買ってきました
さっそく本みりんとみりん風調味料、料理酒を買ってきた。店の人には料理が全然わかってない人と思われたな、たぶん。
みりんだけ色が濃いね、という超低レベルな感想が浮かぶ
みりんの役割の説明はいろいろなサイトで読んだことはある(糖分とアルコールが入ってるんですよね)。が、理解はしても納得ができないのだ。
「みりんがどんなものか知っている」という方は僕のことをはじめてみりんに触れる外国人だと思っていただければ幸いである。
今回の記事は、僕のようにみりんの必然性に確信を持てないがきっといるに違いないという信念をもとに、非情に低い立場からお送りします。
なめ比べ
まずはなめ比べてみよう。小学生の自由研究みたいな低レベルさだが、調味料について知るにはこれが一番だ。
・みりん
みりん。甘く、アルコールが含まれている。
まずはみりん。
甘いと聞いていたが、なめてみるとたしかに甘い。みりんってこんなに甘いんだなあ。そして甘みの後ろにアルコールを感じる。
言ってみればリキュールだ。でも酒として飲むには余分なうまみが含まれていて、あんまり美味しくない。
この瞬間、僕の脳内でずっと空欄のままになっていた「みりん」の項目に確かな実感が登録された。「みりん:甘い」
・みりん風調味料
みりん風調味料。甘いけどアルコールが含まれていない。
続いてみりん風調味料。
砂糖や水飴みたいなストレートな甘みを感じる。酢のような風味と匂いがする。醸造っぽさを演出するためだろうか。これだけなめると酢シロップだ。
・料理酒
料理酒。アルコールは含まれているけど甘くない。砂糖を足してみりんのようにする。
最後は料理酒。
しょっぱい! 海水ほどではないが、しょっぱい温泉くらいはしょっぱい。ただの酒を想像していたので驚いた。ちがうものを買ってしまったのかと思った。
はじめて知ることばかりだ。料理酒は家にずっとあったが、身近すぎて知らないことってあるものだ。
料理をよく知っている人が僕を笑っている顔が見えます。
さて、これら役割は似ているようで味がぜんぜん違うことがわかった。これらを使った料理で、仕上がりがどう変わるのか比べてみたい。
ブリの照り焼きをつくる
というわけでブリの照り焼きをつくる。みりんや、ほかの調味料を使うことでどう変わるのか。
ブリを焼く
たれは4種類つくった。
たれは4種類用意。それぞれ醤油プラス、以下のように準備。
・みりん+酒+砂糖
・みりん風調味料+酒+砂糖
・料理酒+砂糖
・砂糖
最後のはつまり砂糖醤油ですな。
都合で深夜にぶりの照焼を作っている。
味や、照りは違いがでるのだろうか? 次のページヘ急げ!
みりんは照りが出るというが、全部照りが出ているように見える
こうして並べてみてもあまり違いがあるようには見えない。写真だと「酒+砂糖」と「砂糖」がちょっと焦げているようにも見えるが、実物はそうでもなかった。
よく見てみよう。
みりん。照っている。
みりん風調味料+酒。当たり前のように照っている。
料理酒+砂糖。十分照っている。
砂糖醤油で焼いただけでもけっこう照っている
みりんだけが照りが出て「さすがみりんだなあ」という展開を心のどこかで期待していたのだが、そうはならなかった。全部照っている。そういうものなのか。
では食べてみたらどうだろう。
全てこのくらい照っていた。
食べて、みりんの意味がはじめてわかる
食べてみると、みりんの効果が明らかだった。
砂糖醤油で焼いただけだとさすがにトゲトゲした味になるのだが、みりんをいれるとまろやかになる。みりん風調味料や酒+砂糖にも、似たような効果があるがみりんは一歩上回っていた。
みりんは砂糖の甘みと醤油のしょっぱさを自然に繋げてくれているのだ。ただの砂糖醤油がクラス替え直後のクラスだとすると、みりん入りは冬休み前くらいの感じになっている。
これがみりんか~。
これがみりんか~(真顔で感心)
さといも、にっころがすわかる
別の料理も試してみよう。里芋の煮っころがしを作ってみた。
深夜に芋を煮っころがす貴族
これも先程と同じように、だしと醤油に加えて
・みりん+酒+砂糖
・みりん風調味料+酒+砂糖
・料理酒+砂糖
・砂糖
というような味付けで、20分くらい煮て作った。するとこのような感じに。
こんどは違いが出た。
おお、違いが出た。左の二種類はよく照りが出ている。さすがみりん(言いたかった)。
アップで見てみると違いがよく分かる。
みりん。いい感じに照りが出ている。
みりん風調味料。すごくテカテカしている。
酒+砂糖。ほぼ照りはない。
砂糖醤油。パサッとした見た目。
みりん風調味料がテカテカしているのは水あめが入っているからだろうか。照りというかテカりである。ボディビルダーのようだ。(あれがみりん風調味料だったら嫌ですね。)
また味のほうも、先程と同じくみりん等を入れたほうがまろやかな味になった。というか、砂糖醤油だけの煮っころがしは、とてもしょっぱく感じる。醤油の量は全て同じなのに不思議だ。
味の染みこみ具合や食感については、よくわからず…。
ここまででわかったこと
みりんは甘さとしょっぱさをまろやかに調和させてくれることがわかった。みりん風調味料や酒+砂糖もそうだが、みりんが一番まろやか。
もっとシンプルに言うと、「みりんと醤油を混ぜるとうまい」ということになると思う。
これを活かして、みりんをもっといろいろな場面で(気軽に)使ってみたい。
みりんベーコンエッグ
ということで、みりんを気軽に使う方法を検討する。
まずはベーコンエッグにかけてみよう。
焼きあがったところにみりん醤油をかける。じょばー。
できた。匂いが甘めのベーコンエッグ
甘いにおいのするベーコンエッグが出来上がった。
食べてみると、今治のB級グルメ焼豚玉子飯のような味だ。やさしい甘さがおいしいぞ。かなり雑な分量で醤油とみりんを混ぜたが、なかなかのできだ。家にみりんがあったらやってみて。
みりんヌードル
次にカップヌードルにみりんを入れてみた。
お湯を入れたあと、みりんを10ccくらいを垂らす
微妙ながら味に変化が
みりんそのものの味(甘み)は感じないのだが、汁のしょっぱさが減った気がする。やさしい味になった。一瞬「減塩!」と思ったけど、それは違う。
調味料って足すとふつう味が強くなるんだけど、みりんは逆なのか。魔法みたいだ。
餃子のタレにみりん
醤油+みりん+ラー油
餃子のタレにもみりんを入れてみた。
ラー油の辛さがまろやかになってしまって、何がしたいのかわからない。はっきりしない味になるのであえてしなくてもいい。
餃子のタレに間違ってラー油を入れてしまったが、辛いのが嫌いだからなんとかしてもとの状態を取り戻したい、という複雑な事情をを持った人向け。
とうふにみりん
ぼんやり
続いて、とうふにみりん醤油をかけた。
とうふというぼんやりした味のものに、みりんをかけると、より一層のぼんやりさになる。これはそのままではナシかなあ。
アイスにみりん
そもそもこのままでもうまい。
少しにしたほうがいいかも。
みりんがリキュールっぽいということを思い出したので、アイスクリームにかけてみた。デザートだ。
違った甘みが混ざり合うことで、味に深みが出ておいしい。そのままでもおいしいけど。
かけすぎると一気にみりんに支配されるので、加減がむずかしい。風味がするくらい、ほんの少しでいい。
みりんの再発見
みりんを使うとまろやか(あるいはぼんやり)した味になっておいしくなることを発見した。…と当たり前のことを「発見」と言い出して我ながらすごい。みりんはそのための調味料なのだ。
使う意味が分からないとさえ思っていたみりんが、身近に感じられるまでになって嬉しい。人生、何事も勉強ですね。