特集 2013年6月17日

咲き誇れ食材の薔薇たち

あいつらに一花咲かせてやりたい
あいつらに一花咲かせてやりたい
数ある花の中でも、薔薇という花は気品と豪華さを特に兼ね備えた花だと思う。そんな薔薇への憧れゆえか、服飾品のモチーフとしても薔薇は多く見られる。

服飾品はいいとして、スモークサーモンなどの食材も薔薇のように盛りつけられていることがあるだろう。きれいだと思うと同時に、そこまで薔薇に憧れるかとも思う。

確かに美しい薔薇。他の食材も薔薇化させてみたい。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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地味なあいつも薔薇と化す

花の中でも特別な位置にいる気がする薔薇。可憐で華やか、それでいて棘もある。花が持つ様々な要素を全て持っているかのようでもある。
「ザ・お花」としての風格
「ザ・お花」としての風格
そして生活への浸食度も相当高い。薔薇模様の何かしらは、多くの家にあるのではないだろうか。私もどういう流れでこうなったのか記憶がないが、おっさんにも関わらず毎日使っている布団カバーは薔薇柄だ。

その装飾性は食べ物にも及んでいる。スモークサーモンやマグロの刺身が薔薇のように盛りつけられているのを見たことのある人も多いだろう。
薔薇VSタコ
薔薇VSタコ
まずはそれを酢ダコでやってみた。華やかな薔薇と、ふざけ感もある生き物のタコ。

タコと薔薇とのせめぎ合い。タコだとわかっていつつも、全体としてのフォルムは薔薇。すっかり薔薇気取りのタコがそこにいる。

今回は薔薇化された状態を見たことがない食材を薔薇にしたい。
続いても刺身系
続いても刺身系
刺身界の食材はつい薔薇になりがちだと思うが、酢ダコのようにまだ薔薇化状態を見たことのないものは多々あるだろう。上の写真のものもそうだ。
正体はコハダ
正体はコハダ
ところで君は?
ところで君は?
その実体はコハダ。サーモンやマグロは赤い色がいかにも薔薇だが、コハダの渋い色合いは薔薇に似つかわしくない。それでも薔薇風に盛りつけると、それっぽい顔をするから薔薇のフォルムの威力はすごい。

そして、コハダ手前に添えてある黄緑はおなじみの野菜だ。
ひょろ長いあいつも薔薇と化す
ひょろ長いあいつも薔薇と化す
キュウリである。とても薔薇になりそうもない形をしているが、ピーラーで薄く切って適当にひねりながらクルクル巻くと、結果的に薔薇っぽくなるからすごい。

意外と適当でも薔薇になる。くったりさせるため、塩をなじませておくのがコツのようだ。
折り紙のようにも見える
折り紙のようにも見える
続いてはこちら。一見なんだかわからないかもしれない。紙や布を折って作ったようにも見えるだろう。
答えはこれです
答えはこれです
あの白薔薇は、餃子の皮で作ったもの。渦巻き状にちぎりながら適当にクルクルでああいう感じになる。

餃子を作ると材料の量がちょうど合わず、皮か餡かが残ってしまうことがあるだろう。皮が残った場合には、こんな風にしてみるものいいかもしれない。
水分補充で本格化
水分補充で本格化
今回は蒸してみたところ、水分を吸収してふっくらした感じが出てきた。先ほどの写真では折り紙風だった薔薇が、より本物っぽくなっている。

バナナ型の餃子の周りに、余った皮で咲かせる白い薔薇。ロマンチックなのか何なのかわからない薔薇だ。
およそ薔薇とは距離がある
およそ薔薇とは距離がある
かわいいけれど薔薇ではない
かわいいけれど薔薇ではない
どうせ薔薇化させるなら、できるだけ地味な食材をそうしてやりたい。ドレスアップすれば誰だって華やかになれるはず。薔薇の力を無理矢理にでも押しつけたい。

そういう視点からチョイスしたのは油あげと椎茸。君たち、未だかつて薔薇になったこと、ないんじゃないか。
しれっと薔薇の顔してる
しれっと薔薇の顔してる
切ってクルクルするだけで、涼しい顔して薔薇気取り。色合いも地味な油あげと椎茸だが、しっかりと薔薇に見える。

人間があるものをそれと認識するのには、テクスチャーよりもトータルの形の方が重要な要素なのかもしれない。油揚げや椎茸がちゃんと可憐に見える。
君に薔薇になってみないか
君に薔薇になってみないか
ちゃんとなれるじゃないか
ちゃんとなれるじゃないか
地味食材のメンバーとして追加したのは昆布。海ではヒラヒラと元気だった昆布も、すっかり乾いてこわばっている。

そんな昆布を水で戻してクルクルする。海からやってきた愛らしい花になるではないか。
最高に地味な薔薇の花束
最高に地味な薔薇の花束
鍋の中で開花したまえ
鍋の中で開花したまえ
3つの食材を並べると、どうにも解釈に困る。確かに薔薇なのだが、いかんせん地味。地味なんだけれども、薔薇っぽい華やかさはある。

相反する2つの要素が同時に感じられる困惑。このまま鍋で煮て、料理として花開かせよう。
ちゃんと花開いた気がする
ちゃんと花開いた気がする
崩れてしまわないかと心配したが、意外としっかり薔薇のまま。汁を吸って全体的にふっくらしたからか、つやが出てきてより生き物としての薔薇に近づいたようにも思える。

その地味さゆえ、子供人気は今ひとつに思えるこれら3つの食材。煮物にすることでさらに子供はテンションがさがりがち。それでも薔薇化することで、強引に華やかさが出てくるのがすごい。

筆者愛用の布団も薔薇
筆者愛用の布団も薔薇

様々な素材を薔薇化したことで、「地味な食材も薔薇になれる」ということは伝わったと思う。そのことによって、「どんな人でも輝ける」というメッセージ性が出てきたりしたらどうしようと懸念していたが、別にそうでもないということもわかった。
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