特集 2013年4月5日

観光列車・A列車といぶたま

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JR九州の観光列車が素晴らしい…という話は有名だしこれまでも何度か書いた。そこにさらに2011年3月の九州新幹線全線開業に合わせて3つの新しい観光列車が加わった。
・熊本=三角間を走る「A列車で行こう」
・熊本=指宿を走る「指宿のたまて箱」
・熊本=宮地間を行く「あそボーイ」

いつの間にかそれから2年も経ってしまったが、ようやく乗ることができた。今回はそのうち「A列車で行こう」と「指宿のたまて箱」について書きたいと思う。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

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大阪から鹿児島まで直通する九州新幹線・さくら。久しぶりに新幹線が駅を通過するのを見て、その速さに度肝を抜かれた。
大阪から鹿児島まで直通する九州新幹線・さくら。久しぶりに新幹線が駅を通過するのを見て、その速さに度肝を抜かれた。
熊本駅には0番ホームが3つある。
熊本駅には0番ホームが3つある。
0番ホーム自体は全国各地にありそれほど珍しいものでもない。が、0番ホームが3つもあるのは熊本駅くらいだろう。

大人の観光列車

この日乗ったのは熊本駅と三角駅の区間を走る特急「A列車で行こう」。有名なジャズナンバーと同じ名前のこの列車は、大人向けの観光列車という味付けをしてあるとのこと。ちなみにA列車の「A」は、天草(Amakusa)のAと大人(Adult)のAという意味らしい。

乗り場に向かうと早くもノリノリのジャズがホームに流れていて、テンション上がった。
ジャズが流れるホームに入線するA列車。
側面はゴールドの高級感。マルコポーロが伝えた“ジパング”って感じや。
側面はゴールドの高級感。マルコポーロが伝えた“ジパング”って感じや。
あちこちにかっこいいマークがあしらわれている。グラフィックデザインの重要性を教えられる。
あちこちにかっこいいマークがあしらわれている。グラフィックデザインの重要性を教えられる。
おおー!
おおー!
ホームにいた段階から高まっていたテンションは、中に入ったらもう「お父さん大丈夫??」ってレベルにまで高まった!!なんだこのウキウキワクワクな車内は!?
おぅ…!
おぅ…!
これに乗れるってワクワクするでしょ?
これに乗れるってワクワクするでしょ?
バーカウンターにはハイボール・サーバーもある。
バーカウンターにはハイボール・サーバーもある。
いたるところがキラキラしてる。
いたるところがキラキラしてる。
誰でも座っていいソファシートや、
誰でも座っていいソファシートや、
子供用の小さいイスの展望席もある。(ここも自由に座っていい席)
子供用の小さいイスの展望席もある。(ここも自由に座っていい席)
というわけで、久しぶりにJR九州の観光列車に乗ったが、やはりこりゃすごい!と動き出す前から興奮しきりだった。
運転区間。(別ウィンドウで表示
熊本駅を出た列車は途中、宇土駅に停車し、それ以外はノンストップで宇土半島の先端、三角まで行く。

所要時間は40分ほど。
時間が短いので車内で駅弁は売ってないとのことだったので、乗車前に熊本駅にて購入。
プライスレス。(…いや値段はあったが失念)
プライスレス。(…いや値段はあったが失念)
それとビール。(バーカウンターのハイボールも魅力的だったが弁当にはこっちかな、と)
それとビール。(バーカウンターのハイボールも魅力的だったが弁当にはこっちかな、と)
花見気分も味わいつつ。
花見気分も味わいつつ。
この日は天気はあいにくの曇り空だったが、春らしく桜やら菜の花やらがいっぱい咲いており、「花見はこれでOK」という感じだった。
御輿来(おこしき)海岸。
御輿来(おこしき)海岸。
列車は途中から有明海沿いを行く。
独特の干潟の景色が見られる御輿来海岸は、夕陽と干潟模様がタイミングよく組み合わさると最高の景色が見られるそうだ。(その片鱗は味わえた)

ここでは景色がゆっくり眺められるよう速度を落として走行してくれる。
終点の三角駅に到着。
終点の三角駅に到着。
ちなみに「A列車で行こう」は全席指定で、最初に乗ろうとした便は予約殺到で通路側が1席空いてるのみ。時間帯が違う別の便は満席だった。が、3月17日のダイヤ改正でそれまで2往復だったのが3往復に増え、その増便分の方はかなり余裕があった。おそらく旅行会社がツアーか何かでまとめて席を確保していて、そのプランにまだ増便分の方は入ってなかったのではないかと思う(想像)。
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さて。
三角駅に着いたはいいが、そこから先を何も考えていなかった。どうしよう?予約した帰りの列車まではあと3時間ある。
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キャプション!

三角駅

とりあえず三角駅の駅舎を眺める。
A列車の開始に合わせてリニューアルされたとのことで、たしかにデザインが同じ調子で統一されていてお洒落だ。
列車と統一感のある内装。(デザイナー・水戸岡鋭治氏の仕事量が半端じゃない)
列車と統一感のある内装。(デザイナー・水戸岡鋭治氏の仕事量が半端じゃない)
観光案内所。後ほどココでおすすめを尋ねた。
観光案内所。後ほどココでおすすめを尋ねた。

やることナッシング

駅前にピラミッドがあったのでとりあえず登った。
なにやら皆このピラミッドに登ってる。
なにやら皆このピラミッドに登ってる。
展望台のようだ。
展望台のようだ。
周囲を一望できる。
周囲を一望できる。
展望台に登り辺りを一望した結果、どうも何もないな…という第一印象を得た。(後日わかったが、三角港は西港と東港があり、駅から少し離れた西港の方に文化財やら何やらいろいろあったらしい。)

で、次に駅の観光案内所に戻り、お姉さんにおすすめを聞いた。すると10分100円で借りられる安いレンタカーがあるとのことでオススメされたが、あいにく先ほどビールを飲んでしまっている。

じゃあ、船もある、というので出発まで1分くらいしか時間がなかったが走ってそれに飛び乗った。
予想外にかっこいい船が待っていた。(シークルーズ</a>)
予想外にかっこいい船が待っていた。(シークルーズ
ここ座っていいんだって。
ここ座っていいんだって。
運転してる船長のすぐ隣、どう見ても助手席的なところに座っていいと言われた。船って、他の交通機関と比べて格段にカジュアルな乗り物だということを時々思い知らされる。
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予備知識なしの旅

予備知識を持たないで行く旅は効率が悪いが、何が出てくるかわからない楽しさがある。スタートレックのようだ
並んでるとどこかおかしい。
並んでるとどこかおかしい。
海に浮かぶ水族館。ここにも行った。
海に浮かぶ水族館。ここにも行った。
海に浮かぶ水族館があった。
行ってみたかったところだったのでそこに向かって歩いて行くと、その途中にすごいものがあった。
自衛隊の航空機がなぜか置いてあった。
自衛隊の航空機がなぜか置いてあった。
しかも中に入れる!
しかも中に入れる!
こういう機体は初めて入った。写真だと広く見えるけどかなり狭い。
こういう機体は初めて入った。写真だと広く見えるけどかなり狭い。
ものすごく狭く入り組んだ通路(飛行した状態で通るのを想像すると不安)を通りコクピットへ。
ものすごく狭く入り組んだ通路(飛行した状態で通るのを想像すると不安)を通りコクピットへ。
半廃墟的趣き。
半廃墟的趣き。
という感じで、まとまりが無いながらもじわじわと不思議楽しい旅を味わいつつ、帰りの列車へと戻った。
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縦半分という珍しいツートンカラー。
縦半分という珍しいツートンカラー。

白い煙を出す列車

翌日は鹿児島中央から指宿までを走る特急「指宿のたまて箱」、通称「いぶたま」に乗った。
全席指定。非常に人気ですべて満席だった。(私は一ヶ月前に予約しておいた)
全席指定。非常に人気ですべて満席だった。(私は一ヶ月前に予約しておいた)
運行区間 (別ウィンドウで表示
以前、同じ区間を「なのはなDX」という列車が走っていて、それもなかなかよかったが、「指宿のたまて箱」ではさらに気合いの入った観光列車となっていた。
車内の様子。
車内の様子。
海側を向いた席。すんごく良い!
海側を向いた席。すんごく良い!
本棚がついてる。
本棚がついてる。
誰でも座っていいソファーシート。ベビーベッドもある。
誰でも座っていいソファーシート。ベビーベッドもある。
子供用イスは段があって少し高くなってる。
子供用イスは段があって少し高くなってる。
こちらは天井近くまで窓がある展望スペース。
こちらは天井近くまで窓がある展望スペース。
列車はほぼずっと海沿いを走る。
列車はほぼずっと海沿いを走る。
テーマは浦島太郎。それにちなんだデザインが随所にあしらわれている。
テーマは浦島太郎。それにちなんだデザインが随所にあしらわれている。
煙発射装置。
煙発射装置。
この列車最大の特徴が、停車した時に出る白い煙。
浦島太郎が玉手箱を開け中から白い煙が出てきたところを再現している。
何度見ても面白い。(列車を降りるとお爺さんになってる…?)
1時間弱ほどで指宿駅に到着。
1時間弱ほどで指宿駅に到着。

例によってノープラン

で、また例によって到着してから何をするかが決まってない。指宿枕崎線の終点まで行ってみようか?とも思ったが、睡眠不足で頭がモワ~ンとしていて寝そうだったので、ここは有名な砂蒸し風呂に向かった。
指宿と言えば砂蒸し風呂。
指宿と言えば砂蒸し風呂。
これが素晴らしく良くて、10分ほど熱々の砂に潜ってただけで3時間くらい眠ったようなリフレッシュ効果があった。

砂は意外と重みがあり、それもよかった。
普段から私は重い布団が好きなのだ。
与謝野晶子も来た。
与謝野晶子も来た。
それ以外はただぶらぶらと辺りを歩いた。
それ以外はただぶらぶらと辺りを歩いた。
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キリッとした表情とのギャップがいい。
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すごい廃墟もあった。
鰹丼。うまかった。
鰹丼。うまかった。
再び「いぶたま」に乗って鹿児島へ。
再び「いぶたま」に乗って鹿児島へ。

長崎にも観光列車ほしいです

通常、こういった記事はオープン直後の最も話題になってる頃に書くものだろう。2年も経ってから書くのは少々間抜けかもしれない。が、私は気にしない。オープン直後はただでさえ混んでるのだから、みんなが忘れかけた頃、少し空いてきたかな?ぐらいのタイミングで出てくる記事があってもいいと思う。(全然空いてなかったけど)

というわけで、自分的にも久しぶりにJR九州の観光列車を満喫したが、相変わらずの高クオリティぶりで素晴らしかった。もうひとつの観光列車「あそボーイ」についてはまた後日書きたいと思う。
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