特集 2013年5月21日

ニュー民芸品としてのスノードーム作り

ニュー民芸スノードーム
ニュー民芸スノードーム
自宅から徒歩数分の神社で毎週のように骨董市をやっており、探せばたまに古い文房具の珍品やなんかも見つかったりする。
最近お気に入りなのは、骨董屋さんが油断して店の端っこに置いてるようなどうでもいい民芸品をざらっと買う遊びだ。
ただ、このどうでもいい民芸品、買ったは良いが使い道がないのだ。これに何らかの手を加えて、ニュー民芸品へとリメイクできないだろうか。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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富岡八幡の骨董市

江東区門前仲町の富岡八幡宮では、基本的に毎月第1・第2・第4・第5日曜日に骨董市を開催している。
地下鉄門前仲町駅から徒歩1分の駅近神社。
地下鉄門前仲町駅から徒歩1分の駅近神社。
ここは江戸三大祭りのひとつ 深川八幡祭を行っていたり、江戸勧進相撲発祥の地だったり、伊能図でお馴染み伊能忠敬の銅像が建っていたりと諸々情報量の多い神社なのだが、さらにこの定期的な骨董市でも有名なのだ。
キングオブ骨董、鎧甲冑の屋台。
キングオブ骨董、鎧甲冑の屋台。
毎回境内全体に100軒以上の骨董店が出店している。陶器や古着物、古カメラ、古レコードに古貯金箱など、およそ古いとつくものなら大概のものは置いているのではないかという賑わいっぷりだ。
古い陶器にまぎれて古カメ剥製も。
古い陶器にまぎれて古カメ剥製も。
古仏像に古鈴。
古仏像に古鈴。
古感謝状も売ってる。明治三十七八年戦役(日露戦争)の時のもの。
古感謝状も売ってる。明治三十七八年戦役(日露戦争)の時のもの。
古小物。古羽子板に古崎陽軒の醤油差しなど。
古小物。古羽子板に古崎陽軒の醤油差しなど。
古ジュエリーは地べたで売っている。
古ジュエリーは地べたで売っている。
ちなみに地面で売られている古ジュエリーは、秋口になると上から降りかかる落葉に埋もれてしまうこともある。買う側が落葉を掘り返して宝石を探すというのは、なかなかの宝探しイベントだろう。

油断民芸品の探し方

さて、これまでの写真に写っている骨董は、基本的にお店の人がちゃんと値段をつけて売っている、ちゃんとした(という言い方もおかしいが)売り物である。
それに対して、今から見ていただくものが今回の目標である油断民芸品だ。

どこから流れてくるのか、お土産物の安価な民芸品というのが骨董店の軒先に並ぶことがよくある。だいたい作りも粗く価値も低いので、売る側もかなり油断して売っている。
写真右下の一群が油断のかたまり。
写真右下の一群が油断のかたまり。
木箱と共に展示している高価な皿と、段ボールの土鈴どれでも200円。
木箱と共に展示している高価な皿と、段ボールの土鈴どれでも200円。
よくあるパターンとしては、こんな感じで売り台の隅っこの方に固めて置いてあったり、段ボール箱にまとめてつっこんであったりで、価格もおよそひとからげに100円200円程度と程良く油断している。
一段下がったカゴに油断の群れ。
一段下がったカゴに油断の群れ。
まさかと思う油断っぷりだが、もちろん売り物。
まさかと思う油断っぷりだが、もちろん売り物。
油断民芸の皿盛り。
油断民芸の皿盛り。
缶箱もだいたい油断している。
缶箱もだいたい油断している。
ただ、気をつけなければいけない「フェイク油断」もある。
油断してるなと思って気軽に手にとって値段を聞いて、そのまま超ゆっくりと元の位置に戻す、アレだ。
地べたで段ボールだが、キューピーはコレクターがいるので値段も高い。
地べたで段ボールだが、キューピーはコレクターがいるので値段も高い。
よく見たら箱じゃなくて船なので、油断してない。
よく見たら箱じゃなくて船なので、油断してない。
で、きちんと油断しているものだけをよりすぐって集めてきたのが、この民芸品群だ。
一目見ただけで「ああ油断しているな」というのがはっきり伝わる、油断のエリートたちである。
この日の収穫。油断民芸品12点で2,000円だった。
この日の収穫。油断民芸品12点で2,000円だった。
じゃあこの油断民芸品を新たなニュー民芸に生まれ変わらせてやろう。
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ニュー民芸品案

とにかく油断民芸品は使い道がない。
飾るにしても作りが粗いため、置いておきたい気持ちにならない。
ということであれば、何か装飾要素を加えるリメイクをしてやればよいのではなかろうか。
これだ。
これだ。
和の飾り物の定番が民芸品であるならば、洋の飾り物はスノードームであろう。粘度の高い液体の中に置物と雪のような粉末を封入することで、まるで雪が降るような風情が楽しめる飾り物だ。

検索してみたら、空き瓶をドーム代わりに使ってわりと簡単に自作できることが分かった。このやり方で油断民芸品をスノードーム民芸に変えてやるのだ。

そうだスノードームを作ろう

まず最初に雪を準備せねぱならない。
手作り雪は、卵のカラを使えばよいらしい。
卵のカラ、事前に料理に使ったのを取って乾かしておいた。
卵のカラ、事前に料理に使ったのを取って乾かしておいた。
袋に入れて、棒でごりごり押しつぶして粉砕する。
袋に入れて、棒でごりごり押しつぶして粉砕する。
こなーゆきー。
こなーゆきー。
実際スノードームの雪というのがどれぐらいの細かさに砕けばいいのか分からなかったので、微妙に「がんばって体重かけたところ」と「適当に砕いたところ」を分けてみた。あとは作ってる間に丁度いいところを見つければよい。(適当工作の基本)
民芸品の台になるスポンジを瓶の口に合わせる。
民芸品の台になるスポンジを瓶の口に合わせる。
口に収まるように丸くカット。
口に収まるように丸くカット。
民芸品の足の裏にホットボンドを塗りつけ。
民芸品の足の裏にホットボンドを塗りつけ。
フタと台座スポンジと民芸品をぐっと固定。
フタと台座スポンジと民芸品をぐっと固定。
こういう作業に一番便利なのが、ホットボンドだ。一瞬で固まるし、「あ、間違えた」と思っても再加熱すればすぐ溶ける。どろっとしたまま固まるのでパテのように隙間埋めにも使える。そして水に溶けない。まさにおっかなびっくりスノードームを作るのために発明されたのではないかというような接着アイテムだ。
粘度を見ながら液体糊を注ぎ込む。
粘度を見ながら液体糊を注ぎ込む。
次は中身を準備しよう。
瓶の中に封入する液体は、水のままだとサラサラしすぎて、雪がきれいに舞い散ってくれない。粘度を高めるためには、透明の液体糊をまぜればよいとのこと。
普段なら薄く塗るだけの液体糊を、キャップを外してどぶどぶと注ぐのはちょっとした罪悪感があってグッとくる。
気泡ができるとなかなか消えないので、ゆっくり攪拌する。
気泡ができるとなかなか消えないので、ゆっくり攪拌する。
糊と水がまざったら、雪を投入。
糊と水がまざったら、雪を投入。
混ぜ終わったら、雪をこれまた様子を見ながら投入する。
雪をひとつまみ入れて沈む様子をみて、すーっと早く落ちるようなら糊を追加する。ゆっくりすぎたら水を足す。これを何度か繰り返してちょうど良い粘度に整える。(初めて作ったので、ちょっと調整しすぎた。これはあとでハッキリする)
最後は民芸品を水中につけ込んでフタを閉める。
最後は民芸品を水中につけ込んでフタを閉める。
スノードームと言うよりは荒行の光景。
スノードームと言うよりは荒行の光景。
あとはしばし放置して、台座スポンジが水を吸うのを待って水をつぎ足し、フタを強く閉め接着すれば新しいニュー民芸品の完成、である。

作品名:豪雪地帯の子供

土鈴人形のスノードーム。格好と雪景色がマッチしてなくて、寒そう。
土鈴人形のスノードーム。格好と雪景色がマッチしてなくて、寒そう。
雪山コントのオチか、というほどのドカ雪。
雪山コントのオチか、というほどのドカ雪。
今回は、水のベストな粘度が掴めずテスト用に何度もくりかえし雪を継ぎ足してしまったため、最終的にどえらい量の雪が入ってしまった。
これはこれで面白いが、なんか中の人形が可哀想だ。次からはもうちょっとうまく調整しよう。
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次々に量産されるニュー民芸品

一つ作ってしまえばもうそんなに迷うような手順も無い。
最初は何度も試行錯誤していた水の粘度も、糊を入れてかき回す手応えで「あ、これだと雪の落ちるのが速いな」とか分かるようになってきた。
スノードーム作りスキルがめきめきと上達しているのが純粋に嬉しい。
最終的に1つあたり実質作業10分ほどで作れるようになった。
最終的に1つあたり実質作業10分ほどで作れるようになった。
黙々と作業を続けているうちに、気がついたら我が家にあった程良いサイズの空き瓶を総動員していた次第である。

作品名:山のたぬきもお寒かろ

民芸品における象徴的アイコンのスノードーム化。
民芸品における象徴的アイコンのスノードーム化。
民芸品の西の横綱こと信楽焼の狸も、スノードームにしてしまえば可愛いものである。というか普通に新しい土産物として成立してるんじゃないか。土産としてもらって嬉しいかどうかは別として。
窮地に突如超能力に目覚めたタヌキ、みたいな絵柄。
窮地に突如超能力に目覚めたタヌキ、みたいな絵柄。

作品名:民芸夫婦、雪の道行き

水がほんのり赤いのは、こけしの服の塗料が溶けてきているから。
水がほんのり赤いのは、こけしの服の塗料が溶けてきているから。
ちょうど瓶に二つ収まるサイズだったので、だるまとこけしをカップリング。民芸品界の大物夫婦誕生である。芸能界で言うとEXILEのHIROと上戸彩ぐらいの大物度合いではなかろうか。

作品名:茶畑に降る雪

こちらも定番、茶摘み人形。
こちらも定番、茶摘み人形。
姉さんかぶりにすげの笠。『ザ・茶摘み』である。
今になって考えれば、茶摘みの時期に雪が降るというのは異常気象が過ぎるというものだが、作ってる最中は単に作業自体が面白くなっていて、そんな些末なことには全く考えが及ばなかった。
普通に寒そう。
普通に寒そう。
あと、髪の毛の長い人形を水に沈めると、髪の毛がゆらゆらしてなんかすごく怖い。チョイスとしてはできれば避けた方が良かったかも知れない。

作品名:北海道

!
最も雪が似合うだろうと言うことで、民芸品界の北の勇者ことアイヌのニポポ人形も参戦である。さすがに違和感が無さすぎ。「最初からこういう民芸品なんです」と言われたら納得してしまいそうだ。
つもってる。
つもってる。
雰囲気もマッチしており良い出来だ、と自画自賛してみたが、ひとつ難点があった。
真っ平らに広い頭の上に雪が積もってしまい、下に落ちてこないのだ。
実は「どうせなら北海道っぽくしよう」という意気込みの元にわざと多めに雪を投入してあったのだが、できあがってみたらなんか程々に丁度良い降雪加減。

今回はジャムなどの空き瓶を使ったためコスト的に安価に済んだのは良かったが、その代わりにドームのサイズが最初から定型に限定されていたのが少し残念だった。
今後はもっとずっしりとデカい置物サイズの民芸品をスノードームに変えていくべく、程良い器をさがしてみたい。
ウサギ、熊、土偶、天狗。どれもスノードーム映えしそうだ。
ウサギ、熊、土偶、天狗。どれもスノードーム映えしそうだ。
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