特集 2013年11月14日

「鉛筆一万本超えちゃいまし展」に行ってきた

でかい鉛筆のはりぼてと記念撮影
でかい鉛筆のはりぼてと記念撮影
以前当サイトでとりあげた、ヘブライ雑貨と文房具店のエフロノット(「大阪にあるヘブライ雑貨の店がおもしろい」)。

そのエフロノットの隣接スペースで、古い鉛筆の展示会「鉛筆一万本超えちゃいまし展」をやっている。全ての鉛筆はエフロノット店主のお父さん、山台坦さんの個人所有の物だという。

鉛筆に全然興味なかったけれども、ちょっと圧倒されました。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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一万本を超える鉛筆が展示されている

鉛筆型の什器(じゅうき)にぎっしりと鉛筆が詰め込まれている。
当初は「鉛筆一万本集まりまし展」というタイトルだったが、準備している最中に「これはどう考えても一万本超えているぞ」ということになり、「鉛筆一万本超えちゃいまし展」に変更したそうだ。

まずはざっと観てみよう。
鉛筆を展示するために家具職人に特注したという什器
鉛筆を展示するために家具職人に特注したという什器
ほとんどが数十年前の古い鉛筆、戦前の物もあるという
ほとんどが数十年前の古い鉛筆、戦前の物もあるという
レトロかわいいのいっぱいある
レトロかわいいのいっぱいある
ミニーの表情もちょっと今とは違う
ミニーの表情もちょっと今とは違う
まるで文房具売場みたいだけれども、実際の売場には同じものこんなにいくつも並べていないだろう
まるで文房具売場みたいだけれども、実際の売場には同じものこんなにいくつも並べていないだろう
1964年東京オリンピックの協賛鉛筆
1964年東京オリンピックの協賛鉛筆
また東京でオリンピックやるけれども、もうこんな風に鉛筆作ったりはしないんだろうな
また東京でオリンピックやるけれども、もうこんな風に鉛筆作ったりはしないんだろうな
わりと最近の鉛筆も展示してある。別に懐古趣味というわけじゃないみたいだ
わりと最近の鉛筆も展示してある。別に懐古趣味というわけじゃないみたいだ
ここら辺だとちょっと懐かしいような気もする
ここら辺だとちょっと懐かしいような気もする
ジョンソン&ジョンソンのバンドエイド鉛筆、ニッスイの鮭缶鉛筆
ジョンソン&ジョンソンのバンドエイド鉛筆、ニッスイの鮭缶鉛筆
ファンタ鉛筆、ライオン歯磨鉛筆、金属磨き・ガラス磨き鉛筆。「昔はノベルティというとすぐ鉛筆を作った」そうだ
ファンタ鉛筆、ライオン歯磨鉛筆、金属磨き・ガラス磨き鉛筆。「昔はノベルティというとすぐ鉛筆を作った」そうだ
毎日放送、朝日新聞、NHKと報道関係の鉛筆は速記用。4Bとか3Bの軟らかいやつ
毎日放送、朝日新聞、NHKと報道関係の鉛筆は速記用。4Bとか3Bの軟らかいやつ
1930年代の鉛筆
1930年代の鉛筆

見どころは「什器」

見るからに貴重な鉛筆がダース単位で置いてある。でももったいないことに鉛筆に関しては全然知識がない。主催の山台担さんにこの展示の見どころを聞いてみた。
!
「まずね、什器を観ていただきたいってのがあるんですよ」

え、鉛筆じゃなくて什器?
特注の入れ物。確かに立派
特注の入れ物。確かに立派
山台「もともと戦前の什器に『鉛筆塔』ってのがあって。これは珍しい、今では出てこない物です。ここからヒントを得て作ってもらったんです。請け負ってくれた人もそこのこだわりちゃんと理解してくれてね、『おっしゃ!』ってところです」
これが「鉛筆塔」。実際に文房具屋さんで使われていたそう
これが「鉛筆塔」。実際に文房具屋さんで使われていたそう
山台「それぞれの時代にそれぞれの鉛筆がありますからね。鉛筆に関してはどれがおすすめってのはないです。でも、什器は宝物ですね」

貴重そうな鉛筆がいっぱいあるのに、自分プロデュースの什器がおすすめ。対象への思い入れが二周半くらいしていると思う。
「なんかわかりやすくおもしろいのありますか?でかい鉛筆とか」って聞いたらちゃんとあった。ジャンボ・ユニ
「なんかわかりやすくおもしろいのありますか?でかい鉛筆とか」って聞いたらちゃんとあった。ジャンボ・ユニ

広告がおもしろい

古いの文房具の広告も展示されている。これが、正直鉛筆そのものよりもおもしろかった。
「そよ風に乗るグライダーのような書きごこち」で、えんぴつくんが空を飛んでる
「そよ風に乗るグライダーのような書きごこち」で、えんぴつくんが空を飛んでる
「強くあれ 黒くあれ 滑らかであれ」で、カブトムシが出てくる
「強くあれ 黒くあれ 滑らかであれ」で、カブトムシが出てくる
鉛筆の書き心地の観念がひとりあるきして、すごく遠いところに行っている。まるっきり詩だ。

山台「この時代ってタレントも何もないですからね。全部自分の知恵でやっていかなくちゃいけないっていう…今では考えられないですね」

収集歴は6年

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―― そもそも山台さんが鉛筆を集めているのってなんでですか?

山台「小学校の頃、鉛筆買ってもらえない時期があって、貧乏じゃないけれども贅沢をさせない家だったんですよね。短くなるまで使い切らないといけなかった。
友達は良い鉛筆をいっぱい持っていてうらやましかった。特に薬局の友達とかね(ノベルティの鉛筆をたくさん持っている)。
それで田舎帰るとおばあさんがかわいそうだっていって鉛筆買ってくれたりして。そういう思いがあるんですよね。それを還暦になって思い出して

山台さんは現在66歳。なんとここ6年間くらいの鉛筆趣味であった。山台さんは「大人買いですね」なんていって笑っていたけれども、レベルが違う。

ちなみに、この展示場とイスラエル雑貨のエフロノットが入っている梅田サービスビルは、山台さん所有のもの。展示室とは別に倉庫もあってそこには未整理の鉛筆がまだまだ眠っているそうだ。
赤青鉛筆が目印の自社ビル。一階にはおしゃれな自転車屋さんが入っている
赤青鉛筆が目印の自社ビル。一階にはおしゃれな自転車屋さんが入っている

アナログな良さがある

山台「結局、鉛筆を使うことによってアナログなアイディアが湧いてくるんですよね。私もパソコン使って仕事しますけれども、組み合わせや変換で言葉はいっぱい出てくる。でも鉛筆はそうはいかなくて、自分の頭の中で考えなきゃいけない。だから僕は鉛筆で物を書くってのは好きなんですよ」

そういう感覚はわかる。
僕もウェブサービスやスマートフォンのアプリを使って仕事をしている。効率はいいんだけれども、その便利さに自分が縛られている。アプリが用意してくれた道しか歩けないような。

でも、山台さんの収集は使う以上に集めているから、これはこれで鉛筆に縛られている、とも思う。それがすごく楽しそうなのが、さわやかだ。
山台さんが最近買ってしまったという鉛筆柄のシャツ。ここまで来ると鉛筆に関係あるのかないのかスレスレ
山台さんが最近買ってしまったという鉛筆柄のシャツ。ここまで来ると鉛筆に関係あるのかないのかスレスレ

鉛筆一万本超えちゃいまし展

入場無料
会場:JACK IN THE BOX(大阪府大阪市北区中津1-17-23梅田サービスビル3F)
時間:14:00~19:00
定休日:木・日曜日・祝日
会期:未定
詳しい情報はエフロノットのブログにて
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