特集 2013年4月2日

羊をめぐる冒険(八尾版)

出直す

ショウノさんの会社がどこかはわからなかった。日曜は会社が休みだそうなので、いなかったろう。

家族は東京にもどり、私だけ羊をさがしてメルヘン延泊である。さあ、バッドエンディングから挽回なるか。
翌日、一人帰省を延ばして再び久宝寺。交番で聞いてみるも「羊かいな! 聞いたことないで」と逆に驚かれる
翌日、一人帰省を延ばして再び久宝寺。交番で聞いてみるも「羊かいな! 聞いたことないで」と逆に驚かれる
この辺りかなと会社の人に声をかける。「うちうち。それうちやわ」
この辺りかなと会社の人に声をかける。「うちうち。それうちやわ」

引き当てた

なんとか自動車と看板が出てるとこ、と聞いてたので車屋をさがしていた。場所としてはこの辺りなんだが……

大きなゴミ箱のようなものを倉庫で洗っている会社があった。すいません、この辺で羊飼ってる会社があると聞いたんですが……

「うちうち。それうちやわ。ほら、あっこに豚おるで」

当ててしまった。しかもそこには豚が。引き当てたのはこっちなのに心臓を射抜かれたような驚きがあった。
豚がいた
豚がいた

謎がどんどんとけていく

「社長~! なんか羊のことききたいいう人が来てはるけど」

と呼んでもらって出てきたのは株式会社WESTの代表、正野さん。

――(この人がペーターか……)すいません、羊はどうなったんですか?

「羊は別のとこにいてますわ~。空き地で飼うてたんはうちです、ヤギもおったしね。豚はほら、そこにおるでしょ」

よかった、生きてた。しかも全部いたのだ。目の前のおっちゃんの言葉が今、福音のように心にひびく。

――なんでここで動物を飼ってるんですか?

「うちね、産業廃棄物を動物のエサにできないか今研究してるとこなんですわ。

たとえば素麺屋さんから廃棄物が出るでしょ、そういうのをエサにして動物を育てる。動物がフンして畑に帰る。そういうことを研究してるんです」

――なんでまた羊を?

「ヤギも羊もエサが牛に似てるんです。羊を育てられたら牛も飼える。その研究のためにやってるんです」

とけていくとけていく、謎がどんどんとけていく。あれだけ不思議だった羊も、理由を知ってしまえばそれも道理である気さえしてくる。

さあ、みなさんに聞きたい。久宝寺に羊の何がおかしいのか。
株式会社WESTの正野社長。
“飼ってます”感出てます。株式会社WESTの正野社長。

今は奈良にいるらしい

――羊はどれくらいいるんですか?

「全部で150頭くらいになるかなあ。奈良に牧場があってね、今はそっちにいてるんですわ」

――そもそもなぜ久宝寺なんですか?

「ぼくがもともと久宝寺の人間いうこともあってね。こっちの農業とつながりがあって、たい肥の研究に飼うとったんですわ。

久宝寺でたい肥を作ろうとしてもカラスのえじきになる。それやったら羊やらに食わせてフンしてたい肥作れないかと思ってね。空いてる土地に飼うてたんです」
「これは買うてきたけどね」産廃物を家畜の飼料にできないか研究してるところなんだそうだ
「これは買うてきたけどね」産廃物を家畜の飼料にできないか研究してるところなんだそうだ

ここまでわかったこと

・羊はいた(もういない)
→死んだらしい
→いた、エサの研究用
・羊がいた空き地はくさかった
→ふれられない
・ヤギもいるらしい
→ヤギもいた
→いた、エサの研究用
・豚もいるらしい
→いた、エサの研究用
・ショウノさんが飼っているらしい
→エサの研究をしてる会社
・ショウノさんは平日にいる
→たぶんそう

久宝寺の羊飼い、いい謎だった

楽しかった。無防備な感想ではあるが、謎のベールがぽろぽろとはがれおちていくのはめくるめく快感である。

久宝寺のペーターは飼料研究中の社長さんだった。

わかってみればなんだそういうことかと、謎をさぐるのはいつもそんな感じだ。見つかってしまうと一体あの熱量はなんだったのだろうと気恥ずかしささえおぼえる。久宝寺に羊、どこがおかしいのだ。

いや、おかしいぞ。やっぱり。
まさか豚を見るとは
まさか豚を見るとは
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