特集 2013年11月5日

「コーラってそもそも何味なの?」メーカーに聞いた

コーラをやっつけろ!

――ジュースに並とか上とかあったんですね

「かつ丼じゃないですけどね。ジュースの並は甘味剤をつかったダイエットコーラみたいな。昔は甘味料つかったほうが安かったんです。

それでこれ、Cハンターってあるでしょ。コーラなんですよね。コーラをやっつけろっていうので売りだしたんですね」

――すごいですね。敵対心むきだし。味はコーラ?

「じゃないです。ファンタみたいなやつです」

コーラハンターというわりにはファンタと言い切ってるところに若干の腰くだけ感があるが、果汁系サイダーということなのだろう。
スマックはカルピスソーダみたいなものだという。全糖と書かれているのはこの前年に使ってはいけない甘味料ができたからだそうだ
スマックはカルピスソーダみたいなものだという。全糖と書かれているのはこの前年に使ってはいけない甘味料ができたからだそうだ

北へ逃げた義経がチンギス・ハーンになった

「あとは飲料水屋さんがみなさん抱えたのがこのガラナという商品ですね。

コカ・コーラは東京に拠点をもうけて本土上陸したんです。そこから絨毯爆撃とおなじようにすべてのお店にすべての工場、すべての売店に置かせるというのがコカ・コーラの方針なんですね。

むかしながらの飲料水屋さんはこの販売店は木村飲料さん、ここは渡辺さんというように分かれてたんですけど、コーラさんは全部置いちゃうんです。

おたく置かないの?他のとこ売れちゃうよ?みんなと同じように置いたほうが身のためですよって方法ですね。

そのときにガラナっていうのがブラジルで売れてるというので、色も似ている製法も似ているし、みんなで持ち上げてやろうっていうので。

ゼミ―、全国清涼飲料協同組合というところがガラナで対抗しようとしたんですね。それがこのゼミ―ガラナ。あとコアップガラナというのと二種類あってそっちは今もあるんです。北海道に」
リンゴジュースは広口ビン。ゼミ―ガラナは一番高い50円。
リンゴジュースは広口ビン。ゼミ―ガラナは一番高い50円。

生き残ったガラナ飲料

「コカ・コーラの本土上陸作戦のときはあまりにも早く上陸してきてあっという間にローラー作戦で全部のお店に置かれちゃったんです。

今までうちの販売店だったところも半分はコカ・コーラさんが持ってっちゃった。だから同業者の数がガクッと減っちゃってね。

でも本土決戦してるあいだに、九州上陸が一年遅れて、北海道は三年遅れたんですよ。その間飲料水屋さんががんばって九州とか北海道で定着させて、だから今でも北海道行くとガラナが置いてある

なんと。コーラの味をさぐっていて、答えてくれたのはコーラを目の敵にしていた昔ながらのジュース屋さんだったのだ。おかげで正面からはきけないコーラ上陸の歴史をきけた。

――ペプシは?

「コカ・コーラが直販やったのがそれで、ペプシさんは代理店制度を使ったんです。この地域はカゴメさんが販売テリトリー、ここはだれだれがって。でも代理店制だからだれも力を入れないですよね。自分とこも売るものがあるんだから。

そこでサントリーさんが権利を全部買って、本格的に対抗していったんですね。それから広がっていったんです」

日本でコーラといえばまずコカ・コーラをイメージするが、最初の売り方のちがいだったのか。
45年前の広告。こちらのミッションコーラはコカ・コーラよりも早くに上陸したようだ(記事「45年前の観劇チケットがかっこいい」</A>より)
45年前の広告。こちらのミッションコーラはコカ・コーラよりも早くに上陸したようだ(記事「45年前の観劇チケットがかっこいい」より)

どんどん減っていった昔ながらの飲料水屋

――めちゃめちゃおもしろいですね、飲料水の歴史

「反対上陸闘争で戦った飲料水屋さんはどんどん減っていって、静岡ではうちしか残ってないんです。隣の山梨では20年前にゼロ。長野も数年前に。

なんでうちだけ残ってるかというと種類をたくさん作ってたんです。

浜松とか清水とか人のたくさんいるところはマンション建てて早めにやめちゃって。そこのお得意さんが、あ、木村さんとこはなんでも作れるから、ってうちに持ち込んできたんです」

出た、マンション経営。クリエイティビティの最大の敵は家賃収入ではないか。

「十数種類あるコーラさんに対して、ラムネやサイダーだけじゃあジリ貧になることはわかってましたんで。この当時で、ミルクセーキもあるしコーヒーあるでしょ、ブラックの。

UCCさんが昭和43年に缶コーヒーを発明したっていうんですけど、どこの飲料水屋さんもビンのコーヒーは作ってたんですよ」

ビンコーヒー、新鮮だ(缶コーヒーのときもみんなそう思ったのだろう)。

とにかくなんでもつくるという木村飲料は自社商品で100種、他社も入れると2~300種を作るという。やっつけろといっていたコーラも今では3種類ある。
しずおかコーラはお茶のコーラ。けっこうおいしい。外国でもよく売れているらしい。これが前年度一番のヒットだったが、富士山サイダーがブームにのって売上3倍になり抜いたらしい。山ガールすごいぞ。
しずおかコーラはお茶のコーラ。けっこうおいしい。外国でもよく売れているらしい。これが前年度一番のヒットだったが、富士山サイダーがブームにのって売上3倍になり抜いたらしい。山ガールすごいぞ。

コーラは敵だ!

――今しずおかコーラやってますけど、昔はコーラ作らなかったんですか?

「うちなんかはオヤジにどこ行ってもコーラ飲むなって教育されてたから。今は研究のために飲みますけど、前は敵だから一切飲んじゃだめだって。

コーラの味も最初に飲んだときの、なんだこんなまずいやつってトラウマになってて」

飲料水屋の子供にとってのコーラの存在はすごい。親の仇がコーラなのだ。

「なんでうちのお茶コーラができたかっていうと、私がうちのオヤジみたいに厳しく育てられなかったもので、娘が寿司屋いってもどこいってもコーラを頼むんですよ。焦げ茶色の。

これはいかんと。日本料理は色を大切にする文化だからお茶を使わないと、という思いがあって」

父、自分、娘にとってのコーラ。この三代つづく飲料水屋のコーラ物語。次の朝ドラにどうですか。
富士山頂コーラは「富士山頂の空気のようなスーっとする成分が入っています。登ったことないですけど」 登ったことないのに! 「大丈夫です、毎年登ってる社員がこんな感じですと言ってます」 だそうだ
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