特集 2014年1月30日

かまいたちの夜、みたいな夜を

どこかで見たことあるやつ
どこかで見たことあるやつ
サウンドノベルが好きだ。
やったことのある人が多いだろうが、サウンドノベルとは本のようにテキストを読み進めていき、時折現れる登場人物の行動を選択するとストーリーが変わるといった内容のゲームである。
サウンドノベルといえば、弟切草、街、428と名作が多いが、あえてひとつあげるならば、「かまいたちの夜!」と答える人は多いのではないだろうか。僕もそのひとりだ。
友達に何気なく借りてきて、プレイしてみたはいいものの、何度もバッドエンドに迷い込み、吹き荒れる吹雪のゲームオーバー画面を呆然と見つめていたことを思い出す。
父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。(動画インタビュー)

前の記事:産みまくれ!海亀散卵マシン


ストックで殺されてしばらく放心状態。
ストックで殺されてしばらく放心状態。
抜群に面白くて犯人が気になるけれど、怖くてプレイしたくない…そんな不思議な作品だった。
そんなかまいたちの夜の世界観を作り出したい!普通に考えれば写真素材を探して、画像編集ソフトで画像の切り貼りをすればいいのだろうが、僕にそんな能力はない。仕方がないので、無理やり工作でなんとかしよう。
かまいたちの夜のゲーム画面は、写真背景に青紫の登場人物のシルエット、その上にテキストといった構成でできている。
シンプルだけど画期的なゲームシステム。
シンプルだけど画期的なゲームシステム。
これを人力で何とかする。
さっそく東急ハンズで青い透明プラスチック板を買ってきて切る。
おらおら~
おらおら~
次にシルエットの参考にするため、写真を撮る。
誰かに語りかけているポーズ。
誰かに語りかけているポーズ。
写真を表示させたタブレットを使えば、簡単にシルエットが写し出せた。
これぐらいしか今回の工作書くことないぞ。
これぐらいしか今回の工作書くことないぞ。
プラスチック板をはさみで人型に切り取る。
慣れてきたので、フリーハンドでざくざく切る。
慣れてきたので、フリーハンドでざくざく切る。
切り取ったプラ板に透明のプラスチック棒を貼付けて、持ち手にすれば…
どこでもサウンドノベル!
どこでもサウンドノベル!
工作が完成したところで、今どこにいるのか紹介させて頂きたい。
ここは長野県白馬村にあるペンション、クヌルプの一室だ。
気づかれた方もいるだろう。そう、かまいたちの夜の舞台になった場所だ。
かまいたちの夜のゲーム内で使われている背景写真は、ここ、クヌルプで撮影されたものである。ファンの中では聖地として有名らしい。
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大阪から白馬まで電車で5時間

駅につくと、クヌルプのオーナーさんが車で迎えにきてくれた。この日の天気はなんと吹雪。ゲームの設定と同じだ。
雪をオレンジ色に染めている街灯が、ペンションに近づくにつれ少なくなっていく。ゲームでも、吹雪の中、車を走らせペンションへ向かう場面があった。
高まる臨場感。
高まる臨場感。
辿りついたクヌルプの外観がこちらだ。
見たことあるやつ~!
見たことあるやつ~!
レンタルスキー用具の小屋を後々建てたそうだが、それ以外はゲームの世界観そのままだ。
興奮するっ!今ここで興奮していない方は、この先、オーナーが親切でご飯も美味しい素敵なペンションでプラ板持ってはしゃいでいる展開が続くのでそっとブラウザを閉じてほしい。
ハァ~ア、既視感~!
ハァ~ア、既視感~!
凄い。今にも影っぽい人が入ってきそうである。
フゥ~ウ、階段の角度ステキ!
フゥ~ウ、階段の角度ステキ!
主人公が談笑していたロビーだ!「こんや、12じ、だれかがしぬ」と書かれた怪文書の存在から物語が転がりだす。
建物の間取りもほぼ同じ。
建物の間取りもほぼ同じ。
ファンの人が持ち込んだという、旅ノートがあった。かまいたちの夜に対する熱い想いが書き綴られている。ペラペラ読み進めていると、なんと「かまいたちの夜」の原作者である我孫子武丸先生の書き込みがあった。過去の作品の舞台になったペンションに、推理作家が訪れる…
何らかのミステリーが起きそうな気しかしない。
我孫子先生が宿泊された次の日にペンションを訪れたお客さんが、「えっ!昨日、我孫子先生来てたんですか?うそっ!えぇー」と紙にめり込むような筆圧で書いていたのがおかしかった。かまいたちの夜に対する愛をひしひしと感じる。
「こんや12じ、たぶん ばくすい」
「こんや12じ、たぶん ばくすい」
夢中になって写真を撮っていると夕食の時間になった。
食堂ももちろん、みたことあるやつ~
食堂ももちろん、みたことあるやつ~
ゲームでは「ペンションとしてではなく、レストランとしてでもやって行けそうだ」と主人公が言っていたが、本物はどうなのか。
う、うまい。
う、うまい。
おそらくこれはフレンチというやつだ。野菜がシャキシャキだ。じいちゃん家の裏庭でとれた野菜の味を思い出した。馴染みはないがどこか家庭的で懐かしい味がする。パンもおかわりも自由なのでモリモリ食べる。
よくわかんないけど美味しいやつ(1)
よくわかんないけど美味しいやつ(1)
よくわかんないけど美味しいやつ(2)
よくわかんないけど美味しいやつ(2)
プレイした人にはおなじみのミシシッピ・マッドケーキ、なんとクヌルプに実際にあります。
文字でしかみたことないやつ~
文字でしかみたことないやつ~
食べたことないやつ~
食べたことないやつ~
どろりとした甘いチョコの中に混じっている、カリっとしたナッツ。
泥っぽいからマッドケーキだったのか!長旅で疲れた体に甘さが染みる。
あぁ、お腹いっぱい。ソファもふかふか。幸せだ。
あぁ、お腹いっぱい。ソファもふかふか。幸せだ。
本来の目的を見失っていた。かまいたちの夜っぽい写真を撮ることが目的だった。そのために大阪からわざわざ長野まで、プラスチック板を持ってきたのだった。
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撮れた写真はこちら!
ひとり写真。
ひとり写真。
ひとり写真。集合写真。
ひとり写真。集合写真。
おぉ、想像以上のかまいたち感。
しおりみたいにプラスチック板を本にはさむと、たくさん並べられます。
群像劇
群像劇
せっかくなのでいろんな登場人物を作りました。

モヒカン

髪が凶器になりそう。
髪が凶器になりそう。

力士

「ごっつぁんで~す」
「ごっつぁんで~す」
「廊下でシコふんだら怒られました」
「廊下でシコふんだら怒られました」
「マスター、いつものちゃんこ」
「マスター、いつものちゃんこ」
窓の外に力士。
「親方~!ヒートテックのまわし凄くいいです~」
「親方~!ヒートテックのまわし凄くいいです~」

露出狂

迫りくる恐怖。
迫りくる恐怖。
窓の外に露出狂。
雪国の露出狂は命がけ。
雪国の露出狂は命がけ。
このシルエットは、
スネちゃま!
スネちゃま!
夢の競演も思いのままである。
このゲーム4人用だから…(生き残ったのが2人なので遊べない)
このゲーム4人用だから…(生き残ったのが2人なので遊べない)
続いて、この人。
真実はいつもひとつ!
真実はいつもひとつ!
もしもの時には頼りになりそうだが、この人がいるせいで殺人事件に遭遇する確率があがりそうだ。金田一少年よりは一つの事件における犠牲者が少ないのでマシかもしれない。
体は子供、頭脳は大人…
体は子供、頭脳は大人…
だから漏らした!
琵琶湖の形にっ!
琵琶湖の形にっ!
どうもっ!コナンから産まれた琵琶湖です!
どうもっ!コナンから産まれた琵琶湖です!
夜中、突然訪ねてきた琵琶湖。
「来ちゃった」
「来ちゃった」
プラ板を動かしつつ、写真を撮ると躍動感が出る。
「親方~!」
「親方~!」
襲いくる力士。
筒井康隆の走る取的みたいだ。
アグレッシブな露出狂。
アグレッシブな露出狂。
真犯人、琵琶湖。
真犯人、琵琶湖。

五感で感じるかまいたち

せっかくなので、ペンションでiPhoneアプリ版のかまいたちの夜をプレイしてみたのだが、微妙に作中の小道具がスマホになっていたり、スキーがスノボに変更されていたりして時代の流れを感じた。
この場でプレイする贅沢感。
この場でプレイする贅沢感。
かまいたちと関係ないひとたち。
かまいたちと関係ないひとたち。

今回の記事では、かまいたちの夜を無理やり工作で再現したわけだが、写真で合成しただけだったらこれだけ興奮することはできなかっただろう。
ペンションに入った時のやわらかい空気、ミシシッピ・マッドケーキのどろりとした甘さ、談話室のソファに沈みこむ感触。全て実際に現場で合成したから感じられたものである。
なんでもパソコンで簡単に作れてしまう今だからこそ、実際の体験によって得られる感触に価値が生まれるのではないだろうか、とそれっぽい話にしてオナラこいて寝ます。
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