特集 2013年10月30日

観葉植物の土には金が混ざっていないか

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小さいころから観葉植物の土には金が混ざっていると思っていた。あれを集めたら大金持ちになれるのでは、と。

その気付きを得ていながらくすぶらせて続けて十数年。観葉植物の鉢を見て燃え上がった。やっぱこれ、金じゃない!?
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

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金だな、これは

子供のころは身の回りに宝石が沢山あった。運動場の土には石と引っ付いた水晶が混ざっていたし、海には半透明のトパーズやアメジストが落ちていた。
ほら、土たちに混じって金があるよ(観葉植物の受け皿に残った土たち)。
ほら、土たちに混じって金があるよ(観葉植物の受け皿に残った土たち)。
それらは石英というものであったり、ガラスのすり減ったものだと知らされ輝きが褪せていったが、花壇でよく見つけた金は金のままである。
ほら、これは金だよ。
ほら、これは金だよ。
金の輝きを胸に秘めたまま、縁遠い生活を過ごし十数年。自分で観葉植物を育て始め、再会して燃え上がる。やっぱりこいつは金なんじゃね?という思い。

これをたくさん集めたら大金持ちになれるんじゃないだろうか。

金じゃなかった

金をたくさん集めるため、混ざっている可能性のある土を集めようとホームセンターへ。そこで店員さんに「観葉植物の土の金…」と話しかけた所で止まってしまう。

金「みたいな」と言った時点で金でなくなってしまうのではないか、しかし金と言うのもはばかられる…だが、店員さんは「それでしたら」と言いながら案内してくれた。「土の金」で通じるのか。
金の袋詰め。5リットル。リットル単位なのか。
金の袋詰め。5リットル。リットル単位なのか。
本当にあるのかと思いながらついていって差し出されたのはこれ。なんと、金そのものの袋詰め。混ざった土ではなく、金そのもの。

秘かに流れていた鉱脈を自分だけが見つけていたと思っていたのに、なんとパック詰めして売られていた。しかも5リットル298円。
なんだこれ。
なんだこれ。
もしかしてあれは金じゃなかったのか、いや、店員さんが僕の言う金と違うものを思い浮かべていたのかもしれない。複雑な思いを胸に早速金袋を開いてみてみる。

が、襲う混乱。土、いや、何か鉱石のかけらっぽい。そして金も混ざっている。でも、ほぼ鉱石。が、そこかしこから感じる金の雰囲気…。
右奥には砂金があるね。
右奥には砂金があるね。
一体これは何なのか、金は一体何なのか。大多数のものはパイ生地の様に幾層にも重なって出来ている様に見える。
あっ、ペラッと。
あっ、ペラッと。
もしや、と思って層の間にナイフの刃を入れてみるとペラッと剥がれた。するとキラキラと輝きだす岩。
あっ、金!
あっ、金!
なんと、金が現れた。そして包まれる現実感。金は金(ゴールド)ではなく、バーミキュライトという5リットル298円の物質の薄くなった状態の物。だった。

金じゃない。金じゃないのか。

いや、でも、金として使えるんじゃないか

金だと思っていた物は軽くて経済的で保水性、通気性に優れた、金とは真逆の様な性質を持った物質であった。
これ、金じゃんね。やっぱり。
これ、金じゃんね。やっぱり。
しかしながら薄くなった時の見た目は金そのもの。薄くして使う場面、たとえば金箔として張り付けたりしたら、そのまんま金として使えるんじゃないだろうか。
銀閣寺は銀貼りたかったけどお金無くなっちゃったから貼れなかった。って言うの、嘘だったんですね(調べた)。
銀閣寺は銀貼りたかったけどお金無くなっちゃったから貼れなかった。って言うの、嘘だったんですね(調べた)。
例えば、金閣寺に対抗して何かキラキラした建物建てたい!でも、お金があんまりない…って場合でも
バーミキュライ閣寺(2013年建立)
バーミキュライ閣寺(2013年建立)
バーミキュライトなら非常に安価でキラキラさせられる。見た目には十分金なので、浮いたお金で海外旅行などにも行けるかもしれない。

これは、とてもいい。むしろバーミキュライトは金よりも有用なのではないか。よし、バーミキュライ閣寺を作ってみよう。

そもそも金箔として使えるのか

銀閣寺のプラモデル。
銀閣寺のプラモデル。
簡素。
簡素。
バーミキュライ閣寺を作ろうと1/200サイズの銀閣寺のプラモデルを購入した。非常に忠実に出来ているが、屋根のてっぺんについている鳥の模型だけが金色なのがよろしくない。
パーツ全部地味なのに一つだけ金ピカ。
パーツ全部地味なのに一つだけ金ピカ。
そんな目立つ所だけ金ピカにしちゃったら「あぁ、全部金ピカにしたかったけど出来なかったんだね…」って感じが出るではないか。やはり全てを金ピカにしてあげなければ。
なんとか貼れそうな感じはする。
なんとか貼れそうな感じはする。
と、意気込んだが、そもそもそれは出来るのだろうか。と、試しに接着剤で張り付けてみたらば、思うよりの金箔感があるじゃあないか。

バーミキュライ箔がなかなか取れない

ある程度大きくて、輝きがいいのを選別する。
ある程度大きくて、輝きがいいのを選別する。
これはいけると、意気込んで金ピカ作業に取り掛かる。まずは輝くバーミキュライトを集めねばならぬ。
それを一枚一枚はがしていく。
それを一枚一枚はがしていく。
大きなサイズを選別して、一枚一枚はがしていく。目に、肩に疲れがたまる。そもそものサイズが小さいので繰り返しても大した面積にはなっていない。

もし私が時給800円だったとしたら、面積単位の価格では金箔の方が安かった可能性がある。
貼るのもピンセット作業。
貼るのもピンセット作業。
それでも少しは集まったので、気分転換に作業を切り替えて貼っていく。バーミキュライ箔は形が一定でないので隙間を空けずパズルのように貼り合わせていく。
ある程度、金に見えるだろうか。
ある程度、金に見えるだろうか。
なんとか一面貼り終えた。これから、抑えつけない方が光るとか、ピンセットで直接貼ったほうがいいとか、色々なノウハウを身につけていくが、この直後は「土台だから金じゃなくてよかったじゃん!!ガッデム!」となりました(この分の採集と貼り付けで数時間かかっている)。

あかぎ園芸のバーミキュライトがやばい

金に見えるのか見えないのか、それも考えないレベルに来ている。
金に見えるのか見えないのか、それも考えないレベルに来ている。
貼り間違えをしてもちょっとずつ作業を続けていたが、流石に手間がかかりすぎるし、締め切りも迫ってくる。このままではマズイ。何か革新的な手法を編み出さなければ。
緑あふれる ゆとりの暮らし
緑あふれる ゆとりの暮らし
そう思いながら別件でホームセンターにいき、ふとバーミキュライトを見て衝撃を受けた。ば、バーミキュライトだったのか!!(半濁点のパーミキュライトかと思っていた)
粒がデカイ!別の物質のごとき見た目
粒がデカイ!別の物質のごとき見た目
そして何より、結晶が大きい。今まで見た事が無いサイズのバーミキュライトがゴロゴロと入っている。しかも値段は同額だった。凄い、凄いぞあかぎ園芸!
明らかにバーミキュライ箔の大きさが違う。
明らかにバーミキュライ箔の大きさが違う。
一枚当たりの大きさが違うので輝き方が全然違う。
一枚当たりの大きさが違うので輝き方が全然違う。
塊が大きいといいことばかり、一枚一枚をはがすのも楽だし、取れる面積も大きい。また、一枚が大きいと光をよく反射して綺麗に輝くのだ。
建物のプラモデルって、ガンダムとかみたいにはめ込むんじゃなくて、接着剤でただ引っ付けるだけと初めて知った。
建物のプラモデルって、ガンダムとかみたいにはめ込むんじゃなくて、接着剤でただ引っ付けるだけと初めて知った。
あかぎ園芸効果で作業効率が数倍にもなった。組み立て作業に取り掛かり、やっと完成したぞ、これが、バーミキュライ閣寺だ!
どーん
どーん

バーミキュライ閣寺建立(2013~)

出来た。
出来た。
バーミキュライ閣寺が建立した。どうだろうか、あかぎ園芸によって貼付された二階の取っ手みたいなところは見事に金になっていないだろうか。

このバーミキュライ閣寺を見れば誰もが金閣寺と言うのではないか。銀閣寺建設時にバーミキュライトが無かった事が本当に悔やまれる(そもそも銀閣寺はキラキラさせようと思って無かったらしいが)。
同じペースで歩いていた人が、刀を背負っていて、私と同じく銀閣寺へ何かを果たしに来ている人の様であった。
同じペースで歩いていた人が、刀を背負っていて、私と同じく銀閣寺へ何かを果たしに来ている人の様であった。
銀閣寺建設時に“もし”バーミキュライトがあったなら…。そんな可能性を銀閣寺も夢見ていた事であろう。夢としてのバーミキュライ閣寺の姿を銀閣寺に見せてやろうと、銀閣寺にやってきた。

出会う銀閣とバーミキュライ閣

入ってすぐに銀閣寺で戸惑う。
入ってすぐに銀閣寺で戸惑う。
金閣寺の、くるぞ、くるぞ、来たー!金ぴかビカビカー!という感じではなく、銀閣寺は入園手続きをすると一番初めに迎えるのが銀閣寺で、えっ、もう!?と面食らう。そして、あっ、地味。と思う。
感動のご対面、でも無い、か…
感動のご対面、でも無い、か…
ついに出会う銀閣とバーミキュライ閣。が、曇天の光が弱い状況ではバーミキュライ閣も輝きの本領を発揮できずみずぼらしく見える。
銀閣とバーミキュライ閣が変身。
銀閣とバーミキュライ閣が変身。
しかし、流石は1/200模型、形は同じなので少し嬉しい。
キラキラ感を上げようと思うと背景が飛ぶ。
キラキラ感を上げようと思うと背景が飛ぶ。

銀閣寺、むしろシックでかっこいい…

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マウスオンでビカビカ
大きさの差か、あかぎ園芸に出会ったのが遅かったか、銀閣寺と出会ったバーミキュライ閣寺は本来の輝きを発揮できてはいなかった。銀閣寺が失望していたらどうしよう。そう思いながら庭園を歩く。
銀沙灘と向月台を臨む銀閣寺。
銀沙灘と向月台を臨む銀閣寺。
紅葉には少し早い時期で人の目を引く珍しい物はありはしないが、見事に手入れされた庭園の苔や緑が生き生きとして見え、自然と呼吸が静かに深くなる。
景色としてある銀閣寺。
景色としてある銀閣寺。
足元が悪いため、ゆっくりゆっくりと歩くと時間までもが緩やかに流れているかのように思われる。そんな所にちょいちょい覗く銀閣寺。
違和感なく存在感を発してて、見えると嬉しいな。くらいの立ち位置。
違和感なく存在感を発してて、見えると嬉しいな。くらいの立ち位置。
地味だな、と感じた第一印象が徐々に変わっていく。金閣寺の様にエースで四番ではないが、全体として庭園としてのまとまりを強く感じる銀閣寺。

銀閣寺「金閣、俺は負けたとしても、チームは負けんぞ」

という声が聞こえてきそうな強い芯を感じる銀閣寺の佇まい。
至近距離で見たら民家かと思っちゃう。
至近距離で見たら民家かと思っちゃう。
一目での派手さは無いがじんわりと感じるこの良さが、わびさびというものなのだろうか。非常に味わい深い時間を過ごさせていただいた。

銀閣寺、超良いね

建物が地味だからといって舐めてかかっていた銀閣寺であったが、庭園として非常に美しく楽しい時間を過ごす事が出来た。地味だからこそ深まる味わい深さ。

おっさんになったなぁ。と自分でも感じる感想だが、おっさんになったらなったで楽しみが増えても行くんだなと寂しさとともに感慨深くもある。今後も色々な味わいをたしなんでいきたいものですなぁ。
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