特集 2014年4月29日

オオグソクムシはカニとかシャコに近い味

オオグソクムシの煙突焼き

見れば見るほどかわいいオオグソクムシだが、情が移る前に食べさせていただくことにしよう。

調理方法は、船上でしか食べられない煙突焼きだ。内臓をきれいに取り出したオオグソクムシを、そのまま船の煙突に突っ込み、高温で一気に焼くという豪快な調理法である。

前に船に乗せてもらった時は、ミルクガニ(本名エゾイバラガニ)という深海のカニを煙突焼きで食べさせてもらったが、まさかオオグソクムシの煙突焼きを食べる日が来るとは思わなかった。
内臓には食べたものがパンパンに詰まっているので、きれいに洗い流す。
内臓には食べたものがパンパンに詰まっているので、きれいに洗い流す。
内臓にあるウニみたいな部分がおいしそうだけれど、よくわからないから食べないそうだ。軍艦巻きで食べてみたいような気もする。
内臓にあるウニみたいな部分がおいしそうだけれど、よくわからないから食べないそうだ。軍艦巻きで食べてみたいような気もする。
下処理をしたオオグソクムシを網に詰める。鳥羽一郎と一緒に「兄弟船」を歌うのが夢。
下処理をしたオオグソクムシを網に詰める。鳥羽一郎と一緒に「兄弟船」を歌うのが夢。
これが調理道具となる船の煙突。
これが調理道具となる船の煙突。
煙突にオオグソクムシを突っ込んで焼く。お気に入りのアナウンサーはテレビ静岡の伊藤弘美さん。
煙突にオオグソクムシを突っ込んで焼く。お気に入りのアナウンサーはテレビ静岡の伊藤弘美さん。
煙突の中で一気に焼かれたオオグソクムシは、真っ黒になっていて、なんというかゴキブリっぽさがアップしていた。

よく言えば、宮崎名物の鶏の炭焼きのような黒さだ。あるいは松崎しげる。
この記事内ではゴキブリという単語は避けていたのだが、最後のページだからいいか。
この記事内ではゴキブリという単語は避けていたのだが、最後のページだからいいか。

確かにおいしい船上のオオグソクムシ

焼きたてのオオグソクムシからパキパキと殻を剥がし、わずかに見えるその身をいただく。

さすがは獲れたてを高温で一気に焼いただけあって、ふっくらとして甘みがあり、海水の塩気と相まって、今までに食べた甲殻類料理の中でも上位に入るであろうおいしさだ。味としてはシャコが一番近いかな。焼津まで来てよかった。

いくらでも食べられる美味しさなのだが、食べるところがいくらもないのが悲しいけどね。
こうやって殻を割れば、おいしそうな気もしませんか。
こうやって殻を割れば、おいしそうな気もしませんか。
イセエビのように見えなくもないでしょう。
イセエビのように見えなくもないでしょう。
これは煙突焼きにした深海のツブ貝。普通(でもないけど)の食べ物って食べやすい!
これは煙突焼きにした深海のツブ貝。普通(でもないけど)の食べ物って食べやすい!
これは小川港魚河岸食堂で食べた、オオグソクムシと同じく駿河湾の深海にすむ怪しいエビ。要するにサクラエビですね。
これは小川港魚河岸食堂で食べた、オオグソクムシと同じく駿河湾の深海にすむ怪しいエビ。要するにサクラエビですね。
オオグソクムシを食べるというのは、昔からある焼津の食文化という訳ではなく、つい最近、長谷川さんがはじめたことらしい。

きっかけは数年前のテレビロケで、乗船したタレントから「これ(オオグソクムシ)って食べられるんですか?」と聞かれて、「当たりめえだろ!こんなうめえもんないよ!カルシウムたっぷりだよ!」と長谷川さんが適当に答えたため、急遽お店に持ち込んで料理してもらったのが起源。

もちろん長谷川さんは、それまでオオグソクムシを食べたことなど一度もなかったそうだ。毒とかなくてよかったですね。
長谷川親子にとっては当たり前の存在だったオオグソクムシを食べるために、水族館に行列ができたり、焼津までくる人がいることに驚いているそうです。
長谷川親子にとっては当たり前の存在だったオオグソクムシを食べるために、水族館に行列ができたり、焼津までくる人がいることに驚いているそうです。
2009年の大地震以降、駿河湾の深海鮫は激減しまったそうで、新しい稼ぎ頭として資源量が豊富なオオグソクムシに期待しているとのこと。

一孝さんとしては、ミルクガニやヌタウナギ漁などと合わせて、獲って食べる体験型深海ツアーなど、この焼津の長兼丸でしかできない体験学習を、今後は計画していきたいそうだ。

余談としてのオオグソクムシ調理

ここから先は完全に余談だが、生きたオオグソクムシを長谷川さんから数匹買ってきたので、家で調理してみたいと思う。

残念ながら我が家には煙突がないので、一般家庭でもできる調理方法を研究してみたい。

まず一番の課題である内臓の取り出し方だが、数匹捌いているうちに、胃袋をきれいに取り出す方法を発見した。

これで他の内臓を残したまま、匂いの元となる胃袋を取り出すことができる。
胃袋が綺麗にとれました。
胃袋が綺麗にとれました。
胃袋さえとれてしまえば、あとは普通の食材である。見た目以外は。

半分に割ってみると、エビっぽい白い身が殻にギッシリと詰まっており、そして中央部分には黄色い謎の内臓が入っていた。

この写真を虫の専門家に見てもらったところ、中腸腺という消化にかかわかる器官ではないかとのこと。食べられるかどうかは別問題として、エビやカニでいうミソの部分だそうだ。若干不安だが、せっかくなので食べてみよう。
おいしそうに見えませんかね?
おいしそうに見えませんかね?
これを煮たのが、具足煮である。そう、オオグソクムシだけに具足煮だ。

説明しておくと、具足煮とはイセエビなどを煮た料理のことだ。手前にあるのは同じく駿河湾のヌタウナギ。
駿河湾深海のジビエ、オオグソクムシの具足煮。
駿河湾深海のジビエ、オオグソクムシの具足煮。
食べてみると甘い煮汁とオオグソクムシの身の相性がとてもよく、まだ食べたことのないイセエビの具足煮よりもおいしいのではないかと勝手に想像してしまう出来のよさだ。

トゲトゲした脚を事前に切っておけば、見た目の怖さも緩和されることだろう。
ミソもうまいよ。
ミソもうまいよ。
黄色いフワフワしたミソの部分も、甘みがあってとてもおいしい。できれば生で食べてみたいような気もするが、いろいろと不安だ。

オオグソクムシは火を通しても赤くならないので、結婚式のようなめでたい席には向かないけれど、法事の席にはいいかもしれない。
小型だった殻ごといけるのではという予測の元、フナムシサイズを唐揚げにしてみることにした。
小型だった殻ごといけるのではという予測の元、フナムシサイズを唐揚げにしてみることにした。
揚げても赤くならないので見た目は悪いが、川エビ程度の硬さで、問題なく殻ごと食べられた。
揚げても赤くならないので見た目は悪いが、川エビ程度の硬さで、問題なく殻ごと食べられた。
ヌタウナギのから揚げは、骨もなくて最高においしい。もっと評価されていい食材だと思う。
ヌタウナギのから揚げは、骨もなくて最高においしい。もっと評価されていい食材だと思う。

観光資源としてのオオグソクムシ

味はなかなかいいのだけれど、その独特過ぎる見た目と、可食部の少なさから、食料資源としてはほとんど使い道のないオオグソクムシだが、獲ったり触ったり食べたりできる観光資源としては、可能性があるような気がする。

今後は深海鮫、オオグソクムシ、ヌタウナギあたりを、駿河湾深海のジビエだと言い張っていただきたい。6次産業化の必要性なんていうのが叫ばれているが、もしかしたらこういうところにそのヒントはあるのかもしれない。

水族館でのオオグソクムシの試食会は今度の5月6日にも、またあるそうです。詳しくはこちら
焼津のお土産に、オオグソクムシ酒なんてどうでしょう。飲める標本。
焼津のお土産に、オオグソクムシ酒なんてどうでしょう。飲める標本。
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