特集 2013年12月24日

ハリセンボンの皮は針を全部引っこ抜いて食べるとけっこう美味い

裏側から抜くのがコツ

サッと火が通ると、頑丈だった皮も一気に柔らかく、そして脆くなる。とはいえ、単に先端を引っ張ってもスパイクのせいで針はなかなか抜けてはくれない。無理にぐりぐり引けば抜けないこともないが、皮が破れたり針が抜けた後の穴が大きくなってしまい見栄えが悪くなる。
湯通ししてもなお表からの引張りにはそこそこ耐える
湯通ししてもなお表からの引張りにはそこそこ耐える
そこでスパイクが干渉しないよう、皮を裏返して根元のほうから抜いてやることにした。
皮を裏返してテンションをかけると、例のスパイク状突起が透けて見える。これを骨抜きでつかんで引っ張る。
皮を裏返してテンションをかけると、例のスパイク状突起が透けて見える。これを骨抜きでつかんで引っ張る。
ずぽぉ…ときれいに抜けた!快感!!
ずぽぉ…ときれいに抜けた!快感!!
この作戦が功を奏し、スローペースではあるが着実に針を抜けるようになった。だが敵は数の暴力でこちらを苦しめてくる。抜いても抜いても終わらないのだ。だがここからは小細工の使いようも無い。根気の勝負だ。

抜いても抜いても抜いても抜いても…。抜けども抜けども抜けども抜けども…。
抜いても抜いても抜いても抜いても…。抜けども抜けども抜けども抜けども…。
中学か高校生の頃、テレビ番組でハリセンボンの針は1000本じゃなくて実は350~400本程度しか無いという話を聞いた。「何だよ、意外と少ないな~。誇大表記じゃん。」と思ったものだが、今こそ考えを改めたい。400本でも十分多い。多すぎる。やってられない。
初公開、ハリゼロホンの皮。目立つ大きな穴は表側から無理やり抜いた際に開いたものと胸ビレの跡。
初公開、ハリゼロホンの皮。目立つ大きな穴は表側から無理やり抜いた際に開いたものと胸ビレの跡。
3時間以上はかかっただろうか。ようやく特に小さな二尾を丸裸にできた。ここで完全に精根尽き果てた。もうこれ以上は無理だ。味見するには十分な量だろう。残りの皮には一旦冷凍庫へ戻っていただいた。

美味い!美味いよ?美味いけど…。

さあ、いよいよ待ちに待った試食である。努力の結晶である皮を刻んでネギともみじおろしを添えればハリセンボンの皮の湯引きの完成だ。
一手間どころか四百手間はかかっている湯引き。
一手間どころか四百手間はかかっている湯引き。
透き通っていてとても美味しそうだ。
透き通っていてとても美味しそうだ。
さっそく添えた薬味とポン酢で食べてみる。これだけ頑張って不味かったらどうしよう…。
あー、なるほど。確かにイケる!
あー、なるほど。確かにイケる!
…美味しい。特に味らしい味や匂いがあるわけではないのだが、食感が良い。プリプリしてクニクニした、いかにも「コラーゲンの塊です!!」という食感はなかなか心地良い。
なんだろう。上品というか「オツ」な食べ物だなという印象を抱いた。

でもこの程度なのか?と言う思いも大いにある。だって目茶苦茶な手間をかけたのだ。ちょっとの美味しい!やそっとのデリシャス!では割に合わない。悪あがきとして湯引き以外の料理も模索してみたい。

加熱しすぎると溶け去る

というわけで中華炒めの具にしてみることに。
だが、鍋に皮を投下した瞬間にその選択が間違いであったことに気づいた。
炒めると溶ける!
炒めると溶ける!
みるみるうちに溶けていく!冷静に考えれば想定できそうなものだが、このときはあまりに疲れていたのだ。急いで火を止め、皿に盛る。
これくらいトロトロになれば針を除くのも簡単だろうな。残りの皮は煮こごりにでもしてしまおうか。
これくらいトロトロになれば針を除くのも簡単だろうな。残りの皮は煮こごりにでもしてしまおうか。
炒めた皮は流れ出しそうなほどに溶けてしまっており、食感も何もわからなくなってしまっていた。分厚く頑丈で手ごわい皮だったが、加熱しすぎると溶けてなくなってしまうようだ。なるほど、道理で現地のレシピを調べてもほぼ湯引きしか出てこないわけだ。

美味しかったけど、もう作らない

針を抜いたハリセンボンの皮は美味しかった。確かに美味しかった。だがまたあの作業を繰り返してまで口にしたいとまでは思えない。おそらくもう二度と国内でハリセンボン皮の湯引きを食べることは無いだろう。沖縄の水産試験場が種無しブドウよろしく針無しハリセンボンを開発してくれれば話は別だが。
沖縄の漁港には巨大なガンガゼ(毒ウニ)の一種が多い。こいつの針は何本あるんだろう。
沖縄の漁港には巨大なガンガゼ(毒ウニ)の一種が多い。こいつの針は何本あるんだろう。
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