特集 2013年9月25日

バスが好きなので「バスまつり」に行った

都バスのキャラクター「みんくる」と記念撮影
都バスのキャラクター「みんくる」と記念撮影
9月20日は言わずと知れた「バスの日」だ。
明治何年だったか忘れたけど、京都だかどこだかあっちのほうで日本で初めて路線バスが開業した日を記念して制定されたのはみなさんご存知だと思う。

そんな「バスの日」間近の休日に毎年、東京・晴海で「バスまつり」というイベントが行われている。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

好きだけどそんなに詳しくない

もちろんバスは好きだ。たぶん、今まで都バスに払った運賃を合計するとベンツ買えるぐらい乗ってる。

ただ、好きではあるのだけど、詳しくはない。「好き」というパッションだけで「バス祭り」をどれだけ楽しめるだろうか?

期待と不安を胸に秘めつつ、バスまつり会場の晴海に向かうため、ぼくはバス停に向かった。

バス祭りにタクシーで行く

しばらくすると、晴海行きのバスがやってきた。しかし、満員で乗れないからと行ってしまった。バスまつり、そんなにひと来るのか!?

仕方がないのでタクシーに乗って行く事に。なんとか開場ギリギリの10時に間に合った。
「バスまつり」なのに、タクシーに乗ってきたという罪悪感がぼくを苛む。
イベントスペースは本気のバスマニアで一杯
イベントスペースは本気のバスマニアで一杯
イベントスペースはすでに、バス好きな子供を連れた親子と、本気でバス好きな大人で一杯だ。
イベントステージでは各バス会社のキャラクターがずらりと並び、撮影大会の様相を呈していた。
どのキャラも自立歩行がつらそう
どのキャラも自立歩行がつらそう
そんななか、記念撮影の人混みの中に、都バスマスコットキャラクター「みんくる」を発見。
あ、あのツノは……
あ、あのツノは……
ふだんよくのる都バスの座席シートに描いてあるあのキャラクターだ。

みんくるが都バスのマスコットキャラクターに決まった当初は「けったいなキャラクター決めやがったな」ぐらいにしか思っていなかったが、幾度も都バスに乗り、尻にみんくるを敷くたびに(座席シートに印刷されているので)なぜか愛着がわいてきてしまった。
手が馴れ馴れしい
手が馴れ馴れしい
みんくるの愛くるしさにくらべ、ぼくのだらしない笑顔と腹部ったらありゃしない。ほんとうにお恥ずかしい限りだ。そんな自身の醜さを再確認して「バスまつり」いよいよスタートである。

ミステリーツアーに参加するためのクイズが簡単すぎて拍子抜け

この「バスまつり」ではイベント最後に「ミステリーバスツアー」というバスが実施されるという。

このバスツアーは、行き先とコースについてのわずかなヒントのみで、実際に乗ってみなければどこに行くのかわからないバスに、希望者の中から抽選で乗れるというものだ。

都バスタイプのバスに貸切として乗る事ができるまたとないチャンスだ。これはぜひ乗りたい。乗ってどこに行くのかこの目で確かめたい。

そのためには、キーワードのヒントとクイズを会場を回って集め、バスツアーの抽選に応募しなければいけない。

ちなみに行き先とコースのヒントはこれだ。
さっぱりわからない
さっぱりわからない
そして、キーワードは四文字。
会場に散らばった4つのキーワードを探せ!
会場に散らばった4つのキーワードを探せ!
集めなければいけない4つの文字は会場の様々な場所に、バラバラにある。
よーし、まずは最初の文字はどこだ!

最初の文字はわりとあっさり見つかった。「の」か、なるほど、次の文字はどこだ?
みつけた!「日」だ!
みつけた!「日」だ!
あ!みつけたぞ!「の」だ!
あ!みつけたぞ!「の」だ!
次の文字もわりとあっさり見つかった「日」、そうか、日か……ってこれ答え「バスの日」だろ。
答えもうわかっちゃったなー
答えもうわかっちゃったなー
簡単すぎて拍子抜けしてしまった。

子供向けなのだ、子供向け。バス好きな子供のために用意されたアトラクションを、だいの大人が楽しもうとしたのがそもそもの間違いであった。

でもいい、最後のミステリーツアーの抽選に応募できればそれでいい。

バス会社の展示で興奮

秒速でわかった(言い過ぎかもしれないけど)キーワードを答え、ミステリーバスツアーに応募したので、抽選大会が始まるまで会場の展示をみてまわりたい。

屋内での展示は東京都交通局だけではなく、小田急バス、関東バス、東急バスなど様々なバス会社がオリジナルグッズを販売や展示をするブースを開設していたが、とりわけぼくの興味を引いたのは方向幕切り替え体験であった。
ガ~
ガ~
ガ~
ガ~
 ピタ!(笑顔)
ピタ!(笑顔)
これは堪らない。

住居表示看板やカントリーサインなど「地名が書いてあるもの」に、ぼくはめっぽう弱い。ぼくが路線バス好きなのも正面や側面に行き先の地名が書いてあるからにほかならない。

いわばこれは、ぼくの「バス好き」の核の部分なのだ。

正直、これ欲しい。欲しいけど非売品のうえ、かりに廃品を販売していたとしてもウン万円はくだらない代物なのだ。

しかも、方向幕切り替え体験は、東急バスだけではない、関東バスのやつもあった。
これたぶんバスの後ろについてるやつ
これたぶんバスの後ろについてるやつ
子供を睨みつけつつ順番待ちをするわたくし
子供を睨みつけつつ順番待ちをするわたくし
やっと会えたね(カチカチカチカチ(スイッチを連打する音))
やっと会えたね(カチカチカチカチ(スイッチを連打する音))
満足
満足
満足した。思う存分方向幕を変えた。しかし、後ろからこんな会話が聞こえてきた。
気合の入ったバスマニアの青年が、関東バスのひとに「B3008は予備車になっちゃったんですか?」と、素人のぼくがきくとかなりマニアックな質問をしていた。

関東バスの方は丁寧に「基本的には予備車なんだけど、一部の路線でしか運用してなくて、運行スケジュールは不定期」というようなことを答えていた。

さすがバスマニア、バスの型番名での質問はさすがだ。ぼくのように方向幕をカチカチしてるだけで満足するようなバス好きとはやはり格が違う、なんだがちょっと肩身が狭い。
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屋外のバス車両展示も大盛況

「バスまつり」は屋内の展示だけではない。各バス会社のバス車両が一堂に会して(屋外だけど)展示してある。
しかも、ちょっと珍しい車両もいくつかあった。
路線バスの運転訓練専用の車両
路線バスの運転訓練専用の車両
運転の訓練専用の車両があるというのも驚いたが、もっとびっくりしたのはこちらのバスだ。
運転データを記録するコンピューターがついている
運転データを記録するコンピューターがついている
関東バスの珍しい車両
関東バスの珍しい車両
この関東バスの車両、こちら側から見るととくに変わったところもない。しかし、出入口のある方を見てみると……。
なにがへんだかわかりますか?
なにがへんだかわかりますか?
そう、出口が2つもあるのだ。一瞬、非常口が開いてるのかな? と思うが、どちらの扉にも「出口」と書いてある。

なぜなのか?

関東バスの方に伺ったところ、駅などの降車する乗客が多いバス停で、時間短縮のため2つの扉をあけて一気に乗客を降ろすためにドアを2つ付けたそうだ。

問題解決の方法が豪放磊落すぎて愛おしい。

ちなみにこの出入口が3つあるバスは現在この1台しか残っておらず、今は予備車といって、特別なルートでしか運行していないらしい。

あれ? どっかで聞いたなこの話。
これのことか!
これのことか!
バスの番号をみてみると「B3008」の文字を発見。あ、さっきの兄ちゃんが聞いてたバスってこのことか!

どうやらB3008というバスはバスマニアの中ではかなり有名なバスだったようだ。

いよいよミステリーバスツアーの抽選大会

屋内の会場に戻り、ダイヤ引き講習会に参加したり、バス停の案内板を買うかどうか悩んで(結局買わなかった)いるうちに、ミステリーバスツアーの抽選会の時間になった。
「ダイヤ引き講習会」でダイヤグラムを引く、ダイヤは今だに手書きで描くらしい
「ダイヤ引き講習会」でダイヤグラムを引く、ダイヤは今だに手書きで描くらしい
バス停の案内板2000円。買うかどうか悩んだ末見送った……
バス停の案内板2000円。買うかどうか悩んだ末見送った……
ミステリーバスツアー抽選会は司会のお姉ちゃんが、抽選箱の中から名前の書いてある紙を取り出して決める方式だ。
いよいよ始まるぞ! なんかドキドキしてきた
いよいよ始まるぞ! なんかドキドキしてきた
……
……
………
………
終わり
終わり
すべてハズレた。

一体どこに行ったんだろう

結局、ミステリーバスツアーの抽選にはみごとハズレてしまった。乗りたかったバスツアーのバスを見送りながらどこに行ったのか考えてみる。
あーあ、乗りたかったなー
あーあ、乗りたかったなー
キーワードクイズに比べるとかなり難しいミステリーバスツアー
キーワードクイズに比べるとかなり難しいミステリーバスツアー
まずは空コース。晴海から南西方向、空の上を走る。降車場所に動物がまってる?

晴海から南西方向といえば品川のあたりだろうか? 「空の上を走る」というのはお台場からレインボーブリッジを渡って品川の水族館の前。というのはどうだろうか?

どうだろうか? といわれても正解はわからないのだけど。

次に都コース。これも方角は南西方面、そしてもうすぐ100年を迎える建物を通過して、降車場所に都バスが停車するのは今日限り。

もうすぐ100年の建物といえば東京駅だろうか? 東京駅の駅舎は1914年竣工なのでもうすぐ100年だ。

そして晴海から南西方面で都バスが滅多に停車しない場所……これは目黒駅だろうか? なぜなら目黒区は東京23区で唯一都バスが走っていない区だから。

以上、ミステリーバスツアーのコースと行き先をぼんやり考えてみた。今これを読んでる方で実際に乗った方がいらっしゃいましたら正解を教えて下さい……。

本気のバスファンと親子連れしかいない「バスまつり」

このイベントには本気のバスマニアと親子連れしかおらず、ぼくのような中途半端なバス好きが行ってもいいのか? という引け目はあったものの、最終的に方向幕やグッズに興じるあまりそのへんはどうでもよくなった。

人類はバスの前には素直にならざるを得ないのだ。
交通局職員手作りの座席シートでつくったサンダル(完売)
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