特集 2013年9月24日

タルタルソースは果たしてサラダか

カキフライに乗ったサラダ
カキフライに乗ったサラダ
タルタルソースは美味い。
カキフライや海老フライにかけたらもう間違いない美味さだ。白身魚のフライなんかタルタル以外ありえないとすら思う。
しかし、だ。美味いんだけど、あれ、実はかなり危うい存在じゃないかという疑念がある。

ソースと言いつつあの具の多さは一体なにごとか。しかも「具材が溶け込んでます」とか「すりおろして」とかそういうエクスキューズも無しで、隠れる気もなく具がゴロゴロあらわになっている。きみ、本当にソースと名乗っていいやつか?
いちどは疑ってみる必要がありそうだ。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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タルタルソースはサラダではないのか

タルタルソースと言えば、タマネギやピクルス、キュウリなどとゆで卵をみじん切りにしてマヨネーズで和えたものである。分量的には、具とマヨネーズほか調味料が半分ずつ、ぐらい。
タルタルの具、一例。
タルタルの具、一例。
もう一度確認する。タマネギとピクルス、キュウリにゆで卵。
これにマヨネーズをかけて食べたら、それ、もしかしたら世間一般的に言う「卵サラダ」とかそういうヤツではないか。

よしんば具とマヨ半々のものはソースと呼べたとしても、具の比率を上げていけばいずれサラダになるのではないか。

タルタルソース、サラダへの道

その存在のあやふやさを疑ってはみたものの、タルタルの美味さは揺るがない。
フライ系には鉄板の威力だし、場合によっては白ご飯の上にのせておかずにしてしまっても問題無いぐらいだ。白いぞ、タルタルソース丼。
以前に食べたタルタルソース丼写真。色彩が極端に乏しい。
以前に食べたタルタルソース丼写真。色彩が極端に乏しい。
ともあれ、それぐらいにはタルタルソースが好きなので、作るのもわりと慣れている。
材料を全部包丁で切っていくと途中で面倒さのあまり「あー、魔法でこれ全部刻めないかなー」とか大人が言うべきではない愚痴もこぼれてくるが、フードプロセッサーを使えばあっという間だ。
ピクルス、粉砕。
ピクルス、粉砕。
卵だけは細かくしすぎないよう、手で刻む。
卵だけは細かくしすぎないよう、手で刻む。
タマネギ、ピクルス、キュウリは細かく刻むのが面倒なのでフードプロセッサーで一気に粉砕。
ピクルスとキュウリはどちらかの二択で良いらしいが、ピクルスの酸味とキュウリのシャキッとした感じが両方欲しいので、僕は両方入れる事にしている。

とりあえず具の量は3パターン。200gはほぼ山。
とりあえず具の量は3パターン。200gはほぼ山。

今回は具の比率を変えて比べるのがテーマなので、50g・100g・200gの具を用意した。
これをすべて同量のマヨネーズ(40g)と和えてタルタル化してみる。
タルタル好きの心弾む時間。フライにソース乗せる時の次ぐらいに楽しい。
タルタル好きの心弾む時間。フライにソース乗せる時の次ぐらいに楽しい。
マヨネーズに加えてレモン汁、塩、胡椒、砂糖で味を調整すれば出来上がりだ。
今回は忘れてたけど、具として甘酢ラッキョウを刻んで入れても美味いらしい。それは普通に今度食べてみたい。

タルタルソースの濃度グラデーション

完成したのが、この3種のタルタルソース。(試食前なので、今のところすべてソースとしておく)

遠目に見てもすでに差が分かるぐらいの濃度差。
遠目に見てもすでに差が分かるぐらいの濃度差。
先々週に段ボールで茶色一色の地味な記事を書いたばかりなのに、今度は白一色。
さすがに我ながら問題ありと判断して、自主的にドライパセリを振ってみた。青さが目に優しい。
具50g版。すばらしいシズル感。これは間違いなくソースでいいはず。
具50g版。すばらしいシズル感。これは間違いなくソースでいいはず。
100g版はまだ意外とソースっぽいか。
100g版はまだ意外とソースっぽいか。
200g版、ダウト。
200g版、ダウト。
アップで見ると、やはり200gはソースじゃない。ちょっとした食べ物だ。
ただ、これを居酒屋で突き出しとして出されたらわりと嬉しいかもしれない。「ポテサラ以上、大根をいい感じで炊いたやつ未満」ぐらいの喜び。

ソースかサラダか確かめる

見た目ではハッキリとした差が出たが、では実際に食べてみるとどうだろうか。

タルタルオンザカキフライ。至福。
タルタルオンザカキフライ。至福。
シーズンにはまだ早いが、マイ・ベストタルタルフードであるところのカキフライを用意した。
タルタルのステージとしてはこれ以上のものは望めまい。史上最強のタルタル置き場である。

50gタルタル

カキフライにかけても失われないシズル感。ブラーヴォ。
カキフライにかけても失われないシズル感。ブラーヴォ。
やはり50gはソースだろう。
カキフライにかけると縁からトロっとたれ落ちている辺り、非常にソース感高い。
「ソースはたれてこそ」ということだ。

いただきます。
いただきます。
あー、うまいわー。裏切らないわー。
あー、うまいわー。裏切らないわー。
当たり前だが、超美味い。
自分がタルタルソースとカキフライに裏切られている光景なんか想像できない。
このうすらぼんやりとした味は、醤油やソースのようなピリッとした調味料では出せまい。締まらない美味だ。

さすがに「美味いわー」だけでは伝わらないだろうから、なんとなくソースとサラダの感覚値のようなものも出してみた。
もちろん全くの「なんとなく値」なので根拠はないが、とりあえず具が50gだと90ソースの10サラダ、ぐらい。

100gタルタル

50gより液体っぽさは減ったが、まだなんとなくソース風。たれてるし。
50gより液体っぽさは減ったが、まだなんとなくソース風。たれてるし。
100gになると、ソースっぽさはどこかに残しつつも薬味の雰囲気も出してきた。
これはこれで美味いんじゃなかろうか。

ブレたけど、軽くガッツポーズ出た。
ブレたけど、軽くガッツポーズ出た。
良し、美味い。これは良し、だ。
具が増えた分、タマネギなどのシャリシャリした歯応えやピクルスの酸味が強く伝わってくる。なんとなく高級な感じがして、タルタル好きには50g版よりこちらの方がオススメなぐらいだ。
あと、明らかにサラダは近付いてきている。道路の向こう側で手を振ってるぐらいの距離感。数値にすると60ソース40サラダ、ぐらい。

200gタルタル

ほぼ固体。
ほぼ固体。

たれる気配ゼロ。これは「ソースをかけた」ではなく「何か置いた」という状態だ。
面白いほどにソースじゃない。
…ソースじゃない?
…ソースじゃない?
あ、サラダだった。
あ、サラダだった。
これは間違いなくサラダ。20ソースに対して80サラダ。
どこを噛んでも野菜の歯応えがあるし、味はマヨネーズだしで、サラダとして間違いない味。
よく混ぜてあるので、味の馴染みも良い。美味い。

ただ、カキフライにサラダを乗せて美味いかというと、そこはちょっと微妙かも。衣にソースが染み込む感じが無く、一体感がない。200g版はサラダとして食べて、カキフライには100gか50gをかけるのがベストだと思う。

まがりなりにもあれこれ作って実験した結論が「カキフライとサラダは別々の方が美味しく食べられるんじゃないかな」というのもあんまりな話だが、まあそういうことだ。

濃度を上げていく方向はこれで良しとして、次は逆に具を薄めていくのもやってみたい。
たとえば、ポテトサラダはどこまでジャガイモを減らしてもサラダとしての存在感を維持できるのか。ある一線で「ジャガイモの混じったマヨネーズ」になるのではないだろうか。
もっとシンプルに、塩水を薄めてどこまで塩味がするのかとか、そういうのでもいい。
サラダオンサラダ。
サラダオンサラダ。
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