特集 2013年11月22日

さらに「マンションポエム」を分析する

ポエムではあるけれど現実も見ている千葉と埼玉

方針として、山手線内側のエリアを「真性ポエムゾーン」として、ほか3エリアをそれぞれこのゾーンと比較していこう。

なぜここを「真性」とするかというと、やっぱりなんだかんだいって港区あたりの2億円するような超高級マンションのポエムは格別だからだ。だって
ここでの暮らしは、どこかニューヨークのそれに似ている。

Mid Southern Style

やすらぎは、にぎやかさのすぐ横にある

東京、まん中、やや南

人は、この場所を「ミッドサザンエリア」と呼ぶ。

さあ、御殿山の、あの森へ。

御殿山の静寂と煌めきの中で始まるタワーライフ。
なんていう名作ポエムがあるエリアだもの(「ミッドサザンレジデンス御殿山」三菱地所レジデンスより)

さて、この「真性ポエムゾーン」と千葉+埼玉を比べてみよう。
千葉+埼玉は「詩的リアリズムゾーン」と名付けたい(フランス映画の分類とは関係ありません)。
千葉+埼玉は「詩的リアリズムゾーン」と名付けたい(フランス映画の分類とは関係ありません)。
前述のように母数がぜんぜんちがうので出現頻度数はあまりあてにならない。順位だけ見ていただきたい。

傾向としては、千葉+埼玉エリアは「駅前」とか「日当たり」とか「環境」「便利」などの具体的な語があるが、都心にはそれがない。変わりに「本質」とか「哲学」などのいかにもポエムな語は都心だけに見られる。

興味深いのは「ともに・一緒」「家族」などが 千葉+埼玉エリアに特有で、それと対比されるように都心には「自分」「わたし」が目立つ。これは郊外のマンションのファミリー重視と都心の金持ちシングルも視野に入れたマンションとの違いだろうか。

意外だったのは「歴史」系は共通して上位にある。会わせて「上質」とか「快適」とか「静けさ」も共通していて、これらはマンションポエムの基本ワードといえそうだ。

ただ、千葉+埼玉の「新しい」系と「開発・発展」系の 優勢と、縄文から江戸、昭和までの歴史を動員しっぷりを見ると、「歴史のなさへのコンプレックス」も感じる。

そんな中で謎なのは「継ぐ・継承」系が郊外に特有な点。これもコンプレックスの裏返しだろうか。

以上から、千葉+埼玉エリアはポエムでありながら具体的なメリットを謳うという特長から「詩的リアリズムゾーン」と呼びたい。

さて次は東京東部だ。

郊外と都心のいいとこ取り「江戸ゾーン」

荒川区・墨田区・江東区・江戸川区など東京東部エリアと都心とを比べた。東部エリアはやはり「江戸ゾーン」と呼びたい。
荒川区・墨田区・江東区・江戸川区など東京東部エリアと都心とを比べた。東部エリアはやはり「江戸ゾーン」と呼びたい。
「カンで文京区内の、本郷通り-白山通りのラインで分けた」と解説したが、カンは当たったようだ。やはり傾向が異なる。

「歴史・伝統」系が東部に多い。ランキング同じぐらいじゃない?とお思いかもしれないが、さきほどの千葉+埼玉とちがって、この2つは語の母数がほぼ同じなのだ(東部エリア:2690、都心:2708)。それを考えると27と17の差は大きい。

そしてやはりというかなんというか「和」とか(ちなみに"Wa"は【いまも変わらない 和 と、変わり続ける Wa が、 心を和ませる。】という絶妙のポエムが元) 「江戸」が多いのが下町っぽい。

この「歴史・伝統」と「和」「江戸」からも分かるが、印象としてもこの東部エリアの「江戸推し」は顕著だ。したがってこの東部エリアは「江戸ゾーン」と呼びたい。
江戸ゾーンの具体例。随所に絵に描いたような「和」が。
江戸ゾーンの具体例。随所に絵に描いたような「和」が。
一方でおもしろいのは「東京」がすごく多いのと「区内」という特有の言い方だ。江戸・下町という武器で港区あたりと対抗しつつも、「いやでもれっきとした23区内だし!」という主張も忘れない。

同時に「緑」「駅前」「家族」といった千葉+埼玉の特長も併せ持っている。つまりここ東部は「江戸」というキーワードで「真正」と「リアリズム」のいいとこ取りをしているのだ。なかなかやるな!

マンションポエム界の火薬庫「臨海部」

なんだかデイリーポータルZらしからぬ表ばかりの記事でもうしわけない。でもおもしろいでしょ?おもしろくない?おもしろいよねえ?

さて、最初に「結論:臨海部やばい」と書いたが、いよいよその臨海部だ。なにがどうやばいのか。まずは具体例を読んでいただきたい。いまマンションポエム界で最もアグレッシブな作品だ!
世界へ 挑む、 東京。

東京を駆け抜ける人々へ。

その充実の日々は、いつしか"東京"という巨大な都市に根付く夢の塊を突き抜けて、世界へ向かい始めていることでしょう。

「忙しい」や「多忙」という生き様の言葉を日本流に解釈する時代は終わりました。

あなたは、その「忙しさ」をしなやかに包みこむ空間を所有すべき時にいます。

既存の東京、すなわち夢の塊で膨張した街に所有すべき空間を探すことでは、世界基準には到達できません。

「無色の東京」が東京の中にあります。

それはフロンティアの場所。 フロンティアとは、未開地を意味するのではなく、「国境」を指す。

東京の中の世界のフロンティア。

東京ベイエリア、晴海のアドレスが有する進化ポテンシャル。

世界へ挑む、あなたにふさわしい「私極」の空間が、そこに誕生します。
どうですかこのすばらしいポエム!住友不動産の "DEUX TOURS" というマンションのものだ。たくさん見てきて、いささかスレちゃったぼくもこれにはびっくり。今のところポエム最高峰に据えている名作だ。

さて、テンションが上がったところで比較を見てみよう。
他3エリアにはない独自の世界観が光る。「キラキラゾーン」と呼びたい。
他3エリアにはない独自の世界観が光る。「キラキラゾーン」と呼びたい。
前述したように、申し訳ないことに臨海部の語数は少ない。都心エリアのおよそ半分1390しかない。なので、いささか信頼性に欠けるがご容赦いただきたい。 デイリーポータルZは論文ではないのである。

さて、まず目に付くのは他エリアにはないポエム単語だ。同じ「生活・暮らし」系だが、臨海部においてはそこに「生き様」という語が含まれている。「都市・都心」系にも「アーバン」という語がいる。

他にも数は少ないながら「フロンティア」「惑星」「銀河」「プラネット」といった香ばしい語が散見されることと、「煌めき」系が強いことと合わせて、ここ臨海部エリアを「キラキラゾーン」と呼ぶ次第だ。ただでさえポエムなのに、その中でもなお存在感を放つとは、まさにマンションポエム界の火薬庫である。

興味深いのは「歴史」がないこと。これはその大部分が埋め立て地なのだから当然だが、同時に「未来」系も弱いのが意外だ。いわば臨海部には「現在」しかないのだ。そして「景色」もない。

一方で「東京」が第1位。これは江戸ゾーン以上の東京であることの主張だ。 これはぼくには「東京なのにそうは見えないことへのコンプレックス」に見える。

以上を合わせて考えるに、前述の実例に「無色の東京」とあったのは臨海部のメンタリティをよく表していると思う。
ということで、これが現時点での暫定「マンションポエムゾーニング」だ(大きな地図で表示
今後もマンションポエムを見ていきたいが、特に臨海部に特に注目したい。これはやばい。

見つけたら教えてください

いささか理屈っぽい(?)記事になってしまったがどうだろうか。おもしろいよねえ。

集め始めた当初は「こんな言い方しちゃってー」と半笑いだったが、いまやぼくは真顔である。

【告知】マンションポエムももちろん話します!2013年11月30日(土)イベント『 千葉 vs. 東京 』

千葉っ子のアイデンティティを賭けて、その名も「千葉 vs. 東京」というイベントをやります。今回のマンションポエムの千葉と東京の比較から、以前デイリーポータルZで書いた「どこまで東京?」など、あの手この手で千葉と東京を対決させてみます!詳しくは【→こちら
台地の形を重ねたら津田沼は上野に相当します。なんかしっくり。
台地の形を重ねたら津田沼は上野に相当します。なんかしっくり。
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