特集 2014年6月19日

ラジコンを具にして、リアルおむすびコロリン

おにぎりとテクノロジーの融合。
おにぎりとテクノロジーの融合。
父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。(動画インタビュー)

前の記事:ターボばばあを、みた


君は、ヘボコンを知っているか。
君は、ヘボコンを知っているか。
ヘボコンとは、当サイト編集部石川さんが主催の、技術力の低い人が作ったロボット達が戦うイベントである。(詳細)

なんだろうこの胸の高鳴りは。開催は来月。7月19日である。ぜひ参加したい。準備しなければ! と意気込んで作ったのが冒頭の写真のロボである。

ラジコンを具とした、リアルおむすびころりんだ。情報としては以上である。なぜなら計画は失敗したからだ。

しかし、世の中にはおにぎりが光りながら震える姿に興奮する人も少数ながらいると思う。そこに至るまでに経緯を説明させて頂きたい。
この大会は基本、「相手のロボットを押し出したら勝ち」という相撲形式で争われる。しかし、「ハイテクノロジーペナルティ」という減点ルールがある。

技術力があると判断されると優勝が覆る可能性もあるのだ。ハンダゴテで電子工作なんてもっての他だ(もともと僕はそんな技術ないから心配ないが)。

技術力の低いロボを作るためには、「技術」と「ロボット」とは一体何なのかを考える必要がある。

これが大変だったのだ。
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電子部品を使わないとなると、中世ヨーロッパの投石機みたいなものがいいのだろうか。

しかし、あれはあれで、ややこしい構造をしていそうだ。

投石機について少し調べたのだが、流行り病にかかった人の首を飛ばして敵国の城壁の中に入れたりしていたらしい。(最古の細菌兵器だとか)こわい。なんか本気の機械だ。作れないです。

もっとシンプルなほうがいい。
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ボーリングの球とかどうだろうか。構造も戦い方も、超シンプルである。

相手のロボめがけて球を勢いよく投げるのだ。強いぞきっと。

でも2回戦目は、複数で戦うバトルロワイヤル形式であることが判明した。

操縦できないのは致命的である。
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操縦性が高くて、シンプルな機構といえば、自転車だ!

ルールを読んでみても、人が乗っていたらダメ、とは書かれていない。

自転車も人間の力を補強しているのだから、広義的にはパワードスーツなのではないか。ママチャリの向こう側には、ガンダムがいるのだ。
これは負ける気がしないぜ!

…と思ったら50cm×50cmのサイズ規定があることがわかった。

悔しい…ちゃんとルールが考えられている。

他になにか切り口はないだろうか。
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こういう考え方もできるかもしれない。

ゴキブリに電極とセンサーを搭載し、遠隔で操作するといった機械が一時期話題になった。

難しいことはよくわからないが、思いのまま操縦できたら生き物でもロボといえるのではないか。

しかし、電極を仕込むテクノロジーはない。

ちょうどいい生き物はいないだろうか。
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…犬だ!
…犬だ!
犬に、敵のロボを押し出すことを覚えさせるわけである。
ものすごい戦闘能力だろう(熊とか倒すぜ)
優勝以外考えられない。

しかし、うちに犬はいないのだった。一昨年の夏に亡くなったのだった。
困った。どうしよう。
ザリガニでも連れていくか。煮干しで操縦するのだ。
勝てるかなザリガニ。

ルールをもう一度よく読む。
ん…?既存のラジコンに何かを貼付けるのは問題ないらしい。
いいのかなこれ。買ってきたラジコンの性能勝負にならないだろうか。

でも、このルールをOKしないと、出場困難なほど技術力の低い人がいるのだろう。(僕です)
よし、なんとかなるぞ。

この方法は便利なのだ。理由は3つある。

・最近のラジコンは多様化がめざましいので、欲しいサイズ・機能のラジコンも探せばだいたいある。
・乗っけるだけなので、専門的な知識がいらない。手間もかからない。
・売り物なので壊れにくい。壊れてもお金が解決してくれる。

とにかくいいことづくめなのだ。
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今までにこの方法で作ったラジコンを紹介させて頂きたい。
とどまらない止まれ
とどまらない止まれ
霊柩戦車
霊柩戦車
おハカー
おハカー
やたらある。

技術がなくても、既存のラジコンに適当になにか乗せればあら不思議、オリジナルロボが完成するのだ。
今回もこのパターンで考えることにする。

先ほどのサイボーグゴキブリじゃないが、生体部品を用いたロボにしたい。
そういえば、ターミネーターのT-800(シュワちゃん)は、金属の骨格が、培養した人間の皮膚で覆われているという設定だったはずだ。

しかし、実在の生き物の皮膚をはがして貼付けるなんてことは倫理的にもきつい。
同じことをもっとファンシーにできないだろうか。
生き物でつつむ…つつむ…

…お…おにぎりっ!

おにぎりの中にラジコンを仕込んで、おむすびコロリンだーっ!となったわけである。
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おにぎりロボを作ります

ポチって、握るだけです。
ポチって、握るだけです。
中に仕込めそうなラジコンを探した。

球体型ラジコンの『Sphero』がよさそうだ。iPhoneやiPadで操作できるらしい。
パッケージの端材がジャンプ台になっている。おっしゃれ~。
パッケージの端材がジャンプ台になっている。おっしゃれ~。
充電はスタンドにおくだけの無接点充電。
充電はスタンドにおくだけの無接点充電。
ボディは完全にポリカーボネートで覆われているから、水に濡れても大丈夫らしい。

なんか、やたらハイテク。そしてスタイリッシュだ。

アプリを起動してみる。
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なんかピクサーアニメみたいなCGがはじまる。
なんかピクサーアニメみたいなCGがはじまる。
お前の球が宇宙を救うみたいな映像が流れ、このロボに名前を決めろと言われた。
「おにぎり」と入力する。
「おにぎり」と入力する。
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このラジコン、経験値的なシステムが導入されているようだ。
買ってすぐには、全ての機能が使えない。

ミッションをクリアしたり、遊ぶ度に、踊る機能やジャンプ機能などが増えてゆく。
対応アプリの数も20種類くらいあるようだ。
未来過ぎる。今のラジコンはこんなことになっていたのか。
未来過ぎる。今のラジコンはこんなことになっていたのか。
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続いて、お米を炊く。

古くなってカビ臭くなってしまったお米があったので、それを使う。
炊きあがった。
炊きあがった。
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握る。
握る。
手にお米がはりつきまくるので、ゴマ油をつけて握る。 今回の記事で唯一役に立つ情報である。
手にお米がはりつきまくるので、ゴマ油をつけて握る。 今回の記事で唯一役に立つ情報である。
ノリを切って、はりつける。
ノリを切って、はりつける。
できた。
できた。
人類史上、最もハイテクなおにぎりが誕生した瞬間である。

電源を入れる。(二回叩くとスイッチが入る)
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ほんのり塩味のおにぎりが、ほんのりと光った。
ほんのり塩味のおにぎりが、ほんのりと光った。
エレクトリカルおにぎりだ。
何とも幻想的な雰囲気である。

光る色は100万色の中から選べるらしい。
お…おにぎり100万色…
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いわゆるOJ(オニギリ・ジョッキー)も可能。
いわゆるOJ(オニギリ・ジョッキー)も可能。
期待が高まる。iPadで移動カーソルボタンを押してみる…。
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はい~~~~~!動きません!
はい~~~~~!動きません!
おにぎりの中で、メカ部分が悲しく空転している。

これ、ただの光るおにぎりだ。

戦闘能力的には
おにぎり=メカおにぎりだ。

空転を阻止するため、再度おにぎりを強く握る。
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おにぎりを、つよく、つよく、にぎりしめる。
おにぎりを、つよく、つよく、にぎりしめる。
甘い匂いとカビの匂いが鼻につく。
ぐっと我慢する。

そして、時間を置いてごはんが固まるのを待つ。
待つこと半日。今度こそ、動け~!
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はい~~~~~!動きません!
はい~~~~~!動きません!
硬くにぎりすぎて、ドラゴンボールでベジータが乗ってきた宇宙船みたいになった。
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ダンスコマンドには微妙に反応する。
アップテンポの音楽とともに、官能的なダンスを踊るおにぎり。

山下清が見たら、「ぼ、ぼくは、おにぎりとタテノリが好きなんだな」とセッションをはじめるかもしれない。

…もう嫌だ。疲れた。どうにでもなれ。
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どうにでもなれロボ。
どうにでもなれロボ。
おにぎりをお風呂に入れてみよう。
熱い湯をはった浴槽に、そっとおにぎりを沈める。
ポチャンという音とともに、沈んでゆくおにぎり…。

しばらくすると、おにぎりに裂け目が生じた。
亀裂がひろがるにつれ、怪しく発光するメカ部分があらわになる。

亀裂がおにぎり全体に達すると、メカ部分が抜け出て、浮上をはじめた。
おにぎりの皮を抜いだロボは、先ほどまで光って震えているだけだったのが嘘のように、シュルシュルと回転を始めた。(中身は防水なのだ)

その姿は、皮膚がはがれた後、むき出しの金属骨格で主人公を襲う、ターミネーターのようだった(分かりやすく言うと壊れました)
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おにぎりロボは不滅です

アイルビー・バック
アイルビー・バック
人間と、自我をもった機械の戦争を回避するための研究をしている人がいるらしい。

ターミネーターが人間の皮膚をかぶっているのは、人間を油断させるためである。
虫に擬態させたスパイロボもあるようだし、とても有効な方法だと思う。

今回の制作では、残念ながら機動するおにぎりを再現することはできなかったが、おにぎりほど人をほっこりさせる物体が他にあるだろうか。

もしかすると自我をもった機械が、第2、第3のメカおにぎりを開発するかもしれない。
液体金属でコーティングされたおにぎり、0-1000(おにぎり1000型)とプラズマライフルで戦う未来がくるかもしれない。

そういうことで勘弁してもらえないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

<追記>

おにぎりロボがあまりにも動かないので、本戦には会社の電子工作部の人たちと、違う機体で参戦します。
モザイクが必要なものになる予定です。

脚部に使う素材を、いかがわしいお店で探していたのですが、筋があるとリアル過ぎてダメだね、透明だとおもちゃ感があるね、抽象的な造形もいき過ぎるとそもそも何なのかわからなくなるね、と話し合ってるのが超楽しかったです。

吟味した製品、4本を簡易的に組み立てて、スイッチを入れてみると、カンブリア紀の原始生物を彷彿とさせる足取りで、ヴィンヴィンと動き出した時には、チームから歓声が漏れました。

当日もどうぞ、よろしくお願いいたします。
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