特集 2014年2月13日

女子大生と鹿猟に行く

鹿を狩って、解体もします!
鹿を狩って、解体もします!
猟師という人々がいる。鹿やイノシシを罠や鉄砲を使い狩る人たちのことだ。近年はなり手が少なく、鹿やイノシシが増え、作物への被害も増えているそうだ。

そんな貴重な猟師の狩りに同行するツアーが行われた。東京農業大学主催の真面目なツアーだ。ぜひ参加して猟師を知り、将来的には猟師になろうと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

山梨県の山の中

女子大生という輝かしき存在がいる。スポットライトのように眩しいやつだ。そんな存在と鹿猟に行く機会に恵まれた。東京農業大学の多摩川源流大学というプロジェクトが主催する一泊二日のツアーだ。猟師を体験できるプログラムである。
ということで、奥多摩駅にやってきました
ということで、奥多摩駅にやってきました
山梨県の小菅村という生まれて初めて聞く村の猟師さんに密着する。小菅村へは奥多摩駅から一日4往復の路線バスがあり、これが小菅村に行く唯一の公共の交通機関だ。ちなみに今回のツアーは農大生と一般の方が参加している。
こういうツアーです!
こういうツアーです!
今回は人数が多いので貸し切りバス。女子大生と一緒のバスに乗り、奥多摩湖の横を通り、どんどんと山の中へと進んで行く。景色は冬の晴れた暖かい休日から、雪の積もった村の現実へと変わる。村は山の中で寒い場所にあるのだ。
女子大生と山の中!
女子大生と山の中!
外は雪景色!
外は雪景色!

猟師になるには

小菅村にはかつて二つの小学校が存在した。正しくは本校と分校の二つがあったのだ。ただし村民は最盛期の半分にまでなり分校は廃校となり、現在は多摩川源流大学の事務所として機能している。そこでまずは猟師の知識を得る。
みんなマジメ。女子大生と一緒に授業と思うとちょっとウキウキ
みんなマジメ。女子大生と一緒に授業と思うとちょっとウキウキ
狩りをするのには狩猟免許を取らなければならない。試験は年に2回行われ、それだけなら3万円程で取ることができる。

ただしこれは罠の免許で、サッカー選手にサッカーボール、オペラ鑑賞にオペラグラス、そして猟師に鉄砲である鉄砲を使うには、そこからさらに申請や試験を受けなければならない。こちらはプラス10万円くらい。鉄砲は高い。
分校にスズメバチの巣が普通にあったジメ。女子大生と一緒に授業と思うとちょっとウキウキ
分校にスズメバチの巣が普通にあったジメ。女子大生と一緒に授業と思うとちょっとウキウキ
罠だけでいいなら、狩猟免許と各都道府県の猟友会に入会すれば猟師デビューできる。鉄砲をあきらめれば猟師のハードルは低いようだ。猟師に興味がある人が多いようで、いくつもの質問が参加者から出ていた。猟師になりたい女子大生、「狩りガール(仮)」である。
スズメバチへの対策が雑!
スズメバチへの対策が雑!

鹿が増えております

全国的にいま鹿の被害が増えている。そのため禁猟の期間も有害鳥獣駆除として猟が行われる。その期間は鹿とイノシシは15000円、サルは2万円という金額が捕まえることで猟師に支払われる。ちなみに猟師の人気はイノシシ。美味しいかららしい。
ということで山に行きます
ということで山に行きます
雪だ。九州育ちの私は未だに雪が好きなのだけれど、雪山をこの後、猟師と共に3時間も歩くと思うと雪が嫌いになる。しかし、その横では女子大生たちが目を輝かせている。農大なので男子学生もいるのだけれど、女性の方がテンション高めだった。いま女性の間ではどうやら猟師が熱いらしい。ananで特集を組まれる日も近い。
すごい山の中に来た
すごい山の中に来た

犬が怖い

小菅村の松姫峠にて猟に同行する。オレンジ色に身を包んだ猟師たちが集まる。背中には鉄砲を背負っている。ここの猟師が使う鉄砲には2つあり、散弾銃とライフル。散弾銃は撃った後に玉が何発にもなったりするやつで、ライフルは飛距離が長いやつである。
オレンジに身を包む猟師、背中には鉄砲
オレンジに身を包む猟師、背中には鉄砲
これは散弾銃の弾です(一発300円くらい)
これは散弾銃の弾です(一発300円くらい)
猟師を先頭に雪山を歩く。斜度があり、滑り、雪は深く、予想通り疲れる。しかし、猟師は朝から夕方まで猟をするそうだ。若くないのに体力がすごい。一方、若い私は体力がすごくない。女子大生は元気はつらつ。となると私だけがキツいのかもしれない。
キツい
キツい
猟に大切なのは、まず犬、第二に体力、最後に鉄砲だそうだ。猟には猟犬が必ず必要らしい。猟犬が獲物をコチラにおびき寄せる。

ちなみに日本犬は足が速く体力もあるらしく、猟師まで獲物をおびき寄せる前に犬だけで決着をつけることもある。そのため人気は洋犬。こちらは猟師まで獲物をおびき寄せてくれる。
人気の猟犬
人気の猟犬
この日は大人数で獲物は出ないだろうということで、犬は同行していなかった。犬が恐い私には朗報である。獲物なんてどうでもいいのだ。犬がいないだけで幸せ。取材の目的を完全に見失っているけれど、それが幸せなのである。
ちなみにこれはライフル
ちなみにこれはライフル

雪山の足跡

雪の上に動物の足跡が残っている。猟師はその足跡から動物を見極め、大きさを知り、何日前の足跡かを推測する。それらからいまどこにターゲットがいるかを考えるのだ。素人には何の足跡かも分からない。
鹿だそうです
鹿だそうです
これはウサギ!
これはウサギ!
猟師だけでは生活できないので平日はバスの運転士、土日は猟師という人もいる。ここには専業はいないそうだ。猟はグループで行い、捕った獲物は必ず均等に分ける。これは男衆の話で、猟師の奥さんからは「また猟に行くの」という呆れモードが多いそうだ。
木の後ろで数時間待つこともあるらしい(これは散弾銃)
木の後ろで数時間待つこともあるらしい(これは散弾銃)
最初は多くの参加者が足跡を見つけると「これは何の足跡?」と猟師に聞いたりしていたが、山を歩くと分かるのだけれど、もう足跡だらけ。空き巣だったらすぐに捕まるレベルだ。なのでだんだんと足跡に興味がなくなって行く。空き巣との大きな違いは足跡こそあるが気配を全く感じないことだ。
これは登山客のストックの跡
これは登山客のストックの跡

農大の女子大生

3時間歩いたけれど動物の姿は見えなかった。鳥すらいない。猟は難しいのだ。犬がいれば変わったかもしれないが、だったら変わらなくていい。鹿をもしとめる犬に人間がかなうはずが無い。本当の獣とは犬のことなのかもしれない。
癒しの存在
癒しの存在
女子大生が落ちていた鹿の糞を手に取っていた。さらの割って何を食べたか分析して、さらに鼻に近づけ、「臭くない」と言う。糞を数人で回して「ホントだね」と会話している。農大ならではなのではないだろうか。
その直後、
その直後、
私は罠にはまっていた
私は罠にはまっていた
農大の女子大生は違うな、と思っていたら、糞の話の次が研究室の恋の話で女子大生だ! と感動を覚えた。このギャップ。糞から恋という流れ。今まで見たことがなかった。
その日の晩ご飯が豪華!
その日の晩ご飯が豪華!
※次のページから少々生々しい写真が登場します。苦手な方は目を細めてご覧ください(編集部)。

獣の肉を食べる

猟の実習が終わったら、その日は宿に泊まる。その宿のご主人も猟師である。そのため、晩ご飯には鹿肉が並ぶ。鹿のフライ。背ロースという鹿の一番美味しい部分を使った料理だ。それ以外にも鹿と熊を一緒に煮た料理もあった。
鹿と熊
鹿と熊
自分の過去の食卓を考え見ても鹿と熊が共演していたことはなかった。しかも今回は一皿で鹿と熊が共演している。喰うものと喰われるものがいま共に喰われている。猟師が見ればこの状態でも鹿と熊の違いが分かるらしいが、素人には分からない。
美味い!
美味い!
素人は鹿と熊を味で見分ける。獣臭いのが鹿で、さらに獣臭いのが熊だ。この獣臭いというのが問題で、ここで好き嫌いが別れる。私としては鹿が適度で美味しくて、熊は過剰でダメだった。しかし猟師に言わせれば鹿よりも熊だそうだ。
食後に猟師を囲む会があり就寝
食後に猟師を囲む会があり就寝

暖かい朝

猟師を囲む会は熊を撃った時の話などで大いに盛り上がった。猟への興味は非常に高い。猟師が減っているとは思えない。私は今回の体験を通じて8月に狩猟免許を捕ろうと決めた。罠限定だけれど。AT限定みたいなものだ、きっと。
寒かった!
寒かった!
この日は鹿の解体をする予定で、事前に撃たれていた鹿を運びに向かった。寒い、寒いと思っていたが、小菅村の人は「今日は暖かい」という。しかし、道路にある温度計を見れば「0℃」。村の暖かいのハードルは非常に低いらしい。
事前に捕まえていた鹿
事前に捕まえていた鹿
前日の猟で鹿が捕まらないことを見越して、2日前に捕まえた鹿を確保してあった。これを解体する場所に運ぶ。解体する場所と言っても泊まっていた旅館の前。この村では日常なのだ。
鹿に群がる女子大生
鹿に群がる女子大生
撃った鹿は猟師がさばく。そこまでが猟師の仕事だ。ちなみに罠猟の場合は、生きた状態で罠にかかるので、鉄砲を持った猟師を呼ぶか、長い棒の先にナイフをつけてとどめを刺す。
完全なる普通の道で鹿の解体が始まりました
完全なる普通の道で鹿の解体が始まりました

解体する

解体は猟師がまずお手本を見せてくれる。2日前の鹿なので内臓を捕り、血抜きも終わっている。そうしなければ生臭くて食べることができないのだ。なので、今回の解体は皮を剥ぐところから始まる。地域によって解体には差があるそうだ。
皮を剥ぐ
皮を剥ぐ
イノシシの場合は脂が多く、ナイフの切れ味が最後まで持たないそうだ。ナイフも猟師が研ぐ。猟師は狩猟免許だけではないのだ。免許を捕ってから学ぶことが多々ある。この辺は猟友会に入ると教えてもらえるらしい。なり手が少ないので大歓迎とのこと。夏になります。
肉になる
肉になる

遠くの犬

解体は先述の通り旅館の軒先で行われる。裏側には山があり犬の吠える声が聞こえる。猟に出ている人がいるのだ。裏と言っても歩くにはキツい距離だ。なのに犬の鳴き声が聞こえる。昨日の実習で犬がいなくてよかったと思う。私は犬が恐いのだ。
あっという間に解体は進む
あっという間に解体は進む
ちなみに罠猟には犬は必要ない。私が猟師になるとすれば間違いなく罠専門の猟師だ。罠専門の猟師も存在している。ただし罠も難しく、足跡から動物の完歩を考えて仕掛けたりしなければならない。そこにはやはり技術がいるのだ。
解体を体験する
解体を体験する
ナイフの切れは過去に私が使ってきたどの刃物よりもよく、皮と肉がまるでシールをはがすかのように別れた。皮はこの後、なめして製品として使うので、傷つけるわけにはいかない。とは言っても、皮に肉を多く残すのもなめす時に時間を食うのでダメ。猟師は技術だらけだ。
黙々と作業する
黙々と作業する
正直な話をすればもっとグロテスクなのだろうと思っていた。でも、そうではない。こうやって我々は生きて行くのだな、ととても月並みのことを思った。肉が美味しかったというのもそう思う大きな原動力だったと思う。無駄はないのだ。

解体する女子大生

たまに獣の匂いがする。冬場はまだいいのだそうだ。ちなみに捕った肉は猟師同士で均等に分けるが、犬も参加しているのである程度、犬の取り分もあるそうだ。鹿を捕れば犬の晩ご飯も豪華。素晴らしい仕組みだ。
鹿を解体する女子大生
鹿を解体する女子大生
女子大生も粛々と解体して行く。農大生だからなのか、今の女子大生がこうなのか、どちらにしろ非常にたくましい。妻にしたら驚くと思う。鹿の解体ができる妻。喧嘩とかしかないようにつとめると思う。
犬が来た
犬が来た
猟犬として二ページ目に出した犬はこの犬だ。山で吠えていた犬もこれ。肉の匂いを嗅ぎ付けここまで来たのだ。嗅覚がすごい。しかも解体済みの鹿がいるところにやってきた。ある意味、賢いと言えるかもしれない。
鹿から出てきた銃弾
鹿から出てきた銃弾

アイラブ小菅村

一体の解体は3時間ほど。人数や技術度で変化する。ちなみにこの村は朝七時に朝礼のような放送がなる。大きな音なので嫌でも目が覚める。さらにこの日は道が凍結していたので注意するようにという放送が6時50分にあった。まとめればいいのに! と思うがそこが村の優しさなのだ。
解体後は鹿カレーをいただく
解体後は鹿カレーをいただく
小菅村は鹿肉だけでなく、ヤマメなどの川魚も食べられる。日本一早くヤマメの人口孵化に成功した村なのだ。地味にすごい。観光地はと聞かれると、現状では頭の上に「はてな」が台風の雲のように壮大に浮かぶけれど、素晴らしい村なのだ。
ヤマメも美味しかった!
ヤマメも美味しかった!
言葉にできない「なんかいい」というのを心に秘め小菅村を後にした。田舎だから当然水が綺麗で、田舎だから当然空気が綺麗で、田舎だから当然懐かしい美味しさがある。そんな田舎だから当然がすべてあるのが小菅村なのだと思う。
それと奥多摩駅の車両とホームの幅が広かった
それと奥多摩駅の車両とホームの幅が広かった

夏に猟師になります

猟は疲れたけれど、全く知らない世界でとても楽しかった。動物のことを知ることもできた。獣より犬が怖いと改めて分かった。狩りガールなるものも本当に出現しているし、女子大生も楽しげだったし、猟の時代がくるかもしれない。この波に乗りたい。犬がいない罠猟で乗りたい。
精一杯
精一杯
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