特集 2013年7月2日

夏の文房具フェス2013

今年も夏が始まる。
今年も夏が始まる。
文房具関係者にとって日本最大のお祭が、年に一回ある。
それが、今年で24回目の開催となる『ISOT(イソット=国際文具・紙製品展)』という文房具関連の見本市だ。
18歳未満は入場不可、基本的に関係者と招待客以外は入場不可、というハードコアなヤツだが、それでも3日間で7万人以上が訪れる本気の文具祭である。
その文具祭に、今年も行ってきた。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

前の記事:鉛筆の削り屑鑑賞

> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

ビッグサイトに文房具集結

ビッグサイトのイベントは、やはりビックサイトの外観から始めたい。
ビッグサイトのイベントは、やはりビックサイトの外観から始めたい。
今年のISOTは6月の26日から28日の3日間、お台場のビッグサイトで開催である。
何年か前までは最終日を土曜にして、一般開放日(関係者じゃなくても入れる日)と設定していたのだが、いつの間にか平日3日間だけの開催になってしまった。色々と大人の都合があるようだ。

当サイトでも5年前11年前に、WEBマスターの林さんがISOT取材を敢行していた。
しかも5年前の記事には僕が「文具に造詣の深いきだてさん」としてなんだかにこやかに登場している。

今だから正直に言うが、本当は取材を受けている時間があるなら一つでも多く文房具メーカーのブースを見て回りたかったので、表情は笑顔でも心中は「あー、早く終わんねえかな」と心の貧乏揺すりを繰り返しつつ焦っていたのだ。

時は流れて、自分がそのデイリーポータルでISOTの取材記事を書いている。人生何があるか分からない。
水・木・金の平日開催だが、関係者だけで相当混みあう。
水・木・金の平日開催だが、関係者だけで相当混みあう。

早速会場に入る

このホール内に文房具が死ぬほどあります。
このホール内に文房具が死ぬほどあります。
会場に入った時点で、文房具好きは体温がだいたい39度を超えている(予測値)。あとは熱病に浮かされたテンションで新製品をチェックして回るのだ。
しかも、新製品もモノによっては「発表は今日ですけど発売は12月です」とかずいぶん先まで気を持たせるものがあり、そうなると発売日まで熱に浮かされ続けるので辛いことになる。
今回紹介する文房具もほとんどが「7月以降近日発売」というものばかりなので、これを読んで気になる文房具があった人は僕と同じように辛い思いをしてくれたらいい。一緒にしよう。

あと、最近は日経新聞に記事が載ったりニュースになったりで、ISOTで発表になった新製品の情報がメディアに流れるようになってきた。
なので、そういうニュースになりそうな大ネタはそちらに任せて、僕個人が気になった小ネタ文具ばかりを拾っていこうと思う。

他にもまだまだ面白い文房具が大量に出展されていたのだが、今回の記事ではとてもじゃないが紹介しきれなかった(これで全体の1/16ぐらい)。
ということで、僕が所属する文房具トークユニット・ブングジャムが、夏のISOTを取材して回った内容を元にしたトークイベントを都内で行います。
ISOT会場で聞いた最新文房具トピックスから、秋以降の「この文房具を買っておけば間違いない」オススメ情報まで、3時間びっしり文房具漬けです。
やらしい話で恐縮ですが、毎回満員になるイベントなので、ご予約はお早めにどうぞ。
カマタ・ブングジャム
関係ないが、ビッグサイトは掃除用のモップもビッグ。
関係ないが、ビッグサイトは掃除用のモップもビッグ。
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日本カレンダーの懐かしいメモ

で、会場内をうろうろと回ってまず最初に気になったのは、文房具メーカーじゃないところが作った文房具だった。
第一気になり文房具発見。
第一気になり文房具発見。
非常に分かり易い社名でありがたいが、まさにカレンダーの専業メーカーさんである。しかも、日本国内の日めくりカレンダーにおいてはシェア7割というから、間違いなく日めくりカレンダーのリーディングカンパニーだ。
で、その自社製品である日めくりカレンダーの紙(純白紙という)を使った『365notebook』というメモ帳が、なんかすごくイイ感じなのだ。
紙が薄いので、分厚いわりには妙に軽い。
紙が薄いので、分厚いわりには妙に軽い。
あ、あの紙だ。
あ、あの紙だ。
子供の頃、日めくりカレンダーの破りとった紙が落書きするのに丁度良かったので、ずいぶんこれに色々なものを描いた記憶がある。薄くて軽くてパリパリした手触りの、まさにこの紙だ。懐かしい。

この紙に対しての「この感じ」をメモったのだが、いま見返すと「『孤独のグルメ』で吾郎ちゃんが「そうそう、この紙この紙」と言いながらもしゃもしゃと食べる感じ」とあって、自分でも良く分からない。
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デビカの乙女事務用品

学童向けの文房具や書類の綴じ紐など事務系を出しているデビカが、おかしな事になっていた。
乙女系、女子力高い事務用品ラインナップ。
乙女系、女子力高い事務用品ラインナップ。
もともとデビカは、指に付ける紙めくりサックをかわいいリボン型にするなど、なぜか事務用品の女子力を上げたがる癖のあるメーカーだったのだが、ついにそれが高じすぎて『オトメスピカ』なる乙女事務用品ブランドを立ち上げてしまったのだ。
乙女ペーパーファスナー『フィルサポ』
乙女ペーパーファスナー『フィルサポ』
書類をまとめて綴じておくためのペーパーファスナーという道具があるのだが、それがカラフルかつ花やハートや羽根ペンといった乙女なデザインになっている。
事務用品の女子力を高める必要性というのが僕には良く分からないのだが、とにかく今までに無かった発想だというのは認めざるを得ない。斬新すぎる。
やだ…ペーパーファスナーなのにカワイイ…
やだ…ペーパーファスナーなのにカワイイ…
シリコン輪ゴムの『Wowゴム』も乙女系。
シリコン輪ゴムの『Wowゴム』も乙女系。
書類以外のものも女子力高くまとめたいという需要があるのかどうかは分からないが、そういう場合は輪ゴムも乙女チックにすればよい。
ペットボトルの目印にしたり。
ペットボトルの目印にしたり。
ボールペンに巻いてもかわいい。
ボールペンに巻いてもかわいい。
上の写真のように、自分の目印として使うのもオススメだ。抜群に乙女である。
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高精細ペーパークラフトのウラノランド

ISOTは国際文具・紙製品展なので、文房具以外の紙製品もある。
今回すごかったのが、ウラノランドの3Dペーパーパズルだ。
紙をプラモデルのように組み立てるキット商品。
紙をプラモデルのように組み立てるキット商品。

ウラノは紙製の展示什器などディスプレイ用品を作るメーカーなのだが、こんなすごいクオリティの紙工作キットもやっていたとは知らなかった。
いま流行りのダイオウイカ。
いま流行りのダイオウイカ。
フレーム構造のクリオネ。
フレーム構造のクリオネ。
たぶん世界トップランクにかっこいいミジンコ。
たぶん世界トップランクにかっこいいミジンコ。
細かすぎるリーフィーシードラゴンとウニ。このままナショジオTVに出てもおかしくない。
細かすぎるリーフィーシードラゴンとウニ。このままナショジオTVに出てもおかしくない。
繊細すぎるミノカサゴ。
繊細すぎるミノカサゴ。
これだけ繊細な抜き加工をするのに、金型加工(クッキー型のようなやつで紙をくりぬく)はまず不可能なはず。
となるとレーザーで穴を開ける加工しかないだろうが、レーザーはその熱で紙の切り口を焦がすので、普通はフチの部分が変色してしまうのだ。ところがこのキットはフチまで全部もとの紙色のままである。

これはどうやって作っているのかメーカーの方に聞くと
「あ、焦げないギリギリのところで調整してレーザーでカットしてます」とさらりと返されてしまった。それ、大量生産でやれる話なのか。
  童話シリーズ『赤ずきん』。狼がお婆さんのメガネをかけてるところが細かい。
童話シリーズ『赤ずきん』。狼がお婆さんのメガネをかけてるところが細かい。
童話シリーズ『不思議の国のアリス』。時計が。
童話シリーズ『不思議の国のアリス』。時計が。
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kamiteriorは今年も可愛すぎた

kamiteriorのくるりと丸めて使う超絶かわいい伝言メモ『Ku・ru・ru』シリーズ、今年の新作がまたドかわいいとの噂を聞き、急いでブースに行ってみた。
新製品、Ku・ru・ru『co-risu』
新製品、Ku・ru・ru『co-risu』
細長いメモをくるりと丸めて相手の机の上に置いておく。恋が始まる。
細長いメモをくるりと丸めて相手の机の上に置いておく。恋が始まる。
だいたいこんなメモで伝言を伝えられたら、伝える内容以前にリスの可愛さにめろめろだろう、普通は。伝わるわけがない。
Ku・ru・ruの使い方イメージ。メモに伝言を記入。
Ku・ru・ruの使い方イメージ。メモに伝言を記入。
伝言を内側にくるっと丸めて。
伝言を内側にくるっと丸めて。
切り込みで止める。
切り込みで止める。
完成。(例:Ku・ru・ru usa-gi)
完成。(例:Ku・ru・ru usa-gi)
Ku・ru・ru『ukiyo-e 弐』
Ku・ru・ru『ukiyo-e 弐』
こちらも新製品。富岳三十六景などをモチーフに、メモを丸めるだけで浮世絵を立体化するukiyo-eは第二段。
サンリオとのコラボアイテム。こちらはもう発売中。
サンリオとのコラボアイテム。こちらはもう発売中。
丸から四角に。
丸から四角に。
さらに新製品として、箱形に折るタイプのメモ『cobaco』も登場。
丸めたり折ったり、なんにせよメモを平たく置くことを知らないメーカーである。
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ふせんの新メーカー・Backstreetfactory

聞いたことのないメーカーだったが、今年の一月に「東京の町工場が連携し新しい価値で新しいものを生み出す集団」として立ち上げられたらしい。
ブースに並べてあるラインナップを見る限り、ふせんに特化していくようだ。
文字を切り抜いた『DENMO』と人間型の『MENMO』。
文字を切り抜いた『DENMO』と人間型の『MENMO』。
人間の形に抜いたふせんは他メーカーでもすでにいくつか出ていたが、この『MENMO』は足と手の両方に粘着面がついているのがポイント(他社のはだいたい足だけ粘着)。
手足の粘着面はそれぞれ破り取る事も可能。
手足の粘着面はそれぞれ破り取る事も可能。
手足の両方に粘着があると何がどうポイントになるかというと…。
このポーズでしっかり固定。
このポーズでしっかり固定。
このように、土下座のポーズで固定できるのだ。
さらに粘着面にお詫びの気持ちを書き込んで相手の机の上に貼っておけば、大抵のトラブルはなんとなくチャラにできるのではなかろうか。

海外メーカーも出展

ISOTには国外メーカーも出展している。韓国・中国・台湾などアジア圏が多く、あとはインドなどがぽつぽつあるぐらいだが、なかなか日本のメーカーではありえない発想の文房具が出てくるので、この辺りも見逃せない。
あと、持って帰るのが重くてイヤなのか、海外メーカーは最終日に行くとだいたい展示品を格安で売ってくれたりするのも嬉しい。
痛々しいメモスタンド『勇気小子』
痛々しいメモスタンド『勇気小子』
台湾のデザイングループ iThinkingは去年からの出展だ。
『勇気小子 BRAVE』は、金属の人形にメモをくっつけて磁石内蔵の武器で押さえつける…というメモスタンド。これは去年もあった。というか僕も最終日に売ってもらった。

「今年は新製品ないの?」と訊くと、取り出してきたのがこれだ。
!
まさかの『拡張武器セット』だ。もちろん今回はこれも最終日に売ってもらった。
どうやらまだ台湾でも作られたばかりで値段が付いてないらしく、その場で「えー、いくらにしようかなー。わかんないなー。じゃあ2つセットでこれぐらい」と、なんだか申し訳ないような安値で交渉成立してしまった。

インディペンデント文房具メーカーの曙

独立系メーカー・ベアハウスの『立つノートカバー』
独立系メーカー・ベアハウスの『立つノートカバー』
ここ2年ほど、個人レベルで文房具を作る独立系メーカーが増えてきた。中でも頑張っているのが京都のベアハウスだ。
社長の阿部さんは去年まで鞄メーカーに勤めていたが、文房具が作りたいからと独立して文房具メーカーを立ち上げたという。
ベアハウスの阿部さん。いま気がついたけどアベを逆さにしてベアハウスなのか。
ベアハウスの阿部さん。いま気がついたけどアベを逆さにしてベアハウスなのか。
Twitterで集まった関西の文具好き集団『どや文具会』の意見を集約して作ったペンケースなどの他に、机の上で自立する『立つノートカバー』を出展していた。
PP製のノートカバー。このサイズだと、A5のノートが収納できる。
PP製のノートカバー。このサイズだと、A5のノートが収納できる。
「営業とかやってると、外で一日取ってきたノートを机に立てて、それを見ながらキーボードで入力したい時があったんですよ。それでこんなの要るかなって」
今まで営業職を経験したことがないので果たしてそんな需要があるのか理解できなかったが、ベアハウスのブースをしばらく眺めていると、いかにも営業らしい風体の人があからさまに「…これ、いいなぁ」と興味を示してノートカバーを触っていくのを何度か見かけた。みんなノートを立てたがっているのか。
カバーの背を折り曲げて。
カバーの背を折り曲げて。
筒状にスナップで留めて。
筒状にスナップで留めて。
こんな感じで立ちます。
こんな感じで立ちます。
ちなみにこの『立つノートカバー』はクラウドファンディングで欲しい人を募ってから生産するとのことで、現時点ではまだ試作品だ。もしノートが立つということに興味のある方は、チェックしてみよう。

ビバリーの新ふせんはかなり欲しかったヤツ

新ふせん、ブースの角でさりげなく出してた。
新ふせん、ブースの角でさりげなく出してた。
ジグソーパズルやカードゲームを出している玩具会社のビバリーが、なぜかは知らないがふせんとメモを出展していた。しかも、ふせんは機能的に誰もがグッとくるヤツで、メモの方はかわいいモノ好きならきっとハマるヤツだった。どちらもかなりオススメである。
名前だけで機能も理解できる『ココサス』
名前だけで機能も理解できる『ココサス』
例えば、ふせんを雑誌のページの端に貼れば「このページに自分のチェックしたい情報が載ってるな」ということは分かるのだが、後から見返した時に「…で、このページの中のどの情報が知りたかったんだっけ?」と迷うことが良くある。
そういう人のために、新ふせんの『ココサス』は、先端の矢印マーカーとふせん部分がキリトリ線で切り離せるようになっているのだ。矢印を肝心のポイントを示すように貼り付け、そのあとは切り離したふせんをページが分かるように端っこに貼れば万全である。
こんな感じで貼れば、必要な部分を見逃さない。
こんな感じで貼れば、必要な部分を見逃さない。
これでもう自分の記憶力の減衰具合を嘆くことは無い。
出来ないことは自力でやらず道具の力に頼れば良いのだ。ビバ、便利な文房具。
脳トレとか面倒なことをやるぐらいなら、最新の文房具を買った方が何倍も手っ取り早いぞ。
指先や矢印、鉛筆や傘など、大事な部分を指示し放題。
指先や矢印、鉛筆や傘など、大事な部分を指示し放題。
あともう一つのかわいいヤツは、容器がポイント。
お菓子が入っているっぽいツルンと丸い缶に、円形のメモ用紙がギッシリ入っているのだ。だから名前は『めもかん』。
  画像上部のボカしてある部分は、まだ公開しちゃいけない情報が載ってます。
画像上部のボカしてある部分は、まだ公開しちゃいけない情報が載ってます。
ねこかんとことりかん。
ねこかんとことりかん。
円形のメモは、二つ折りにするとネコになったり小鳥になったりする。これはかわいい。

シヤチハタ印でシャチを描く試み

シヤチハタブース。
シヤチハタブース。
印鑑などでお馴染みのシヤチハタのブースでは、3日間通してちょっと変わったイベントをやっていた。
上が見本、下が作品、左が説明のお姉さん。あと手に持ってるのが印鑑。
上が見本、下が作品、左が説明のお姉さん。あと手に持ってるのが印鑑。
シヤチハタのネーム印をドット代わりにしてシャチの絵を描こう、という試みだ。
上にある見本のシャチの絵を見本にして、同じように印鑑を押して色を塗っていく感じである。
ちなみに写真は最終日の13時ごろだったはずなので、もうほとんど完成に近い頃合いだろう。
ボディは『鯱』で、目は『目』の印鑑。色もちゃんと部位に合わせてある。
ボディは『鯱』で、目は『目』の印鑑。色もちゃんと部位に合わせてある。
『鯱』と『空』と『雲』
『鯱』と『空』と『雲』
これが今回の画材。印鑑メーカーならではの好き放題。
これが今回の画材。印鑑メーカーならではの好き放題。
さすがに印鑑メーカーだけあって、転用の効かなさそうな変な印鑑を気さくに作ってくる。『目』とか『口』とか。
個人的には『鯱』の朱印は格好良いので欲しいのだが、あれ、イベント終わりで使わなくなったら売ってくれないだろうか。
あたりかまわず『鯱』と押したら、かなり名古屋人っぽくて楽しいかも知れない。
そういえば、林さんが取材された2009年のISOTでは、MAXが新製品の『3秒で乾く朱肉』をアピールするために『3秒』という印鑑を作っていた。あれもかなり欲しかった。
この印鑑、いままだMAXの社内にあるんだろうか。(2005年の記事より)
この印鑑、いままだMAXの社内にあるんだろうか。(2009年の記事より)
ところでこのシャチの絵は、完成後にシヤチハタのFacebookのカバー写真にするとのこと。
せっかくなので、僕もシヤチハタのカバー写真に一手加えるべく捺印させてもらった。
せっかくなのでご本尊を捺すよ。
せっかくなのでご本尊を捺すよ。
なんとなく見本よりシャチの色が薄いなー、と思ったのでぺたぺたと『鯱』を捺していると、説明役のお姉さんが「なかなかみなさんシャチで失敗するのがイヤなのか、そこら辺を捺してくれないんですよ。助かります」と感謝されてしまった。
確かに失敗してもダメージの薄そうな空とか雲は、見本よりも捺されすぎてて色が濃くなってた。
昨年のシヤチハタのヒット商品『ケズリキャップ』。新製品の二穴タイプも。
昨年のシヤチハタのヒット商品『ケズリキャップ』。新製品の二穴タイプも。
シヤチハタと言えば、昨年は空きペットボトルに装着して削り屑を溜めるキャップ式鉛筆削り『ケズリキャップ』がかなりのヒット商品になっており、今年はそのバリエーションが展開されていた。
受験用文具はだいたい五角形。
受験用文具はだいたい五角形。
鉛筆の形をモチーフにした六角形のケズリキャップに対して、合格祈願文具として五角形の『合格ケズリキャップ』も出ている。「合格」と「五角」をかけた五角形の鉛筆は合格祈願グッズの大定番なのだが、鉛筆削りまで五角形なのはちょっと珍しい。
こちらはケズリキャップの専用ボディ。ざっくり言えば空のペットボトル。
こちらはケズリキャップの専用ボディ。ざっくり言えば空のペットボトル。
ケズリキャップは「ペットボトルに削り屑を溜め込んで、満タンになったら燃えるゴミとして捨てる」という前提の商品なのだが、自治体によってはペットボトルを燃えるゴミにするのはまかりならぬ、というところもあるそうで。とはいえ、ペットボトルの口から削り屑を掻き出すのは中々に面倒だ。
そこでシヤチハタはオリジナルのケズリキャップ専用ボディを開発したのである。
ぱかり。
ぱかり。
真ん中から大きく開けることのできるペットボトルだ。このボトルとケズリキャップをセットにして発売するとのこと。
ただ、ケズリキャップは手近にあるペットボトルを削り屑入れとして転用できるというのが売りだったはずなのだが、こういうのを付けてしまうと、キャップじゃなくて単にちょっと大きい普通の鉛筆削りになっちゃうんじゃないか。明らかにアイデンティティーの喪失だ。
展示の隅っこにあった、カラフルな削り屑満載のケズリキャップ。やはり削り屑は美しい。
展示の隅っこにあった、カラフルな削り屑満載のケズリキャップ。やはり削り屑は美しい。

ふせん機能アップの応援団

サポーター軍団あらわる。
サポーター軍団あらわる。
紙製品メーカーの平和堂が昨年発売したのが『ふせんするサポーター』というふせん。名前の通り、あくまでもふせんとして使えなくはないよ、という体の商品である。
 ふせんするサポーター、サッカー。他にも野球やバスケなど10種のスポーツがある。 ふせんするサポーター、サッカー。他にも野球やバスケなど10種のスポーツがある。
ふせんするサポーター、サッカー。他にも野球やバスケなど10種のスポーツがある。 ふせんするサポーター、サッカー。他にも野球やバスケなど10種のスポーツがある。
一枚二枚をふせんとして貼るのではなく、とにかく景気よく本や手帳にばかすか注ぎ込んでいくと景気が良い感じで楽しいね、というものだ。勉強用のノートに貼ると応援されている気分になれて大変に楽しい。

ただ、この『ふせんするサポーター』には大きな欠点があった。ご覧の通り、ふせんとして何か情報を書き込むスペースがほとんど無いのだ。
これなら大丈夫。
これなら大丈夫。
そこで新製品は、その名も『ちょっとだけ書ける ふせんするサポーター』。何というか、あまり無理してない感じが好きだ。手に持ってる旗やボードの分だけ、確かにノーマルモデルより多少は書き込めるようになっている。
ハンガーにかかってるふせん、というのが新しい。
ハンガーにかかってるふせん、というのが新しい。
もうひとつ良かったのが、『HANG MEMOPAD』。上下8パターンずつ16種類のふせんが、すべてハンガーに吊された状態で売られている。
これも女子力高いやつか!と一瞬警戒するが、わりとズボラで身の回りの整頓が出来ない、男おいどん力の高い人間向けのふせんなのだ。

なにが良いかって、乱雑な机の上で常に紛失しがちなふせんをペン立てや机のフチにひっかけておくことができるのだ。
これであなたの机もギャル服ショップね(ショップがどんなのかも知らないので適当に言いました)
これであなたの机もギャル服ショップね(ショップがどんなのかも知らないので適当に言いました)
大抵は机の上でメモや書類に紛れて消えてしまうふせんも、ここに吊しておけば大丈夫。壁に押しピンをさしてそこに引っかける、というのも良い。机の上の埃で粘着面が汚れないのもありがたい。
ふせんで着せ替えよ。ウフフキャッキャ。
ふせんで着せ替えよ。ウフフキャッキャ。
「時間がある時は壁に貼ってファッションショーもいいですよ!」と平和堂の人に言われたが、それはあんまり40代男性が公に楽しんでいると言ってよいプレイでは無いと思う。

カモ井加工紙は全力で女子向け

クラフト好きの女子なら間違いなく自宅に可愛い柄の10本20本は転がっている、というのが現在のマスキングテープブームの現状。マステを本当に塗装のマスキングにしか使ったことのないような荒くれ者では、昨今の文房具業界の荒波は渡っていけないのだ。
カモ井加工紙という社名は知らなくても「マステ」という商品名は知ってる。
カモ井加工紙という社名は知らなくても「マステ」という商品名は知ってる。
アクリル板にマステを貼った展示がかっこいい。
アクリル板にマステを貼った展示がかっこいい。
いまやオリジナルを含めると何千柄と発売されているのではないかというマスキングテープ。コレクター魂に火の着いた女子は同好の士と柄のトレードとシェアを繰り返しているらしく、もはや単にバトルしない遊戯王カード、みたいな感じである。
そこでとうとう、大元のカモ井もマステトレードに便利なグッズを公式に開発したという次第。
マステ巻き機『mt makimaki』
マステ巻き機『mt makimaki』
マステ巻き機…、から読むと商品名がほぼ早口言葉である。
これを使えば、元々の大巻きロールからミニロールに分けて巻き直したり、平たい板状のスリム芯に巻いて手帳にはさんで持ち歩いたりと、マステの分量を自在にコントロールして分けることができるのだ。
これは考えた人がえらい。

SONICが鉛筆キャップに新ソリューション

昨年の発売以降3ヶ月で30万個という怪物的なヒット商品になったラチェット機構付き鉛筆削り『ラチェッタ』は、『ラチェッタ・カプセル』にバージョンアップ。
鉛筆を挿して左右にひねるだけで削れてしまうラチェット機構の便利さはそのままに、短い鉛筆でも削りやすくなるキャップをプラスした。
ラチェット機構はそのままに短い鉛筆も削りやすく。
ラチェット機構はそのままに短い鉛筆も削りやすく。
しかし、この商品に関してはすでに新聞やワイドショーなどでも取り上げられており、いまさら僕がどうこう言ってもしょうがないっぽい。いや、鉛筆削りとしてはめちゃくちゃイイんだけど。

個人的には、SONICのブースでなぜか隅っこの方でひっそり展示されていた鉛筆キャップがかなりシビレる出来映えだったので、こちらを紹介したい。
声に出して読みたい日本語、『シュポッチ』
声に出して読みたい日本語、『シュポッチ』
使ったことのある人なら分かるだろうが、たまに鉛筆に強くハマりすぎて抜けなくなる鉛筆キャップというのがあるのだ。書きたい時にとっさにキャップが抜けないと、とにかくイライラする。
鉛筆とキャップの端を握って力尽くで引っ張ったり、歯でくわえて引き抜いたり。本当に抜けないんだ、あれ。

しかしそんな時にこそ『シュポッチ』である。
「さあ、キャップを抜いてなにか書くか」(漠然とした小芝居)
「さあ、キャップを抜いてなにか書くか」(漠然とした小芝居)
「シュポン」
「シュポン」
キャップ先端のボタン状のパーツを中に軽く押し込むだけで、鉛筆がポンと飛び出してくるのだ。
ヤバい。便利すぎる。ワンプッシュで確実にはずせるし、なにより鉛筆が飛び出す感覚がものすごく楽しいのだ。
単純だが、これは間違いなく鉛筆キャップの新ソリューションである。鉛筆キャップ革命だ。個人的にはこれ絶対買うわ。

セメダインの乾かないセメダイン

接着剤でお馴染みのセメダインは毎年地味に新しい接着剤を発表してくれるので、いつもブースをチェックするのが楽しみなメーカーのひとつである。
今年は貼って剥がせる接着剤(正しくは粘着剤)『セメダインBBX』が展示されていた。
ちなみに正式名称は「高機能湿気反応型液体弾性粘着剤」だ。長い。
ちなみに正式名称は「高機能湿気反応型液体弾性粘着剤」だ。長い。
このBBX、塗りつけても普通の接着剤のように乾いて硬化すること無く、いつまでもしっとりぷにぷにとした感触の粘着体のままなのだ。粘着体は強く押しつけたらくっつくし、ゆっくり剥がせば跡も残さずきれいに剥離する。
戦車が板にくっついてる。こういう変な展示方法も実はセメダインブースの魅力。
戦車が板にくっついてる。こういう変な展示方法も実はセメダインブースの魅力。
キャタピラにBBXが塗ってある(半透明のゼリーみたいなやつ)。
キャタピラにBBXが塗ってある(半透明のゼリーみたいなやつ)。
写真の戦車も、簡単に板から剥がせるし、押しつければ元通りくっつく。
紙に薄く塗り広げたらふせんになるだろうし、部屋の壁に小物をくっつけて飾るぐらいは十分できそうだ。小物のデコにも使えるぞ。用途いろいろで、かなり遊べそうな気がする。
セメダイン、なんとなく女子向けに寄せてきた。
セメダイン、なんとなく女子向けに寄せてきた。
ただ接着剤というのは基本的に余らせてガビガビにして無駄にするものだ。使いたい量は毎回ほんのちょっとなのに、チューブが大きすぎるのがいけない。
セメダインはそこのところも上手くて、今後は容量半分のミニチューブも出すそうだ。
しかしこれがパッケージといいチラシといい、なぜかあきらかに女子に向けて寄せてきている。セメダイン、何があった。

粘着ブランドSTALOGY

セメダインと粘着つながり、ということでもないがSTALOGYのブースも面白かった。
何がどう接着つながりかというと、STALOGYというのは、掃除用具のコロコロ粘着シートでおなじみニトムズの作った文房具ブランドなのだ。
昨年にデビューしたばかりの本当に新しいブランドだが、コロコロで育んだ粘着技術を駆使した文房具なども数多く展開していて、なかなかに面白い。
知っていると文房具好きとしてもなかなかにコアなところなので、もし「文房具、どこのメーカーが好き?」と聞かれることがあったら「STALOGYがイイね。くっつき具合とか」と答えておけば文具ツウが気取れる。オススメだ。
STALOGYブース。かなりオッシャレー。
STALOGYブース。かなりオッシャレー。
ブースの正面に飾ってある巨大なリンゴの点描画が目を引くのだが、これが近付いてみると何か様子がおかしい。
アーティスティックリンゴ。
アーティスティックリンゴ。
拡大図。素材が薄い和紙なので透けててきれい。
拡大図。素材が薄い和紙なので透けててきれい。
これは、すべてSTALOGYの『マスキング丸シール』を重ね貼りして作った絵なのだ。
本来はスケジュールの見出しに貼ったりするシールなのだが、こういう画材としての使い方も馬鹿馬鹿しくて面白い。いったい何枚のシールを使ったのか訊こうとして忘れていたのだが、ま、シヤチハタが気さくに変な印鑑作るのと同じやつだ。メーカーの悪のり展示もISOTの華である。
ちなみにこれが元のマスキング丸シール。カラフル。
ちなみにこれが元のマスキング丸シール。カラフル。
あと、STALOGYの新製品で気になったのは『はがせるくっつくファイル』というもの。
説明していそうで実はあんまり説明になってない商品名。
説明していそうで実はあんまり説明になってない商品名。
紙類があちこちバラバラにならないようにクリアファイルにまとめて入れておく、というのはよくやることだが、今度はそのクリアファイルが増えてあちこちバラバラになる、というのもまた非常によくあることだ。そんなとき僕はクリアファイルの束をクリアファイルにつっこむという酷い管理をしていた。
だが『はがせるくっつくファイル』は、そんな無茶をせずともクリアファイルを保管できるファイルなのだ。
クリアファイルが本のようにめくれるファイル。
クリアファイルが本のようにめくれるファイル。
使い方は簡単で、ファイルを開いてクリアファイルを中にはさむだけ。それだけで、まるで製本したようにクリアファイルがくっついてしまうのだ。もちろん逆さにして振っても落ちないし、ペラペラとページをめくるように閲覧も出来る。
そして、端っこをつまんでゆっくり引っ張れば取り外せて、元通りのクリアファイルとして使用できる。
STALOGYの方「ほら、簡単に外れます」 きだて「あらやだ本当だわー」
STALOGYの方「ほら、簡単に外れます」 きだて「あらやだ本当だわー」
タネは簡単で、ファイルの背の内側(下写真の白い部分)が粘着材になっており、クリアファイルの端がここに引っ付くようになっているのだ。
こんなところにまで粘着材。さすがコロコロの技術は伊達じゃない。
粘着材は何回でも使用可能。
粘着材は何回でも使用可能。
粘着ついでに、本家コロコロの技術ど真ん中の製品もあった。
昨年、ニトムズと文房具メーカーのキングジムが共同開発という形で、スマホやタブレットの液晶面についた皮脂や埃をコロコロで除去する『iコロコロ』という商品が発売されたのだが、今年はSTALOGYから改良版として『タッチパネルコロコロ』が展示されていた。
!
前モデルの『iコロコロ』は、液晶面に保護フィルムを貼っていた場合にフィルムごとくっつけて剥がしてしまう可能性があった。新しい『タッチパネルコロコロ』は、粘着力を調整して、フィルムは剥がれないが皮脂はくっつく、ぐらいの丁度良い粘着力を実現したそうだ。
「あら本当にフィルムは剥がれないけどきれいになるわー」
「あら本当にフィルムは剥がれないけどきれいになるわー」
やはり、本気でコロコロの技術が文房具ブランドに転用されているのが面白い。
この面白さは、ミリタリーマニアが軍事技術を民生に転用したものを見てグッとくるようなものだろうか。いや、コロコロも力の限り民生技術だけど。
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