コラボ企画 2013年8月12日

夏休みの工作に深海水族館を作ろう

好きなものだけ詰め込みました。
好きなものだけ詰め込みました。
夏休みだ。夏休みといえば工作。工作といえば今も昔も定番は「水族館作り」であろう。
大人になった今、あれを好きなように作ってみたらどうなるか。モチーフは今アツい「深海魚」で。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:ペッツを悪徳商人にしてみる

> 個人サイト 妄想工作所

あの頃の工作をなぞる

というわけで、ハンズに行って「水族館」作りに使えそうな材料を買って来た。

ふだんからハンズにはお世話になっているので、これら以外にも家には粘土とか金属板とか塗料がわさわさとひしめいている。いつ出番があるかわからないものたちが…

とにかく、それら在庫も交え、さあどういうふうに作っていこう。ここらで気持ちを小学生時代に戻そう。ルルルルル…
おりがみなんて久々に買った。
おりがみなんて久々に買った。
まずは、小学生の頃に作って提出したような、水族館・ジ・オリジンを作ってみようと思う。気分をその頃に戻すため、当時持っていた学研の図鑑も引っ張り出して眺めてみる。あの頃の自分なら、どういうラインナップでどういうスタイルのを作っていただろうか。
昔の図鑑はシンプルだ。それにしても全員左向きである。
昔の図鑑はシンプルだ。それにしても全員左向きである。
とにかく塗ってみる。Amazonの箱、というのが当世風。
とにかく塗ってみる。Amazonの箱、というのが当世風。
舞台装置(わかめ、石など)を作って、と。
舞台装置(わかめ、石など)を作って、と。
魚のシルエットに厚紙を切り抜いて、おりがみを貼り付けて、と。
魚のシルエットに厚紙を切り抜いて、おりがみを貼り付けて、と。
泡を消しゴムはんこで、というのは当時の自分の頭にはなかった。
泡を消しゴムはんこで、というのは当時の自分の頭にはなかった。
うーん、まあ、こんなもんだろ…
うーん、まあ、こんなもんだろ…
一番やっかいな魚の顔やヒレの線など、ディテールの部分を親に手伝ってもらったような、微妙な味わいになってしまった。親が手を入れると、変にこなれたような侘びたようなおかしな雰囲気になるよね。

どうも子供の頃から、絵の具を使えば発色悪く、モノを作れば中途半端に器用なせいでズバッと1点抜けるところもなく、それは今になっても変わらないようだ。がっかり。という独白はさておき。

ここで、水族館工作の要点を、自分なりにまとめてみたい。

・箱の中に小さい世界を再現する。
・しかし本格的なジオラマまではいかなくてもいい。
・小さい箱なので、生息場所や大きさ比率などは厳密でなくともおおらかでいい。

まとめるまでもなかったかもしれない。
つまり好きな海の世界を箱の中に再現して、堂々と先生に提出すればいいのだ。

ではこれら要点を踏まえつつ、深海バージョンの水族館を作ってみよう。

イカす深海箱を

今、国立科学博物館で「深海 特別展」をやっているので、参考にすべく急いで見に行った。金曜18時くらいに着いたが、中ではかなりの人が熱心に展示を見ており、ダイオウイカに始まる深海ブームの隆盛ぶりをまざまざと見せ付けられた。
超保存版。左が特別展の図録。右はダイオウイカのポスターとシール付き!
超保存版。左が特別展の図録。右はダイオウイカのポスターとシール付き!
いったい今までに「ダイオウイカポスターとシール」を誇らしげに付けた本があっただろうか。お土産品もダイオウイカフィーバーであった。ダイオウイカ大ブレイク。

図録と書籍を買って持ち帰り、さてどんな深海底にするか、しばし考える。
やっぱりこういう感じだよなぁ。
やっぱりこういう感じだよなぁ。
自分としては珍しくラフ画を描いてみる。そうしないと考えがなかなかまとまらない。深海は広いからね。
まとまったようなまとまってないような。
まとまったようなまとまってないような。
深海展で見たイメージ、今までに水族館などで見た深海魚のイメージ、展示形態のイメージ、それらがごっちゃになって、果たしてどんな水族館箱にするか、なかなかしっくりくるような案にたどり着けない。が、ラフを描いて少しほっとした。

深海調査艇の丸窓から暗い深海を見下ろしたという想定で、中に海溝をしつらえて、深海魚らを深さに合わせて配置したいと思う。

締め切りと能力とバランスの狭間で

まずは、スタイロフォームで海底を作る。
海底面を作る。それっぽく、しかし不規則に、というのはけっこう難しい。
海底面を作る。それっぽく、しかし不規則に、というのはけっこう難しい。
テレビで見た深海調査の様子。海底面が妙に白っぽく、意外と起伏が少なく、静けさが漂う。あの感じを出したい。

それなりにごつく、しかしなだらか。そんな海底を目指して、わかんないなりに工程を重ねる。
ラテックス塗って、なだらかさを目指す。
ラテックス塗って、なだらかさを目指す。
しかし色は間違えた。もっと白くせにゃ。
しかし色は間違えた。もっと白くせにゃ。
そして窓。調査船の丸窓を想定し、それっぽく枠を作っていく。
かっちりさせたいので、ここはプラ板を使おう。
かっちりさせたいので、ここはプラ板を使おう。
薄いプラ板を丸く切って、窓を留めるビス代わりに。
薄いプラ板を丸く切って、窓を留めるビス代わりに。
全体を入れる箱。たまたま家にあった、ティッシュの入っていたダンボール箱を拝借したところ、ほぼぴったり入りそうだ。エプソンならぬ、ネピア水族館である。
でも少し隙間が…
でも少し隙間が…
仕方なく分解して作り直す!
仕方なく分解して作り直す!
窓枠に、メッキ風塗料を塗る。
窓枠に、メッキ風塗料を塗る。
肝心の魚たちだが、何を材料にして作るか、ギリギリまで悩んでいた。紙やアクリル板、ラベルに出力して貼る、など…うーん。でもやはりここは粘土細工しかなさそうな気がする。「夏休みの工作」というテーマと、「深海ジオラマ」という野心が葛藤しているのである。うまく作りたい、でもここはうまく作らず味を出すほうがいいかも…などと。

彫塑は苦手だが、軽量粘土などで一つづつ作っていこう。
メンダコは自分でも作れそうな単純さ。
メンダコは自分でも作れそうな単純さ。
ダイオウイカの足には針金を入れて。
ダイオウイカの足には針金を入れて。
透明粘土というのを買ってみた。これであのホヤやあいつの頭を作ろう。
透明粘土というのを買ってみた。これであのホヤやあいつの頭を作ろう。
粘土、っていうかシリコーンですねこれ。
粘土、っていうかシリコーンですねこれ。
薄いプラ板を1枚1枚切り出して…
薄いプラ板を1枚1枚切り出して…
模様を、これまた1枚1枚描いていく。シロウリガイという、貝ですこれは。
模様を、これまた1枚1枚描いていく。シロウリガイという、貝ですこれは。
あとはガワを整えて、海底部分に生物を配置するのみ。これまで深海底をさまようような気持ちで試行錯誤してきたが、ようやく出口が見えてきた。
外側も、調査船らしく白で。
外側も、調査船らしく白で。
貝を海底に埋め込む。ちょっと楽しい。
貝を海底に埋め込む。ちょっと楽しい。
羊毛フェルトを針金に巻きつけて、これ熱水噴出口の煙です。
羊毛フェルトを針金に巻きつけて、これ熱水噴出口の煙です。
全てセッティングしてから箱に沈める。ぴったりに箱を作りすぎて大変だった。
全てセッティングしてから箱に沈める。ぴったりに箱を作りすぎて大変だった。
ここまで作って気が付いた。光が入るのはあの丸窓からだけだから、覗いたら中は真っ暗になるじゃないの。
あわてて、ライト入れる穴を開けた。セーーーフ。
プラ板を青く塗って、ライトにかぶせる。
プラ板を青く塗って、ライトにかぶせる。
外観を調査船っぽく、最後の悪あがき。
外観を調査船っぽく、最後の悪あがき。

洗濯乾燥機「しんかい」

これが、今の自分がお送りする「水族館・ザ・ネクスト 深海編」だ!
ド、ドラム式…
ド、ドラム式…
調査船「しんかい6500」をイメージして作ったので、ボディにもそう書いた。そのまま書くのははばかられたので、疑問形にした。しんかい?しんなのかい?
調査船「しんかい6500」をイメージして作ったので、ボディにもそう書いた。そのまま書くのははばかられたので、疑問形にした。しんかい?しんなのかい?
ヘッドライトが一番光の具合が良かったからこうなったが、これはこれで雰囲気が出ている気がする。
ヘッドライトが一番光の具合が良かったからこうなったが、これはこれで雰囲気が出ている気がする。
この窓から海底を覗くと…
この窓から海底を覗くと…
ダイオウイカとゆかいな深海の仲間たち。
ダイオウイカとゆかいな深海の仲間たち。
化学合成生態系を表現。メタン湧き出る噴出口の周囲に集まる、シロウリガイとスケーリーフット。
化学合成生態系を表現。メタン湧き出る噴出口の周囲に集まる、シロウリガイとスケーリーフット。
硫化鉄の鱗を持つ、スケーリーフット。
硫化鉄の鱗を持つ、スケーリーフット。
もっとも深い位置に生息するシンカイクサウオの集団が、死んだ魚に群がるようす。
もっとも深い位置に生息するシンカイクサウオの集団が、死んだ魚に群がるようす。
それを遠くからじっと眺めるダイオウグソクムシ。
それを遠くからじっと眺めるダイオウグソクムシ。
それらを眼下に、優雅に横切るリュウグウノツカイ。
それらを眼下に、優雅に横切るリュウグウノツカイ。
長いため、他の写真に足だけ見切れがちなダイオウイカ。上に静かに上昇していく様子。
長いため、他の写真に足だけ見切れがちなダイオウイカ。上に静かに上昇していく様子。
もはや口だけ、フクロウナギ。
もはや口だけ、フクロウナギ。
こちらも口のみ、オオグチボヤ。
こちらも口のみ、オオグチボヤ。
頭透け透け、デメニギス。
頭透け透け、デメニギス。
マイペースに浮遊するメンダコ。
マイペースに浮遊するメンダコ。
原始的なサメ、ラブカ。
原始的なサメ、ラブカ。
これらはフタを開けて撮影したので姿が見えているが、フタを閉めるとほぼまっくら。なので、中を覗くときにはライトをつけて、深海調査気分にひたろう。
(NHK女性アナのナレーションで)7000mの深海で、シンカイクサウオの集団を見つけました。何かの死骸に、とりついているようです。
(NHK女性アナのナレーションで)7000mの深海で、シンカイクサウオの集団を見つけました。何かの死骸に、とりついているようです。
鉄のカラを持つ貝、スケーリーフット。…おや?画面の左端、イカの触手のようなものが、通っていきました。
鉄のカラを持つ貝、スケーリーフット。…おや?画面の左端、イカの触手のようなものが、通っていきました。
リュウグウノツカイが泳ぐ様子を捉えた、貴重な映像。おや?画面の左端、イカの触手のようなものが…(以下同様)
リュウグウノツカイが泳ぐ様子を捉えた、貴重な映像。おや?画面の左端、イカの触手のようなものが…(以下同様)
…と、エア解説しながらひとりで眺めると、雰囲気まんてんです。
…と、エア解説しながらひとりで眺めると、雰囲気まんてんです。

子供の頃の夏休みの工作は、出された宿題への単なるアンサーという場合も多いだろう。学校や親は創造性や独創性を培ってもらいたいわけだが、子らはめんどくさがり、たいてい本の通りに作るか、他の子が作ったものを見よう見まねで作ってとりあえず提出して事を収める。

そんな中で自分も、水族館作りには疑問を持ちながらも、出せば喜んでくれそうなものを逆算して作ったりしたかもしれない。これくらいでいいだろ、と。つまり本気で作ってなかった。

でも今回作ってみて、深海のあれこれや、生息域の深さの度合いを調べたりなんかして、あと生物の形にも深く立ち入ったりして、すこし理解の度が深まった気がする。おお、そういうことだったのか!30年を経て、今更この手の工作の真意が理解できたような気がします。

お知らせ1

デイリーポータルZ他での工作記事をまとめた乙幡の書籍、第2弾が7日に発売されました!

「乙幡脳大博覧会」(本当にこういうタイトルです)アールズ出版

帯の推薦文はなんと…!

というわけで、全国書店・ネットで販売中です。
どうぞよろしくお願いいたします!

お知らせ2

すみません、もう一つだけ告知させてください。

「おバカ創作研究所 Vol.4」に、1~3に続き出演いたします。
今回ゲストは明和電機・土佐信道さん!
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_130723204314_1.htm

8/31(土)Open 17:00 Start 18:00
@お台場・東京カルチャーカルチャー
レギュラー出演者:ザリガニワークス・現代美術二等兵・乙幡啓子

こちらもぜひおいでください。
よろしくお願いいたします。
▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓