特集 2013年7月14日

松山と東京でパラレル散歩(サントス散歩)

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松山と東京、遠く離れた2人が一緒に散歩したらどうなるだろう?
それぞれの出発地点から、方角と距離を頼りに同じように歩いてみるのだ。例えば、北に50メートル歩いたら東に折れて100メートル進むというように。

同じように歩いてみて、お互いの景色はどれくらい違って見えるのか。地形も道も全く違う2つの場所で、そもそもそのようなことが可能なのか。猛暑厳しき折、パラレル散歩を試してみた。
シンプル・イズ・ベストをモットーに日々精進中。旅先では早起きをして、その街のゴミ収集の様子を観察するのが好き。


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ミスター林は松山で、サントスは池尻でそれぞれ散歩

まずは、今回の散歩がパラレル散歩になった経緯を説明しよう。

ミスター林と私のスケジュールが合わなかったから。

簡単に言うと、そういうことだ。ミスター林の松山出張の日にしか散歩の日程が取れず、どうしたものかと頭を悩ませていると、

「松山と東京で同時に散歩しましょう」

とミスター林から提案があった。

離れているのなら、離れたままでいいじゃないか。と、ミスター林が機転をきかせたことで、松山と東京のパラレル散歩が実現した。まさにピンチはチャンスである。


ミスター林との事前連絡の中で、東京の私は国道246沿いの池尻の交差点からスタートすることに決めていた。ミスター林が松山市のどこからスタートするのか、この時点では分からない。

池尻の交差点で、ミスター林からの連絡を待つ。
東京:池尻の交差点にある壁画の前にて
東京:池尻の交差点にある壁画の前にて
梅雨明けとともに訪れた猛暑。いつもはスーツ姿で散歩をしているが、今回からアロハシャツを着用した。沖縄ではアロハシャツ(正確にはかりゆしウェア)が正装だと聞く。

この日の東京は沖縄にも引けを取らないほどの暑さである。沖縄スタイルでパラレル散歩にのぞむことにした。
東京:池尻交差点にある古畑病院。ドラマ『古畑任三郎』の由来となったこの病院は今年の4月にリニューアルしている
東京:池尻交差点にある古畑病院。ドラマ『古畑任三郎』の由来となったこの病院は今年の4月にリニューアルしている
池尻の交差点付近をウロウロしていたら、早速ミスター林から第一報が入った。
松山:河原町の交差点
松山:河原町の交差点
ミスター林は河原町という交差点にいるらしい。

送られて来た写真を見ると、ミスター林の目が充血しているのが分かる。これは私の予想であるが、ミスター林はコンタクトの保存液を忘れて出張に出たのだと思う。出張の度にコンタクトの保存液を忘れ、その度に目を充血させているようだ。

まずは北へ向かっていく

商店街を北に向かうらしい。

私もミスター林と同じように北へ向かわなければならない。国道246号を横断して、北へ歩く。
東京:横断歩道を渡って北へ
東京:横断歩道を渡って北へ
東京:早速子供たちから歓迎をうける
東京:早速子供たちから歓迎をうける
東京:盛り上がる歓迎ムード
東京:盛り上がる歓迎ムード
池尻から北へ向かうルートを歩き始めるとすぐ、保育園の先生と子供たちから熱烈な歓迎を受けた。サントス散歩を始めて今回で7回目だが、これだけチヤホヤされたのは初めてだ。幸先のいいスタートである。

するとそこに、ミスター林から次のメッセージが届いた。
松山:スタートから50メートル付近にパン屋
松山:スタートから50メートル付近にパン屋
50メートル歩いたところにパン屋、の情報だ。私も歩き始めて50メートル付近で立ち止まる。

するとそこには薬局があった。
東京:スタートから50メートル付近に薬局
東京:スタートから50メートル付近に薬局
東京:120歳までいきましょう、という看板
東京:120歳までいきましょう、という看板
120歳まで生きるためには

「1.内臓が元気であること。2.自分の足で歩けること。3.血管がつまったり、切れたりしないこと」

という3点が大事らしい。1と3にはあまり自信がないが、私は今、こうして自分の足で歩いている。サントス散歩を続けることが、最終的に120歳まで生きることに繋がるのかもしれない。
松山:さらに50メートル進むとみかんジュースの蛇口
松山:さらに50メートル進むとみかんジュースの蛇口
ミスター林から次のメッセージが届いた。パン屋さんからさらに50メートル進んだ先に、みかんジュースの蛇口があるという。蛇口からみかんジュースが出る、という東京では考えられないシステムが松山にはあるらしい。

歩き始めてまだそれほど経っていないが、気温35度を超える猛暑日である。ミスター林のみかんジュースがとてもおいしそうで羨ましい。

私も薬局からさらに50メートル歩いてみると、肉屋さんに着いた。
東京:さらに50メートル進むと肉屋さん
東京:さらに50メートル進むと肉屋さん
ミスター林がみかんジュースを飲んだように、こちらも何かを口にしないといけない。

肉屋さんに入って何か買おう。
東京:店主のおすすめはからあげ
東京:店主のおすすめはからあげ
東京:炎天下でからあげ
東京:炎天下でからあげ
肉屋の店主は、「揚げたてでおいしいよ」とからあげをすすめてくれた。からあげ2つで210円。カラッと揚がって中身はジューシーな仕上がりだ。確かにおいしい。おいしいけど、ジューシーなお肉よりも喉を潤すジュース的なものが欲しかった。

しかし、これがパラレル散歩のルールなのだから仕方ない。

2個目のからあげを食べていると、ミスター林から次のメッセージが届いた。
松山:みかんジュースの蛇口の全貌
松山:みかんジュースの蛇口の全貌

今度は西に向かってお昼を食べよう

みかんジュースの全貌とともに、ミスター林からお昼の提案があった。松山では西に行ったところにうどん屋があるという。

私も西に向かってみるが、そこにうどん屋があるとは限らない。
東京:肉屋から西方面へ
東京:肉屋から西方面へ
西へ向かう道は住宅街に続いているように見える。この先を行って大丈夫だろうか?

不安を抱える私のもとに、ミスター林からメッセージが届く。
松山:うどん屋に到着
松山:うどん屋に到着
なんとも味わい深い佇まいのお店である。店構えからして名店に違いない。きっとおいしいうどんにありつけるのだろう。

こちらはこの先にお店があるのかどうかすら、分からない。

時刻はお昼の12時を過ぎ、照りつける日差しが強さを増してきた。体中から汗が噴き出してくる。特にマスクの中の温度は尋常じゃない。真夏の甲子園では、ピッチャーマウンドの表面温度が60度近くになると聞く。今、私のマスクの中もそれに近い状態になっているのではないだろうか?
東京:クール宅急便のトラックが涼しげ
東京:クール宅急便のトラックが涼しげ
クール宅急便のトラックが停まっている。あの中にはたくさんのクールが詰まっているのだ。マスクを取ってあの中に入りたい。そんな誘惑に負けそうになりながら、西へ向かって歩き続ける。
東京:くねくねとした道を西へ
東京:くねくねとした道を西へ
甲子園のマウンド状態なマスクのまま、これ以上炎天下を歩くのは危険だ。私には高校球児のような体力もなければ、高温のマウンド上で投げ続けるようなモチベーションもない。

マスクマンが熱中症で病院へ運ばれた、なんてニュースにでもなったら大変である。悪ふざけが過ぎる、と世間様から批判を受けるだろう。何としてでもお店を見つけないといけない。

西方面の道を道なりに歩き続けると緩やかに南方面へ向かい、やがて国道246号に戻っていった。
東京:道が再び246号に戻っていく
東京:道が再び246号に戻っていく

パラレル散歩に奇跡が起きた

私が再び246号に戻って来た頃、ミスター林から更なるメッセージが届いた。
松山:うどん500円
松山:うどん500円
うどん500円。という短いメッセージにおいしそうなうどんの写真が添えられている。これだけの具が乗っているのに500円という安さ。ミスター林はいいランチタイムを送っているようだ。

とその時!

私の目の前に信じられない光景が!
東京:なんと、こっちにもうどん屋が!
東京:なんと、こっちにもうどん屋が!
なんという偶然だろう。松山のミスター林と同じように西に向かったら、こちらにもうどん屋さんがあったのだ。三宿のバス停の目の前、「夢吟坊」といううどん屋さんだ。

パラレル散歩に奇跡が起きた。

私は迷わず、「夢吟坊」に入っていった。
東京:冷房で生き返った私
東京:冷房で生き返った私
夢吟坊の店内でしばらく体をクールダウンさせてから、ゆっくりとメニューを広げた。ミスター林は暖かいうどんを食べていたようだが、今の私は暖かい食べ物を望んでいない。冷たいうどんはあるだろうか。

そんなことを考えながら、ふと店内を見渡すと…。

私の斜め右側に、芸能人が座っていた。テレビにも良く出ているグラビア出身のグラマラスな女性タレントさんだ。小さい子どもを連れている。

私はマスクをずらしてタレントさんの顔を確かめてみた。
東京:こっちの方が良く見えるから
東京:こっちの方が良く見えるから
やはり間違いない。あの人だ。早速、ミスター林にそのことを伝えてみた。

「店内に●●さん(タレント名)がいます。グラマラスです!」

するとミスター林から次のようなメッセージが返ってきた。
松山:うどん屋の店内
松山:うどん屋の店内
グラマラスに興奮したこちら側とは対照的に、グッと落ち着いたメッセージである。

どうやら私はグラマラスに浮かれ過ぎていたようだ。

気を取り直して生醤油うどんを注文することにした。値段は810円。松山のうどんの1.5倍くらいする。
東京:生醤油うどん810円
東京:生醤油うどん810円
東京:こしがあっておいしい
東京:こしがあっておいしい
松山と東京、遠く離れた2人が今、こうして同じようにうどんを食べている。これもパラレル散歩の醍醐味といえよう。

ちなみに女性タレントさんも私と同じ生醤油うどんを食べていた。沢山のメニューがある中、私とグラマラスさんが同じ場所で同じ物を食べているのだ。心の日記帳にこの幸福感を書き留めることにしよう。
松山:うどん屋のメニュー
松山:うどん屋のメニュー
こちらの店はメニューが豊富で、松山のお店はメニューが2つだけ。同じうどんでも場所が変わると色々である。
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