特集 2014年8月21日

アニマル柄ののりホルダー! 夏の文房具フェス2014

ISOT2014レポート3日目はハンコと糊。
ISOT2014レポート3日目はハンコと糊。
この夏日本でいちばん文房具が集まる空間、ISOT2014(国際文具・紙製品展)で展示・発表された最新文房具レポート3日目。

今日は最新のハンコと糊がどうなっているのかをお伝えする。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

前の記事:ダイオウグソクムシのペーパークラフト! 夏の文房具フェス2014

> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

ハンコなのにフルカラー

ヤマハチケミカルというスタンプ部材屋さんが展示していた『CARASTA』というスタンプ。

これがなんと、普通なら1色でしか捺せないはずのスタンプで、フルカラー(に近い見た目)が表現できるというもの。
スタンプ3つに枠付き。
スタンプ3つに枠付き。
『CARASTA』はシアン(青)・マゼンタ(赤)・イエロー(黄)の、いわゆる色の3原色の浸透印に、捺しズレを防止する保護枠が1セット。

この3色を同じ位置に重ねてスタンプすることで多色印刷のような効果を出すのだ。
まず黄色を捺す。この時点ではよく見えない。
まず黄色を捺す。この時点ではよく見えない。
続いて赤。ちょっとそれっぽくなってきた。
続いて赤。ちょっとそれっぽくなってきた。
最後に青を重ねればフルカラーハンコの完成。
最後に青を重ねればフルカラーハンコの完成。
現時点では、名画や動物などラインアップされた9種類だけだが、例えば写真をベースにオリジナルのフルカラーハンコを作ってくれるサービスとか始まると楽しいのではないかと思う。

例えば、自社社長の顔写真入りフルカラー社判とか、どうか。

シヤチハタのおむつスタンプ

で、対して日本最大のハンコメーカーことシヤチハタはどういうハンコを展示していたかというと、まず目に入ったのはおむつ用のネーム印。
声に出して読みたい商品名だ。『おむつポン』
声に出して読みたい商品名だ。『おむつポン』
僕は子供がいない身なので知らなかったのだが、これ、かなり需要のあった商品らしい。

託児所や保育所に乳幼児を預ける場合、とにかく身の回りの物すべてに名前を書かなくてはいけない。で、それは使い捨ての紙おむつにも必要らしいのだ。

決まりとあればしょうがないが、一日に何枚も捨てるような消費物にいちいち名前を手書きするのは面倒くさい。それならネーム印をポンと捺すだけの方が確かに簡単だ。

それなら、ボールペンや鉛筆に名入れするように、おむつにも名入れサービスとかあればいいんじゃないかと思ったが、検索したらすでにあった。ベビー業界おそるべし。
自動ナンバリングでこのサイズはかなりすごい。
自動ナンバリングでこのサイズはかなりすごい。
今回のシヤチハタブースでの目玉の一つが、『ページナンバースタンプ』。

モノとしてはごく普通の、スタンプするたびに自動で数字が進むナンバリングスタンプ。
わりと大きめな印字。もう少し小さいのも欲しい。
わりと大きめな印字。もう少し小さいのも欲しい。
ただ、従来のナンバリングスタンプは金属ギアの塊で重たく、捺すたびに「がちょん」とうるさいのに対して、ゴムベルト採用により静かで軽量コンパクト。とにかく枚数いっぱい捺しても手がダルくならないのがウリ。

ただ、自動で動くのは下2桁だけ。3桁目は自分でギアを回して進める必要がある。

社内用の資料など、あまり部数の多くないものに連番を入れるならかなりオススメだ。
糊で個人情報保護。その発想はなかった。
糊で個人情報保護。その発想はなかった。
もう一つのシヤチハタの目玉が、この個人情報保護のり『ケスペタ』。

自分宛に届いたDMや封筒を捨てるとき、できれば宛名部分は見えないように捨てたい。

そういう用途向けに宛名を塗りつぶす用のスタンプがこれまでも各メーカーから発売されていたのだが、スタンプした面の裏から透かすとなんとなく情報が読み取れる場合があり、不安もあった。

そこでシヤチハタが考えたのが、のりを使った二重ガード。
黒い糊を塗ったところ。これでほぼ見えない。
黒い糊を塗ったところ。これでほぼ見えない。
郵便物の個人情報が記載された面に、まず『ケスペタ』を塗る。

この糊が透明度の低い真っ黒な糊なので、塗り潰すようにするだけでほとんど情報は読み取れなくなる。

ただこれだけでは安心できないので、郵便物を2つに折って完全に糊づけ。

そうすると、裏から透かしてもまず見えない。

で、糊が乾いてから二つ折りにした郵便物を剥がそうとすると、糊づけした部分からびりびりに破れて、情報を破壊してしまうのだ。
攻撃的な情報保護の図。
攻撃的な情報保護の図。
ここまで徹底すれば、個人情報の流出はほぼ考えにくい。

データを破壊するシュレッダーのような攻撃的情報保護が、糊を塗るだけでできるのだから、お手軽だ。

ただ、この真っ黒い糊はうっかり服につくとなかなか落ちないので、要注意。
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糊はいま色つきがトレンド

シヤチハタの情報保護のりが真っ黒だったのに対して、糊の老舗ヤマトは蛍光イエローの糊『アラビックヤマト色消えタイプ』を発売。
お馴染みのアラビックヤマトが蛍光イエローに。
お馴染みのアラビックヤマトが蛍光イエローに。
このとおり、かなりハッキリと黄色い。
このとおり、かなりハッキリと黄色い。
とはいえ、ヤマトの黄色は個人情報保護的な使い方ではない。

紙に糊をつけた場所がはっきり分かるように、という目印の色。

色つき糊は、封筒の封緘などできるだけきっちり糊づけしたい時に、塗った部分が視認できて便利なのだ。

これまでも固形のスティック糊で色つきのものはあったが、アラビックヤマトのように液体糊で色つきは初めて。
こんな感じで糊づけ部分がよく分かる。
こんな感じで糊づけ部分がよく分かる。
この蛍光イエローは乾燥する過程で透明になるので、糊づけではみ出した部分がいつまでも黄色くて目立つ、という心配はない。
アニマル柄のりホルダー。「貼れる雌豹」と呼びたい。
アニマル柄のりホルダー。「貼れる雌豹」と呼びたい。
あと、糊ではなく糊ボトルを持ち歩くホルダーとして昨年に革製ヤマトのりホルダーを発売していたのだが、今年はその新作としてアニマル柄も登場。

ヤマト、どこへ行くつもりだ。

瞬間接着剤ももちろん色つき

今年の接着部門はどうも色つきがトレンドらしい。ボンドのコニシブースでは、誰でもご存知のザ・瞬間接着剤、アロンアルファ色つきバージョン『アロンアルファ・カラーチェンジ』が登場した。
パッケージが黄色くないと、なんかアロンアルファっぽくない。
パッケージが黄色くないと、なんかアロンアルファっぽくない。
実は昨年にはコクヨが赤い色つき瞬間接着剤『レッドテック』を発売し話題になっていたのだが、アロンアルファもついに対抗してきたか、という感じ。
ちょんと一滴落とした段階では、はっきりわかる紫色。
ちょんと一滴落とした段階では、はっきりわかる紫色。
どこに接着剤がついてるか分かるので、貼り間違いなし。
どこに接着剤がついてるか分かるので、貼り間違いなし。
これもヤマトの色つき糊と同様に、どこに接着剤がついているのか視認できるようにするための色だ。

糊よりもさらに塗る量が少ない瞬間接着剤は、「あれ、どこに塗ったっけ」「っつか、そもそも瞬着ちゃんとつけたっけ」と塗布ポイントを見失うことが多い。今はそんなことないと思っていても、40台を過ぎると自分の3秒前の記憶すらアテにはならない。

そんな時も、色さえ付いていれば接着する場所を見失うことはないので、かなり安心だ。

引き出しの奥に、いつからあるのか分からないような古い瞬間接着剤が転がっている人は、これを機会に色つきアロンアルファに買い替えてもいいと思う。絶対便利。
ラメラメのボンド。
ラメラメのボンド。
ところで、コニシブースのカウンターには、ラインストーンでラメラメのデッコデコに飾り付けられた木工用ボンドが飾ってあった。

コニシ、どこへ行くつもりだ。

連日の告知ですが、今日はイベントじゃなくて新刊の告知を。

9月10日、僕の変な文房具コレクションをまとめた本が飛鳥新社から出ます。

背中のかゆいところを掻く専用定規や、リバーシブルでネタを変えられる寿司型ペンケースなど、文房具としての存在意義から怪しい文房具が満載です。

特に難しいテーマとか勉強になるとかありませんので、何もしたくないときにボーッと眺めるのがオススメです。

『愛しき駄文具』 きだてたく著 飛鳥新社刊(9月10日発売予定)
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