そのとき天井が光った
ある夜、眠るのがもったいない気がしてスマホをいじっていた。
夜眠れずにスマホを眺めることはよくあるだろう
うとうとしていたせいか手が滑ってスマホを落としそうになる。とっさにスマホを握りしめると天井が光った! …どうやらライトを付けてしまったようだ。
天井が光った!
意外と明るいんだなと思って手をかざすと影絵ができた。それが思いのほか楽しかったのだ。
やり方
スマートフォンのライトを使います。
僕の機種ではカメラの設定に光らせる項目があった
でもアプリをインストールするのが便利だと思う
いずれかの方法を使ってライトを光らせて欲しい。
そして光を天井に向ける。壁でもいいかもしれないが、位置取りが難しくスペースも天井より狭いだろう。
また、スマホは胸の上に置くのがいいと思う。体の横に置くと影絵をしたときに上を向きづらくなってしまうので。
胸のあたりに置くのがオススメ
うしろの壁に山のような影が出てるのは気にしないで
わー
手がでかい。50インチくらいになってる。なんだこれは。写真だと大きさが伝わりづらいので、そこはもう実際にやってみて欲しい。
しかも手を動かすと同じように動くのだ。遅延なしの光速。すごくないですか、これ?
…と言いつつ、たぶんみんなが知っていることを繰り返し言っているようでなんだか恥ずかしい。「そんなのみんな知っているから黙っておけ」という気持ちと「これは知らせなければ!」という気持ちが交錯する。
でも、続ける。
鳥が
かにになったりする。ある意味トランスフォーマーでは?
修学旅行でみんなでやったら楽しかっただろうなあと、悔やまれる。
が、当時こんなに手軽で明るいライトはなかったのであった。あとそんなワイワイやる友達もいなかった気がする。
となると何を悔やんでいたのかがわからなくなってくる。ちょっとトランス状態入ってますな。
猫的な何か
「すごい! 天井の絵が動く! これってプロジェクションマッピング!?」と思ったほどの感動だ。
実際には全然マッピングしてない。プロジェクションかも怪しい。なんというか、ただのシャドーである。
スマホさあれば特別な道具を持ち出さずにダイナミズムが味わえるのだ!
犬!
魔界の犬
影絵なんて当たり前のことをいまさら…と思われるかもしれないが、実際やってみると楽しい。「これは伝えないと!」と思って勢いに任せて書いてみた。
ぜひ今夜にでも(もう寝るかと思いながらこれを呼んでいる人は今!)やってみて欲しい。
さて、言いたいことはもう言い終わってしまったので、ここからは余興です。特に3ページ目は完全に余興です。
切り絵の影絵もやってみる
手や指を使ってやるのは本当に手軽で楽しい。その一方で、バリエーションが限られてしまうし、複雑なことをやろうとして指がつったりするという欠点もある。
なので、今度はちょっと面倒だが切り絵を使ってやるパターンも試してみたい。
紙を切って割り箸に貼り付ける
やはりでかくてもしろい
いい加減に自動車の形に切り取っただけなのだが、天井にでかでかと映し出されるとなんだかおもしろい。
他にも作ってみた。
1.5mくらいあるエリンギ
手でやったときの柔らかい感じはなくなってしまうが、その分ビシッとした機敏な動きができるようになる。
エリンギが機敏な動きをしてどうするのか。それはわからないけど、きっとそんな夜があってもいいはずだ。
方向転換ができるのもおもしろい
棒を付けたので両手を使って2つのモチーフを操ることができるのも利点だ。
作ったのがエリンギと人と自動車と…というような関連性も何もないものだったので、組み合わせによってはおかしなことになる。それがおもしろかったりする。
エリンギに食べられる人
逆に「光を通す」
紙を使って影絵するなら、図と地を入れ替えて、光を通すことで何か表現することもできるはずだ。やってみよう。
なんだかわかりますか
オリオン座!
プラネタリウムっぽくなるかなと思い、紙に穴を開けてオリオン座を作ってみた。
ちょっと微妙だろうか。
細かい点はぼやけてしまうようだ。あとけっきょく周囲の紙の輪郭が出てしまい、存在感がありすぎる。
天井にしまむら
パーツが細かく別れてしまってるものは、透明なビニールに貼り付ければいいのではと思って、こういうのもやってみた。
こういう細かい造形でもフィルムに貼り付けると…
天井に「しまむら」
「しむら」
「まむし」
できたことにはできた。しかし、これは"影絵”とはちょっと違うような…。OHPのようだ。
「天井にまむし…? あれ、何やりたかったんだっけ…?」という気持ちに一瞬だけなってしまった。やっぱりあれこれ動かせる方が楽しい。
やっぱり動くのが楽しい
意味のない動きでも、天井というスクリーンに映る影絵が動くの気持ちを愉快にさせる。
アニメーションや映画の起源に触れているようだ。
人形劇のように簡単なストーリーをつけてみる。
エリンギあぶない!
怒った親エリンギの逆襲
ケンカするエリンギと自動車
寝る前にやっているせいもあるだろうか、こういうナンセンスな展開が続く。(登場人物がエリンギと自動車なのがそもそもナンセンスなのだが。)
「エリンギあぶない! キキー、どーん」などと稚拙なセリフは、あえて思いつくまま声に出してやるべきだろう。そのほうが楽しい。
わいわい
影絵劇場 エリンギは死の香り
影絵は映画をその場で操っているようでおもしろいということがわかってきたところで、今回は「スマホ影絵劇場 エリンギは死の香り」をお送りします。
ある朝、山奥にある村の屋敷でエリンギが殺されているのが見つかった。エリンギは村の豪族の一人息子ですべての遺産は彼が相続するはずだった。
前日の夜にエリンギと誰かが口論している声が聞こえたという証言がある。
その口論の相手にエリンギは殺されたと思われるが、凶器は見つかっていない。
名探偵「うーむ、これは難事件だぞ。容疑者はこの三人か」
容疑者の三人「やってない!」
名探偵「それぞれの証言を聞いてみよう」
自動車「たしかにエリンギには金を借りていたけどよお、そんなことで殺しはしないって」
オリオン座「ぼくは棍棒を持っているので怪しいかもしれませんけど、エリンギは絞殺されたんでしょう? ぼくは関係ありませんよ」
桃「私はたまたまこの村にやってきた旅行者で、エリンギさんとは初対面でした。事件前夜、口論を聞いたという私の話が信じられませんか?」
名探偵「ふむ、どうやら犯人がわかったようだ」
名探偵「エリンギを殺した真犯人は…」
名探偵「オリオン座さん、あなたです。あなた、エリンギさんの死因が『絞殺』と言いましたね。それは今のところ警察と犯人しか知り得ない情報のはずです」
オリオン座「なんとなくそう思っただけだ! 凶器は見つかっていないんだろう」
名探偵「くんくん、あなたのベルト、エリンギの匂いがしませんか?」
オリオン座「くそおぉ!!」
自動車「名探偵さん、ありがとう。実はオリオン座とエリンギは生まれた病院が同じでした。DNAを調べてみたところ、取り違えがあったそうで…」
名探偵「悲しい運命ですね…」
~完~
おれ「エリンギとオリオン座を取り違え…?」
寝ぼけた頭でやると、こんな調子で思ってもなかった展開が繰り広げられて楽しい。
うちの天井も、こんなに長時間眺められるとは思ってもいなかっただろう。
さらによく眠れる特典付き
影絵で遊ぶことの利点は、本来寝る前にスマホをいじると目が冴えてしまうものだが、このいじりかたならよく眠れるところにある。
実際この撮影中に2日くらい寝てしまい、全然作業がはかどらなかった。
ここまでたっぷりと説明する必要はなかったかもしれない。でも、楽しいことは間違いないので今夜にでもぜひやってみて欲しい。