ポーク缶は数年置いた方がうまい?
加工した肉を缶詰に詰めた「ポーク」。沖縄では戦後にアメリカからもたらされたらしいのですが、現在ではチャンプルー料理やみそ汁の具、はたまた「ポーク卵」というおにぎりのジャンルがあるくらい沖縄では日常的な食べ物です。
沖縄だとスーパーマーケットで売られているポークの種類も豊富
このポークに関してなのですが、1994年に出版された『話のチャンプルー 沖縄雑学読本』という雑学本を先日読んでいて、ちょっとびっくりするような記述を見つけました。
衝撃の雑学
次のトピックも衝撃的なんですが、 本編と関係ありませんので気になる方は本を探してみてください。
かいつまんで説明すると専門家によれば豚肉が缶の中で熟成するため、ポークは作りたてより数年寝かせたものがうまいという事らしいです。文章では「目の色を変えて、日付の新しいものを選ぶなんて愚の骨頂ですよ」と割と上から目線のアドバイスまで書いてあるのです。
ポークは数年置いた方がうまい…そう言われてみたら何となく理屈は分かる気がするんですが、なんだか騙されているような気がしてなりません。「専門家の話」だというあたりもなんだか胡散臭い雰囲気が漂います。
しかし本当にポークが美味しくなるなら食べてみる価値はあるんじゃないでしょうか。というわけで、実際に試してみることにしました。
古いポークを探して
とりあえず、まずは製造から数年経った、古いポークを探すところから始めたいと思います。
ということで、前に
古いオリオンビールを探した時のように那覇の市場周辺を中心に探してみたんですが、オリオンビールみたいに缶のデザインに価値がありそうなものと異なって古い食品って売ってないんですよね。市場回りや小さな商店のポークも見て回りましたが、すべて賞味期限は2017年のものでした。…まぁ食品なんで当たり前っていえば当たり前なんですが。
このまま商店を探し回っても成果は無さそうなので、アプローチを変えてネットで「訳あり ポーク」を検索。その結果賞味期限ギリギリの商品を見つける事ができました。
【訳あり送料無料:賞味期限7/21】ホーメルSPAMうす塩という商品名
こちらが賞味期限が2014年7月のポーク(スパム減塩)。賞味期限ギリギリの訳あり商品のため送料が無料というものだったんですが
発送先に沖縄を選んだら、送料が追加で900円ほどかかりました。送料の問題は「沖縄あるある」なんですけどすごく釈然としないものを感じます。
まぁ、沖縄県民の通販における送料の悲劇はおいておいて、とりあえず古いポークを手に入れることができました。早速新しいものと食べ比べてみたいと思います。
新旧ポーク食べ比べ
そんなわけでネットで手に入れた賞味期限がギリギリのポークとスーパーで買ってきた割と最近作られたであろうポークを用意しました。
ネットで買ったものは賞味期限が2014年7月21日、スーパーで購入したものは賞味期限が2017年2月12日です。ちなみにこの実験をしたのが7月の始めだったのでこの時点ではまだ賞味期限は切れていません。念のため。
賞味期限が2017年2月12日
賞味期限が2014年7月21日
スーパーで購入したものから察するに、ポーク缶の賞味期限はだいたい3年くらいのようです。賞味期限で見ると新しいポークに対して古いポークは2年半前に作られたことになり、「数年寝かせたポーク」に該当するんじゃないでしょうか。
開封していきます
それでは両者の違いを早速比べてみたいと思います。
色
左:賞味期限が2017年、右:賞味期限が2014年
まずは蓋を開けた両者の色から比較してみましょう。…といっても全然違いがありません。賞味期限が2014年のポークも全く色は変化がないようです。
におい
ポークの匂い
続いて双方のにおいを嗅いでみます。…どちらも普通のポークですね。
味
色も臭いも全く同じ。結局、本当にポークが熟成しているのか、そしてそれが本当にうまいのかについては実際味わってみる必要があるようです。
余談ですが、ポークってどうやったらうまく缶から出せるんですかね?
左:賞味期限が2017年、右:賞味期限が2014年
左:賞味期限が2017年、右:賞味期限が2014年
左:賞味期限が2017年、右:賞味期限が2014年
焼き上がったポーク。果たして古いポークは本当に熟成して味が違うんでしょうか?
ポーク缶は熟成する?
続いて熟成しているであろう、2014年が賞味期限のポーク。
はたしてその味とは…!
どっちも同じ。
変わんねぇ。
ここまで読み進めて頂いたDPZ読者の皆様は記事の成り行きでなんとなくお察しかと思いますが、何一つ新しいやつと変わりません。
ひょっとしたら細かい違いがあるのかもしれない、と何度も両者を比べてみましたが全く同じです。仮に若干熟成していて僕が分からないだけだとしても、ぱっと分かるような違いは無いようです。
最後まで全然違いが分からなかった。
というわけで今回の「古いポーク缶は熟成するか?」についてですが、「目に見えて分かる変化は無い」というのが結論かと思われます。
冒頭の本では「新しいポークを買うのは愚の骨頂だ」みたいな事が書かれてましたが、まぁ皆さん賞味期限のことも考えたら新しいポークを買った方がお得ですよ!主婦の皆さん!。
全然本編と関係ないですが「美人ポーク」ってネーミングが好きです。
そんなわけで「ポーク缶の熟成は嘘なんじゃないのか」という結論だったのですが、その後「賞味期限が過ぎないと味は変わらないのでもっと古いものだと違いが分かるんじゃないか」とか「製造後5日のポークを食べたことがあるが不味かった。販売されているポークはある程度時間が経ってるので既に熟成してるのでは」などちょっと詳しい方にコメントを頂いたりして、ポークの熟成の謎は深まるばかりです。
製造したてのポークを手に入れる方法が思いつかないのですが、今度はできたてのポークと賞味期限が10年くらい過ぎたポークを(自分のお腹と相談して)食べ比べてみたいと思います。