山手線カウント作戦
電車の中で人々が何をやっているか調べてみる。
調べ方は単純に、電車の乗客が何をしているか見てカウントし、その割合と出していくものとする。
まずはお昼前後の山手線だ。都会の平均的な電車内でのの過ごし方が分かるだろうと選んだ。
池袋駅からスタートして、1時間ほどカウントした。
1時間くらいかけて340人の行動を調べた
結構みんなぼんやりしている
スマートフォンをいじっている人が多かったのは予想通りだったが、思いのほかぼんやりしている人が多い。
ちなみに「ぼんやり」というのは窓の外を眺めたり、車内ディスプレイの映像を眺めたり、虚空を見つめていたりしている人たちの総称である。全体的に何を見ているかはっきりしなかったので「ぼんやり」という枠に入れた。
特に大崎から品川を過ぎるあたりは、車内に中年男性サラリーマンがばかりになり、車内のぼんやり度は80%近くなった。
情報化社会に不服従する姿をそこに見た。
数えてみると、ぼんやりしている人が多数いた。
みんなスマホでなにしてる?
スマホを使っている人はスマホで何をしているかも気になっていたのだが、意外と外から見えないことがわかった。
他人のスマホってよく見えちゃっているような気がしていたが、そういえば隣の席に座っている人だったり、満員電車の中で前に立っている人だったり、どれも密着しているときだと気づく。
少し離れた人のスマホは、全然見えない。わりと当たり前のことを再発見した。
「見えたことある」という経験の多さより、見えない方がはるかに多い。
その他の人たち
「その他」に分類されたのには、「物件の間取りを見る」「化粧」「ゲーム」などがあった。意外にもゲームをする人は極小数だった。
食事をしていた人も2人いた。おにぎりを食べていた人とお菓子を食べていた人だ。
車内での食事については匂いがネックだと思うので、僕は気にならなかったものの、やはり「あ、この人今お腹すいてて我慢できないんだ」とは思ってしまう。
あとは楽譜読んでる人もいた。電車内で楽譜読んでる人ってかっこいいと、常々思う。
お昼どきだったので気持ちはわかります
カウントの苦労
昼の山手線の様子はだいたいこのような感じであった。
……と、これだけのことを言うために、まじめにカウントしていたのだ。そんなことをしていると、気のせいかもしれないが「なんだ?」という感じで見てくる人がいる。
確かにちょっと不審であることは認めざるをえない。この日は風邪予防のため深くマスクをしていたのだが、これが余計怪しく見えたのかもしれない。
ちょっとした苦労話である。そろそろこういう視線に耐性ができたり、回避する方法を習得してもいいと思うもののなかなか叶わない。
こういうアプリで数えていました
新幹線で人々は何をしているか
続いて新幹線での調査に移る。長距離移動の際、人々はどんな過ごし方をするのだろうか。
新幹線での調査は、東京駅から新横浜までの自由席に座っている人のしていることをカウントすることにした。
乗車時間は18分とかなり区間が短いが、傾向だけでもわかればいいだろう。
少しの間、ホームで待つ。厚着をしているのにも関わらず屋外の寒さを感じた。風邪悪化の予感。
車掌さんの影になる
さて、山手線でのカウントと同様に、まわりの視線をうまくかわすのが最も気を使った点だが、新幹線には車掌さんによる「切符の確認」というイベントがあって大変だった。
要するに通路を歩いて移動するのは車掌さんと僕だけというおかしな状況になってしまったわけだ。あまり近づきすぎて「先にどうぞ」と言われても困る。
ある程度距離をおきながら行動した結果、下手くそな尾行のようになってしまい、よけい怪しくなってしまったのではと今になって思う。
怪しさを恐れて却って怪しくなった。
「スマホ」「ぼんやり」を二大派閥にして、残りは細かく別れた
やはり強いスマホ派・ぼんやり派
ここでも最大派閥が「スマホ」派で、ほぼ同着で「ぼんやり」派が2位についた。足すと大体半分くらいになる。
残りを見てみると、かなりバラバラになっている。議会か。パソコンを立ち上げている人が多いのと、食事やお酒を飲んだりしている人がいるのが、山手線とは違うところだ。
新幹線だと大いに許される
戦局は膠着している
思ったより寝ている人が少ないのは、まだ始発の東京を出たばかりということが理由にあげられるだろうか。今お弁当を食べている人は後で、寝てしまうかもしれない。
ギリギリのところで「スマホ」「パソコン」等の情報機器陣営の割合が勝っているが、「食事」「おしゃべり」派が適当なところで寝てしまうことで「ぼんやり」「睡眠」の無意識陣営が多数派になることを予感させる。
いや、グループ分けをしているのは僕だし、しかもグループ同士で戦っているわけでもないのだが、なんとなくそういった「政局争い」みたいなものを想像してしまうではないか。
静かに派閥が出来上がろうとしている……。
カウントしなかった人
余談だが、新幹線を降りた新横浜駅で「携帯電話で話しながら電話の相手に深々とお辞儀する人」を初めてリアルで見た。さすがビジネスの街である。
が、車内でもないし時間の過ごし方でもないのでカウントせず。
よろしくお願いされた。
最後は「東急こどもの国線」
最後にやってきたのは東急こどもの国線。「長津田駅」と、児童施設こどもの国がある「こどもの国駅」を結ぶ総延長3.4km、全線乗っても7分しかかからない小規模な路線だ。
ローカルな感じの路線ではどのようになるのか。夕方、日の暮れる頃に往復してみた。130人分をカウントした結果が以下。
二両編成の車両
駅は3つ。こどもでも数えやすい。
おしゃべり派が多いのはなぜか。
やはりスマホとぼんやりは2強……と思いきや
最大派閥は「スマホ」派と「ぼんやり」派だが、ここに来て「おしゃべり」派が急上昇した。仲の良い人が数人で電車にのることが多いことがグラフから読み取れる。
終点の子どもの国駅には住宅地があるため、知り合い同士や家族で電車に乗る人が多かったような印象がある。休みの日は、こどもの国に行く客でごった返すそうなので、家族の割合ははますます増すだろう。
新たな第三極の登場だ!
まったく新しい勢力が現れた
以上がこどもの国線の乗客がやっていることの特徴である。
早く帰りたい
気温が下がってきたので早く帰りたい。でも、電車が来ない。仕方なくしばらく時間をつぶすことになった。
ということで最後に、寒さに震えながらこどもの国駅周辺を散策してみたときの様子でお別れしたい。
しかし、今になってみるとあまりその時の様子が思い出せない。写真を見ながら思い出してみよう。
駅前は広い駐車場があるぞ!
近くにある巨大なマンションには足場が組んであってかっこいい!
公園にはこどもがいっぱいいる!
なにっ、危険なのか!?
確かに危険だ!
そうこうしていたら日が暮れてきましたとさ……。
ぼんやりしてる人、多い
僕の健康を犠牲にしながらも、「電車でスマホをいじっている人の割合は、ぼんやりしている人の割合と同じくらい」ということが、まさにぼんやりしたことがわかった。
いつか「最近の人はスマホばっかりいじって~~」ということをいう人を見つけたら「いや、ぼんやりしている人も結構いる」と教えてあげて欲しい。
そしたら僕の健康もきっと喜ぶだろう。