特集 2014年5月28日

選抜20種類で利き醤油大会

まだ見ぬ世界が待っていた
まだ見ぬ世界が待っていた
刺身、豆腐、たまごかけご飯。食べ物に醤油をかけるとおいしい。しかし、世の中にはじつに様々な種類の醤油があることをご存じだろうか。今回は、めくるめく醤油ワールドを知り尽くした醤油博士をお招きして、利き醤油大会を開催した。Show you 醤油。
ライター。たき火。俳句。酒。『酔って記憶をなくします』『ますます酔って記憶をなくします』発売中。デイリー道場担当です。押忍!(動画インタビュー)

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醤油好きが高じて『醤油手帖』というミニコミを制作

醤油博士とはライターの杉村 啓さん(37歳)。日本酒や料理漫画にも詳しい。

「もともとは世界の塩にハマっていろいろと集めていたんですが、塩より醤油の方がバラエティに富んでいることに気づいて」というのが醤油探訪の旅に出たきっかけらしい。
選りすぐりの醤油たちを抱えて編集部に現れた杉村さん
選りすぐりの醤油たちを抱えて編集部に現れた杉村さん
「いやあ、ずいぶん悩んだ末に、できるだけ多くの種類の醤油を味わってもらえるセレクトにしました」
特製の醤油Tシャツ
特製の醤油Tシャツ
杉村さんは醤油好きが高じて『醤油手帖』というミニコミまで作っている。
2011年から計6冊を発行。装丁がかわいい
2011年から計6冊を発行。装丁がかわいい
「魚醤、五大メーカー研究、たまごかけご飯専用醤油など、号によっていろんなテーマで特集を組んでいます」
中には萌え系のイラストも
中には萌え系のイラストも
そして、今年3月、これらの醤油愛をまとめたものが一般書籍の『醤油手帖』として河出書房新社から発売されたのだ。
日本全国の醤油49本を「色」「香り」「旨味」で熱血レビュー
日本全国の醤油49本を「色」「香り」「旨味」で熱血レビュー
そういえば、最新号の『モノ・マガジン』でも、キャップや鞄とともに醤油を取り上げている。こちらも力の入った特集だ。
9ページにわたる総力取材
9ページにわたる総力取材
どうやら、時代が醤油に追いついたようだ。さて、利き醤油大会を始めよう。

五大醤油以外は「しょうゆ加工品」

杉村さんが持ってきてくれたのは全20種類。これをずらりと会議室のテーブルに並べた。
壮観!
壮観!
ラインナップは以下の通りである(杉村さんの解説付き)。
!
1,2,3,4,9が「五大醤油」と呼ばれるJAS規格で認定された「しょうゆ」。それ以外は「しょうゆ加工品」となるそうだ。
ほんとだ、ラベルにもそう書いてある
ほんとだ、ラベルにもそう書いてある
利き醤油を行うにあたってニフティからもウェブマスターと安藤さん、そして「地球のココロ」編集部の清水さんが参加した。
なめてほくそ笑む林さんと安藤さん
なめてほくそ笑む林さんと安藤さん
さっそく質問攻めにする清水さん
さっそく質問攻めにする清水さん
なお、今回は全員で味の感想をアンケート用紙に記した。それぞれの感想の違いも面白いはずだ。
熱心に書き込む未来の醤油人たち
熱心に書き込む未来の醤油人たち
最後に回収したアンケート用紙がこちら。
コメント内容についてはこれから紹介します
コメント内容についてはこれから紹介します

さんまを食べた後の皿に残っている汁の味

では、ひとつひとつの商品を見ていこう。
「たかべ」と読む高貴な醤油
「たかべ」と読む高貴な醤油
安藤「後味がすごい。トゲのある旨味」
清水「口の上の方で味が広がる」
「魯山人」は毎年3万本限定生産
「魯山人」は毎年3万本限定生産
「魯山人醤油」はこだわりの製法というものの、割とスタンダードな味だった。

林「6割うまい、4割しょっぱい」
安藤「あまり個性がないので、料理には一番使いやすそう」

「あまくておいしい醤油」は本当に甘くてびっくりした。しかし、旨味も芳醇。

安藤「醤油というよりはタレというかんじ」
清水「えーー!なんじゃこりゃー!というほどの甘さ!!」

清水さんが、ばり興奮している。
強烈なインパクトの「さんま醤油」
強烈なインパクトの「さんま醤油」
そう、杉村さんは醤油博士として「タモリ倶楽部」にも出演しているのだ。「タモリさんの反応は?」と聞くと、「さんま、いかなごの醤油が『おいしい』と言ってましたね」とのことだった。

林「さんまを食べた後の皿に残っている汁の味」
安藤「生臭さがなくて、ほどよいクセがある」
まずは、色を確認するところから
まずは、色を確認するところから

チーズ、お餅、パン専用醤油もある

醤油はたいていのものに合う。今回は以下のパートナーたちを用意した。
豆腐、納豆巻き、チーズ、お餅、パン
豆腐、納豆巻き、チーズ、お餅、パン
納豆巻き。これは定番だ。しかし、タッグによってはとんでもない爆発力を見せる。
林さんが狂喜した納豆巻きとのタッグ
林さんが狂喜した納豆巻きとのタッグ
この「雲丹(ウニ)醤油」はすばらしくおいしかった。ウニを食べていると言っても過言ではない。

林「持って帰りたい」
清水「パンにかけたい」

興奮度が振り切れて、コメントがだんだんシンプルになってきた。そして、「パンにかける醤油」というものもあるのだ。
イチゴの「あまおう」フレーバー
イチゴの「あまおう」フレーバー
こうしたスイーツ系の醤油は九州地方に多いという。

安藤「子供が好きそうだけど、これは醤油じゃない」
林「せんべいの上のあまじょっぱいタレの味」

もちろん、「お餅につける醤油」もある。
一周してふつうの取り合わせになった
一周してふつうの取り合わせになった
安藤「単品でなめるなら、これが一番。照焼にも合いそう」
林「もう少しで、みたらし団子になる」

続いて、「珈琲醤油」と「チーズかけ醤油」。
どちらも醤油とは縁がないはずのもの
どちらも醤油とは縁がないはずのもの
「珈琲醤油」はファーストアタックで珈琲が来るものの、やがてじわりと醤油が登場してきた。安藤さんの「夜ちびちびとなめたい大人の味」という感想がしっくりくる。

「チーズかけ醤油」は燻製スモーク風味とあるだけに、チーズとよく合う。林さんからは「醤油だけなめると実体がなく、後味だけ残る不思議さ」という形而上学的な感想も飛び出した。

続いて、外国産の醤油。
日本同様、野球が盛んな国だから醤油も作るのだろうか
日本同様、野球が盛んな国だから醤油も作るのだろうか
台湾産は正直いまひとつだったが、イタリア産はふつうに日本の醤油と同じ味がする。というより、この中で一番スタンダードな醤油っぽかった。

ラストは変わり種の「寿司醤油ペースト」。これは、皿に絵を描いて遊べるなと思ったら、公式サイトの紹介文にも同じことが書いてあってびっくりした。
タイトルロゴも醤油で書ける
タイトルロゴも醤油で書ける

関西ではポン酢文化が隆盛

ところで、僕が一番気になったのは、「日本一うまいのんと違いますか?」という自信たっぷりのネーミングの商品だ。こちらは、柑橘類の絞り汁に醤油を加えた「ポン酢」である。製造メーカーは兵庫県尼崎市の「ひろた食品」。
右は「ひろた食品」のスタンダード商品
右は「ひろた食品」のスタンダード商品
日本一かどうかは別として、酸味と旨味が同居する逸品だった。商品名のインパクトも脳をコントロールしている。

清水「柑橘というよりはかつおぶし感がある」
安藤「ドレッシングとして野菜にかけて食べたい」

ちなみに、関西ではポン酢文化が隆盛で、食品売り場にも様々な種類のポン酢が並んでいるそうだ。下の写真は杉村さんが撮影した阪神梅田本店のポン酢コーナー。
50種類以上のポン酢が並ぶ棚。関東では考えられない数だ(撮影協力/阪神梅田本店)
50種類以上のポン酢が並ぶ棚。関東では考えられない数だ(撮影協力/阪神梅田本店)
寄せ鍋文化の関東に対して、関西はポン酢に合う水炊きがメイン。また、食材の味を活かす風土もポン酢と相性がいいのかもしれない。1世帯あたりのポン酢消費量は関東の約2倍という説もある。

阪神梅田本店・販売促進部の竹下諭さんにも話を聞いた。

「旭食品の『旭ポンズ』、ひろた食品の『手造りひろたのぽんず』などが人気ですね。大阪人は一度『このポン酢』と決めたら、他には浮気しないというのも特徴だと思います」

醤油ワールド、まだまだ奥が深そうだ。

胸焼けても満足である

事前に杉村さんから「一度にたくさんなめると胸焼けしますよ」と忠告を受けていたが、そんなことは全然なく、幅広い味の比較を大いに楽しめた。なお、醤油には自然発酵のアルコール分が微量に入っている。帰り道、どうも体がポカポカするので、杉村さんに「アルコール効いてるみたいです」と言うと、「それ、胸焼けだと思います」というお返事でした。
金言付きのサインをもらった
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