牛乳が給食からなくなる?
先日、新潟県三条市内の小中学校が、牛乳を試験的に給食メニューから外すことを発表した。同市では数年前から主食を全てお米にする和食中心の米飯給食を導入。これに「牛乳が合わない」との意見を受けての措置だという。
確かに牛乳とお米というのは絶望的なほどに合わない。マリアージュ的には最悪の組み合わせだ。甘ったるい牛乳で流し込んだお米の味は小学生時代の記憶の一部として今も強烈に残っている。
記憶を頼りに当時の給食を再現してみた
給食っぽい食器はかっぱ橋で買った
当時の給食に対する、そんなモヤっとした感情も、今となっては懐かしい思い出だ。今回の牛乳廃止のニュースを受けて、牛乳+お米の衝撃を今一度味わってみたくなった。
お米に牛乳。それは子どもが初めて味わう社会の理不尽かもしれない
今はどうだか知らないが、ぼくが食べていた30年前の給食はこんな感じだったように思う。メインのおかずに副菜、汁もの、そして白いご飯と牛乳だ。
メインのおかずは小魚のフリッター的なものが多かった。それも、やたら苦い魚が高確率で出てきたような気がする。今では大好きだが、小学生にとってはあまりテンションが上がるメニューではない。
また、汁ものには唐突にミネストローネ的なものが出たりする
牛乳ご飯だけでなく、和の献立に唐突にミネストローネとか、そういうトリッキーな組み合わせも多かったように思う。
では、いただきます
続いてごはん
そして、牛乳。うん、合わない!
その合わなさが懐かしい
サクサクのフリッターと炊きたてご飯の相性は良い。そこに牛乳が加わることでさらなるハーモニーを奏でることなく、逆にすべてが台無しになる。給食のおばさんが頑張ってつくったおかずの味もすべて牛乳がのみこんでしまう。
「うわ~! あ、あわねえ~」
当時の記憶が鮮烈に蘇る。子どもの頃苦手だった食べ物を大人になってから好きになることは多いが、牛乳+ご飯のコンビは改めて食べてみてもやっぱり合わない。でもなつかしい。胸の奥にじんわり温かいものを感じる。
だが、間にミネストローネを挟むといくぶんマシになる
ソフトめんも合わない
だが、考えてみたら牛乳に合わないのはご飯だけではなかった。カレーライスと並ぶ、給食界のスター「ソフトめん」もまた、牛乳との相性がすこぶる悪かったメニューのひとつだ。
次にソフトめんと牛乳の相性を再検証
特に関東ではメジャーなソフトめん。袋入りの柔らかい麺で、主にミートソースやけんちん汁などに絡めて食べる。正式名は「ソフトスパゲッティ式めん」というらしいが、見た目は明らかにスパゲッティではない。
今回はうどんで代用
ぼくがの小学校ではミートソースなどと一緒に出てくることが多く、イタリアンを気取っていたソフトめん。でも、今思えばおまえ明らかにうどんだろ。
このようにミートソースにうどんを投入し
よく混ぜて食べる。めんが固いので、ソースがなかなか絡まらずに苦戦するというソフトめんあるあるを改めて思い出す
懐かしの先割れスプーン
ちなみに当時の給食にはフォークなんて気の利いたものはなく、どんなメニューにもこの先割れスプーンひとつで向き合わなくてはならなかった。今はメニューによって箸やフォークを使い分けるらしいが、与えられた状況の中でなんとかやりくりする術を学ぶのもまた教育ではないだろうか。
麺のボリュームに対してミートソースが少ないという状況もよくあった
さて、そんなソフトめんと牛乳との相性はどうかというと。
合わない!
ご飯に比べれば若干歩み寄った感はあるものの、やはり合わない。牛乳とミートソースを組み合わせた料理はたくさんあるので相性がいいはずだが、その仲をソフトめんが分かち、口の中でいがみあったまま胃に落ちていく。
牛乳と相性の良い料理はこの世に存在しないのか? 給食ではあまり出ないメニューでも試してみよう。
焼き鳥
合わない
寿司
合わない
蕎麦
合わない!
まあ予想通りだが、やはり全部合わない。見事に全部とケンカする。ここまで誰とも仲良くできないのはある意味すごい。
このように誰とも相容れない牛乳。その骨太なスタイルは素晴らしいと思うが、このままでは牛乳が日本の給食から姿を消してしまうかもしれない。ご飯と牛乳、なんとか両者が歩み寄る術はないものか?
アプローチはふたつ考えられる。牛乳をしょっぱくしてご飯に寄せるか、ご飯を甘くして牛乳に寄せるかだ。
左、塩。右、砂糖
まず牛乳のほうから歩み寄ってみる
ノーマルごはん+牛乳(塩少々)
ほんのちょっと歩み寄った気がする
歩み寄ったといっても1000分の1くらい距離が詰まっただけで、そこから先にはいかんともしがたい壁がある。特にご飯側に牛乳特有の乳臭さを受け入れる気配がない。
若貴兄弟でいえば貴がご飯で、若が牛乳。和解のキーマンはやはり貴なのかもしれない。そこで今度は貴(ご飯)のほうから歩み寄ってみることにした。
つまりご飯を甘くするというアプローチ。砂糖でおにぎりをつくる
ダメだった
これはダメだ。ハッキリまずい。歩み寄った貴の気持ちを若が無碍にして、兄弟の溝がさらに深まってしまった。
牛乳ご飯の思い出は永遠
およそ30年ぶりに体験した牛乳とご飯のアンサンブル。当時、おいしいと感じていたメニューの味はほとんど忘れてしまったが、牛乳ご飯の味は今でも舌が覚えていた。
いくら年を重ねても、あのパンチの利いたコンビネーションを思い出すことで、ぼくらはいつでも懐かしい時代に返ることができる。
思い出の味というのは、むしろまずいくらいの方がいいのかもしれない。