表の顔は、お台場然とした商業施設
まずは、海ほたるの表の顔を見ておこう。
海ほたるは東京湾アクアライン、すなわち高速道路に存在する。私のような、自家用車を持っていない人間が行くには少々敷居が高いように思えるが、川崎もしくは木更津からバスが出ているので、それに乗って行く事ができる。
海ほたるの駐車場には、一般の自家用車はもちろん、トラックなどの大型車両も意外と多く見られた(ドライバーの休憩所として機能しているのだろうか)。また、観光バスも海ほたるに立ち寄る場合が多いようで、団体客も多い。
車を持たない人間の味方、川崎~木更津を結ぶ高速バス
海ほたるの入口は、まぁ、よくあるパーキングエリアという感じだ
階段とエスカレーターで上層へと向かう
様々な店舗が入っていて、ちょっとしたテーマパークのようである
なんだかよく分からないオブジェも完備
イソギンチャクの化け物か何かだろうか
ひょうきんな魚の形をしたベンチも置かれている
海ほたるの施設は白を基調としたカラーリング。マストを模した天幕や、煙突を模した筒状のでっぱりなども見られ、どうやら東京湾をたゆたう船をイメージしているようだ。
入っている店舗のラインナップにも華があり、どことなくお台場のような印象を受けた。表側だけ見る限り、何とも浮かれた感じの施設である。
潮風にさらされたコンクリートが哀愁を醸す、海ほたるの裏の顔
しかしその一方、海ほたるの細部をじっくり眺めてみると、観光地としての綺麗な表ヅラはボロボロと剥げていき、その下から露見するのは海の中にポツンとたたずむ人工島の寂寥感である。
着飾られた部分ではない、剥き出しの海ほたるを見てみよう
この写真だけ見て、海ほたるだと分かる人はいるだろうか
同じく人工島である「風の塔」越しに見る川崎。対岸は遠い
風を受けてなびく吹き流し。目立たない位置に寂しく立っていた
施設内部も、商店が入っている部分以外は簡素
特に駐車場は潮風が吹き抜ける構造の為、配管がサビサビだ
鉄サビとコンクリートの経年が独特の情緒を醸している
外にあるマンホールもこの通り、良い感じにサビサビ
東京湾アクアラインが開通して今年で15年だというが、それにしては鉄のサビ具合が凄いものである。常に潮風にさらされている為、劣化が早まっているのだろう。
これら鉄サビや鼠色に変色したコンクリートから感じられるのは、海の中に一人で立つ“孤高の漢”っぷりである。
駐車場に入るスロープにも目を見張るものがある
波に洗われるテトラポッドもまた、いとおかし
海へと突き出す波止場から感じられる哀愁がまた凄い
島全体を巨大建造物とみなす事もできよう
この一階部分の吹き抜けが、ダイナミックで壮観だ
東京湾ひとりぼっち
いかがだろうか。数多くの人出で賑わう海ほたる。その裏側は鉄サビやコンクリートが薫る独特の哀愁、現代のわびさびのようなものを垣間見る事ができる。
それは東京湾でただひたすら波風に耐える、孤独な漢の一面である。これまで知らなかった海ほたるを見る事ができて、私の中でより親しみのある存在へと昇華した。
どうでも良い余談だが、インドネシアの離島で見た海ほたるは美しかった