特集 2014年2月4日

バレットタイムを雑に撮影する

バレットタイム撮影中
バレットタイム撮影中
バレットタイム、という撮影方法がある。
どういうモノかというと、つまりはアレだ。マトリックスで銃の弾を避けた主人公の周囲をぐるーっと回り込む、例のあの映像を撮るやり方だ。
撮影機材も大量に必要ですごく大変な方法なのだが、あれをもっとローコストに、もっと言えば雑に大雑把に成し遂げられないだろうか。考えてみた。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

本物はどうやっているのか

本物のバレットタイムは、すごく大変な撮り方をしている。
被写体の周りを取り囲むようにカメラをとにかくいっぱい並べる。そして、回り込みたい方向に一台ずつ順番にカメラのシャッターをダダダダダタ、と連続で切るのだ。
大まかに、こんな感じ。
大まかに、こんな感じ。
その撮影した画像をつなぎ合わせると、あのかっこいい動画が出来上がるのだ。
ただ、例えば1秒の動画を作るのに30コマの画像をつなぎ合わせる必要があるとして、10秒ではカメラが300台必要になる計算だ。
そんなものは個人でどうにかなる話ではない。

ただ、実は弊サイトですでにライター伊藤さんが、カメラ一台をブン回しながらスーパースロー撮影することでかっこよくバレットタイムするメソッドを生み出していた。
さすが、手元にある機材と気持ちだけでなんとかするサイト、デイリーポータルZ。

とにかくスーパースローが撮れるカメラが一台あれば、それを回転させることでなんとかなることは分かった。
じゃあ、漠然とだけどやってみようじゃないか。

早速バレットタイムする

いま、あなたの目の前に、ふかふかのタオルにくるまれて、生まれたての子猫がみゃーみゃーと鳴いているとしよう。
どうだろうか。ほんわかと優しい気持ちになれたのではないだろうか。

その気持ちをキープしたままでご覧いただこう。
これが撮影時間わずか3分のバレットタイムだ。

優しい気持ちで見れば、ギリギリでバレットタイムっぽく見えなくもないと思う。
「何か違う!」という憤りを感じたら、その時はふかふかタオルにくるまれた子猫を思い出して欲しい。きっと大丈夫なはずだ。

もはや説明の必要なんか無いとは思うが、いちおう撮影環境は下記のようになっている。
カメラ一台のシンプルバレットタイム。
カメラ一台のシンプルバレットタイム。
人工芝の撮影ベースの下にある丸い台は、お総菜などのお皿を載せて回転させられるお盆である。
ここにモデルとしてフィギュアを載せて回転させ、あとは据え置いたカメラでスーパースローを撮れば、バレットタイムに近いことはできると思ったのだ。
手で回転させながら撮影タイミングをはかるのが、意外と忙しい。
手で回転させながら撮影タイミングをはかるのが、意外と忙しい。
撮影はスローのスピードを小刻みに切り替えつつ、油断するとすぐ止まってしまうお盆をこまめに回しつつ、で行う。
とにかく盆を回すのが忙しい。今の僕はDJポリスなんかよりもずっとDJだ。
回り込む感じのバージョン。(音が出ます)
さらに著作権フリーのBGMなどを追加してみると、そんなに悪くないように見えてくるから面白い。

しかし、盆を回しながら撮るのはそこそこ大変だったのが想定外と言える。
手軽に雑に撮るつもりでいたのに、労力をかけてしまったのが腹立たしい。
より手を抜いて雑にバレットタイムを仕上げる方法がないか、模索してみよう。

おそらく世界一雑なバレットタイム

次は外でスペースを使っての撮影なので、フィギュアではなく人間をモデルに使いたい。
我が家から徒歩3分のところに住んでいるご近所ライターの大北さんに手伝ってもらう事にした。
いま一番のポーズは「脇を広げて乾かすポーズ」と語る大北さん。
いま一番のポーズは「脇を広げて乾かすポーズ」と語る大北さん。
さて、だ。
今度は目の前に、ふかふかのタオルにくるまれて、生まれたての子猫がなんと2匹、みゃーみゃーと鳴いているとしよう。
2匹とも、鳴きながら大きな目であなたをじっと見ているとしよう。

どうだろうか。先ほどよりもさらに優しく温かな気持ちになれたのではないだろうか。

そこですかさずこの動画だ。
これが世界最雑なバレットタイムだ(音が出ます)
なにかあったら、ゆっくり深呼吸しながら子猫(2匹)を思い出して欲しい。
子猫を見る時の優しい気持ちでいれば、これぐらいでも充分にバレットタイムに見えるのではないか。

さて、どうやって撮影したかという説明をしようと思うのだが、冒頭のBGM無い部分に僕の「ハアハア」と荒い息が入っているし、なにより大北さんの周りに移動する影ががっちり写り込んでしまっている。

これ以上なにをどう説明したらよいのか見当もつかないが、いちおう説明画像は作ってみた。
わかりやすい説明gifアニメ
わかりやすい説明gifアニメ
要するに、大北さんに静止したポーズをとってもらって、僕がその周りをカメラを持ってぐるぐる回転していたのだ。

回転させるための機材も三脚も何も要らない。スロー撮影ができるカメラさえあればいつでもどこでもバレットタイムが撮れるのである。

人間が走るスピードで回転するのが精一杯なので、バレットタイムならではの「ジャンプして空中でピタッと止まったところをグルッと回り込み」みたいなのは不可能である。
しかし、モデルさんの筋力と持久力次第ではまだいろんな動画は撮れそうだ。
最後に持久力の限界が来た大北さん(音が出ます)
スロー撮影できるカメラと、頑張ってくれるモデル。それだけあればいつでもバレットタイムが撮れるという提案、いかがだったろうか。
撮った動画を人に見せる時は、事前に子猫の写真も用意しておくと良い。

今回一番役に立つ情報は、人にくだらないものを見せる時は子猫の写真と一緒に見せると良い、というテクニックかもしれない。
実際にやってみると、思っている以上に優しい気持ちで許してもらえるので便利だ。
僕もiPhoneの画像フォルダに、こういう時のための著作権フリーの猫画像を持ち歩くようにしている。
身も蓋もないフォルダ名。
身も蓋もないフォルダ名。
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