特集 2013年8月8日

この夏、行きたいダム11選

遊べるダム、涼しいダムが目白押し
遊べるダム、涼しいダムが目白押し
夏休みまっ盛りである。

海に出かけたり、山もいいけど、ダムにも行ってみよう。

単に眺めるだけじゃない、この夏に行ってこそ楽しいダムをご紹介したいと思う。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

前の記事:墳好きによる墳めぐり

> 個人サイト ダムサイト

行った当日に見学できるダムがある!

ごまかしようがないので最初に書きますが、この記事はいまだに夏休みの旅行先や自由研究に悩んでいる小学生中学生向けに書いています。

ダムのことを調べようと思って出かけて、単に上から眺めたり下から見上げたり、もちろんそれでも楽しいけど、もし普段見られないダムの中を見せてくれると言われたら観に行きたくなるだろう。

なんと、ダムの中には当日ふらっと行って、職員さんの解説つきで中を見学させてくれるところがあるのだ。スナック感覚のダム見学である。
シャープな逆三角形が美しい深城ダム(山梨県大月市)
シャープな逆三角形が美しい深城ダム(山梨県大月市)
管理所の玄関に向かうと
管理所の玄関に向かうと
「ダム見学できます」の貼り紙が!
「ダム見学できます」の貼り紙が!
たとえば、山梨県大月市にある深城ダムでは、平日に限り予約不要でダム見学を受けつけている。しかも、なんと一人からでも対応してもらえるのだ。

管理所の玄関にあるインターホンで見学したい旨を伝えると、職員さんがさっそく案内してくれる。
「じゃ、さっそく行きましょうか」
「じゃ、さっそく行きましょうか」
ふむふむ
ふむふむ
ダムの中のエレベーターで下に降りる!
ダムの中のエレベーターで下に降りる!
ダムの中は年間を通して10℃くらい
ダムの中は年間を通して10℃くらい
狭い通路を通って外に出ると
狭い通路を通って外に出ると
どーんとダムを下から見上げる場所へ!
どーんとダムを下から見上げる場所へ!
内容は、ダムの上で役割や仕組みの紹介を受けたあと、堤体の中にあるエレベーターでダムの下に降りて堤体を見上げる、といった感じ。

だいたい2、30分程度のプチ見学会だけど、プロがマンツーマンで直接案内してくれるので、知りたいことがあれば何でも質問できる。写真にあるようにダムの中の通路は年間を通して10℃くらいに保たれているので、夏は涼しく冬は暖かい。それがなぜか、ということも教えてもらえるのだ。

こういう「当日ふらっと行って見学できるダム」、ほかにも全国いくつかのダムで行われている。
東北屈指の重力式ダム、玉川ダム(秋田県仙北市)
東北屈指の重力式ダム、玉川ダム(秋田県仙北市)
手作りの看板がかっこいい
手作りの看板がかっこいい
南魚沼産コシヒカリの源、三国川ダム(新潟県南魚沼市)
南魚沼産コシヒカリの源、三国川ダム(新潟県南魚沼市)
ジェットエンジンのような放流が目の前に
ジェットエンジンのような放流が目の前に
北アルプスの無頼派、大町ダム(長野県大町市)
北アルプスの無頼派、大町ダム(長野県大町市)
ここもダム好きが来るのを待っている
ここもダム好きが来るのを待っている
これらのダムは当日受付ができるけど、もちろん点検があったり大雨で警戒態勢のときは見学できないこともあるので、事前に電話で確認しておいた方がいいかも知れない。

あと、当日いきなりは無理だけど、事前に予約しておけば見学を受けつけてくれるダムも多い。身近なダムのホームページなどで確認してみよう。
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案内はつかないけど、中に入れるダム

最近造られたダムの中には、来た人がダムの中を自由に観てまわれる見学用の通路があるところも多い。

解説の職員さんはつかないけど、そのぶん案内や解説の看板が充実しているので、人と話すのは苦手だけどダムの中は見てみたい、という人にはうってつけだ。

しかも、ダムによっては放流するゲートのすぐ上まで行けたり、堤体の真ん中へんにあるバルコニーに行けたり、いったいどうしたのかと思うほどのサービスぶりなのだ。
たとえば中国地方が誇るデザイナーズダム、苫田ダム(岡山県苫田郡)では
たとえば中国地方が誇るデザイナーズダム、苫田ダム(岡山県苫田郡)では
堤体内のエレベーターと通路が開放されていて
堤体内のエレベーターと通路が開放されていて
放流する水門の真上に部屋がある
放流する水門の真上に部屋がある
自分の足元から放流される大迫力の光景
自分の足元から放流される大迫力の光景
この部屋、行ってみたいでしょ?
この部屋、行ってみたいでしょ?
岡山県にある苫田ダムでは、堤体の上からエレベータに乗ってダムの中へ降り、コンクリートに囲まれた内部の通路を抜けると、放流ゲートの真上にある部屋にたどり着く。

もちろん放流していれば、だけど、自分の足元からものすごい勢いで水が吹き出し、下流に放流されている大迫力の光景を観ることができるのだ。

また、岐阜県の瑞浪市と恵那市にまたがる小里川ダムでは、やはりエレベータが解放されていて、降りて通路を進むと、堤体の中ほどにあるバルコニーに出る。
山間にそびえるギリシャ神殿、小里川ダム(岐阜県瑞浪市・恵那市)
山間にそびえるギリシャ神殿、小里川ダム(岐阜県瑞浪市・恵那市)
案内に従うまま内部の通路を進むと
案内に従うまま内部の通路を進むと
このダムのデザインの要、ぶっとい円柱が目の前に
このダムのデザインの要、ぶっとい円柱が目の前に
この場所に出てくる
この場所に出てくる
ここからは見上げた方がすごい景色かも
ここからは見上げた方がすごい景色かも
これらがすごいのは、放流ゲート上の部屋にしても堤体のバルコニーにしても、本来のダムの目的としては何の役にも立たない、というところだ。つまり、100%一般の見学者に楽しんでもらうための施設。

しかも料金はタダ。和民も真っ青な奉仕精神である。
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標高が高ければ涼しいぞ

避暑地としてダムに向かうのもいいだろう。ダムの中の通路も涼しいけど、たとえ内部見学ができなくても、そもそも標高が高ければ涼しいはずだ。

たとえば天端(ダムのてっぺん)標高が日本一の南相木ダムなんてどうだろう。
空にいちばん近いダム、南相木ダム(長野県南佐久郡南相木村)
空にいちばん近いダム、南相木ダム(長野県南佐久郡南相木村)
真っ白な岩山の堤体がなんとも涼しげ
真っ白な岩山の堤体がなんとも涼しげ
南相木ダムは長野県の南相木村にある発電用のダム。その天端標高は1532mで日本一高いところにあるダムである。

白い石を積み上げて造られた巨大な堤体や青い湖も涼しげな雰囲気だし、周りの山も山頂が近く、空が広い。とても気持ちのいいダムだ。

天端標高2位は1517mで群馬県の野反ダム。ここもおとぎ話の世界、というような美しい光景が広がっている。
天国にいちばん近いダム、野反ダム(群馬県吾妻郡中之条町)
天国にいちばん近いダム、野反ダム(群馬県吾妻郡中之条町)
堤体自体はどちらかと言えば地味である
堤体自体はどちらかと言えば地味である
このダムができる前は、高山植物が生い茂る湿地帯だったと言うから、きっと尾瀬のような場所だったんだろうと思う。尾瀬に行くのはそれなりの装備と時間が必要だけど、こちらはダムができたおかげで道路ができ、誰でも簡単に行くことができる。

涼しさ、という意味ではで印象に残っている山梨県の琴川ダムは天端標高1464m。正確な順位は分からないけど、発電用以外では恐らく一番高い場所にあるダムだ。
山頂が近くて空が広い琴川ダム(山梨県山梨市)
山頂が近くて空が広い琴川ダム(山梨県山梨市)
湖畔には公園や遊歩道がある。猛暑の都会を離れ、高原で1日を過ごす(ダム好き)には最高の場所だろう。

キャンプができるダムもある

夏のアウトドアレジャーと言えばキャンプ。僕はほとんど経験ないし興味もあまりないのでノーマークだったけど、そういえばあそこにあったな、という情報をお知らせしたいと思う。

いちばんキャンプ場に近いダムは栃木県にある松田川ダムだと思う。それほど大きくないダムだけど、堤体の下流側が公園になっていて、そこにオートキャンプ場があるのだ。
ダムの下で水遊びもできる優しき巨人、松田川ダム(栃木県足利市)
ダムの下で水遊びもできる優しき巨人、松田川ダム(栃木県足利市)
さすがにキャンプ場の写真は撮っていなかった。でもトイレや売店もあって、けっこう充実した施設だったと思う。

もうひとつ覚えているのは奈良県の池原ダム。ここは巨大なアーチダムだけど、その堤体を見上げるような場所にキャンプ場があって、コテージも建ち並んでいた。
100mを超えるアーチダムの下がキャンプ場、池原ダム(奈良県吉野郡下北山村)
100mを超えるアーチダムの下がキャンプ場、池原ダム(奈良県吉野郡下北山村)
あのコテージに泊まって翌朝寝起きで池原ダムを眺めたい
あのコテージに泊まって翌朝寝起きで池原ダムを眺めたい
堤体の近くや湖畔にキャンプ場があるダムはまだまだほかにもある(と思う)。キャンプ場+ダムで検索して、お気に入りの場所を探してほしい。

何か理由つけて連れてってもらおう

最初に書いたように、この記事はふだんあまりダムに行く機会のない小中学生向けである。

公共交通機関で行けるダムは限られているし、子供同士で行くのも難しいかも知れない。

つまりどういうことかと言うと、ここに書いてあるのは親に連れて行ってもらうための理由づけのヒントである。ぜひ何とかして、夏休みという機会にダムまで連れてきてもらってください。
なお、放流を見たいときは以前書いた記事を参考にしてください
なお、放流を見たいときは以前書いた記事を参考にしてください
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