地味に見えてすごいノート
今回のISOTで、文具マニアが一様に「うおお」と呻らされたのが、神戸派計画という神戸の印刷屋さんなど紙関係の企業が集まった複合体ブランドによるノートいろいろ。
とにかくノートばかり、ぎちぎち。
中でも、神戸派計画の主体となっている印刷会社が独自に開発したオリジナルの「GRAPHILO」紙を使ったノート群。
とにかく万年筆で書くことに特化した紙で、太字の万年筆でインクだぷだぷに書いても裏抜けが少なく、しかもにじまない。
左下が普通の紙、左上が GRAPHILO。線のにじみにハッキリ差が。
実際に書いてみると、感触がすごくなめらかだけど、行き過ぎるほどヌルヌルした感じもない。
なにより、書いた端からインク跡がくっきりピシッと出る。本当ににじまない。これすごい紙だ。
GRAPHILOのノートやメモパッド、一筆箋など。
普段から万年筆を常用する人なら、これはいちど試してみて欲しい。
誰が書いても「うわっ」て思うはずだ。
これを作った印刷会社の人が「印刷屋なのに紙から開発しちゃったもんで、うちに10tあるんですよねー、この紙」と、どこか遠くを見ながら呟いていたのが印象的だった。
神戸派計画は、他にも白地に白の印刷で罫線を引いた『CIRO』というノートも作っていた。
罫線は無いと書きにくいけど、後から読むときは無くてもいい。むしろ邪魔。というコンセプトなので、白い紙に白い罫線。
ノートとしてページが重なっていると罫線がうっすら見えるが、1ページずつめくりながらだと全く気にならない。
見えるけど見えない、かなり絶妙なラインである。
肉眼では見えたけど、写真には写らなかった白罫線。
あと、用途は良く分からないんだけどなんか面白かったのが、『recto』という方眼ノート。
表紙には商品名とナンバーだけ。
表紙にNo.1からNo.8まで番号が振ってあって、それぞれが1mm単位でサイズが違う方眼になっている。
つまり、No.5なら5mm方眼。No.8なら8mm方眼ということになる。
1mm方眼。ほぼ方眼に見えない。なんかの模様だ。
1mmと比べるとすごくバカみたいに見える8mm方眼。
方眼と言えばだいたい9割ぐらいが5mm方眼で、あとは6mmとか、細かくても3mmがあるぐらい。
1mmとか8mmを誰が求めているのかは全くわからないが、とりあえず作ってみた、という心意気は嫌いじゃない。
固結びするだけで鳥になるメモ
以前から、くるっと丸めるだけで立体的な動物や風景になる伝言メモ『Ku.ru.ru』を作っているペーパリーからは新たに、細長いメモを結ぶだけでかわいい鳥になる伝言メモ『むすびん』を発表していた。
メジロ、スズメ、セキセイインコ、オカメインコ、ヒヨコ、フクロウの6種類。
帯状のメモにメッセージを書いたら畳んで細長くし、神社でおみくじを枝に結ぶように軽く固結びにするだけで、ちゃんと鳥っぽいフォルムに変形するのだ。
メモを畳んだら端と端を持って…
きゅっと結ぶとヒヨコっぽい!
これはよく考えたなー、という見事な変形。結んだ玉の部分がふっくらとする辺りがちゃんと鳥の胴体っぽい丸みになるのが面白い。
『Ku.ru.ru』も新作の楽器と子犬が登場。
ピアノとか、メモを丸めただけで作れるのか。
イヌ、かわいさが反則級。
このKu.ru.ruシリーズも40弾近くなってくると、地球上にはまだ丸めるだけで作れるものがあるのか、と半ば呆れるレベルだ。
敷く前提のメモ
パズルなどを作っている玩具メーカーのビバリーのブースに、なにか良く分からない新製品リリースが貼ってあった。
メモ一枚であふれる豪邸感。
どうぶつのしきもの、は分かる。ドラマで大富豪のリビングとかに敷いてあるクマとかトラ丸一頭の毛皮のやつだろう。
で、メモも分かる。覚えておくことや伝言を書く紙だ。
ただ、どうぶつのしきものメモ、となると意味が分からない。
本当にメモ敷いてた。
リリースから下に目線を降ろすと、実際に「動物の敷物型のメモ」の試作品が敷いてあった。
確かに伝言メモなどを机に残すときは、勝手に飛ばないようにマグカップや資料の下に敷くことはある。
そう考えれば、敷く前提の形をした敷物メモもありえないことは無いのか。
とりあえず、かわいいからなんでもいいや、という納得をしておこう。
女の子の秘密メモ
広告製作会社のたき工房が独自で立ち上げた文房具ブランド、タキ・プロダクツのブースでは、凄まじいまでに女子力の高まった伝言メモ『ひめのメモ』が展示されていた。
とにかく「女子力」という単語以外では表現しづらいビジュアル。
まずはこの状態。
円錐形に丸めるとおひめさまに。
メッセージはここに書く。
お姫様状態にして立たせておくと、目立つ。「ああ、なんか伝言もらったな」というのが一目で分かるようになっている。
ただ、メッセージを確認するためには、お姫様のスカートの中を覗き見るという行為が必要になる。
伝言を確認するためのハードルが非常に高い。特に人の出入りが多い職場だと、誰に見られるか分かったものではないので、なかなかに危険でもある。
今日から一週間ほど、こんな感じで最新の文房具がどんな感じかをお伝えする予定です。
気に入った文房具があったら、ぜひ文具店で探してみて下さい。
さらに詳しい文房具情報が知りたい方は、僕が所属している文房具トークユニット・ブングジャムのイベント『カマタ・ブングジャム#8』へどうぞ。
ISOTで取材してきた写真数百枚使って、びっちり最新文房具について語ります。
『カマタ・ブングジャム#8』