起源は古代ローマ
お姫様抱っことはそもそも、古代ローマの風習だったらしい。新婚夫婦が新居に入る際、花嫁が入り口でつまづかないように夫が抱きかかえて屋内まで運んだのが由来で、それが今日の洋風ウエディングに継承されたという。
花嫁を思い浮かべながら
じつは人前で平然とお姫様抱っこをするような男はしゃらくさいと思っていたが、そうした起源を知るとなかなかロマンチックで素敵なものに思えてくる。
立方体を彼女代わりに
だが、そのへんにあった無機物をお姫様抱っこしても、なかなかロマンチックな気持ちにはならないものだ。とはいえ「お姫様抱っこさせてくれ」なんてカジュアルに頼める女友達もいないので、引き続き無機物でなんとかしてみるしかない。
一筋の光明が差したのはリュックサックを抱っこした時
大事なのは密着感
色々なもので試すもなかなか手ごたえがなく諦めかけたその時、何気なく抱っこしたリュックサックで潮目が変わった。リュックサックのショルダー部分を首にかけたところ、抱っこの密着感が飛躍的にアップしたのだ。女性の腕が首にしがみつく感覚。不覚にも、ちょっとだけキュンとした。
「委ねられているな」。そう感じました
抱っこされる側が相手の首に腕をまわしてしがみつくことにより、密着感がググっと増す。この「しがみつき」こそがお姫様抱っこの肝だったのだ。
この仮説を実証して確かなものにするべく、あるアイテムの制作に取り掛かった。
用意したのは肌色の布と綿
綿を布で巻いて
2m縫ったところで夜が明けた
徹夜で作ったのは女性の腕を模した「お姫様抱っこちゃん」だ。お姫様抱っこの時にしがみつく女性の腕を再現している。
僕は腕の長い女性が好きなのでリーチは2mにした。
手の部分は手袋に綿を詰めて作る
女性らしい、程良い柔らかさの手になりました
最後に、手のひらにマジックテープを縫いつける
完成
シュシュをつけると女性らしさがアップするというのは地主さんから学んだメソッド
二の腕のプニプニ感もベスト
試してみよう
使い方は簡単。お姫様抱っこちゃんを首に巻き、目を閉じて理想の花嫁を思い浮かべるだけだ。
雑念を捨てて集中しましょう
情熱的な女性をイメージしたらブロンド美女が現れた
僕はそんなに妄想力が豊かなほうじゃないが、この時は情熱的に首に腕を回してくるキャサリンの姿が脳裏に浮かんだ。誰だキャサリンって。
情熱的に腕をからませてくるキャサリン
嘘みたいだが、これがホントにけっこうドキドキするのだ。バンドを凄まじく気持ち良い肌触りに作りすぎてしまったせいだろう。
何かを実際に抱っこしてみたら、さらにリアリティが増すかもしれない。
やけにゴツゴツした花嫁だ
しかし、キャリーケースの花嫁はちょっと筋肉質すぎた。キャサリンが屈強なゴリラになってしまった。
そこで、もう一歩進んで、洋服を着せてみることにした。
省エネルックなキャリアウーマン
これは!
衣服を着せたことでより人間のフォルムに近づき、ちょっとまずいんじゃないかと思うほどのリアリティ。これはおそらく本物のお姫様抱っこにかなり肉薄しているに違いない。
しかし、同時に変態の階段をものすごいスピードで駆け上がっていることに気づいて我に返る。
気分転換に外に出た
公衆の面前でお姫様抱っこなんていう根っからのラテン系じゃないと無理なことも、このバンドがあれば実現できる。
というわけで、路上で見つけた理想のお姫様を最後に紹介しよう。
それは彼女です
路上にあるものを手当たり次第にお姫様抱っこして分かったことは、意外とポリバケツなどの大きめサイズがかわいいということだ。大柄なお姫様ほど、僕の首に必死にしがみついてくるのがいじらしい。
大きいのに甘えん坊なところがかわいい
一方、意外な伏兵だったのが自転車。フレーム部分がくびれ、サドル部分が臀部を連想させ、人間っぽさで言ったらナンバーワン。しかし、金属的すぎるところがマイナスとなり、ポリバケツには及ばなかった。
惜しくも第2位
さあ、そんなわけでいよいよ変態エベレストの頂が見えてきた。戻れなくなる前にこのあたりで山を降りたいと思う。
自分のたくましさを分かりやすく誇示できるお姫様抱っこ。女性だけでなく、男性にとっても憧れといえるだろう。しかし、実際にやろうと思ったら相当な筋力を要するので、無理してプルプルしているのがばれると逆にかっこわるい。なかなかチャレンジできる勇者はいないのではないだろうか。
少なくとも僕には一生無縁のものだと思っていたので、こういう機会に願望を叶えられてよかったです。