新世界じゃんじゃん横丁
せまい通りに串カツ屋と安い寿司屋がひしめき合っている
店先でスッポンが元気に暴れていた
「酒ただ」という直球のキャッチコピー
大阪・新世界には「日本酒を二合飲むと一合ただにする」という看板があった。お得感というよりも、朝から酒飲ませすぎだろ感が先に立つ。でも周りを見渡すと「それくらい飲んだんだろうな」というような感じの人がちゃんとたくさんいた。
安い居酒屋が朝から開けば、それだけで異世界を作り出せる。早くもスズムシが違和感ない雰囲気だ。
串かつじゃんじゃん新世界本店
コオロギの串揚げは「串かつじゃんじゃん」の新世界本店で食べられると聞いてきた。
そんな変なもの出すような雰囲気はないけれども
ワニとカエルとカンガルーはいた
事前に聴いていたコオロギはメニューにない。でもワニとカエルとカンガルーの串はある。
期待していたものがなくて、残念なような、ほっとしたような。この複雑にまじりあった気持ちを味わうところが、既にグルメっぽい。
そんな気持ちを肴にしてビールすすっていると
来た。カエルだけわかりやすい
ワニ串
衣をつけちゃうとなんだかわからないですね
ワニ串は鶏のような味。こうして衣で揚げてソースに漬けちゃうと、「変わった物を食べている」感じは全然しない。
ふつう過ぎてありがたみに欠けるので、頭の中で「ワニ肉を食べている」ことを一生懸命意識しながら食べた。
おいしかったです
カンガルー串
カンガルー串もちゃんとうまかった。牛の串揚げに味はそっくりだけれども、その2割増しくらいの味の強さがあるのだ。
おいしかったですふつうに観光で珍しいもの食べて幸せ
カエル串
ここまでの二つが全然問題なくて拍子抜けしたくらいなのだが、カエル串には不穏なジューシーさがあった。
串はないけれども、脚の骨を持って食べられる
食いかけですいません。不穏なジューシーさをご覧ください
カエルの肉汁に、どことなく水棲生物っぽさを感じるのだ。カエルの住環境が頭の中で浮かんでは消えて行く。夢の中で観たお化け屋敷のような、ぼんやり薄暗い味がした。
薄暗い味でした
コオロギはすぐそこのじゃんじゃん横丁店にある
カエルはちょっとクセがあったが、全体としては珍しいもの食られて楽しかった。でも、念のために店員さんにコオロギをきいてみる。
コオロギ、別店舗にはあるのか…
さっきの店から5分とかからないところにある「串カツじゃんじゃん」のじゃんじゃん横丁店
あった
串カツってだいたい100円~200円くらいが相場だ。コオロギ300円とサソリ500円はかなりの高級食材である。
というか、コオロギだけじゃなくてサソリもあるの?!サソリとコオロギどっちが食べやすいんだろう。
僕はエビフライが出てくると、尻尾までまるまる食べてしまう。尻尾もおいしい。サソリは全体がエビの尻尾みたいなもんで、おいしいんじゃないだろうか。実際どうか全然自信がないけれども、本当にそんな感じでおいしかったらいいな、と思う。
サソリとコオロギの串揚げの迫力がすごい
サソリとコオロギ。串揚げというにはあんまりにもそのまんまの物が出てきた
ひっくり返すと申し訳程度に衣がついている
サソリ串
サソリからいってみる。さっきまで考えていたことは大まかには当たっていて、別にまずくはない。カラっと揚がった殻に歯ごたえがあって、なかなかいい。ただ、これがあと100倍くらいおいしくなれば、川エビの唐揚げになるんだろうな、と思った。
意外とまあまあ悪くないです
コオロギ串
一方、コオロギの方は「サソリ→エビの尻尾に似ている」のような思考の補助輪がない。だからコオロギをコオロギとして食べることになる。
遊園地に喜んで遊びに来て、勇んでジェットコースターの列に並んだら、乗る間際になって一番前の席になることに気付いた。急にドキドキし始めて、出来れば逃げたい、ってのがあるだろう。
コオロギをコオロギとして食べる、というのはそれに近い。そういうテーマパーク的な楽しみがあるのだ。
コオロギをコオロギとして食べるっていうのはこんな感じ
実際にコオロギを食べてみると、そんなに味というほどの味はなかった。しかしふだん虫を食べなれていないので、本当にジェットコースターの一番前に乗ったような感情に襲われた。
コオロギ食べるとこういう感情になる
たぶん、これはそういう感情の急上昇、急降下、日常と違うGを楽しむ食べ物なんだろうな、と思う。そういう意味では存分に楽しめた。
サソリとコオロギは大人気メニュー
店員さんに聞いてみると、この二つは人気メニューだという。食用のコオロギは今の時期(取材したのは9月)くらいしか出てこない。サソリは漢方的にもよいということで、取り合いになっているとのことだ。
コオロギは特に貴重といっていた
虫食べるってだけでこんなにドキドキする
最近、昆虫食はけっこうはやっていて、東京だとよく昆虫を捕まえて食べるイベントをやっていたりする。さすがに捕まえて食べるのは抵抗あるだろうけど、串カツ屋さんで串揚げとして出てくるならすんなり食べられるかもしれないな、なんて最初は思っていた。
でも実際に出てくると、やっぱりドキドキする。店員さんは人気だといっていたが、この辺のドキドキ感をみんな味わいたがっているのだろうか。