特集 2013年6月4日

紅ショウガ1kgを食べる試み

今回はとにかく全体的に赤いです。
今回はとにかく全体的に赤いです。
紅ショウガ、好きですか。
牛丼屋のカウンターにごっそり置いてある、あの赤くて細くて酸っぱ辛いやつ。
僕はあれがとても好きなのだが、自分の中の「好き」の総量を見誤ってしまい、すこし困った事になっている。買い過ぎたのだ。
とにかく買ってしまったものは仕方ない。なんとかしなければ。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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1kg買った

まずどれぐらい買ったかという話だが、1kgだ。紅ショウガ1kg。
紅ショウガの1kg袋。ほぼ枕。
紅ショウガの1kg袋。ほぼ枕。
関西には、紅ショウガの天ぷらという食べ物がある。
紅ショウガだけをかき揚げのようにコロモをつけて揚げただけのものだが、うどんの上に乗せると、かじるたびにうどんツユの味にピリッとした酸味が混じってとても旨い。
これは関西圏だとスーパーの総菜売り場で常に売っているようなありふれた代物なのだが、いま僕が住んでいる東京ではなぜかどこでも見かけない。これでは急に食べたくなったときに困るのだ。

いま関西に住んでいて、いずれ進学や何かで東京に行こうと考えている若者は、気をつけて欲しい。東京にアレ売ってないんだぞ。今のうちにたっぷり食べておいて欲しい。

とにかく自分の生活範囲内に売ってないので、食べたくなったら自分で作るしかない。
今回も道を歩いていたら紅ショウガ天が急に食べたくなってしまったのだが、たまたまその道のりにあったのが肉のハナマサ(常務用スーパーです)で、ハナマサには紅ショウガが1kg袋でしか売ってなかったのだ。でも安かったし。
森羅万象、全てのものに「プロ仕様」が存在する。
森羅万象、全てのものに「プロ仕様」が存在する。
買って帰った当日は紅ショウガの天ぷらを作り、うどんにのせて食べた。大変に美味しかった。
翌日も紅ショウガ天を作って、塩をふって食べた。これも非常に美味しかった。

で、それだけ食べたあとの残りがこれだ。
減ってない。
減ってない。
あら本当に2日続けて食べたかしら、という減らなさ具合だ。
それなりに紅ショウガ好きを自認していたつもりだったが、やはり1kg袋は調子に乗りすぎていたっぽい。天ぷらだけではとても消費しきれる気がしない。
最初に書いたように、買ってしまったものは仕方ない。とにかくこの量を減らすべく、美味しい紅ショウガメニューを考えていきたい。(以上、状況説明終わり)

紅ショウガで朝食を

こういう試食系の企画で最初を外すと、あとあとのモチベーションに大きく響いてしまう。
「これは問題ないはず」という、ある意味安全策に近いメニューから始めるのが必勝の策なのだ。

まずは鉄板(と予想される)の必勝(に違いないと信じたい)策、紅ショウガパンケーキを朝食メニューっぽく作ってみた。
…といっても大層な話ではない。市販のパンケーキの素(甘くないやつ)に分量通りの水と、あとは紅ショウガをどさっと入れて焼くだけである。
紅ショウガ色に染まったパンケーキの素。
紅ショウガ色に染まったパンケーキの素。
色が綺麗なので、あまり焦がさないように焼く。
色が綺麗なので、あまり焦がさないように焼く。
紅ショウガのパンケーキ、目玉焼きのせ。
紅ショウガのパンケーキ、目玉焼きのせ。
焼き上がりに目玉焼きとソーセージ、さらに前の晩のうちに作っておいた紅ショウガバターを添えた。
パンケーキをうまく丸く焼けなかったのが残念だが、その分はピンク色がかわいく出たのでプラマイゼロということにしたい。
ちなみに左上の数字は、使用した紅ショウガの量である。漠然と味をイメージする参考にしていただければ。
バターに刻んだ紅ショウガを練りこんだもの。これ、うまい。
バターに刻んだ紅ショウガを練りこんだもの。これ、うまい。
紅ショウガ好きにはグッとくる切り口。
紅ショウガ好きにはグッとくる切り口。
紅ショウガは脂っこい食べ物に付け合わせるとサッパリして良いものだが、つまりは油分と相性が良いということではないか。ということでレーズンバターみたいな感じで作ってみた紅ショウガバターが予想以上に良い仕事をしてくれる。バターと紅ショウガ、うまい。
あら、これ美味しいわー。
あら、これ美味しいわー。
パンケーキ自体も、どこを食べても紅ショウガのピリッとした風味と適度な塩気が入って、飽きることなくモリモリと食べ進められる。
これ、ネギとかキャベツとか入るとボリュームもあって絶対美味いはず、とか思ってテンション上がったが、冷静に考えたらそれはお好み焼きだ。ソースとマヨネーズもきっと合うことだろう。

ご飯ものはどうか

続いてご飯ものにもチャレンジしてみたい。
パンケーキでは混ぜて焼く、という迂回策をとってみたので、次はもっとダイレクトにたっぷりと紅ショウガを味わう方向で進めてみよう。
たっぷりといえば、軍艦巻きなんか良いかも知れない。とにかくどっさり乗せてしまおう。

あと、さっき発見した紅ショウガと油分のマッチングも活用したいので、サラダ軍艦風に紅ショウガとカニカマをマヨネーズで和えた紅ショウガサラダ軍艦も作ってみた。
マヨネーズと紅ショウガ。見た目が美味しそうなので、きっといける。
マヨネーズと紅ショウガ。見た目が美味しそうなので、きっといける。
酢飯に海苔を巻いて、紅ショウガと紅ショウガサラダをごそっと乗せる。いいぞ、だいぶ消費してるぞ。
パンケーキの倍近い紅ショウガ。ダイレクトに味わうぜ。
パンケーキの倍近い紅ショウガ。ダイレクトに味わうぜ。
お寿司だしなー…ということで甘酢ショウガ、いわゆるガリもちゃんと配置した。
こちらは以前に持ち帰りの寿司を買ったときに食べ残していたパックものを使用。まさかガリまで1kg袋を買うわけにもいかないし。
すっぺー!かれー!
すっぺー!かれー!
ダイレクト、来た!
梅酢の酸味とショウガの辛味が何かで緩和される事もなく、直撃だ。酢飯など役にも立たない。激しい酸っぱ辛さが鼻と喉にくる。この量はちょっとやりすぎかもしれない。これはむせる。
サラダ紅ショウガの方は若干マシだったが、それでもやはりキツい。マヨネーズは期待していたほどには紅ショウガに対して仕事をしない。あいつ、調味料として信用ならない。
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定番ショウガ料理を紅で

料理とショウガの相性というものも考えた方が良いのかもしれない。軍艦巻きと紅ショウガはそこのところを考慮しなさ過ぎた。
最初からショウガが入っている料理のショウガを紅ショウガに差し替えるというのはどうだろう。

誰が食べても間違いないショウガ料理と言えば、豚のショウガ焼きだ。
紅ショウガ、ドッサー!
紅ショウガ、ドッサー!
以前に何かの番組でタモリが「豚肉はタレに漬け込まずに小麦粉をつけて焼く。タレはあとから絡めるだけ」というショウガ焼きの作り方を説明していて、実際に試してみたらたいそう美味かった。我が家でも以降は後タレ方式でやっている。
今回は、みりんと醤油ベースの甘辛タレに紅ショウガを絞った汁をいれ、さらに豚肉を焼きながら紅ショウガ本体も絡めてみた。
53gは、焼くときに絡めた紅ショウガとしぼった紅ショウガの合計量。
53gは、焼くときに絡めた紅ショウガとしぼった紅ショウガの合計量。
タレが豚肉に絡んで、てりてりである。これは食欲をそそる。甘辛いタレの香りプラス紅ショウガの梅酢っぽい香りがして、もうこの時点で勝利確定だ。
豚肉だけでなく、紅ショウガにもタレが染み込んでいる。これは美味い。
豚肉だけでなく、紅ショウガにもタレが染み込んでいる。これは美味い。
案の定、美味い。
案の定、美味い。
豚肉だけかじるとタレが甘辛くて、ほんのりと酸味もある。紅ショウガごと口に入れるとお馴染みのピリッとした風味で、豚肉の脂っぽさがさっぱりと消える。これは美味いなー。美味いの作っちゃったなー。
今回は薄切りの肉を使ったが、これだけ脂っこくなくサッパリと食べられるなら、トンテキぐらいの分厚いショウガ焼きにしても美味いに違いない。

紅ショウガは飲み物です

料理にいろいろと使ってみたが、他にも紅ショウガの可能性はあるのではないか。
具体的に言うと、飲み物とかそういうやつだ。
ショウガを使った飲み物と言えばジンジャーエールがある。それを紅ショウガで作ったら紅ジンジャーエールになるんじゃないか。
ひとまず紅ショウガを大量に刻む。赤い。
ひとまず紅ショウガを大量に刻む。赤い。
「なるんじゃないか」とドヤ顔気味に言ってはみたものの、どうやれば紅ショウガでジンジャーエールが作れるのか、見当も付かない。
仕方ないので、なんとなくのイメージだけで作業を進めることに。

ジンジャーエールだとショウガを摺り下ろすところからのスタートになるのだが、細切りの紅ショウガでは摺ることもできない。まずフードプロセッサーで紅ショウガを細かく刻むことにした。
細かく刻んだら、大量の砂糖とシナモンなどスパイス類をいれて軽く煮込むというのが基本的なジンジャーエール用シロップを作る流れだ。
粉砕紅ショウガ。赤すぎて眼がチカチカする。
粉砕紅ショウガ。赤すぎて眼がチカチカする。
そして砂糖で煮る。あまりの赤さに若干引く。
そして砂糖で煮る。あまりの赤さに若干引く。
さっきから写真のキャプションで「赤い」としか言ってないような気もするが、申し訳ない、今のところ伝えるべき情報が「赤さ」しかないのでどうしようもないのだ。
本来なら鍋でぐつぐつ言ってるところを味見などしてみるべきなのだろうが、あまりの赤さに気後れして、手が出ない。あと、香りがすごい甘塩っぱくて怖い。(本音)
煮えたところで紅ショウガを濾す。
煮えたところで紅ショウガを濾す。
紅ショウガを濾してつくった紅ジンジャーシロップは、冷ましてから炭酸で割る。これで紅ジンジャーエールの完成である。
香りが未だに甘塩っぱいのは、一時的に忘れておく事にする。
甘い飲み物というよりは、お総菜の匂いなのだ。
シロップを濾した残りがジャムっぽいので、クラッカーに乗せてみた。
シロップを濾した残りがジャムっぽいので、クラッカーに乗せてみた。
シロップの上に炭酸を注いで攪拌すると、かなりドキドキする赤さの飲み物ができてしまった。これは飲んで大丈夫な赤さなのか。
どうせならジンジャーエールの爽やかさを演出する写真を撮ろうと外に出てみたのだが、さっきまで晴れていた空が一転どよっとした曇天に。ほどよい心理描写である。
では味はどんな感じであろうか。
ザ・ナチュラルな表情。
ザ・ナチュラルな表情。
写真は、「人が甘辛い炭酸を飲むとこういう表情をする」という写真である。
記事で使う用に自分撮りするときは、何かあったときに撮り逃しが無いように20秒間に10枚撮るセルフタイマーを設定しているのだが、10枚全てがこんな表情だった。まずサンプルの精度としては適度なところだと思う。
生気のない顔の10連写。
生気のない顔の10連写。
味わい的にかなり辛かったので、横にあったクラッカーは写真を撮る事も忘れて食べてしまった。
ジャム風紅ショウガは、紅ジンジャーエールよりは美味しかった。甘塩っぱくても、炭酸じゃなければそれなりに美味しいのだ。

ひとまず4品を作って紅ショウガの消費量は約330g。それなりにがんばって使ったとは思うが、袋にしてみるとまだこんな感じだ(左・消費前 右・消費後)
とはいえ、紅ショウガ焼きやパンケーキのような使い方をすれば着実に美味しく食べて消費できる事は分かった。がんばって食べていきたい。賞味期限は今年の11月だ。
目に見えて減ったのでとにかく嬉しい。
目に見えて減ったのでとにかく嬉しい。
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