刺繍の代わりにプロジェクター
ヤンキーが着ている妙に長い上着を特攻服と呼ぶ。背中に漢字多めで刺繍をするのが風習である(興味のあるかたは
「特攻服 刺繍」で画像検索してください。)
僕も特攻服を着るなら
・帝里威法多瑠Z(デイリーポータルZ)
・圧闘 仁封帝(アットニフティ)
と書いてみたい。
しかし刺繍は高いので文字を投影することにした。これなら何パターンでも作ることができる。
いま風に言えばプロジェクションマッピングである(ただのプロジェクターだけどな)。メディアアートが日本土着の美意識と融合したようすをご覧いただきたい。
デイリーポータルZ、夜露死苦!
いいね!おしてくれよ。承認欲求、夜露死苦!
お命、シェアさせていただきます
今回モデルになってもらうのはライター伊藤さん、べつやくさん、編集部安藤、そして僕の4名である。いずれ劣らぬ文化系である。バリバリ読書家だぜ。
撮影の全景。プロジェクターを持ってるだけ
ヤンキーへの道
この特攻服は厚木で買ってきたものである。ネットで探したら店頭販売している店が厚木にあったのだ。
ファッションハウス アオキ
厚木出身の伊藤さんによると地元では有名な店だそうだ。
サイトを見ると有名な映画の衣装も手がけている。
特攻服はカラーバリエーションあり
買っておけばよかったとあとで後悔したシャツ
変形学生服や特攻服が並んでいて興奮した。実物を見るのははじめてである。刺繍もしてくれるのだが今回は素の特攻服を購入。ついでにステッカーも買った。
ステッカー・右のプラ板はしたじき
ステッカーはノートパソコンに貼ろう。これで役員が出る会議に呼ばれても恐くない。「仏恥義理でPDCA回すので夜露死苦!」と報告したい。
白衣に見える
撮影開始直後、伊藤さんが興奮気味に人生初特攻服に袖を通すと…。
医者だ
会議を終えて回診に向かう医師である。特攻服よりも年齢による分別がにじみ出てしまった。なかなかヤンキーにはなれない。
しかもスーツがまた医師感を増している(この前にスーツを着る企画の撮影をしていたのだ)。
制服の下のネクタイがコンビニ店長のようである。
かっこつけたつもりで撮った写真だが、店長にバイトを無断で休んだことを怒られているような写真になった。
あと、「押忍」というタグがもったいなくてとれない。
スタートボタンはいけてないぜ
プロジェクターから投影しているのはこのような画像である。
文字以外のところを黒くしておくのがポイント
背景を白にするとそこが光ってしまうため、光らせたくない部分は黒にしておく。文字には刺繍っぽく見えるようテクスチャを重ねて立体感を出している。
これをフォトショップで開いて投影すると…
一見ちゃんとしているように見えるが
マウスカーソル
スタートボタン
特攻服のうえにデスクトップが展開されてしまうので要注意である。仲間に「おめえ、マウスカーソルあんじゃねえかよ!」「スタートボタン押すぞてめえ」と絡まれること必至である。
プロジェクションマップドヤンキーたるものファイルはきちんと全画面表示にしてから投影したい。
部屋の明るさ
部屋も暗くしすぎるといかにも投影してますよーという雰囲気になってしまう。
部屋を暗くすると文字が光って写真に撮りにくい
部屋はふつうの明るさにして明るいプロジェクターを使うのがいいようだ。プロジェクターは社内で発表会をしている人から借りてきた。
明るめの部屋だと自然に
ヤンキープロジェクションマッピングは明るい部屋で。露出補正は-0.7ぐらいがちょうどよかった(ほぼ自分のためのメモ)。
ちなみに書いてある文字は、
「探してみせますVの字を 破廉恥野(バレンチノ) 武帝威苦(ブティック)」。
伊藤さんのコレクションであるバレンチノへの想いを表している。
「『い』の当て字は『威』にすると本物っぽくなる」とは厚木出身の伊藤さん談。
背筋を伸ばせ
特攻服を着ているものの、パソコンに向かうとやっぱり仕事っぽい雰囲気になる。
プレゼン資料を詰めているかのような雰囲気だが
プロジェクターを向けると一変
「鬼義理 猛蛇喪邪(おにぎりもじゃもじゃ)」
「非剥 むかない 暗道(ひむき むかないあんどう)」
ふざけた言葉を当て字にしているのだが、逆にこのウイットがヤンキー感を出している。意外に近いのかもしれない、ヤンキーと文化系。
むかない安藤はプロジェクター2台を使って袖に小さく「そのまま喰う」と入れているのがポイントである。
ポエムっぽい長文もまたそれっぽい。
ノリだけで考えた文
いわゆるうんこ座りでも背中を丸めると文字が歪んでしまうため、プロジェクションマッピングヤンキーでは背筋を伸ばすのがポイント。憶えて帰ってください。
顔作りすぎ
背中じゃなくて背景に投影するのもかっこいい!と発見した気で撮った写真。ひとまわりしてプロジェクターとしての正しい使い方であった。
ニッカボッカをスーツに合わせたら出島にいたオランダ人みたいになった
アガるね
撮影中、ずっと「おめえ、それいいじゃねえかよ」「いい当て字考えてんじゃねえかコラ」などとよく分からないテンションで会話していた。
さっきまで厄年や尿酸値の話をしていたとは思えない変わりようである。
ヤンキープロジェクションマッピングでアンチエイジングを唱えたい。
きょうからウェブマスターじゃなくて総長って呼んでくれ