人民日報の新聞を彫刻にしてしまうアート
やっぱり彫刻だらけ。公園名に偽りなし
中国の現代芸術と言えば、プロパガンダ系だと思ってるぼくとしては、兵隊さんが腕を突き上げたり、市民が感謝で笑い、涙を滝のように流したり、偉い人が視察するような彫刻だらけのイメージを、この公園に期待していた。
彫刻公園に入ると、その期待に応えてくれるように、苦労人そうな人々の彫刻が待っていた。雨の日だったので、「余計に苦労」補正がついて人々の感動もひとしおなのである。たぶん。
作品名:苦しい歳月。よこぶえが味出してる。
列車を止めようと体を張る兵士。すごいぜ!
うれしい知らせに駆けまわるほど喜ぶ女性。
小脇に挟むは「人民日報」の胡錦涛氏が軍の偉い人に就任の報。
中国版彫刻の森の全てが苦労系彫刻なら、日本海の荒波の世界。彫刻公園を出たときの人々の気持ちたるや、歌い終わって伴奏が流れて遠くを見つめている演歌歌手のような気持ちであろう。
「爺と小僧」系アートがすごい!
ところがどっこい。彫刻公園の苦労人系はツカミであり前菜である。メインディッシュは未来を担う子供の彫刻だった。
北京オリンピックのマスコットキャラクター「福娃(フーワー)」を抱く裸の赤ちゃん。題して「福娃夢」
かわいい福娃とは対照的に、赤ちゃんがいまいち可愛くない感じがいい。
行って感じたのは、この彫刻公園の真骨頂は子供の彫刻。いまいち可愛くないどころか、日本ではもはや見ることがないだろう、わんぱく坊主と爺のかけあいの彫刻がこれでもかとあるのだ。カツオと波平も感心しきり。
首がひっかかって痛々しい。
爺登場。中国将棋をさす子供。表情がたまらない。
別の角度からなめ回して見たくなる。
爺「わしの作品に墨をつけてはだめじゃあ!」
子供だけでもしっかり見たくなる。表情がどう見てもいたずらモード。
爺オンリーの作品も。巻き貝料理をテイスティングする爺。
巨大ニワトリに乗った爺が小僧に「ラッパを吹いてやるぞい!」「ブォォォーーー!」
全力で吹くラッパが聞こえそうだ。
パイプを吸う爺の横で悪だくみする小僧。
爆竹をつっついているのか、火をつけようとしてるのか。ピンポンダッシュよりあくどい。
フリーダム空間
あまりに爺と子供の馴れ合いのインパクトがすごかったが、他にもいろいろあり、フリーダムな公園だった。
草原に馬の大群(彫刻)が走り
その奥には引っ張る人(彫刻)がいて
いろいろあって面白いね、ハッハー♪ってことで。
彫刻は評価されるべき
術オンチのぼくだけど、彫刻公園はいい意味で裏切られてすごく楽しめた。
旅行ガイドを見ても、注目されがちなのは歴史ある絵画がメインになりがちで、現代彫刻はあまり注目もされないし紹介もされない傾向があるけれど、現代彫刻が集まるところこそ海外旅行の旅行先で巡るべきだと思った。
面白かった、ほんと。