気合いで信号は変わりません
あと一週間で僕も不惑を迎える。もちろん、気合いで信号が変えられるかどうかなんてマトモに考えていない。
では何をしたいのか。まずこの動画を見ていただきたい。
なぜ信号を見てないのかとか赤は変えないのかとかツッコミどころは置いておいて
キマった!指先から放たれた僕の気合いが信号機に伝わって、思わず黄色いLEDが点灯してしまったのだ。だとすると大丈夫かこれ。ひょっとして道路交通法とか犯してしまっているんじゃないか。
でも、もちろん本当に気合いで変わっているワケではないので大丈夫。ではどうやっているのか。その秘密はこれだ。
信号シーケンスのカンニングメモ
ここは1本の道路に横断歩道があるだけのシンプルな信号。事前に、ここで車道、横断歩道それぞれの信号の変わる順番やタイミングを調べておいたのだ。
でも1ヶ所調べるだけで30分くらいかかってしまった
つまり上の動画では車道の信号が青になったタイミングでストップウォッチを作動させ、61秒後に信号に向かって気合いを送れば黄色に変わる、という計算だ。いや計算すらしてない。
でもこれが、自分の指と信号がピッタリ合うとなかなかキモチいいのだ。
最初は簡単にできてしまったのでそれほど感動はなかった
これでこの記事のやりたかったことと種明かしをすべてしてしまったわけだけど、まだ終わらない。
簡単そうに見えて、これが意外と難しかったのだ。
「赤!」と言おうとしてタイミングを外した
信号の制御の単位は「秒」なのだろうか
事前にストップウォッチでタイミングを計っておいたと言っても、信号の変わるタイミングは突然だから、どうしてもコンマ何秒かはズレる(記事タイトルとの矛盾!)。
そもそも信号の制御を行っている部分の時間の単位が果たして「整数の秒」なのかも、このときは分からなかったのだ(どうやら秒である程度決まりがあるみたいです)。
そして、気合いで変えるときにストップウォッチのスタートを押すタイミングも突然来るので若干ズレる。さらに、連続して気合いを入れるときは1回目の気合いに集中しすぎて時間の感覚を忘れてしまう。
もう本末転倒とか試行錯誤とか七転八倒とかがごっちゃになった要素が重なって、撮影したほとんどはタイミングを外していた。
タイミング外したときの恥ずかしさは相当なものがある
また、気合いで信号を変えるときの声がなぜかいちいち喉にかかった感じになっていた。白昼の街中でこんなことやってる恥ずかしさのあまり、無意識に自分と別人格を演じていたのかも知れない。なぜそんなに神経をすり減らす仕事を選んでしまったのか。でも、気合いがキマったときの快感も知ってしまった。それこそ、街中で声を上げながら信号機を指差す、という恥ずかしさがゼロになるほどに。
まともな大人がたった1日でここまで倒錯してしまうこともあるのだ。一寸先はまさに闇である。
ハトよ!飛べ!(闇)
モノにしてないけどレベルアップ
続いて、もっと大通りの信号に行ってみた。ここはT字路で右折信号があったり、動きがやや複雑である。そしてなにより人通りが多いという壁がそびえ立つ。
ちなみに今回の撮影は編集部の石川さんと藤原くんにお願いしました
移動中にあわてて次の信号の動きを確認
さっきの信号とは比較にならない人通りの多さ
大通りだけあって車の通りも人通りも途切れることがない。しかし、ここで気合いで信号を変え続ければ、そのすべての人々の動きを自分がコントロールすることになる。
などという妄想上の使命感で羞恥心を忘れることにする。
まったく信号が言うことを聞いてくれない
なんと、ここにきてまったくの不調に陥ってしまった。いや、そもそも最初から好調ではないのだけど、とにかくタイミングが合わないのだ。
これでも、前日にこの信号の動画を撮って、家で再生しながら「点滅!」とか言って何度も練習したのだ。大人として絶対に人に見せられない姿だったと思う。
この空気、何とかしなければ...!
もう1回だけ!
撮影している石川さんや藤原くんも徐々に口数が減ってきた。これも仕事とは言え、勤務中の社会人を2人も待たせている焦り。これ人件費いくらだ、と思うと背中がぐっしょりである。
もうこれでいいよね
気合いがから回りしてタイミングを外し続けること数十分、ようやく落ち着いてきた。もう一度、メモしたタイミングシートを見直してトライしてみる。気合いで信号を変える、などと豪語しつつ、実は完全に時間の奴隷にならなければならないのだ。気合いはその集中力を維持するために使うのである。
もはや、いったい何のためにやっているのか分からないが、最後までやり遂げたい。最後ってどこだ?
最後、何とか2連続で青信号化に成功。そして締めくくりとして、多少タイミングがごまかせるせえぇぇぇえいを繰り出してしまった。でも絶対に負けられない戦いだったのだ。後悔はしていない。
もうひとつ気合いでデジタルに介入
実は今回、もうひとつ気合いでデジタル機器に介入することを考えていた。それはお店などの電子看板である。
気合いで信号を変えられるなら、気合いで自分が言ったことを電子看板に表示させることもできるだろう。
お店の宣伝文句がスクロールする看板
いまからおれの言うこと表示しろ!
というわけで、気合いで信号を変えたり電子看板の表示を思い通りにすることができたが、世の中にはきっとほかにも気合いで信号を変えられるヤツがいるだろう。ぜひ挑戦してきてほしい。
僕はいつでも待っている。
いちばん下に降りて思い通りに
どうしてこんなことを思いついたのか覚えていないけど、信号の動く通りに動けばあたかも信号を動かしている気分になれるんじゃないかと思った。
それはキマると確かにキモチいいんだけど、自分の中の奴隷気質をそんなに磨かなくてもいいんじゃないかと思う。
でも複雑な交差点の信号をひとつひとつ指して変えていくことができたら、それがいかに快感か、という妄想もできてしまって困っている。
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よりによってこんな変態的記事のあとにまじめな告知です。
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