倒だったので会議室で塗ったら大変な匂いになってしまい、扇風機を夜1時までかけてなんとか匂いを飛ばした。
23時ごろ、もう大丈夫かと思って深夜残業している同僚に来てもらい「なんかこの部屋で気になることある?」と聞いたところ、「あからさまにくさいです」とのことだったのだ。
0時過ぎ、もう匂いとんだかなと思って会議室に入ると二人の板がピクピクしててびびった。
完成
プチ異臭騒ぎを経てジャニーズのタレント的な板が三体完成した。
アクリル絵の具とスプレーで明らかに色が違う
色が違うが3人で撮らなければいいのだ。いま、さらっと3人と書いた自分にちょっと引いている。板なのにもう感情移入している。
『あのタレントさんがなんと弊社に来社』(ライツ関係に考慮して一部影にしてあります)
『気さくな人でした!』 (ライツ関係に考慮して一部影にしてあります)
いまいちピンときてない人も、写真のうえに文字を重ねるとぐっとそれっぽく見えるはずである。
フォトショップで文字を重ねるなら影の部分もそうすればいいじゃんというのは情緒のない考えである。
いろんな人に試してもらおう
さて、完成したところでちょうどイベントがあったのだ。2014年8月23日24日と大垣で開催されたOgakiMiniMakerFaireである。電子工作・DIYのイベントだ。最近、メーカーズムーブメントと呼ばれている手作りブームの総本山、の地方開催イベントである。
デイリーポータルZは会場内で最大規模の出展だった
店番するジャニーズ
会場の背景がグレーだったため、すっかり溶けこんでしまったのが予想外だった。グレーの背景では映えないのだ。しかし会場では大人気。
この写真をSNSにアップしていた人もいたので、あのタレントがお忍びでイベントにやってきたと思った人も多いだろう。大垣に!
半分僕がお願いして撮ったことは秘密である。
満足じゃ
ジャニーズのふりをしつつも実は自分のシルエットなので、大垣で写真を撮られているのを見るのはちょっといい気分だった。影でもモテると嬉しいんですね。
イベント2日目、腰を痛めてしまい自分の影を支えに帰ってきた。