普段はこういう工夫をしております
実は、もう何年も前からやっている方法がある。
少しでも腹を満たしたいとの思いから「糸寒天」なるものを大量購入、会社の引き出しに常備し、カップスープのカサを増しているのだ。
フリーズドライなので、そのまま使えてとにかく便利。
これを好きなだけ好きなカップスープにドバーと入れるだけ。
ツルツルしてて、なかなかに食べごたえもあるという素晴らしさ。
なにしろ味の邪魔をしないのがいい。味噌汁はもちろん、中華風、洋風、ポタージュ系などなど、どんなスープにも入れられて手軽にカサが増やせる。
しかし、いかんせん相手は寒天だ。増えたとしても、たかが知れているではないか。いっそ、そのものズバリの具を足せば話が早いような気がする。
というわけで、あれこれ試してみたい。
●コーンスープ + とうもろこし
まずはコーンスープから始めよう。
「つぶたっぷり」に、さらに粒を追加しようという試み
コーンスープにコーンを足す、という分かりやすさ。
これなら、おいしいうえに腹も膨れるし、なんというかこう、妙に気分が高揚するじゃないか。
粒を手で取るのが面倒だったので、
残り半分は包丁でこそげ取った。
計1本分のとうもろこしが入ったことで、一気にスープの量がドーンと増えた。
コーンだらけスープ。「やりすぎスープ」とも言える。
この量!
うれしい!(クーラーの壊れた部屋にて汗をかきながら)
「食べるスープ」という言い方があるが、もはやこれはスープでさえない気がしてきた。
あくまで主役はとうもろこしの粒であり、スープは「味付け」程度の役割に徹している。
それでも、これはいい。いかにも子どもが喜びそうな食べ物だ。いや、大人だって十分うれしいぞ。
●じゃがいもポタージュ + ポテトチップス
コーンスープがこれほどハマるなら…と気を良くして、次はじゃがいものポタージュでも試してみた。
これは鉄板でしょう。
茹でたジャガイモを…とも思ったが、家に放置されていた開封済みのポテトチップスを見てひらめいた。
この組み合わせ、うまくいかないわけがない。
だいぶ湿気っていたので、なんの躊躇もなく入れられる。
こんもり乗りました。
かきまぜるほどに、ポテチはしんなりし、クタッ、フニャッと、ぐずぐずになっていく。その様を見ているだけで、たまらない気分になる。
ほどなく、固かったポテチは完全に柔らかくなった。
スープのうまみエキス吸いまくりのポテトチップス。
なぜだろう、ポテチに屈辱感がない。
「よくもオレ様をしなしなにしたな~」という恨みが感じられない。
むしろ「ポタージュに包まれてるとホッとするぅ~」とでも言いたげな安心感さえ漂っている。
間近で観察していた私が言うのだから間違いない。
このトロッと感…。
!!!!!
…う、うまい! いやービックリした。まさかここまでうまいとは思っていなかった。
考えてみれば、じゃがいものポタージュに揚げたイモを投入しただけの話なのだ。どこにまずくなる要素があるというのだ。これほどまでに幸せなカップリングはそうそうないぞ。
お互いのうまみを、それぞれが吸収しあっているような…というか、これはずばりビールが飲みたくなる味だ。揚げイモのポタージュがけ。飲めといわんばかりのネーミングである。
ひさびさに「ヤバい」という若者言葉が、なんのためらいもなく口から出たほどのうまさであった。
●トマトスープ + トマト
見慣れないスープがあったので、好奇心から買ってみた。
こんなおいしそうなスープに手を加えてもいいのだろうか…と、少しばかり躊躇。
トマトが大量に入ることを考え、お湯の量は少し減らしました。
そこへ、ザク切りトマトをドサー!
まあ、トマトスープにトマトを入れて、まずくなるわけがない…とは思っていたが、それにしたって! な物が出来てしまった。
カップスープとは思えない見た目。
「これはどこのスペインバルのメニューか」と言いたくなるような、なにやら華やかなものがお目見えした。
見た目のままにうまい。もともとのスープの味がいいことに加え、投入したトマトの酸味が効いていて、なんとも夏にぴったりの爽やかな食べ物になった。
冷やしてもおいしい気がします。
●わかめスープ + わかめ
「増やす」といったら、これを試さないわけにいくまい。
もう、わかめは「ふえる」という概念から逃れられないのか。
とにかく、手軽に腹を満たしたかったら、わかめスープに勝るものはない。
ここで重視しているのはあくまで「手軽さ」であり、「うれしさ」とか「ワクワク感」ではないことを強調しておきたい(しかし確実においしいことも事実なのである)。
もともと、これだけのわかめが入っているところへ、
さらにわかめをプラス。完全にスープと具の立場が逆転している。
うん。すごいよ。キミたち、本当にすごいよ…。
安心の増えっぷりである。安定したおいしさもある。
ダイエット中の方には、これ以上ないほどの食べ物と言わざるを得ない。
●とん汁 + 豚肉
ここで生肉を扱うのもどうかと思ったが、どうしてもやってみたいのが、この組み合わせだった。
カップスープのとん汁における「とん」の少なさよ!
とん汁の豚肉だけを増やせたら、これほど素敵なことはないと思うのだ。
自作でもすれば話が別だが、外で食べるとん汁の豚肉の量はいつも少ない。「よくそれでとん汁を名乗れたものだよ」と憤慨することの方が多い。
店で食べる場合でもそうなのだ。いわんやカップスープにおいてをや。
しかし、まさかこのまま入れるわけにもいくまい。
やはり加熱しないことにはいろいろと不安すぎる。ここは余計なチャレンジャー精神を封印し、手堅く茹でることを決意。
まあ、焼く・揚げる・茹でる、の選択肢から選ぶなら、一番簡単なのは「茹でる」だろう。
それくらいなら屁でもない。肉のためなら多少部屋が暑くなっても構わない。湯を沸かそうじゃないか。(注:くどいようですが、クーラー壊れてます)
そして茹でている間に、とてもいいことを思いついた。
茹で汁ごと、カップに注げばいいのでは!?
そして味噌をよーく溶かす。…たまらん!
すっかり味噌が溶けてからも、うれしくて、意味もなく箸でカップの中をかき混ぜた。肉の量を確認するかのように、混ぜ続けた。
…ああ、これほどまで箸に負荷のかかるカップとん汁が他にあろうか。
「どっさり」という形容がぴったりだ。
見た目だけでこれだけ満足なのに、なんたって注いだのは普通のお湯じゃない。豚の茹で汁だ。
「お宝汁」とさえ呼びたくなるあの茹で汁を! カップスープに! …ギャーッ!
どこをどう持ち上げても、すごい量の豚肉が引っかかるという夢のような汁。
あまりのうまさに「すげー!」と言いながら笑っていた。
これは是非やってほしい。私はやる。また、すぐにでもやる。それほどまでにおいしかった。
たとえば、魔法瓶に茹で汁ごと豚肉を入れ、コンビニでカップとん汁を買い、外でお湯を注いで食べたら最高だと思う。
一緒に塩むすびなんか食べた日には「幸せすぎてこわい…」というセリフが、なんの躊躇もなく言えるような気がする。
手間と思うかどうかですよね
「玉子スープ + 卵」や「かぼちゃスープ + かぼちゃ」など、試したい組み合わせは他にもある。でもきっと、どれもおいしくなるに違いない。
具を入れすぎたことで「スープ以外の何者か」になることはあっても、たぶん不味くなることはない。ただ「過剰に」うまくなるだけなのだ。