特集 2014年8月22日

名刺交換がはかどる名刺入れ! 夏の文房具フェス2014

ISOT2014レポート4日目は、ちょっと変わり種文具をあれこれ。
ISOT2014レポート4日目は、ちょっと変わり種文具をあれこれ。
今年でもう25年目になる、アジア圏最大の文房具見本市、ISOT2014(国際文具・紙製品展)。7月上旬に開催されたISOTで展示・発表された最新文房具をレポートする4日目。

今日は海外メーカーのちょっと面白い文房具と、最近の文房具ムーブメントの一つ、極小メーカー文房具をご紹介。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

香港文房具メーカーの珍鉛筆削り

香港でファイルシステムや電動2穴パンチなどを販売しているメーカー、EAGLEは、今回はテコの力を使った軽い力で綴じられるステープラ『JET STAPLER』を新製品として発表。
EAGLEのブース。色使いがやっぱり日本と違うなー。
EAGLEのブース。色使いがやっぱり日本と違うなー。
握る力70%カットで使える香港のステープラ。
握る力70%カットで使える香港のステープラ。
省パワーステープラ自体は日本でも各メーカーが開発しており、そんなに珍しいと言うほどのモノでもない。

面白かったのは、ブースの端っこに展示してあった電動鉛筆削りだ。
鉛筆内蔵型の電動鉛筆削り『STORAGE』
鉛筆内蔵型の電動鉛筆削り『STORAGE』
なんだか長細い、変な形の鉛筆削りだなー、と思ってよく見たら、中に鉛筆がいっぱい入っていた。
鉛筆が20本以上入るらしい。
鉛筆が20本以上入るらしい。
要するに、鉛筆をストックしておく収納ケース付きということらしい。

この鉛筆削りはけっこう振動が強めだったのだが、そんなところに鉛筆入れておいたら中で芯がポキポキ折れたりするんじゃなかろうか。

…というようなことをEAGLEの人に訊ねてみたら、すごい困った顔をされてしまった。日本語が上手く通じなかったのか、それとも聞いちゃいけないことだったのか。

韓国製の良く切れる新ハサミ

韓国ブースでは、ES&Dという3年前にできたばかりの新しいメーカーが、コンパクトな円刃のハサミ『ZERO-CUTTER』を出していた。
紙ゴミを片付けるヒマもないぐらいハサミの実演を頑張ってた。
紙ゴミを片付けるヒマもないぐらいハサミの実演を頑張ってた。
円刃ハサミというのはまさに円盤状の薄い刃2枚で紙をはさんで切るもので、ローリングシザーとも呼ばれるもの。

いちいち刃をチョキチョキと動かさなくても、紙をはさんで動かすだけで直線でも曲線でも気持ち良く切れるのだ。(分厚い紙や紐などは切れないというデメリットもある)
かなり気持ち良くスイスイと切れる。
かなり気持ち良くスイスイと切れる。
円刃同士の摺り合わせに工夫があるとのことで、かなり細かい曲線もスムーズに切れていた。

書類を点線から切るとか雑誌のクーポンを切り離すなど、その手の作業ならハサミやカッターよりもローリングシザーの方が簡単でスムーズなので、日本のメーカーにも色々と作って欲しい分野だ。

会場内にマリオ出現

ISOT会場内でかなり目立っていたのが、スーパーマリオの壁画。
コンテナ壁画のマリオ。かなりのクオリティ。
コンテナ壁画のマリオ。かなりのクオリティ。
これはイギリスのReally Useful Productsというメーカーが自社のカラフルなプラスチックコンテナを積み上げて作ったもの。
マリオの顔、近くに寄るとこんな感じ。
マリオの顔、近くに寄るとこんな感じ。
Really Useful Productsは一昨年ぐらいからコンテナ壁画を作っている。昨年はイギリスのユニオンジャック旗で自国アピールをしていたが、今年はうってかわってマリオ。クオリティもおそろしくアップしていた。
なんで車がこんなところに?と思って近寄ると
なんで車がこんなところに?と思って近寄ると
どっかりタイヤに踏まれたコンテナ。
どっかりタイヤに踏まれたコンテナ。
ついでに、会場内に持ち込んだ車にコンテナを踏ませて、頑丈さもアピール。

会期中三日間ずっと車に踏まれっぱなしだったコンテナだが、へこみも潰れもしてなかった。確かに頑丈だなー。
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一人文具メーカーかくかく戦えり

ここ数年内で文房具業界において大きく変わったことの一つが、一人文具メーカーの出現だ。

小規模での起業がやりやすい雰囲気になったとか工場が小ロットの生産を請け負うようになったとか色々と細かい話はあるのだが、まぁその辺は面倒なのですっ飛ばしてもらって大丈夫。

ともかく今、アイデア勝負で文具メーカーを単身立ち上げている人がけっこういる、ということだけ踏まえてもらうとして。
個人のメーカーが集まって出展する「mono MAKERS」ブース。
個人のメーカーが集まって出展する「mono MAKERS」ブース。
ISOT会場には、そういった一人文具メーカーが商品を持ち寄って出したブースがあった。

これまでも個人メーカーが出展することは無くはなかったが、こういう形で合同出展というのはたぶん初めての試みだと思う。

2年前に『伊葉ノート』という扇形の変形ノートを出展していた伊葉の宮坂さんは、今回ノートではなく新たに「美文字を加速させる」という触れ込みで、手首に装着する筆記補助具『SURF ON THE PAPER』を発表していた。
シブい顔立ちだがものすごく腰が低い宮坂さんによる新製品説明。
シブい顔立ちだがものすごく腰が低い宮坂さんによる新製品説明。
傘に使われる布地で作られた『SURF ON THE PAPER』を手首に巻くことで、ペンを握った手とノートとの接触面の摩擦を最適にし、スムーズな筆運びが実現する、というものだそうだ。
装着中。たしかにノートの上でするする滑る感じは気持ちいい。
装着中。たしかにノートの上でするする滑る感じは気持ちいい。
で、手首の回転をスムーズにするので文字も美しくなる、ということらしい。

さらに夏場など、汗でノートが湿ってデコボコになることもあるが、これを装着していればそれも防げる。

漫画家さんなどは原稿用紙を汗で湿らせないために、手の下にタオルやティッシュを敷くとは聞いたことがあるので、意外と実用的かもしれない。

美文字に関しては効果がどこまで体感できるかは分からないが、ともあれこういうアイデアをサッと商品化してしまえるフットワークの軽さが、一人文具メーカーの強みだろう。
どんな厚みの文庫本でも収納できるブックカバー。
どんな厚みの文庫本でも収納できるブックカバー。
IDICの松原さんは、地元埼玉の特産品である小川和紙を使って、様々な厚みの文庫本に対応できるスライド式ブックカバー『Dear Books』を出展していた。
ほぼ鈍器の京極堂でも、このとおり。
ほぼ鈍器の京極堂でも、このとおり。
このブックカバーは2ピース構造になっていて、表紙カバーになる部分が前後にスライドすることで薄いのから分厚いのまですっきりカバーできるもの。

最大で1400ページの本まで対応しているとのことで、文庫界のコロコロコミックこと京極夏彦の本もきれいに収まっていた。

また、カバーをスライドさせながら本を入れることで、文庫本をがばっと開かずに収納できるので、古くて綴じの怪しくなってきた本でも傷める心配が無い。

古本屋でカパカパになった文庫とかたまに買うので、これは地味に嬉しい。ブックオフとかで売れないかな。
名刺交換のしやすさを追求した名刺入れ。
名刺交換のしやすさを追求した名刺入れ。
この一人文具メーカーブースの発起人でもあるBeahouseの阿部さんは、とにかく名刺交換のしやすさを考えて作った『自由メイシイレ』を出展。

名刺を取り出しやすくするため、名刺はケース角の三角ポケットに差し込むだけ。これでどんな角度からでも名刺がスムーズに取り出せるようになっている。
!
「偉い人に会うとき、緊張して手が震えていても名刺がスムーズに取り出せます」と自慢する阿部さん。

実際に試してみたが、三角ポケットの幅などよく考えてあり、確かにこれは取り出しやすい。

自分の名刺ポケットと、もらった名刺ポケットを分けてあるので、名刺入れの中でごちゃごちゃする心配も無い。シンプルだけど上手いように作ってあると思う。

すいません、今日も新刊の告知を。売れないと困るんです。

9月10日、僕の変な文房具コレクションをまとめた本が飛鳥新社から出ます。
吸盤の弾を撃ち出すボールペンや、1cmまでしか測れない超高級チタン削り出し定規など、文房具としての存在意義から怪しい文房具が満載です。
特に難しいテーマとか勉強になるとかありませんので、何もしたくないときにボーッと眺めるのがオススメです。

『愛しき駄文具』 きだてたく著 飛鳥新社刊(9月10日発売予定)
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