コラボ企画 2014年8月11日

イントゥ・ザ・洗濯機~家電を中から見てみよう~

そこには宇宙が広がっていました。
そこには宇宙が広がっていました。
洗濯機や食洗機、電子レンジ、冷蔵庫。

毎日なにげなく使っている家電製品だけれど、どれもふたを閉めてスイッチを入れたらあとはおまかせだろう。

中で何が起きているのか、気になるじゃないか。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

「中に入る」だけのつながりで書いています

先に言っておくと、この記事は8月22日公開の『イントゥ・ザ・ストーム』という映画とのコラボ記事である。『イントゥ・ザ・ストーム』は地球が生んだ史上最大の“怪物”超巨大竜巻の中にどうぞイントゥ(入って)して体感してください!という映画。竜巻の中なんて入りたいに決まっているが、入りたい、と言えば身近なところにもあるだろう。

家電製品の中である。

今回は中で何が行われているのかよくわからない家電製品にイントゥしてみたいと思う。
これは巨大竜巻の中。やっぱり怖いから入りたくない。(c) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
これは巨大竜巻の中。やっぱり怖いから入りたくない。
(c)2014VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI)LIMITED

おれが家電ならサボる

後ほど出てくるがうちの洗濯機は乾燥機能がついているので、洗濯物を入れて「自動」ボタンを押しさえすれば洗って脱水され乾かされてほかほかになって出てくる。すごい便利だ。

だけどそれは信頼関係があってこその話ではないだろうか。

もし僕が洗濯機だったら一回洗っている音を録音しておいて次からはサボるかもしれない。ふたが閉まったらこっちのもの、あとは適当に濡らしてなんとなく温めておけば持ち主は洗ったと思って満足するだろう。一生懸命洗っている音だけ流す。

そう考えると食洗機とか、よほどの信頼関係がないと使えない。ふたしてしまったら中でどんだけ適当にやっているかもしれないのだ。
そういう目で見ると不自然に中を隠そうとしているように見える。
そういう目で見ると不自然に中を隠そうとしているように見える。
信用できない、あとキッチンが狭い、という理由で僕は食洗機は持っていないのだけれど、なんと同じデイリーのライター斎藤さんは持っていた。斎藤さんそれ本当に洗っているのか疑問に思ったことあるか。
持っている人へのやっかみとも取れるがどう言われようと関係ない。
持っている人へのやっかみとも取れるがどう言われようと関係ない。
本当に洗っているのかどうか、確かめるため中にカメラを仕掛けさせてもらう。

今回は防水カメラ2種と闇にまぎれてサボるのを防止するため、防水ヘッドライト(高かった)も導入した。人間の本気を見せてやる。
隠さずイントゥさせろ。
隠さずイントゥさせろ。
斎藤さんに食洗機が便利かどうか聞いたところ

「これを買ってからお皿が使い放題になりました」

と言っていた。なんでも味ごとにお皿を使い分けているのだとか。それは確かに自分で洗う僕らにとっては贅沢な話である。ただし食洗機がちゃんと仕事していたら、の話だが。

食洗機が中でなにをやっているのか、撮影に成功した動画がこちらである。
なんとちゃんと仕事をしていた。
台風並みの横殴りの雨風、そのくらいの勢いで黙々とお皿を洗っているではないか。暑いのにご苦労さまです。疑って悪かった。
それにしてもでかいだろう。斎藤さんどこで料理してるんだ。
それにしてもでかいだろう。斎藤さんどこで料理してるんだ。
この動画については持ち主の斎藤さんも目を見張っていた。

「へー、中でこんなことになっていたんですねー」

これまでまったく疑いを持たずに皿を洗わせていたのだろうか。たいしたたまである。でもよかったですね、ちゃんと仕事していて。なんだろうこの僕だけが徳を落としていくような企画は。

次は一番あやしい洗濯機の中を見る。
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洗濯機の中をどうやって撮影しようか

次はいよいよ疑惑の中心洗濯機である。だいたいの洗濯機は最初からふたがついていて、洗濯物と洗剤を入れたら中を見せないものが多いだろう。そこが怪しい。
二層式の時代は中が丸見えだったからまだ信用できた。
二層式の時代は中が丸見えだったからまだ信用できた。
しかしどうやって撮影しようか悩むところである。

悩むのは主にカメラと照明の位置だ。洗濯機は先の食洗機とは違ってドラムとよばれる洗濯層自体が脱水の時に回転するからたちがわるい。置いておくだけではだめなのだ。

いろいろなパターンを考えた。
上部フタにカメラと照明を設置するパターン。
上部フタにカメラと照明を設置するパターン。
底に設置するパターン。
底に設置するパターン。
ドラム部分に横に設置するパターン。
ドラム部分に横に設置するパターン。
どれも固定が雑だ、というつっこみには後ほど答えるので覚えておいてほしい。

一通り試してみたのだが、途中でカメラが壊れたのでここでいったん気持ちを整理するための時間を取ります。

みなさんはこの夏をいかがお過ごしですか。外ではセミが鳴いているしこれを書いている今日は土曜日である。もしかしたら洗濯機を疑ってカメラ壊している場合ではないのかもしれない。そんなことしている間に夏が終わる。
脱水の時にものすごい音と共に洗濯機が停止。レンズがもげた。
脱水の時にものすごい音と共に洗濯機が停止。レンズがもげた。
イントゥ・ザ・洗濯機については僕の中で折り合いがついてから、具体的には次のページから紹介するとして、せっかくだから他にも家電製品の中にカメラを入れてみたいと思う。成功を重ねてカメラが壊れたことを忘れていく努力である。前向きだ。

他の家電にもイントゥ

たとえば冷凍庫なんてどうだろう。
なかなか入ることはない。
なかなか入ることはない。
去年の夏だろうか、コンビニの冷蔵庫に入る人が続出してある種社会問題みたいになったことがある。あれはなんだったんだろう。冷蔵庫の中に入ると涼しい意外になにがあるというのか。

この装置でそれを明らかにする。
こうしてカメラとライトを固定して放り込むだけ(このカメラは後に洗濯機で壊れます)。
こうしてカメラとライトを固定して放り込むだけ(このカメラは後に洗濯機で壊れます)。
行ってらっしゃい。
行ってらっしゃい。
余りご飯にでもなったつもりで見てもらいたい。いまからあなたは冷凍庫の中に入れられます。
特にこれといった動きはないのだけれど、見ていて閉塞感がすごい。閉じ込められたあとにメリメリ…という小さな音がするのも怖い。きっとこの後徐々に凍っていくのだろう。やっぱり冷蔵庫の中は入っちゃいけないことがわかる。

次は中ではないが、扇風機の羽根にカメラをつけてみた。
余計なこと大好き。
余計なこと大好き。
扇風機にはどんな景色が見えているのか。羽根目線でお届けします。
扇風機、ものすごい大変な仕事である。いつも汗だくの僕に回りかけてくれてありがとう。角度が悪い、とかいって足で扱ったりしてごめん。相手目線で物を考えると優しくなれるというのはこういうことかもしれない。

さて、気分もいくぶん前向きになったところで洗濯機の中にカメラを入れて撮影した映像に戻ろう。

イントゥ・ザ・洗濯機である。

ちなみに巨大竜巻の中はこんな感じ。ジャンボジェット機も一瞬で空を舞う。ふざけて入るようなものじゃなさそう(映画『イントゥ・ザ・ストーム』より)。



(c)2014VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
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イントゥ・ザ・洗濯機

いよいよ洗濯機の中にカメラを仕込む時が来た。

我が家の洗濯機はもう10年くらい使っているのでそれなりに古くなってはいるが、まだまだ動作に問題ないので(いちおう洗濯するときれいになって出てくる)できればこの撮影で壊したくはない。
壊れると困る家電ナンバー2だろう(ナンバー1は冷蔵庫)。
壊れると困る家電ナンバー2だろう(ナンバー1は冷蔵庫)。
まずはドラムの位置にカメラを設置したパターンである。ライトは上部フタ部分に下向きに設置した。
固定が雑なのは、これ以上やると洗濯機が壊れそうだと思ったからです。
固定が雑なのは、これ以上やると洗濯機が壊れそうだと思ったからです。
ライトはフタから見下ろす形に。
ライトはフタから見下ろす形に。
さて洗濯機の中を横から見た風景やいかに。
動画は脱水の工程だけを切り出しているのだけれど、面白いのは高速で回転するドラムにカメラが固定されているため、洗濯物だけが勝手に動いて壁に張り付いていくように見えることだ。
最初は中心付近にあった洗濯物が。
最初は中心付近にあった洗濯物が。
ドラムの回転と共に壁に張り付いていく。
ドラムの回転と共に壁に張り付いていく。
一度ドラムが回転してしまえば、カメラも遠心力で壁にへばりつくので、結果的に雑な固定でもまったく問題なかった。

次は底の回転羽根にカメラを取り付けたパターン。
ビス止めしようか迷ったけど今思えばしなくて正解だろう。
ビス止めしようか迷ったけど今思えばしなくて正解だろう。
これで回転させてカメラが飛んで行って壊れたんだろうな、と思うだろう。実は違う。

こういうテープは横方向の力に強い。つまりこのくらい貼っておけば円の中心から離れる方向に加わる遠心力には耐えることができるのだ。
たぶん。
たぶん。
いいか回すぞ。
面白い。ふたが回っているように見えるが、実際にはカメラが取り付けられた底とドラムが回転している。これも脱水部分だけを切り出しているのは、洗濯時には暗くなってほとんど何が写っているのかわからなかったからである。しかも洗濯の途中で一度テープがはがれてカメラがゴロンゴロンとものすごい音を立てながら洗濯層の内部を転がった。洗濯機壊す寸前である。

この二つの方法も悪くはないが、やはり洗濯されているところも見たいだろう。というかそこが肝心なのである。いろいろ考えた結果、水中ではなくぎりぎり水面から出たところにカメラを下向きに固定するのがいいのではないかという結論に至った。

次はいよいよ上から撮る。そしてカメラが壊れる。

この頑丈な装甲車みたいな機材ほしい。(映画『(イントゥ・ザ・ストーム』より)。



(c)2014VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
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洗濯の全行程を上から撮る

ドラム部分や底部分にカメラを固定すると、どうしても光が届かなくて洗濯途中の映像が撮れないことがわかった。これでは一番疑っていた(本当に洗っているのか)という疑念が晴れない。

いろいろ考えた挙句、ドラム上部にガイドを渡し、カメラとライトとを一緒に固定して撮影する方法を編み出した。これで洗濯における全行程を映像に収めることができるはずである。
突っ張り棒をこうして2本渡して。
突っ張り棒をこうして2本渡して。
カメラとライトを設置する。パーフェクトである。
カメラとライトを設置する。パーフェクトである。
ガイドの棒は突っ張り棒なのでドラムにがっちりと固定されている。

この装置で撮影した動画がこちら。洗濯の全行程をカバーしているが、長いので途中はしょったり早送りしたりしています。
キャプション
すばらしい。

注水から洗濯、脱水まで。脱水の速度が上がっていくにつれキリキリと絞られるような緊張感まで伝わってくる。

洗濯機、ちゃんと働いていた、疑ってごめん。
なんだこれ、宇宙か。
なんだこれ、宇宙か。
遺伝子レベルまで入りこむと人の体内には宇宙が広がっている、みたいなことを聞いたことがあるが、なんと洗濯機の中にも宇宙が広がっていた。こんなドラマチックな光景が毎日繰り広げられていたのだ。
映画イントゥ・ザ・ストームより(うそ)。
映画イントゥ・ザ・ストームより(うそ)。
すばらしい。
すばらしい。
やはり洗濯機の中を撮影する場合、カメラはドラム上部に固定するのが正解なのだ。フタだと脱水の時一緒に回らないのでいまいち面白さに欠ける。

そう結論付けようとした矢先だった。
残り2分で惨劇は起きた。
残り2分で惨劇は起きた。
動画の最後で映像が乱れているだろう。

3分間の脱水工程の残り2分のところで雷が落ちたみたいな大音響が家の中を駆け抜けた。ただごとじゃない音である、ぜったい洗濯機が壊れたと思った。止めてもしばらくガリゴリ言ってた。
発見時の様子。
発見時の様子。
ガイドの突っ張り棒が外れたのだ。

おそらくカメラとライトとを合計した重心がドラムの回転軸から外れていたのだろう。脱水の際に加わる強烈な遠心力によって突っ張り棒が崩壊、カメラはアタッチメントのレンズがもげて外装が割れていた。その後二度とピントが合わない。

うまいことまとめるぞ

しかし僕はカメラと引き換えにこの奇跡の映像を撮ることができたと信じている。きっと映画『イントゥ・ザ・ストーム』でも撮影部隊はさぞたくさんの機材を壊したことだろう。人に感動を与えるということはつまりそういうことなのだ。

家電製品、頑張ってました

いくつかの家電製品を中から撮影して、普段見られない彼らの影の努力を見ることができた。身近にこんなドラマチックな風景が隠れていたなんて。もうフタとか透明にしてどんどん見せて行けばいいのに、と思う。
家電製品の中には入った!次は竜巻の中にイントゥ!(映画『イントゥ・ザ・ストーム』より)。
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