特集 2013年4月4日

勝手にうどんコラボレーション

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日本全国、さまざまなうどんがある。地域地域で麺が変わっていたり、出汁の材料にこだわっていたりと色々あるが、そのそれぞれの長所を組み合わせたら最高のうどんが出来るのではないか。

そう思いついたので、勝手に各地域のうどんをコラボレーションさせてみた。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

前の記事:生そうめんが美味い

> 個人サイト owariyoshiaki.com

大阪のうどんは出汁すぎる

思いついた原因は今住んでいる大阪のうどんだ。大阪のうどんは非常に出汁に重点が置かれていて、うどん(麺)よりもむしろ出汁がうどんと言っていいくらいの状況なのだ。
うどんイズ出汁の象徴的な店、千とせ。
うどんイズ出汁の象徴的な店、千とせ。
出汁こそうどん、それを分かりやすくあらわしているのがこのお店、千とせだ。土曜祝日になるといつも行列の出来る人気店なのだが、そのお店の人気メニューがこれ。
肉吸い(肉うどんのうどん抜き)630円。ついでに言うと肉うどん(うどん入り)も630円。
肉吸い(肉うどんのうどん抜き)630円。ついでに言うと肉うどん(うどん入り)も630円。
肉うどんのうどん抜き。看板にうどんと掲げているお店で大半の人がうどん抜きのうどんを頼む。
そしてうどんが入っていないとやっぱりちょっと物足りないので大体の人が御飯も一緒に頼む。
そしてうどんが入っていないとやっぱりちょっと物足りないので大体の人が御飯も一緒に頼む。
肉吸いはもともと、二日酔いだった人が麺は重いので抜いて注文した物が人気になったそうだが、二日酔いじゃない人も麺入りに戻るのではなくご飯を追加するという、よくわからない出汁だけの状態への執着。
うどんがない。
うどんがない。

そしてこの出汁がめっぽう美味い。カツオと昆布でしっかり効いている中でちょっとしょっぱめに味付けられていて、それが染みた肉も美味い。ご飯がわしわし進む味でご飯の甘みで出汁がより香る。

これはお出汁にこだわる意味がちょっと分かる。

大阪の出汁で各地のうどんを食べたい

出汁の美味いうどん屋と言う事で道頓堀今井へ。
出汁の美味いうどん屋と言う事で道頓堀今井へ。
肉吸いをご飯で食べるのも大変おいしかったのだが、うどんを入れたい思いにも駆られる。もちろん普通に肉うどんを注文することも出来るのだが、大阪のうどんは出汁なので麺が少し物足りないのだ。
魅惑のおあげさん
魅惑のおあげさん
こちらのうどん屋さんもお出汁が美味い。味はそう濃くないのだが、飲むとじんわりとうまみが染みわたる。バカっぽいけど思ったことを書くと、美味しい味が凄くするのだ。なに味とかじゃなく美味しい味。
麺は柔らかめのふわふわ系。
麺は柔らかめのふわふわ系。
この美味しい味のするお出汁とビシッとコシのあるうどんが合わさったら大変なことになるんじゃないだろうか。そんな思いをかなえる方法があった。
うどんのおみやげ!!
うどんのおみやげ!!
あのお出汁がお家でも楽しめる、だと。
あのお出汁がお家でも楽しめる、だと。
なんと、うどんをそのままおみやげとして持って帰ることが出来る。あのお出汁がお家でも、そしてどんな麺でも味わえるのだ。うほほ、これは楽しみ。色々なうどんを組み合わせて至高のうどんを作ってみたい。
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日本全国のうどんを食べに

京都の中心の駅近くにあってビックリした。
京都の中心の駅近くにあってビックリした。
色々なうどんを集めたいと、京都にあるうどん博物館へやってきた。ここに日本全国のうどんがあるそうだ。
日本のうどん大国っぷりと、四国の香川一強っぷりが凄い。
日本のうどん大国っぷりと、四国の香川一強っぷりが凄い。
中に入ると色んなうどんが展示してあって、その種類に驚く。大阪の出汁に合わせる麺を求めていたが、さらなる出汁と麺の組み合わせもあるのではないか。

うどんとは何か

そして折角なのでうどんも食べていく。その中のオススメと言う麺比べセットと言うのを注文してみた。
麺比べセット1600円。左から群馬県のひもかわうどん、栃木県の耳うどん、宮城県の白石温麺。
麺比べセット1600円。左から群馬県のひもかわうどん、栃木県の耳うどん、宮城県の白石温麺。
京都の一等地だけあって流石にお値段は立派。届いてまず目をひかれる左上の一反もめん状のもの。いったいあれは何なんだ。
うどん…?
うどん…?
幅が10センチ有るというひもかわうどん。はたしてこれはうどんなのか。見た目的にはイカっぽい。
やっぱりイカっぽい。
やっぱりイカっぽい。
恐る恐る食べてみると、プリッとしていて意外と美味い。うど…?ん、んんー、うどんかな。って感じの存在。うどんとは一体何なのか。
耳!耳うどんって言うか、耳。
耳!耳うどんって言うか、耳。
そして真ん中の耳うどん、持ち上げてみると確かに耳。これはもううどんカテゴリに入ってくる必要あるのかと思うくらいに耳。食感もうどんよりも水餃子に似た粘りのある感じだ。

白石温麺は昼過ぎに行ったためか茹で置きでちょっとツライ感じであったが、予想以上のうどんの多様性を見ることが出来た。これらを組み合わせたら楽しそうだ。

一反もめんも合わせてみたい

さて、色んな種類のものをうどんミュージアムで買っては来たものの、一反もめんのようなひもかわうどんや、耳うどんが見当たらなかった。さてどうしようと考えたが、あれ、どうにか作れるんじゃないかなぁ。
幅広く切ればいいんでしょう(ひもかわうどんの人ごめんなさい)。
幅広く切ればいいんでしょう(ひもかわうどんの人ごめんなさい)。
そう思ってうどんを打ってみた。ひもかわうどんは食感としてはしっかりうどんだったので切り方次第でどうにかなりそうな気がしたのだ。
八つ橋に見える。
八つ橋に見える。
と、一応幅広く切ってみたのだが、この状態では上手くいっているのか全然わからない。はたしてこれはうどんなのか。
あっ、ひもかわうどんだ。
あっ、ひもかわうどんだ。
不安に思いながらも茹でてみたら、見覚えのある一反もめんのようになった。やっぱりひもかわうどんはうどんから出来ていたようだ(でもうどんかどうかは判断しかねる)。
耳うどん出来た、のか、どうかちょっとわかりかねる。
耳うどん出来た、のか、どうかちょっとわかりかねる。
じゃあ、と思って調子に乗って耳うどんも作ってみたがこっちも出来ているのか分からない感じだ。謎のうどん勢の結果も過程も惑わす力がもの凄い。
耳だ!(箸の持つ位置がアレなので、箸突っ込んでるみたいに見えて、ギャッてなる)
耳だ!(箸の持つ位置がアレなので、箸突っ込んでるみたいに見えて、ギャッてなる)
こちらも茹でてみると、見覚えのある形となった(人体ではなくうどんミュージアムで)。ほほう、そっけない感じだけど実際はやさしい系のやつらだな、謎のうどん勢。

さぁ、色んなうどんを色々なお出汁で食べてみますよ。
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いざコラボレーション

集まったうどん達。
集まったうどん達。
やっと食べる所まで来たうどんコラボレーション。もっともっと色々な種類はあるのだが、好みと独断で集めたのがこれらのうどんと出汁だ。

群馬 ひもかわうどん風(自家製)
栃木 耳うどん風(自家製)
香川 さぬきうどん風(自家製)
愛知 きしめん
山梨 ほうとう
大阪 大阪うどん

出汁

大阪 うどん出汁
愛知 味噌煮込み
山梨 ほうとう
香川 生醤油
秋田 稲庭のつゆ
これらを組み合わせて至高のうどんを探してみよう。といっても全部書いてたら読む気も起きないと思うのでそれぞれのお気に入りをどうぞ。

ひもかわうどん風

ひもかわうどんは生醤油が一番お気に入り。
ひもかわうどんは生醤油が一番お気に入り。
一反もめんのようなひもかわうどん、その幅広さゆえ出汁系ではあまり絡む感じがなくて物足りなさを感じたが、生醤油で食べると面白い。がぶっとかぶりつくとうどんではなくお刺身を食べているような感覚。なめらかでシコシコした食感と醤油の味がシンプルに美味い。
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耳うどん風

ほうとうとの相性がいいと思う。
ほうとうとの相性がいいと思う。
耳うどんは厚みの違う所が食べていて面白いが、単体で食べていると少しさみしく感じる。それが色々な具材が入っているほうとうに入れると小ぶりなサイズが他の食材と一緒に食べるのにちょうどよく、満足感が高い。

味はどれも美味しかったので食べ合わせなど、主役じゃなく力を合わせて本領を発揮するタイプか。
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さぬきうどん風

生醤油が美味かった。
生醤油が美味かった。
大阪のこだわり出汁にコシのあるうどんが入ったらと想像して始まった今回だが、実際にやってみると麺の主張が強くて出汁が活きていなかった。麺を食べる時間と出汁の香りが続く時間にズレがあってちぐはぐな印象。

シンプルに麺を味わう生醤油が一番好み。好みのものをただ合わせるだけじゃあダメなんだな。
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きしめん

名古屋コラボレーション美味い。
名古屋コラボレーション美味い。
きしめんはどの出汁とも全体的に相性が良い。その中で気に入ったのは味噌煮込みきしめん。麺が良く汁を吸って美味かった。が、名古屋繋がり、というかそもそも味噌煮込みきしめん自体普通に存在しているのだから美味いのは当たり前か。その先入観のためかも知れないが美味かった。
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ほうとう

ほうとうは普通にほうとうで食べたら美味かった。
ほうとうは普通にほうとうで食べたら美味かった。
ほうとうというものを初めて食べたが、あまりコシがなくぬぼっとした感じ。これはちょっと好みでないかなと思ったがほうとうの汁で煮込むと、はっ。とした。あぁあぁ、こういう感じなのか。
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大阪うどん

素うどんの寂しいながらも安心するこの感じはなんだろう。
素うどんの寂しいながらも安心するこの感じはなんだろう。
強いコシも無く、ふわふわしていたものだから他のものだともっと良いのではないかと代わりを探した今回だが、正直大阪の出汁には大阪のうどんが一番美味しかった。

香るお出汁の邪魔をせず、焼肉における白米のような主役を引き立てる影のポジション。影のポジションも美味い方が良いんじゃね!?とか言って焼肉の時に炊き込みご飯持ってこられたら困る感じ。物にはそれぞれの役割があるんだな。
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結局元の組み合わせがよさげな雰囲気

見た目はこれが一番好き。
見た目はこれが一番好き。
色々な組み合わせを試してみたが、結局どれも元々食べられていた食べ方で食べるのが良いような感じを受けた。長年その土地土地で食べられている間にすでに最適の相性に調整されているんだろうか。

色々工夫すれば美味しくなりそうな感じもするが、美味しい物をただ単純に組み合わせただけでは美味しくはならないようだ。4番バッターばっかり集めたチームは弱い。みたいな話を思い出した。
出汁と麺の組み合わせ表
出汁と麺の組み合わせ表

うどんは世界へ

そう思ったのだが、最後に一つだけやってみたい組み合わせがある。ひもかわうどん、耳うどん共に初めて見たときから思っていたことがあった。こいつら、うどんって言うよりむしろパスタじゃね?
うどんじゃないけど、美味しくなる気がするのよ。
うどんじゃないけど、美味しくなる気がするのよ。
Wikipedia情報ではあるが、うどんとは「小麦粉を練って長く切った、ある程度の幅と太さを持つ麺」でパスタは「『小麦粉のイタリア風の練り物』の事」らしい。

ひもかわうどんと耳うどんにうどんとして足りないのは「長く切った。と、ある程度の幅と太さ」パスタとして足りないのは「イタリア風」だ。

ひもかわうどん、耳うどん共にうどん要素を満たそうとするとそれぞれの個性が無くなる。ならば、イタリア風にすれば自分らしさを活かしたまま正式にパスタに分類されるのではないか。
と言う事で、こちらが耳パスタのミートソースでございます。
と言う事で、こちらが耳パスタのミートソースでございます。
それぞれの地で食べられてきた食べ方がベストなのだ…。とか書いておいて耳うどんをミートソースで和えてみた。見た目は結構美味しそうに出来たがお味の方はどうだろうか。
すっごい美味い。
すっごい美味い。
まずくは無いだろうなと思いながら食べたら、ビックリするくらい美味しかった。打ちたて茹でたてのシコシコの生地に濃厚なトマトと肉のうまみが絡む。かつてない攻撃を受けて耳パスタが本気で戦ってるようだ。
よくわからない物が出来た。
よくわからない物が出来た。
ならばとひもかわパスタもイタリア風にしてみた。どう見てもひもかわうどんはうどんよりはラザニアに近い。ひもかわパスタを重ねてミートソースとチーズを挟んでみた。
ぎゃー!うまいー!!
ぎゃー!うまいー!!
耳パスタの時点で分かっていたが、これも美味い。凄く美味い。コシという特徴のあるうどんは他の麺領域に立ち入っても何にも負けぬ力があるのではないだろうか。

うどんと組み合わせるべきであったのはうどんの出汁同士ではなく他の麺の領域、そして、世界を目指すべきだったのだ。今こそうどんは世界を制す!

ミートソースと合わせてみて合うか心配だったけれども、茹でたてのうどんと玉子を絡めて食べる釜玉うどんなんかはカルボナーラとほぼ同じだし、うどんはパスタの調理法と合うのかもしれない。

今回色々な食べ方を試してみて、うどんの奥深さと未知の可能性を感じることが出来た。うどんは世界だ。
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