特集 2013年4月12日

後付けバルコニー「後バ」を鑑賞する

こういうDIY感あふれるバルコニーにぐっとくる!かわいい。(大きな画像でぐっと来たい方はこちら)
こういうDIY感あふれるバルコニーにぐっとくる!かわいい。(大きな画像でぐっと来たい方はこちら
ぼくには、一戸建ての家を手に入れることができたらやってみたいことがある。自分でバルコニーを作ってみたいのだ。

住宅街を歩いていると、しばしば「あ、あれ自分で作ったな」と思わせる手作り感あふれるバルコニーを見かけるだろう。見かけるよね。あれ、いいよね。

とくに一戸建てに憧れがあるわけではないが、あれはうらやましい。いまのところ一戸建てを買えるような人生は送っていないのだが、万が一のその日のために視察をしておこう。世間の「後付けバルコニー」を。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

前の記事:あの環状2号線はいまこうなっている!

> 個人サイト 住宅都市整理公団

「おいおいだいじょうぶか」っていうのが魅力

学生の頃「カメラなんてものは分解して自分好みにカスタマイズしてなんぼだ!」と言っていた先生がいた。いま思い返すとあれはただの先生の自慢だったのではないか。

当時は機械式のフィルムカメラが主流だったのでそういうことも可能だったのだと思うが、いまはどうだろう。
これはかなりのDIY後付け!何がいいって、バルコニー部分もさることながら、手前右の半透明波板で覆われた部分増築っぷりがいい。そして雨樋が空中へ!水道橋みたいになってる。
これはかなりのDIY後付け!何がいいって、バルコニー部分もさることながら、手前右の半透明波板で覆われた部分増築っぷりがいい。そして雨樋が空中へ!水道橋みたいになってる。
で、そういうカスタマイズの行き着いた先は「自分で家を増築しちゃう」だと思うのだ。インテリアのカスタマイズじゃなくて、増築。
これもかなりいい感じのDIY風後付けバルコニーだ!
これもかなりいい感じのDIY風後付けバルコニーだ!
というか、バルコニーだけでなく全体的に増改築のパッチワーク!
というか、バルコニーだけでなく全体的に増改築のパッチワーク!
この家のプラモデルがあったら買う!(大きな画像でご覧になりたい方はこちら</a>)
この家のプラモデルがあったら買う!(大きな画像でご覧になりたい方はこちら
家の増築がカメラのカスタマイズよりそそるのは、もちろん大きいっていうのもある。さらに言えば、構造があって、人を支える必要があるって点にぐっとくる。しかも風雨にさらされる。そしてもしかして法律にも左右される。
これもバルコニーだけでなくその周辺全体がDIY増築の雰囲気。どうやらDIYはDIYを呼ぶらしい。DIYスパイラル。
これもバルコニーだけでなくその周辺全体がDIY増築の雰囲気。どうやらDIYはDIYを呼ぶらしい。DIYスパイラル。
ようするに家をいじるのはたいへんだ、ってことなんだけど、世の中には「おいおい、だいじょうぶかよ」というものがときどきある。そういうのを見ると「あ、いいんだ」って思う。安心する。ぼくにもできるかも、とね。
とくにこれには励まされた。
とくにこれには励まされた。
ツリーハウス的なたたずまい。ハウルの動かない城、みたいだ。
ツリーハウス的なたたずまい。ハウルの動かない城、みたいだ。
で、増築の中でもバルコニーを作るっていうのは難易度的にちょうどいいと思うのだ。「居間を増築する」「風呂場を増築する」に比べると、カジュアルに増築できる気がするというか。

その手軽さが手伝ってか、世の中には後付けのバルコニーがたくさんあるのだ。

そんな後付けバルコニー、略して「後バ」を見ていこう。
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後付けできるスペースを見るべきなのだ!

このけなげな感じが後バの見所。とくにバルコニーの下になってしまって存在意義を失った屋根がいじらしい。
このけなげな感じが後バの見所。とくにバルコニーの下になってしまって存在意義を失った屋根がいじらしい。
前ページでは住民自ら増築手がけました!って感じの野趣あふれる後バをご紹介したが、DIYであることだけが見所なわけではない。およそ後付けでさえあればすべての後バが愛おしい。

つまり工務店などプロに頼んでもいいと思うのだ。「いいと思う」ってなんでぼくに許可されなきゃいけないんだ、ってはなしだが。
これは絵に描いたような後バ。もっともよく見られるタイプだ。後バのマスターピース。
これは絵に描いたような後バ。もっともよく見られるタイプだ。後バのマスターピース。
これも同様の後バスタンダード。
これも同様の後バスタンダード。
これも。柵の曲線に後バに対するこだわりが窺えてほっこりする。
これも。柵の曲線に後バに対するこだわりが窺えてほっこりする。
プロの手による犯行か、DIYか、よりも後バの置かれた環境に注目すべきだと思う。

後付けということはつまり「まさかここにバルコニーが」という予想外の事態。そのポジション取りの妙が後バの醍醐味なのである。たぶん。

上の後バ群は、2階部分のセットバックを利用して、1階の屋根の上に設置、という典型的なケース。
これも同じように1階の屋根に乗ったタイプだが、
これも同じように1階の屋根に乗ったタイプだが、
この薄さがいい!
この薄さがいい!
作りはかなりしっかりとしたそつのない出来だが、やはりなんといってもこの貴重なスペースへの収まり具合がいい!
作りはかなりしっかりとしたそつのない出来だが、やはりなんといってもこの貴重なスペースへの収まり具合がいい!
これなどは貴重なニッチにすっぽり収まりすぎてもはやバルコニーと呼べるかどうかギリギリのオリジナル作品になっている。間口が狭く奥に深い町屋の中間部分に多く見られる。これは後バとは別のジャンルかも知れない。悩ましい。なんでこんなことに悩まねばならないのか。
これなどは貴重なニッチにすっぽり収まりすぎてもはやバルコニーと呼べるかどうかギリギリのオリジナル作品になっている。間口が狭く奥に深い町屋の中間部分に多く見られる。これは後バとは別のジャンルかも知れない。悩ましい。なんでこんなことに悩まねばならないのか。
一方、こちらは余裕を持った後付け。これまでの物件を見てきた目からすると、どうしてもっと屋根いっぱいいっぱいに展開しなかったのか?と思う。構造的な問題かしら。
一方、こちらは余裕を持った後付け。これまでの物件を見てきた目からすると、どうしてもっと屋根いっぱいいっぱいに展開しなかったのか?と思う。構造的な問題かしら。
これも、どうせなら向かって右の窓の部分にもどーんとつなげて後バすれば良かったのに!と思っちゃう。
これも、どうせなら向かって右の窓の部分にもどーんとつなげて後バすれば良かったのに!と思っちゃう。
こういう、片足しか乗せる屋根がなくて苦労している子を見ると、屋根を生かし切っていないものに対しては、爪を噛んで小焦れる気持ちになるのだ。
こういう、片足しか乗せる屋根がなくて苦労している子を見ると、屋根を生かし切っていないものに対しては、爪を噛んで小焦れる気持ちになるのだ。
これも手前の下には屋根がなく、一生懸命脚を伸ばして立っている例。いじらしい。がんばれ。
これも手前の下には屋根がなく、一生懸命脚を伸ばして立っている例。いじらしい。がんばれ。
かと思えば、こちらは屋根上のスペースをこれでもかとばかりに活用している後バ。あまりに活用しすぎて、結局領空を外れて結局脚を伸ばしている(たぶん構造上の問題だろうけど)。それにしてもすごい。後バ、かくあるべし。
かと思えば、こちらは屋根上のスペースをこれでもかとばかりに活用している後バ。あまりに活用しすぎて、結局領空を外れて結局脚を伸ばしている(たぶん構造上の問題だろうけど)。それにしてもすごい。後バ、かくあるべし。
と、このように「どこに乗るか」という点が後バ鑑賞の重要なポイントだと思う。ぼくが家を建てる時は、ほどよく後付けが困難な屋根スペースをあらかじめ作っておきたいと思う。

というか「重要なポイントだ」って、ぼく以外に誰が後バを見るっていうんだろう。というか、誰か読んでますかー?
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「ほんとに後付けか?」問題

3ページまでお付き合い頂き、ありがとうございます。この後も同じような写真が続きますよ。

さて、ここまで読み進めてくれたみなさんなので弱音を吐いてしまおう。後バ後バとはしゃいでみたものの、実は街を巡っているあいだじゅう「これ、ほんとうに後付けなんだろうか?」と悩んでいたのよ。もっと他のことで悩みたいものだ。
たとえば、これとか。もともとバルコニーなのかなー。なんとなく後付けっぽいと思ったんだけどなー。
たとえば、これとか。もともとバルコニーなのかなー。なんとなく後付けっぽいと思ったんだけどなー。
これも、あまりにしっくりときているので、もともとバルコニー(もとバ)かと悩んだ。けど、窓から察するに、たぶん後バ。
これも、あまりにしっくりときているので、もともとバルコニー(もとバ)かと悩んだ。けど、窓から察するに、たぶん後バ。
まあ、工務店の人や建築士に訊けばいいんだろうけど。もうこの原稿締め切りだし。というか、こうやって悩むのもまた楽しいかな、と思って。そもそもデイリーポータルZは正確性を旨とするサイトではないし。というか、正確かどうかで言ったら、後バ鑑賞という趣味そのものが間違ってるし。

ただ、窓である程度判断していいんじゃないかと。バルコニーへの開口部が腰高の場合は、そもそもそこから出ることを想定していなかったことの証左である。たぶん。きっと。
逆にこれなんかはすごく後バっぽいんだけど、窓がちゃんと足元まである。もしかしたら全体をリフォームした時に窓ごと付け替えたか。ということはそれはやっぱり後バか。うーん、悩む。だからもっと他のことで悩め。
逆にこれなんかはすごく後バっぽいんだけど、窓がちゃんと足元まである。もしかしたら全体をリフォームした時に窓ごと付け替えたか。ということはそれはやっぱり後バか。うーん、悩む。だからもっと他のことで悩め。

屋根が無くても後バ

前ページで1階の屋根部分を利用してこその後バ、と言ったが、屋根が無くても後バする例がけっこうある。
たとえば、これ。屋根に乗らない後バは、このようにアパートで多く見られる。屋根の上じゃないと「もとバ」感が出るのでさらに判断が難しい。でもこれは2階の窓が腰高だったから、たぶん後バ。
たとえば、これ。屋根に乗らない後バは、このようにアパートで多く見られる。屋根の上じゃないと「もとバ」感が出るのでさらに判断が難しい。でもこれは2階の窓が腰高だったから、たぶん後バ。
こちらも屋根に頼らない独立独歩の後バ。あっぱれ後バ魂。
こちらも屋根に頼らない独立独歩の後バ。あっぱれ後バ魂。
思わず唸った問題作。たぶん、バルコニーの後に1階部分を増築している。後バが呼び水になることもあるのだという例。これにはかなりぐっときた。
思わず唸った問題作。たぶん、バルコニーの後に1階部分を増築している。後バが呼び水になることもあるのだという例。これにはかなりぐっときた。
これはその究極の例か。たぶんバルコニーとその上の温室みたいになっている部分の下、1階全体が増築。なんというか、もはや後バかどうかとかそういう問題ではない「ザ・増築」だ。すごい。
これはその究極の例か。たぶんバルコニーとその上の温室みたいになっている部分の下、1階全体が増築。なんというか、もはや後バかどうかとかそういう問題ではない「ザ・増築」だ。すごい。
一見、屋根の上に乗っているケースかと思いきや、よく見ればインディペンデント系後バ。領空をめいっぱい利用した結果こうなったのだろう。あっぱれ!
一見、屋根の上に乗っているケースかと思いきや、よく見ればインディペンデント系後バ。領空をめいっぱい利用した結果こうなったのだろう。あっぱれ!
こちらも、一見屋根利用タイプかと思いきや…
こちらも、一見屋根利用タイプかと思いきや…
自らの脚で立っていた。斜めに傾いでいる点も実に後バっぽくて見逃せない。あと、たいていの後バが洗濯物を干すスペースがほしいという動機で作られているのに対し、これは完全に「庭」だ。
自らの脚で立っていた。斜めに傾いでいる点も実に後バっぽくて見逃せない。あと、たいていの後バが洗濯物を干すスペースがほしいという動機で作られているのに対し、これは完全に「庭」だ。
これもアパート。丁寧な作りに好感が持てる。
これもアパート。丁寧な作りに好感が持てる。
「屋根に乗っているタイプと独立系と、どっちかを選べ」と言われたら、一晩悩んで屋根の方をとるだろう。そんな選択迫られるシチュエーションが想像できないけど。

なぜなら、まさに屋根に乗っている部分がキュートだから。
1ページ目冒頭の後バの足元。この瓦に乗っちゃってる部分のありかたがキュート。
1ページ目冒頭の後バの足元。この瓦に乗っちゃってる部分のありかたがキュート。
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余裕の屋根使いを見せるこの後バも
余裕の屋根使いを見せるこの後バも
こんな風に、瓦に乗っているだけでもっていたりして、いいなあ、って思うのよ。
こんな風に、瓦に乗っているだけでもっていたりして、いいなあ、って思うのよ。
あとこの家、側面がすごいことになってた。
あとこの家、側面がすごいことになってた。
素人目からすると、屋根に乗せるだけで大丈夫なのか、とちょっと心配になる。重さとか固定とか。たぶんちゃんと柱か梁かの上に乗るように場所選んでるんだろうけど。屋根いっぱいを使わないのは、重さに耐えられないから、という理由なんだろうなー。だからめいっぱい系は独立して脚を立てるわけだ。後バもああ見えていろいろたいへんだ。
こちらは屋根の上タイプだが、なかなかのダイナミックな物件。いいねえ、これ。かなり気に入った。
こちらは屋根の上タイプだが、なかなかのダイナミックな物件。いいねえ、これ。かなり気に入った。
そして足元はご覧のような乗っかり&ふんばり具合。いいねえ。
そして足元はご覧のような乗っかり&ふんばり具合。いいねえ。

アプローチ問題

前述した「腰高の窓から」という点で言うと、後バへのアプローチはけっこうたいへんだ。きっと、よいしょ、っていつも窓を跨いで出入りしているのだろう。洗濯物を持って。

たいへんだなあ、と思っていたら、こういうのを見つけた。
2階の窓の外に作られた後バだが、アプローチは地面から階段経由で!こういうのもあるのか。
2階の窓の外に作られた後バだが、アプローチは地面から階段経由で!こういうのもあるのか。
いやはや、後バの世界は奥深い。
これは今回見た中で最も思いをはせさせられた後バ。この完成形に至るまでの経緯を想像するだけで酒が飲める。
これは今回見た中で最も思いをはせさせられた後バ。この完成形に至るまでの経緯を想像するだけで酒が飲める。
逆転の発想。もともとアプローチ階段があった脇に後バか。1階部分を後バを作るに際して増築したのではないか。なんかすごく良い造形。ほしい。
逆転の発想。もともとアプローチ階段があった脇に後バか。1階部分を後バを作るに際して増築したのではないか。なんかすごく良い造形。ほしい。

大工よ、後バを高く上げよ

まだまだ語りたいことはたくさんあるのだが、ここまで読んでくれている人がいるのかどうかもあやしいので、これで最後にしよう。

1階の屋根にも乗れず、独立もできないケースだ。
手前はスタンダードな1階に乗ってる後バ。そして奥を見ると、2階の屋根に…!
手前はスタンダードな1階に乗ってる後バ。そして奥を見ると、2階の屋根に…!
そうなのだ。中には正真正銘「屋根の上」に後付けしている例もあるのだ。
誇らしげ。凛々しい後バ。それにしても階段とそこに出るための2階の扉も後付けだろうか。
誇らしげ。凛々しい後バ。それにしても階段とそこに出るための2階の扉も後付けだろうか。

後バ情報お待ちしております

いつにもまして賛同が得られないっぽいテーマで突っ走ってしまった。が、本望だ。もし面白いと思ってくれる方がいたら、ぜひすてきな後バを発見し次第情報を寄せてほしい。あと、後バに詳しい工務店の方とかも。
バルコニーじゃないケースも。どうやらお風呂っぽい。後風呂。
バルコニーじゃないケースも。どうやらお風呂っぽい。後風呂。

【告知:大阪でトークイベント開催します!】


現在大阪心斎橋で開催中(2013年3月31日(日)~4月20日(土))で工場やジャンクションの写真展を開催中なのですが(詳しくはこちら)、最終日の4月20日16時から同会場でトークイベントやります。題して「ぼくらはなぜ工場に萌えてしまうのか?」。いままでデイリーで書いてきたことの紹介を交えつつお話ししますよ。近畿方面のみなさん、ぜひ!詳しくは→こちら
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