特集 2014年5月13日

おにぎりは煮てもおいしい

煮おにぎり、わりといけます。
煮おにぎり、わりといけます。
以前、テレビで「コンビニおにぎりにお湯をかければ簡単にお茶漬けができます」というのをやっていた。
確かに簡単でいいのだが、コンビニおにぎりって普通に炊いたご飯よりも硬いというかエッジが立っているので、お茶漬けにしてもあまり柔らかくならない。
胃が疲れてる時とか、もうちょっとソフトに米を食べたい時ってあるじゃないか。
とりあえず鍋でおにぎりを煮て、もうちょっと食べやすくしてみたい。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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煮おにぎり最適おにぎり探し

早速、どのおにぎりを煮るのがいいのか確認していこう。
こういうのはやる前からあれこれ考えていても仕方がない。とにかく「煮る」あるのみだ。
ご飯を煮るんだから結果は雑炊的なものに決まっている。なんであっても大外しはないだろう。
ローソンは商品入れ替え時間だったのか、紅さけしか無かった。
ローソンは商品入れ替え時間だったのか、紅さけしか無かった。
用意したのは、ローソンの『紅さけ』、ファミマの『紀州梅』『唐揚げマヨ』、セブンイレブンの『具たっぷりツナマヨ』『やみつき焼豚炒飯 』『トマトたっぷりオムすび』の6種。
チョイスの理由は単に「いま普通に食べたかったのを買った」だけである。

煮おにぎり手順

元々のおにぎり茶漬けがお湯をかけるだけなので、あまり手順を複雑にする要素もない。
本当に鍋で煮るだけ。
手順1. ラッピングはがす。
手順1. ラッピングはがす。
手順2. 海苔をはがす。(取っておくこと)
手順2. 海苔をはがす。(取っておくこと)
手順3. 煮る。
手順3. 煮る。
小さめな鍋に、おにぎりの厚みの1/3が浸るぐらいの量の水加減でちょうど良いぐらい。
コンビニおにぎりが意外と味が濃いので、単に水だけでもそんなに不満はなかった。味が濃いのがいい人はめんつゆや塩など足せばいいと思う。

鍋が沸騰してから10分ほど煮て、おにぎりが完全にバラけて柔らかくなったなーと思ったぐらいで出来上がりだ。これぐらいだと、鍋のシメの雑炊ぐらい。
より柔らかめがいい人は、火から下ろして鍋にフタをして、さらに10分ほど蒸らせばより柔らかく食べやすい。雑炊からお粥に踏み出す頃合いである。
手順4. 海苔をちぎってパラパラっとちらす。
手順4. 海苔をちぎってパラパラっとちらす。
あとは、先ほど取っておいた海苔をちぎって上に散らせば完成である。
そのままでもいいし、好みで薬味を追加してもいい。
冷凍してあった三つ葉が大量にあったので、今回はこれも足してみた。
紀州梅煮おにぎりの完成。
紀州梅煮おにぎりの完成。
材料は基本、おにぎりと水。
ぶっちゃけ、かやくを袋から出してスープを二種類入れて…みたいなカップラーメンを作るよりも面倒がない。
食べた時の気分をゲージで表しています。
食べた時の気分をゲージで表しています。
梅のおにぎりは絶対ハズレないだろう、という思惑で最初に作ってみたのだが、大当たり。
いつものエッジの立ったコンビニおにぎりが良い感じにぼけて、ぼんやりした雰囲気に。

感覚的には、GWに久しぶりに実家に帰って、昼過ぎにルマンドか何かサクサク食べながら親と居間でドラマの再放送見てたら昔から知ってる俳優さんが急におじいちゃん役で出てきて「あー、この人もいい感じで年とってるねぇ」とか本当にどうでもいいこと喋ってるぐらいにぼんやりした感じ、である。

ソリッドなのもいいが、たまにはぼんやりしたものを食べるのも悪くない。

ここからは美味しい順

内容自体はしょうもないのに期待だけ持たせても申し訳ないので、ここからは手早く「美味しかった順」で紹介する。
後になるほど大したことなくなるので、程良いところで切り上げてもらって構わない。(最後に告知があるので、告知だけは読んで欲しいです)

さて、今回用意したおにぎりの中で、煮て一番美味しかったのはこれだ。
セブンのオムライスおにぎり煮たやつ。
セブンのオムライスおにぎり煮たやつ。
いやらしい話をすると、このオムライスおにぎりだけは、「あー、駄目だと思ったけどやっぱり駄目だったわ」という記事のオチとして使えそうだ、という目論見で選んだのだ。
ところが、これが水で煮ただけで優しい味のトマトリゾット的なものになってしまったのだ。
煮てるビジュアルは面白い。
煮てるビジュアルは面白い。
あれ、なにこれイケんじゃん。
あれ、なにこれイケんじゃん。
玉子の下にトマトソースのようなのが入ってて、それがきちんと効いている。
それだけだと確かにちょっと味は薄いのだが、例えば固形のブイヨンか何か足せばびっくりするぐらい旨くなるんじゃないか。
チーズを入れて、少しだけ電子レンジで温めると良い感じ。
チーズを入れて、少しだけ電子レンジで温めると良い感じ。
ついでに、途中で思いついてとろけるチーズを足してみたのだが、これがまた大当たり。
味も濃くなったし、もう普通にイタリアン的なおいしいやつだ。
チーズインでテンションもぐぐっと高まる。
チーズインでテンションもぐぐっと高まる。
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煮チャーハンもありだ

煮おにぎりと言っておきながら何だが、煮オムライスの次に旨かったのが煮チャーハンだった。
煮チャーハンいけるぞ。
煮チャーハンいけるぞ。
セブンの炒飯おにぎりはあんまり油っぽくなくて食べやすいのが気に入っていたのだが、煮るとよりあっさりして旨い。というかこのおにぎりは煮た方がうまいんじゃないか。

あっさりめのラーメンスープで作った雑炊、という表現が一番近いような気がする。
最初から炒飯の具として入っていた焼豚がきっちりダシになっているし、ズルズルすすってるとご飯の中にたまに玉子が紛れ込んでくるという嬉しいサプライズもあり、飽きが来ない。
後から見て自分でも引くぐらいの笑顔。
後から見て自分でも引くぐらいの笑顔。
汁をかけただけのスープチャーハンだと、まだご飯が硬い。
しっかり煮込んで柔らかくなった煮チャーハンだからこそ、具・米・水分が一体化して馴染んだ旨さが出るのだ。(おにぎりを鍋に放り込んだだけで何を偉そうに)

今回は他のおにぎりと同様に冷凍三つ葉を足しただけだが、たぶん葱とか入れるともっと旨いと思う。そこまでするなら最初から別に料理作れという気もしないでもないが。

どんどん煮よう

さて、次に旨かったのは、これはまったく予想通りというかハズレるわけもない、紅さけであった。
梅と同じ方向性で、いやされる味。
梅と同じ方向性で、いやされる味。
煮ることであらためて鮭のダシを放出する力量に気付かされた。おにぎりを煮ただけの汁が旨いのだ。
この味が嫌いな日本人というのもそういないよな、という安定の味。
その分だけ具としての鮭の存在感は損なわれるというかパサパサとして残念な事になったので、全体的な評価としてはオムライスやチャーハンよりも下になってしまった。
汁が少し不穏なことになってる唐揚げマヨ。
汁が少し不穏なことになってる唐揚げマヨ。
同じような絵面が続いてしまったが、次が唐揚げマヨ。
マヨネーズの油分と唐揚げのコロモの部分が煮ていくことで崩れて汁に溶け出し、いささか落ち着きのないビジュアルになっている。どうしても旨そうに見えない。
味に関しては、唐揚げのコク的なものが味に反映されているような気はするのだが、それが旨い方向に作用している気がしない。正味の話、おいしくはない。
具の唐揚げだけすくっても不穏な感じ。
具の唐揚げだけすくっても不穏な感じ。
唐揚げ自体も、それだけ食べると「なんか唐揚げ…っぽい…的な…なに?」みたいなので納得がいかない。
そのままおにぎりとして食べた時にはそこまでの違和感というか唐揚げに対する不信感は抱かなかったのだが、煮るともう駄目だ。この破片を唐揚げだと言い切ることができない。

残念だったのはツナマヨ

最後に、もう素直にマズいと言い切れたのが煮ツナマヨおにぎりだ。
個人的には昔からツナマヨは憎からず思っていた方である。
コンビニでおにぎりを買う場合、迷った時は「ツナマヨならば間違いもあるまい」という判断で買い物カゴに放り込んできた。ツナマヨを信頼していたのだ。

しかしその信頼は、僕自身の「煮る」という大きな過ちによって覆されてしまった。
マヨネーズでうす白く濁っていく鍋。
マヨネーズでうす白く濁っていく鍋。
最初に過ちに気付いたのは、鍋の中でおにぎりが煮られていくプロセスを目の当たりにした時だ。
おにぎりが煮崩れて具のツナマヨがふぁーっと鍋の中に広がっていくのを見て「あ、やっちゃった」と感じた。だめだこれ。見た目で旨そうな気が全くしない。
なごまないし、テンションも高まらない。
なごまないし、テンションも高まらない。
すすった瞬間に敗着決定。
まず、とにかく煮込まれてパッサパサになったツナが致命的にまずい。
ツナからダシは出ているのだが、そこに汁に溶け出したマヨのうすら酸っぱい味が作用してきてがっかりさせられる。

気分としては、なごみもしなければテンションも高まらない。ただ眉がキュッと寄るだけ。感情が死ぬ味だ。
具体的には、こんな表情になる。
具体的には、こんな表情になる。
他の具材は煮てもそれなりに仕事をしていた気がするのだが、これは駄目だ。ツナマヨ、意外なポテンシャルの低さである。信じていただけに残念な結果となってしまった。

結論は、ツナマヨは煮ては駄目だということ。そのままが旨い。

話はまったくおにぎりに関係ないが、イベント告知をさせてください。
今月の24日(土)、大阪のなんば紅鶴で僕がコレクションしている変な文房具がいっぱい見られるトークイベントをやります。
「変な文房具」と聞いて想像するより3倍ぐらい意味不明な文房具が見られるので、ぜひお越しください。
『変な文房具談義 in なんば紅鶴』

ゲストは、アジアンカンフージェネレーションのジャケットアートなどでもお馴染みのイラストレーター中村佑介さんと、芸人で構成作家の杉岡みどりさん。豪華です。
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